介護医療院へ入所すると、毎月の費用には「介護保険が適用される施設サービス費」と、「食費・居住費・日常生活費など介護保険とは別に負担する費用」が含まれます。
そのため、「介護医療院は月いくら?」と考えるときは、まず介護保険の自己負担額だけを切り分けて見ることが大切です。
まず結論|介護保険の自己負担は要介護度・施設類型・居室・負担割合で変わる
介護医療院の介護保険自己負担は、要介護度、Ⅰ型・Ⅱ型などの施設類型、従来型個室・多床室・ユニット型個室などの居室区分、1割・2割・3割の負担割合、加算によって変わります。厚生労働省の公表例では、1割負担の場合、Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅰ)は従来型個室で1日721~1,263円、多床室で833~1,375円です。30日利用なら基本サービス費だけで約2.2万~4.1万円が一つの目安になりますが、実際には加算や地域区分が反映され、さらに食費・居住費などが別途必要です。
介護医療院の料金は「介護保険分」と「保険外費用」に分けて見る
介護医療院の請求額を理解するには、最初に費用を二つに分けます。
| 費用 | 主な内容 |
|---|---|
| 介護保険の自己負担 | 施設サービス費、各種加算など |
| 介護保険とは別の負担 | 食費、居住費、日常生活費など |
この記事で中心に扱うのは、前者の介護保険自己負担です。
食費や居住費まで含めた請求総額と、介護保険サービス費の自己負担を混ぜると、「なぜ料金表より高いのか」が分かりにくくなります。
料金表の「○円/日」は総額ではない
厚生労働省の介護サービス情報公表システムでは、介護医療院の利用者負担額を1日あたりで示しています。
ここに示される金額は、基本となる介護保険サービス費の自己負担の目安です。実際の請求には加算や食費・居住費などが加わります。
「1日1,000円前後なら月3万円だけ」とは考えない
介護保険の基本サービス費が1日1,000円前後でも、食費・居住費・日常生活費などは別です。入所費用の総額を知りたい場合は、施設の料金表で各費用を分けて確認してください。
1割負担では1日いくら?
厚生労働省の介護サービス情報公表システムでは、Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅰ)とⅡ型介護医療院サービス費(Ⅰ)について、1割負担の例を次のように示しています。
| 区分 | 1割負担の1日額 |
|---|---|
| Ⅰ型・従来型個室 | 721~1,263円 |
| Ⅰ型・多床室 | 833~1,375円 |
| Ⅱ型・従来型個室 | 675~1,149円 |
| Ⅱ型・多床室 | 786~1,261円 |
幅があるのは、主に要介護度によって基本報酬が異なるためです。要介護度が高いほど、基本となる施設サービス費も高くなる仕組みです。
Ⅰ型・多床室の1割負担を要介護度別に見る
たとえば、Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅰ)の多床室では、1割負担の例は次のように示されています。
| 要介護度 | 1日あたり |
|---|---|
| 要介護1 | 833円 |
| 要介護2 | 943円 |
| 要介護3 | 1,182円 |
| 要介護4 | 1,283円 |
| 要介護5 | 1,375円 |
要介護1と要介護5では、同じⅠ型・多床室でも1日あたりの基本サービス費の自己負担に差があります。
数字は「現行の公表例」として見る
介護報酬は改定されることがあります。また、実際の利用者負担は地域区分などによっても変わります。
そのため、最終的な金額は入所予定施設が提示する最新の料金表・重要事項説明書で確認してください。
30日入所すると介護保険自己負担はいくらになる?
1割負担の1日額を30日分として単純計算すると、基本サービス費の目安は次の範囲になります。
| 区分 | 30日の目安 |
|---|---|
| Ⅰ型・従来型個室 | 約21,630~37,890円 |
| Ⅰ型・多床室 | 約24,990~41,250円 |
| Ⅱ型・従来型個室 | 約20,250~34,470円 |
| Ⅱ型・多床室 | 約23,580~37,830円 |
これはあくまで、厚生労働省が示す1割負担の基本額を30日として計算した目安です。
実際の月額では、本人に提供されたサービスに応じた加算・減算、地域区分などが反映されます。
POINT
月額を知りたいときは「1日の基本額×30」だけで終わらせず、施設の見積書で加算、食費、居住費、日常生活費まで足した総額を確認します。
1割・2割・3割はどう決まる?
