住宅型有料老人ホームを探していると、「月額○万円」と表示されていても、実際に毎月いくら必要なのか分かりにくいことがあります。
結論からいうと、住宅型有料老人ホームの実際の費用は、ホームへ支払う家賃・管理費・食費などに、利用した外部の介護保険サービス費、医療費、日用品などを加えて考える必要があります。
住宅型有料老人ホームは、介護付き有料老人ホームのように介護保険サービス費がホームの包括的な介護費としてまとめられる仕組みではありません。介護が必要な場合は、訪問介護や通所介護などの外部事業所と個別に契約し、利用量に応じて自己負担が発生します。
まず結論|このページで最も重要な内容
まず結論
「月額料金」だけでは、住宅型有料老人ホームの本当の支払額は分かりません。
確認すべき総額は、①入居時費用、②家賃・管理費・食費などのホーム費用、③外部介護サービスの自己負担、④医療費、⑤日用品・個別サービスなどの実費です。現在の介護量だけでなく、要介護度や必要な支援が増えた場合の費用も試算してから契約しましょう。
住宅型有料老人ホームの費用は全国一律ではない
住宅型有料老人ホームの料金は、立地、居室、設備、食事、生活支援、職員配置、料金プランなどによって大きく異なります。
したがって、この記事では根拠のない「全国平均○万円」を当てはめるのではなく、本人の条件で総額を出す方法を説明します。料金表の最低額ではなく、希望居室・現在の介護サービス・医療・実費を入れた個別見積もりが、実際に必要な金額を知る最短方法です。
そのため、「住宅型なら全国どこでも月○万円」という一律の金額はありません。
ホームへ支払う費用と介護費を分ける
費用を分かりやすくするには、まず次の2つを分けて考えます。
家賃、管理費、食費、生活支援費、水道光熱費などです。
訪問介護・通所介護・訪問看護などの介護保険自己負担、医療費、薬代などです。
パンフレットの月額料金が安く見えても、外部介護サービスの利用量が多ければ、実際の支払総額は高くなることがあります。
入居時にかかる費用
住宅型有料老人ホームでは、入居時に前払金や敷金などが必要な場合があります。
入居一時金・前払金
将来の家賃相当額やサービス費用などの全部または一部を、入居時に前払いする料金プランです。
厚生労働省の標準指導指針では、前払金を受け取る場合、算定根拠を明示することなどが求められています。
確認するのは金額だけではありません。
- 何の費用を前払いするのか
- 償却期間
- 初期償却の有無
- 途中退去時の返還金
- 前払金の保全措置
敷金
施設によっては、家賃などの支払いを担保するための敷金を設定している場合があります。
退去時の返還条件や、原状回復費用として控除される範囲を確認してください。
引っ越し・家具などの費用
契約費用だけでなく、引っ越し、家具・家電、カーテン、寝具、日用品などが必要になることもあります。
入居初月は通常月より支出が増えやすいため、別枠で予算を準備しておくと安心です。
毎月かかるホーム費用と介護サービス費
毎月の基本料金には、主に家賃、管理費、食費などがあります。
家賃
居室を利用するための費用です。
部屋の広さ、階数、方角、設備などによって金額が異なる場合があります。
管理費
共用部分の維持管理、事務管理などに充てられる費用です。
「管理費」という名称でも、何が含まれるかはホームごとに異なります。
食費
食事を利用する場合に必要です。
1日3食を前提とした定額方式、実際に食べた分だけ請求する方式などがあります。
入院・外泊時の欠食分が返金されるかも確認してください。
生活支援費・サービス費
安否確認、生活相談、フロント対応などに対して独自の料金を設定しているホームがあります。
家賃や管理費に含まれている場合もあるため、料金表の内訳を確認しましょう。
住宅型では介護サービス費が別に必要
住宅型有料老人ホームの費用を考えるうえで最も重要なのが、介護保険サービス費です。
厚生労働省は、住宅型有料老人ホームについて、介護保険サービスを利用する際は外部の介護サービス事業所と個別に契約し、サービス利用量に応じて介護報酬が支払われる仕組みと整理しています。
利用したサービスに応じて自己負担する
介護保険サービスを利用した場合、本人の介護保険負担割合証に記載された負担割合に応じて自己負担が発生します。
たとえば、次のようなサービスを組み合わせることがあります。
- 訪問介護
- 通所介護
- 訪問看護
- 訪問リハビリテーション
- 福祉用具貸与
同じ要介護度でも費用は同じとは限らない
住宅型有料老人ホームでは、同じ要介護3でも利用するサービス内容や回数によって介護費が変わります。
朝夕の介助だけで足りる人と、日中・夜間に頻繁な介助が必要な人では、必要なサービス量が異なるためです。
POINT
POINT
住宅型の介護費は「要介護度だけ」で決まるのではなく、「何のサービスをどれだけ使うか」で変わります。
介護保険の支給限度額を超えたらどうなる?
