グループホームと特別養護老人ホーム(特養)は、どちらも介護を受けながら生活できる施設ですが、対象者と役割が異なります。
グループホームは認知症のある要支援2または要介護1~5の人を対象に、少人数の共同生活を支える地域密着型サービスです。一方、特養は常時介護が必要な人の生活を支える施設で、新規入所は原則要介護3以上です。
要介護度が上がったら自動的にグループホームから特養へ移るわけではありません。現在のグループホームで必要な支援を続けられるか、本人が環境変化に耐えられるか、費用や医療体制にどのような違いがあるかを確認して判断します。
結論|認知症ケアを軸にするグループホームと、常時介護を支える特養では入所条件と費用制度が異なる
認知症があり少人数の環境で生活したい人はグループホームが候補です。原則要介護3以上で常時介護が必要な人は特養が候補になります。ただし、要介護1・2でも一定の事情がある場合は特例入所の対象となる可能性があります。介護度だけでなく、生活環境・医療・費用・入所時期まで比較しましょう。
グループホームと特養の違いを最初に整理する
| 施設 | 主な対象・役割 |
|---|---|
| グループホーム | 認知症がある要支援2・要介護1~5の人の少人数共同生活を支える |
| 特養 | 常時介護が必要な人を受け入れ、新規入所は原則要介護3以上 |
グループホームは認知症が入居の前提
グループホームは認知症対応型共同生活介護です。認知症があることに加え、要支援2または要介護1~5であることなどが基本条件です。
また地域密着型サービスなので、原則として事業所所在地の市区町村の住民が利用します。
特養は認知症の診断が必須条件ではない
特養は、常に介護が必要な人へ、食事・入浴などの日常生活上の支援、機能訓練、療養上の世話などを提供する施設です。
認知症の人も多く利用しますが、「認知症だから入れる施設」という制度ではありません。
入所条件の違い|特養は原則要介護3以上
特養の新規入所は原則要介護3~5
特養の新規入所は原則として要介護3以上です。要支援1・2は利用できません。
要介護1・2でも特例入所の可能性がある
要介護1・2でも、在宅生活が困難なやむを得ない事情がある場合には、特例入所が認められる可能性があります。
厚生労働省の指針では、認知症による日常生活上の困難、知的・精神障害等、虐待が疑われ安全確保が難しい場合、家族支援や地域サービスが十分でない場合などが考慮事項として示されています。
要介護1・2で認知症があれば自動的に特例入所できるわけではありません
本人の生活状況や支援環境を踏まえて判断されます。申込先の特養や自治体に、地域の入所指針と必要書類を確認してください。
生活環境の違い|少人数の共同生活と特養の居室形態を比べる
グループホームは1ユニット5~9人
少人数の入居者と職員が生活を共にし、本人ができる家事や生活動作を続けられるよう支援します。
顔なじみの関係を作りやすい一方、共同生活の距離感が本人に合うかは見学で確認する必要があります。
特養にはユニット型・従来型などがある
特養には個室を基本とするユニット型や、多床室を含む従来型などがあり、居室環境や生活単位が異なります。
「特養だから大人数」と決めつけず、食事をする単位、日中の過ごし方、居室でのプライバシー、職員の関わり方を確認してください。
介護の違い|要介護度が上がったら特養へ移るとは限らない
グループホームは要介護5まで対象なので、要介護度が上がっただけで制度上退去になるわけではありません。
今のグループホームで必要な介護を継続できるか確認する
移乗、排せつ、食事、夜間の介助などが増えた場合、現在の人員体制で安全に支援できるかを確認します。
特養へ移るかは「不足する支援」で判断する
現在のグループホームで介助量を支えきれない、医療ニーズへの対応が難しいなど、具体的に不足している支援を整理します。
特養へ移っても、その支援が必ず受けられるとは限りません。特に医療処置については次の施設でも個別確認が必要です。
POINT
「要介護4になったから特養へ」ではなく、「今の施設で何が難しくなったのか」「特養ならその支援を提供できるのか」を照合して判断します。
認知症ケアの違い|施設種別より実際の関わり方を見る
グループホームは認知症ケアがサービスの中心