介護保険サービスの利用者負担は原則1割ですが、一定以上の所得がある人は2割または3割になります。
自分が何割負担なのかは、自治体から交付される介護保険負担割合証で確認できます。
2割なら基本的に1割負担の約2倍
同じサービス内容であれば、2割負担の人は介護保険サービス費の利用者負担が1割負担の人のおおむね2倍になります。
たとえば、1割負担で1日1,182円となる基本サービス費なら、2割負担ではその約2倍が自己負担の目安です。
3割なら基本的に1割負担の約3倍
3割負担の場合も同様に、介護保険対象となるサービス費について、1割負担額のおおむね3倍が目安になります。
ただし、食費や居住費などは「1割・2割・3割」という負担割合で計算する費用ではありません。
負担割合が3割でも請求総額すべてが3倍になるわけではない
2割・3割の対象になるのは介護保険サービス費の利用者負担部分です。食費、居住費、日常生活費などは別の仕組みで決まるため、請求総額全体を単純に2倍・3倍にする計算はできません。
要介護度が上がるとなぜ負担額も上がる?
介護医療院の基本報酬は、要介護度ごとに単位数が設定されています。
要介護度が高い人ほど、より多くの介護や支援が必要になることを前提として基本報酬が高く設定されているため、同じ施設類型・居室でも自己負担額が高くなります。
入所中に要介護度が変わると料金も変わることがある
更新認定や区分変更によって要介護度が変わると、適用される基本サービス費も変わります。
たとえば、要介護2から要介護3へ変更された場合、認定結果の適用時期に応じて請求額が変わることがあります。
認定更新の時期が近い場合は、現在の料金だけでなく、要介護度が変わった場合の料金も施設へ確認すると安心です。
Ⅰ型・Ⅱ型で自己負担が違うのはなぜ?
介護医療院にはⅠ型とⅡ型があり、想定する入所者像や人員配置などに違いがあります。
そのため、同じ要介護度でも適用される基本報酬が異なります。
施設名だけでは料金区分が分からないことがある
「介護医療院○○」という施設名を見ただけでは、どの基本報酬を算定しているか判断できないことがあります。
料金を確認するときは、次のように具体的に聞きます。
- Ⅰ型とⅡ型のどちらですか
- 本人が入る療養棟ではどのサービス費が適用されますか
- 従来型個室・多床室・ユニット型のどれですか
- 現在の要介護度で1日いくらですか
Ⅰ型だから必ず月額総額が高いとは限らない
基本サービス費だけを比べると差がありますが、最終的な月額は居室タイプ、加算、食費、居住費などでも変わります。
施設比較では、基本報酬の一部分だけで高い・安いを判断しないことが大切です。
個室と多床室で「介護保険分」も違う
介護医療院では、従来型個室、多床室、ユニット型個室など居室区分によって基本サービス費が異なります。
さらに、居住費そのものも居室タイプによって変わるため、個室と多床室の違いは請求総額に二つの面から影響します。
介護サービス費と居住費を別々に比較する
料金表を見るときは、次の二つを分けます。
- 介護保険の施設サービス費がいくら違うか
- 介護保険とは別に負担する居住費がいくら違うか
「多床室の方が基本サービス費は高いのに、総額では個室より安い」といったこともあり得るため、最終的には月額見積もりで比較します。
加算が付くと介護保険自己負担は増える
介護医療院では、基本の施設サービス費だけでなく、提供したサービスや施設の体制に応じて各種加算が算定されることがあります。
加算も介護保険サービス費の一部なので、原則として本人の負担割合に応じた自己負担が発生します。
「基本料金+加算」で介護保険分を考える
料金表を見るときは、基本サービス費だけでなく、本人にどの加算が見込まれるかを確認します。
加算には施設全体の体制によって算定されるものや、本人に特定の支援を行ったときに算定されるものがあります。
加算の種類や料金表の読み方は別テーマになるため、入所時には少なくとも「毎月ほぼ必ず算定される加算」と「本人の状態によって付く加算」を分けて説明してもらうと分かりやすくなります。
