老人ホームの料金を調べると、「月額15万円」「月額20万円」などの表示が目に入ります。
ただし、その月額料金に医療費まで含まれているとは限りません。入居後も病院の受診、薬、訪問診療などが必要になれば、施設利用料とは別に医療費が発生します。
まず結論|老人ホームの月額料金と医療費は分けて考える
老人ホームの月額料金には、家賃・管理費・食費などが含まれることがありますが、診察代、薬代、検査、訪問診療、通院先での医療費などは原則として別に考える必要があります。さらに、通院同行や送迎が施設の有料サービスになっていることもあります。医療費は年齢・所得・治療内容によって変わるため、「毎月○円」と固定せず、本人の通院状況や持病をもとに見積もることが重要です。
老人ホームの月額料金に医療費は含まれる?
老人ホームの月額料金は、施設によって内訳が異なります。
一般的な月額料金と医療費は別
有料老人ホームでは、家賃相当額、管理費、食費などを月額料金として表示していることがあります。
一方、医療機関で診察を受けたときの自己負担、処方薬、検査などは、通常は医療保険に基づいて別途支払います。
「医療連携あり」でも医療費が無料になるわけではない
協力医療機関や訪問診療の体制がある施設でも、診療そのものの医療費が施設の月額料金に含まれるとは限りません。
「訪問診療に対応しています」という説明と、「医療費が月額料金に含まれています」という説明は別です。契約前に費用の扱いを確認してください。
老人ホームで別にかかりやすい医療費
01
医師の診察費
外来受診や訪問診療を受けた場合、医療保険の自己負担割合に応じた診察費がかかります。
高齢者の窓口負担割合は年齢や所得によって異なるため、本人の保険資格情報で確認してください。
02
薬代
高血圧、糖尿病、認知症などの薬を継続している場合、薬局等での自己負担が発生します。
薬の種類や日数が変われば毎月の金額も変わるため、施設入居後も同じ費用が続くとは限りません。
03
検査・処置の費用
血液検査、画像検査、処置などが必要になれば、その内容に応じて自己負担が発生します。
持病の経過観察で定期検査がある人は、診察代だけでなく検査費用も予算に含めて考えます。
04
歯科・眼科・皮膚科などの受診費
訪問診療の医師がすべての診療科を担当するとは限りません。
歯科、眼科、耳鼻科、皮膚科などを別に受診する場合、その都度医療費がかかることがあります。
訪問診療を利用するとどんな費用がかかる?
老人ホームでは、医師が施設へ定期的に訪問して診療する体制を整えている場合があります。
訪問診療も医療保険の対象
訪問診療を受ける場合は、診察や医学管理などについて医療保険上の自己負担が発生します。
具体的な金額は、診療内容、訪問回数、本人の自己負担割合などによって異なります。
薬は別途受け取ることがある
診察後に処方箋が出て、薬局から薬を受け取る場合は薬代も必要です。
施設と連携する薬局が薬を届けるケースもあります。配薬や薬の管理を施設がどこまで行うか、追加料金があるかも確認してください。
POINT
「訪問診療あり」は医療費込みという意味ではありません。
診療費、薬代、施設側の通院・服薬支援費用を分けて確認すると、月々の支出を把握しやすくなります。
通院すると医療費以外の費用もかかることがある
老人ホーム入居後も、専門医への通院が必要になることがあります。
施設職員の通院同行が有料の場合がある
施設職員が病院へ付き添う場合、所定時間を超えると別料金になるなど、施設独自の費用が設定されていることがあります。
重要事項説明書や料金表で、通院同行が基本サービスに含まれるのか、追加料金なのかを確認してください。
交通費も確認する
施設の車を利用できるのか、介護タクシー等を手配するのかによって費用が変わります。
家族が通院同行できない場合は、医療費そのものより通院支援費の負担が大きくなるケースもあるため、入居前に確認しておきましょう。
入院すると老人ホームの費用と病院の費用が重なることがある
老人ホーム入居中に病気やけがで入院すると、医療費に加えて施設側の費用が続く場合があります。
入院中も家賃・管理費がかかる場合がある
居室を確保している間は、家賃相当額や管理費などが継続して発生することがあります。
一方、食費など利用しないサービスが減額されるかは施設によって異なります。
病院側では医療費等が必要になる
入院中は医療保険に基づく医療費の自己負担が発生します。
食事療養費や、希望して差額ベッドを利用する場合の費用など、保険診療以外の負担が生じることもあります。施設費と病院費の両方を想定しておくことが重要です。
長期入院時は「施設費が止まる」と思い込まない
入院中の家賃・管理費、居室を確保できる期間、退院後に施設へ戻れる条件は施設ごとに異なります。入居契約書と重要事項説明書で確認してください。
医療費の自己負担割合は人によって違う
高齢者の医療費は、年齢や所得などによって窓口での自己負担割合が異なります。
同じ治療でも本人によって負担額が違う