在宅系の介護保険サービスには、要介護度などに応じた支給限度額があります。
利用するサービスがその範囲内であれば、原則として本人の負担割合に応じた自己負担で利用できます。
限度額を超えた部分は原則全額自己負担
介護サービスを多く利用し、支給限度額を超えた場合、超過部分は介護保険給付の対象外となり、原則として全額自己負担になります。
介護量が多い人では、ここが月額総費用を大きく左右することがあります。
入居前に現在のケアプランで試算する
現在すでに介護保険サービスを利用している場合は、ケアマネジャーに住宅型有料老人ホーム入居後のサービス利用予定を確認し、自己負担額を試算してもらうと分かりやすくなります。
介護量が増えたとき費用はどう変わる?
要介護度が上がったからといって、家賃や管理費が必ず上がるわけではありません。
変わりやすいのは、必要な介護サービス量です。
介助回数が増えると介護費も増えやすい
たとえば、入居時には朝の着替えと入浴介助だけだった人が、その後、排せつ介助、移乗介助、夜間支援なども必要になることがあります。
外部サービスの利用回数が増えれば、介護保険自己負担も増える可能性があります。
自費サービスが必要になる場合もある
介護保険だけでは本人の必要な支援をすべて確保できない場合、ホーム独自の自費サービスや介護保険外サービスを利用することがあります。
その場合は、介護保険の自己負担とは別料金です。
医療費・実費・入院時費用も含めて考える
住宅型有料老人ホームの月額料金には、通常、医療機関での診察代や薬代まで含まれているとは限りません。
訪問診療
訪問診療を利用する場合、医療保険の自己負担が発生します。
薬代
処方薬についても本人の医療保険負担に応じた費用がかかります。
通院費・付き添い費
外部医療機関へ通院するとき、交通費や付き添いサービスが別料金になることがあります。
持病があり定期受診が多い人は、ホーム費用とは別に月額予算へ入れておきましょう。
日用品・おむつ・理美容などの実費
日常生活で使う物品も、月額料金に含まれているとは限りません。
- おむつ・尿取りパッド
- 歯ブラシ・ティッシュなどの日用品
- 衣類
- 理美容
- 嗜好品
- 電話・通信費
- レクリエーションの材料費
少額に見えても毎月積み重なるため、見積もりでは「その他実費」をゼロで計算しないことが大切です。
結局いくらかかる?月額総額の考え方
住宅型有料老人ホームの実際の月額は、次の考え方で整理すると分かりやすくなります。
月額総額 = ホーム基本料金 + 介護保険自己負担 + 医療費 + 日用品・個別サービス等
ホームの広告に記載されている「月額利用料」が、この総額すべてを意味するとは限りません。
例:介護量が少ない場合
家賃・管理費・食費などのホーム費用に、少量の訪問介護、医療費、日用品などを加えます。
介護サービスの利用量が少なければ、外部介護費は比較的抑えやすくなります。
例:介護量が多い場合
ホーム費用そのものは同じでも、訪問介護の回数、通所サービス、訪問看護などが増えれば、総額は上がります。
さらに支給限度額を超えるサービスや自費介護が必要になれば、負担が大きくなる可能性があります。
「このホームは月額15万円だから、毎月15万円で生活できる」とは限りません。
本人の介護・医療を含めた個別見積もりを出してもらうことが重要です。
入院した月の費用はどうなる?