食費・居住費は介護保険自己負担とは別
介護医療院に入所すると、介護保険サービス費とは別に食費と居住費を負担します。
厚生労働省の介護サービス情報公表システムでは、食費は食材料費と調理費、居住費は居室タイプに応じて室料や光熱水費相当を負担する考え方が示されています。
所得が低い人は負担軽減の対象になる場合がある
所得や資産などの要件を満たす人は、介護保険負担限度額認定によって、介護保険施設の食費・居住費の負担が軽減される場合があります。
ただし、この制度で軽減されるのは主に食費・居住費であり、介護保険サービス費の1割・2割・3割という負担割合そのものとは別の仕組みです。
介護保険の自己負担が高くなったときの制度も確認する
介護保険サービスの自己負担が1か月に高額になった場合は、一定の上限を超えた部分が支給される高額介護サービス費の対象になることがあります。
食費・居住費などは高額介護サービス費の対象外
ここでも費用を分けて考えることが重要です。
高額介護サービス費の対象となるのは介護保険サービスの利用者負担であり、食費・居住費や日常生活費などは原則として含みません。
「施設に毎月10万円以上払っているから高額介護サービス費で大きく戻る」とは限らないため、請求書で介護保険対象部分を確認してください。
料金表はこの順番で見ると分かりやすい
介護医療院の料金表は項目が多いため、上から全部読むよりも順番を決めて確認すると分かりやすくなります。
01
本人の負担割合を確認する
介護保険負担割合証で1割・2割・3割のどれかを確認します。
02
要介護度を確認する
現在の要介護1~5のどの区分が適用されるか確認します。
03
施設類型と居室区分を確認する
Ⅰ型・Ⅱ型、従来型個室・多床室・ユニット型個室など、本人に適用される料金区分を確認します。
04
基本サービス費と加算を分ける
基本額のほかに、毎月どの加算が見込まれるか確認します。
05
食費・居住費・日常生活費を足す
最後に介護保険外の費用を足して、実際に必要な月額総額を確認します。
入所前に施設へ確認したい料金の質問
介護保険自己負担の確認項目
- 本人の現在の要介護度では基本サービス費はいくらですか
- 1割・2割・3割のどの金額で見積もっていますか
- Ⅰ型・Ⅱ型のどの料金が適用されますか
- 居室はどの料金区分になりますか
- 毎月ほぼ必ず算定される加算は何ですか
- 本人の状態によって追加される可能性のある加算はありますか
- 介護保険自己負担だけで月いくら程度になりますか
- 食費・居住費を加えると月いくら程度ですか
- 日用品などを含めた総額の見積もりを出せますか
- 要介護度が変わった場合の料金はいくらですか
- 負担限度額認定を利用した場合の金額を試算できますか
最も確実なのは、本人の要介護度・負担割合・居室希望を伝え、「介護保険分」「食費・居住費」「その他」を分けた1か月分の見積書を出してもらうことです。
まとめ|介護医療院の自己負担は「1日額」から月額を組み立てて見る
介護医療院の介護保険自己負担は、要介護度、施設類型、居室区分、本人の負担割合、加算によって変わります。
厚生労働省の公表例では、1割負担の場合、Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅰ)は従来型個室で1日721~1,263円、多床室で833~1,375円です。Ⅱ型でも要介護度と居室によって金額が異なります。
ただし、この金額だけが毎月の支払額ではありません。加算に加えて食費、居住費、日常生活費などが別に必要です。
料金表を見るときは、「負担割合 → 要介護度 → Ⅰ型・Ⅱ型 → 居室 → 加算 → 食費・居住費」の順番で確認すると、どこで金額が変わっているのか理解しやすくなります。
入所前には、本人の条件に合わせた月額見積もりを施設から受け取り、介護保険の自己負担部分と保険外費用を分けて確認してください。