本人の生活歴や習慣を重視し、認知症による不安や混乱に配慮しながら少人数で生活します。
特養でも認知症の人は生活している
特養でも認知症のある入居者への支援は行われます。ただし、生活単位、人員配置、認知症ケアの具体的な方法は施設ごとに異なります。
住み替えを考える場合は、本人が落ち着く声かけや生活習慣を次の施設へ引き継げるかも確認してください。
医療・看護の違い|特養でも病院と同じ医療を受けるわけではない
特養は介護度の高い人を受け入れる施設ですが、医療機関ではありません。グループホームと同様に、医療処置への対応は施設の看護体制や医療連携によって異なります。
介護と医療を分けて伝える
施設へ相談するときは、「要介護4です」だけではなく、必要な介護と医療を分けます。
- 移乗は一人介助か二人介助か
- 夜間の排せつ介助は何回あるか
- 食事介助や嚥下への配慮は必要か
- インスリンや吸引などの医療処置があるか
- 通院はどの程度必要か
特養であっても、看護職が24時間常駐するとは限りません。夜間の医療対応は必ず確認します。
費用の違い|特養には食費・居住費の負担軽減制度がある
グループホームの費用
介護保険自己負担に加え、家賃、食材料費、水道光熱費、日用品費などがかかります。
グループホームの家賃・食費は、特養等を対象とする介護保険の負担限度額認定の対象ではありません。
特養の費用
施設サービス費の自己負担に加え、居住費、食費、日常生活費などがかかります。
所得・資産等の要件を満たし、自治体から認定を受けた場合には、食費・居住費について負担限度額が適用される仕組みがあります。
「特養は必ず安い」ではなく本人の条件で比較する
居室形態、負担段階、介護保険の自己負担割合、加算、医療費、日用品などで総額は変わります。
| 比較する費用 | 確認内容 |
|---|---|
| 介護費 | 自己負担割合、要介護度、加算 |
| 居住 | グループホームの家賃、特養の居住費 |
| 食事 | 食材料費・食費と軽減制度の対象 |
| 実費 | 医療、薬、日用品、理美容など |
特養は申し込めばすぐ入れるとは限らない
特養は、単純な申込順だけではなく、入所の必要性などを考慮して入所が決まります。対象条件に該当していても、申込みと入所日は同じではありません。
住み替えを考えたら早めに現在の状況を相談する
現在のグループホームで生活できているうちに、今後どのような状態になると支援が難しくなるのかを聞き、特養申込みが必要かを検討します。
退去日を先に決めない
特養の入所時期が確定する前にグループホームを退去すると、生活場所がなくなる可能性があります。現施設と申込先で日程を調整してください。
グループホームが向いている人・特養が向いている人
01
少人数の認知症ケアが本人に合っているならグループホーム
現在の介護・医療をホームで支えられ、本人が少人数の環境で安定している場合は、介護度だけを理由に住み替える必要はありません。
02
常時介護が必要で特養の入所条件を満たすなら特養
要介護3以上などの条件を満たし、現在の生活場所より特養の介護体制が本人に適している場合は候補になります。
03
費用負担が課題なら軽減制度を含めて比較する
特養では負担限度額認定の対象になる可能性があります。本人の所得・資産等の条件を自治体へ確認してください。
住み替え前に確認したいこと
グループホームから特養を検討するときの7項目
- 今のホームで具体的に何が難しくなったか
- 特養の入所条件を満たしているか
- 要介護1・2なら特例入所の事情に該当する可能性があるか
- 必要な介護を申込先の特養で支えられるか
- 必要な医療処置へ対応できるか
- 食費・居住費の軽減制度を利用できるか
- 入所時期が決まるまで現在の生活をどう支えるか
まとめ|介護度の数字ではなく、本人に必要な支援と生活環境で比較する
グループホームは認知症のある人を対象に少人数で生活を支えるサービス、特養は常時介護が必要な人を支える施設です。
特養の新規入所は原則要介護3以上ですが、要介護1・2でも一定の事情がある場合には特例入所の可能性があります。
要介護度が上がったから機械的に特養へ移るのではなく、現在のグループホームで不足する支援、特養で受けられる介護・医療、本人の環境変化への負担、費用を比較して判断しましょう。