入居中に入院した場合、ホームで介護サービスや食事を利用しない期間が生じます。
ただし、家賃などすべての費用が停止するとは限りません。
家賃・管理費
居室を確保している限り、入院中も発生する場合があります。
食費
欠食分が減額されるかはホームごとの規定によります。
介護保険サービス
入院中は住宅型ホームでの訪問介護等を利用しないため、実際の利用状況に応じて変わります。
入院時の費用扱いは重要事項説明書・料金表・契約書で確認してください。
月額費用を比較するときの注意点
複数の住宅型有料老人ホームを比較するときは、広告上の月額だけを横に並べないことが大切です。
同じ条件で見積もりを取る
本人の要介護度、現在利用している介護サービス、医療処置、食事回数などを各ホームへ同じように伝えます。
含まれる項目をそろえる
一方のホームでは光熱費込み、もう一方では別料金ということがあります。
項目ごとに「込み・別」を確認してください。
介護費は現在と将来の2パターンで見る
現在のケアだけでなく、介助回数が増えた場合の概算も確認しておくと、長期的な負担を比較しやすくなります。
入居前に作ってもらいたい費用見積もり
CHECK|確認しておきたいポイント
CHECK
見積もりに入れてもらう項目
- 入居一時金・敷金
- 家賃
- 管理費
- 食費
- 生活支援費
- 水道光熱費
- 現在の介護サービス利用による自己負担
- 要介護度・介護量が増えた場合の介護費
- 支給限度額を超える可能性
- 自費介護サービス
- 訪問診療・医療費
- 薬代
- おむつ等の日用品
- 理美容
- 通院付き添い・交通費
- 入院時も継続する費用
「平均額」ではなく本人の場合で出してもらう
「入居者の平均は月○万円です」という説明だけでは、本人の費用は分かりません。
現在のケアプランや医療状況を伝え、本人の場合の概算を出してもらいましょう。
費用が上がる可能性がある条件を契約前に確認する
長期入居では、現在の金額だけでなく将来の変化も重要です。
- 要介護度が上がり介護サービス量が増える
- 夜間介助が必要になる
- 訪問看護が必要になる
- おむつ使用量が増える
- 医療処置・通院が増える
- 料金改定が行われる
どの費用が固定で、どの費用が本人の状態によって変わるのかを整理してください。
介護費を抑えるためにサービスを減らしても大丈夫?
費用が高くなると、介護サービスの回数を減らしたくなることがあります。
しかし、必要なサービスを費用だけを理由に削ると、転倒、褥瘡、清潔保持の困難、家族負担の増加などにつながる可能性があります。
まずケアマネジャーへ相談する
費用負担が大きい場合は、必要なサービスを自己判断で減らすのではなく、ケアマネジャーへ相談します。
サービスの組み方、福祉用具、通所サービス、自費サービスなどを含めて、本人の安全と費用の両方から見直します。
住宅型有料老人ホームの費用確認チェックリスト
契約前に確認したいこと
- 広告の月額料金に何が含まれているか
- 家賃・管理費・食費の内訳
- 生活支援費や光熱費が別料金か
- 現在の介護サービスで月いくらになるか
- 介護量が増えた場合の概算
- 支給限度額超過時の扱い
- 自費介護サービスの料金
- 訪問看護・医療費の見込み
- おむつ・日用品の費用
- 通院付き添い料金
- 入院・外泊時の料金
- 料金改定のルール
- 前払金がある場合の返還条件
CONCLUSION
最後に、本文で確認した内容を本人の状況に置き換え、施設・担当者へ具体的に確認して判断しましょう。
まとめ|住宅型の費用はホーム料金と介護費を合算して判断する
住宅型有料老人ホームの費用は、ホームへ支払う月額料金だけでは判断できません。
家賃、管理費、食費などに加えて、訪問介護や通所介護など外部の介護保険サービスを利用した分の自己負担、医療費、薬代、日用品、自費サービスなどが必要になります。
特に住宅型では、介護サービスを外部事業所と個別契約して利用するため、本人の介護量が増えると月額総費用も変わりやすいことを理解しておくことが重要です。
施設を比較するときは、広告の「月額○万円」だけではなく、本人の現在のケアプランを前提に総額を試算し、さらに介護量が増えた場合の費用も確認してください。
最終的には、入居時費用+ホーム基本料金+介護費+医療費+実費を合わせた資金計画で、無理なく継続できる住宅型有料老人ホームかを判断しましょう。
CONCLUSION
住宅型有料老人ホームの費用は、入居時費用と月額表示だけでは決まりません。ホーム基本料金に介護・医療・実費を加え、現在と重度化後の2パターンで見積もることが、無理なく払い続けられるかを判断する最も実用的な方法です。