70歳以上では所得区分などによって自己負担割合が異なり、一定以上の所得がある人では負担割合が高くなります。
75歳以上の人などが加入する後期高齢者医療制度でも、所得に応じて窓口負担割合が決まります。
最新の負担割合は本人の資格情報で確認する
制度は改正されることがあるため、「高齢者なら必ず1割」といった決め方はできません。
マイナ保険証等の資格情報や、加入している保険者からの案内で本人の自己負担割合を確認してください。
医療費が高くなったときは高額療養費制度を確認する
病気や入院などで医療費の自己負担が大きくなった場合は、高額療養費制度の対象になることがあります。
一定の上限を超えた医療費が支給対象になる
高額療養費制度は、医療機関や薬局で支払った医療費の自己負担が一定の上限額を超えた場合、超えた分を支給する制度です。
自己負担上限額は年齢や所得に応じて決まります。
2026年8月から制度が見直されている
高額療養費制度は2026年8月診療分から見直しが行われ、月額の自己負担上限の見直しに加えて、年単位の上限も設けられています。
そのため、古い記事に掲載されている固定額をそのまま使わず、実際に医療費が高額になったときは厚生労働省や加入している保険者の最新案内を確認してください。
介護保険の自己負担と医療費は別に考える
老人ホームでの支出を考えるときは、介護保険と医療保険を混同しないことが重要です。
介護サービスには介護保険の自己負担がある
介護付き有料老人ホームで受ける特定施設入居者生活介護や、住宅型有料老人ホームで利用する訪問介護などには、介護保険の自己負担が発生します。
これは医師の診察や薬にかかる医療費とは別です。
月額料金+介護費+医療費で考える
実際の施設生活では、施設へ支払う家賃・管理費・食費に、介護保険自己負担と医療費が加わることがあります。
さらに日用品や理美容などもあるため、広告の月額料金だけで予算を決めないことが大切です。
介護付き有料老人ホームの医療費
介護付き有料老人ホームでは、施設が介護サービスを包括的に提供しますが、医療そのものは別に考えます。
介護費に医師の診察代が含まれるわけではない
特定施設入居者生活介護の介護保険自己負担を支払っていても、医療機関で受ける診療・薬などの医療費は別に発生します。
協力医療機関や訪問診療の利用方法について、入居前に確認してください。
看護職員の配置と医療行為を混同しない
看護職員がいる施設でも、すべての医療処置を施設内で行えるとは限りません。
本人に継続的な処置が必要な場合は、対応可能な内容と時間帯を具体的に確認します。
住宅型有料老人ホームでは外部サービス費も確認する
住宅型有料老人ホームでは、介護が必要になった場合、訪問介護など外部の介護保険サービスを利用するのが基本です。
介護と医療を別々に契約・利用することがある
訪問介護、訪問看護、訪問診療など、必要に応じて各サービスを利用します。
それぞれ介護保険・医療保険上の自己負担が生じるため、サービス利用量が増えると毎月の支出も変わります。
「月額が安い」だけで判断しない
基本料金が低く見えても、介護サービスや医療サービスを多く利用する人では、総額が大きくなることがあります。
本人の現在の介護・医療状態をもとに、入居後の総費用を見積もってもらうと判断しやすくなります。
医療費を見積もるときに確認したいこと
老人ホーム入居前の医療費チェック
- 現在通院している診療科
- 通院頻度
- 毎月の薬代
- 定期的な検査の有無
- 訪問診療を利用する予定があるか
- 訪問歯科などを利用する可能性
- 施設職員の通院同行費
- 通院時の交通費
- 夜間急変時の医療機関との連携
- 入院時に施設側で続く費用
- 本人の医療費自己負担割合
- 高額療養費制度の対象になる可能性
持病がある人は、直近数か月の医療費や薬代を確認すると、入居後の予算を考える参考になります。
重要事項説明書・料金表で確認したい医療関連費用
医療機関へ支払う医療費とは別に、施設側のサービス料金が発生することがあります。
通院同行・送迎
協力医療機関への通院は無料、それ以外は有料など、条件が決められている場合があります。
時間単位の料金、交通費、職員の付き添い費などを確認してください。
服薬支援・医療関連の生活支援
薬の受け取りや管理などが基本サービスに含まれるのか、別途料金が設定されているのかを確認します。
施設ごとにサービス内容が異なるため、口頭説明だけでなく重要事項説明書や料金表で確認してください。
まとめ|老人ホームの予算は医療費を含めた「総支出」で考える
老人ホームの月額料金には、医師の診察、薬、検査、訪問診療などの医療費が通常すべて含まれているわけではありません。
入居後は、施設利用料に加えて、介護保険自己負担、医療費、薬代、日用品などが必要になることがあります。
さらに、通院同行や送迎が施設の有料サービスになる場合や、入院中も家賃・管理費が続く場合があります。
老人ホームの費用を比較するときは、広告の月額料金だけでなく、「本人が今受けている医療を入居後も続けた場合に、毎月どれくらい支出するか」という視点で確認してください。