認知症の人が入れる老人ホーム・介護施設の選び方

認知症のある人が老人ホームや介護施設を探すときは、「認知症対応」と書かれているかどうかだけで判断するのは不十分です。

同じ認知症でも、必要な見守り、夜間対応、介助量、医療の必要性は人によって異なります。

また、認知症の人を受け入れている施設でも、症状や介護度、医療ニーズによっては対応できない場合があります。

施設選びでは、認知症の診断名ではなく、本人の現在の生活状況と必要な支援を具体的に伝え、実際に対応できる施設か確認することが大切です。

まず結論|認知症の施設選びは「施設の種類」より「本人の状態への対応力」で見る

認知症の人には、グループホーム、特養、介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホームなど複数の選択肢があります。グループホームは認知症を対象とする専門的な共同生活の場ですが、要支援2または要介護1〜5などの条件があります。どの施設でも、夜間対応、行動・心理症状、医療、看取り、退去条件まで確認して選びましょう。

認知症でも老人ホーム・介護施設に入れる?

認知症があることだけを理由に、老人ホームや介護施設へ入れないわけではありません。

認知症の人を受け入れている施設は複数あります。

ただし、受け入れ条件は施設ごとに異なります。

「認知症対応可」でも受け入れ範囲は違う

認知症には、記憶障害だけでなく、見当識の低下、夜間の不安、徘徊、拒否、興奮など、さまざまな状態があります。

同じ「認知症対応可」の施設でも、どこまで対応できるかは職員体制や建物、医療連携によって異なります。

POINT

認知症の有無だけではなく、「今どのような場面で支援が必要か」を施設へ伝えることが重要です。

認知症の人が検討しやすい主な施設

認知症の人が入居できる施設は一つではありません。

介護度、医療ニーズ、生活の希望、費用などによって候補が変わります。

01

グループホーム

認知症の人が少人数で共同生活を送りながら、日常生活上の支援や介護を受ける施設です。

対象
認知症があり、要支援2または要介護1〜5の人
特徴
少人数の家庭的な環境で生活しながら支援を受ける
注意点
地域密着型サービスのため、原則として施設所在地の市区町村の住民であることなどの条件がある

02

特別養護老人ホーム(特養)

常時介護が必要で、自宅での生活が難しい人が長期的に生活する施設です。

対象
新規入所は原則として要介護3以上
特徴
介護度が高い認知症の人にも候補になりやすい
注意点
認知症の症状や医療ニーズへの対応は施設ごとに確認する

03

介護付き有料老人ホーム

施設の介護体制の中で介護を受けながら生活する民間の老人ホームです。

対象
入居条件はホームごとに異なる
特徴
認知症ケアや医療連携に力を入れているホームもある
注意点
費用、夜間体制、認知症症状への対応範囲を確認する

04

住宅型有料老人ホーム

生活支援を受けながら暮らし、必要に応じて訪問介護などの外部サービスを利用します。

対象
認知症の人を受け入れるホームもある
特徴
訪問介護・訪問看護などを組み合わせて生活できる
注意点
認知症が進行した場合も住み続けられるか確認する

05

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

安否確認と生活相談を基本サービスとする高齢者向け住宅です。

対象
認知症の人を受け入れている住宅もある
特徴
必要に応じて外部の介護サービスを利用する
注意点
認知症への対応力や夜間体制は住宅ごとの差が大きい

06

介護医療院

長期的な医療と介護の両方が必要な要介護者のための施設です。

向いている人
認知症に加えて継続的な医学管理が必要な人
特徴
医療と介護の両方を受けながら長期療養できる
注意点
本人に必要な医療処置へ対応できるか施設ごとに確認する

グループホームは認知症の人の代表的な選択肢

グループホームは、正式には認知症対応型共同生活介護といい、認知症の人を対象とした地域密着型サービスです。

少人数の共同生活の中で、食事、入浴、排せつなどの日常生活上の支援や機能訓練を受けます。

要支援2から要介護5までが対象

グループホームは、要支援2または要介護1〜5で、認知症の状態にある人が対象です。

要支援1は対象になりません。

地域の条件も確認する

グループホームは地域密着型サービスのため、原則としてその施設がある市区町村の住民が利用します。

住民票などの具体的な条件は市区町村や施設へ確認してください。

グループホームならすべての認知症症状に対応できるわけではありません

医療ニーズが高い場合や、本人の状態によっては受け入れが難しい場合があります。本人の状態を具体的に伝えて確認してください。

認知症が進行していても施設に入れる?

認知症が進行していても、本人の状態に対応できる施設であれば入居できる可能性があります。

重要なのは「認知症が重いか軽いか」という表現ではなく、日常生活でどのような支援が必要かです。

施設へ伝えたい具体的な状態

認知症について伝えておきたいこと

  • 一人で移動できるか
  • 食事や水分摂取に介助が必要か
  • 排せつの介助が必要か
  • 服薬管理が必要か
  • 昼夜逆転や夜間の不安があるか
  • 一人で外へ出ようとすることがあるか
  • 介護への拒否があるか
  • 大声、興奮、暴言などがあるか
  • 意思疎通がどの程度できるか
  • 持病や医療処置があるか

本人の困りごとだけでなく、どのようなときに落ち着くのか、生活習慣や好きなことなども伝えると、施設側が生活をイメージしやすくなります。

徘徊・夜間不安・介護拒否がある場合の施設選び

認知症の行動・心理症状がある場合は、施設の職員体制や環境が特に重要になります。

一人で外へ出ようとする場合

出入口の安全対策、見守り方法、本人が落ち着いて過ごせる環境などを確認します。

単に行動を制限することではなく、なぜ外へ出ようとするのかを考えながら支援しているかも重要です。

夜間に不安や混乱がある場合

夜勤職員の人数、夜間の見守り方法、居室からトイレまでの環境などを確認します。

介護拒否・興奮などがある場合

どのような状況で起こりやすいかを施設へ伝え、同様のケースへの対応経験があるか確認します。

IMPORTANT

「徘徊があります」「介護拒否があります」だけでなく、いつ・どんな場面で・どの程度起こるのかを伝えましょう。

認知症と医療の両方が必要な場合

認知症に加えて、糖尿病、心疾患、腎臓病などの持病や医療処置がある場合は、認知症ケアだけでなく医療体制も確認する必要があります。

看護職員の勤務時間を確認する

介護職員が24時間勤務していても、看護職員が24時間いるとは限りません。

夜間にも医療対応が必要な場合は、看護職員の勤務時間やオンコール体制を確認します。

訪問診療や協力医療機関を確認する

定期的な診察、急変時対応、通院支援などを確認します。

医療処置は具体的に伝える

インスリン、たん吸引、経管栄養などが必要な場合は、処置の内容、回数、時間帯まで伝えて受け入れ可能か確認してください。

認知症の人が施設へ入居するときの費用

認知症だから特別に一律の料金が決まっているわけではありません。

費用は施設の種類、要介護度、居室、利用する介護サービス、医療、所得などによって変わります。

特養

介護サービス費の自己負担、居住費、食費、日常生活費などが必要です。

グループホーム

介護サービス費の自己負担に加えて、家賃、食費、光熱水費などが必要です。

有料老人ホーム・サ高住

家賃、管理費、食費などに加えて、介護・医療サービスの費用がかかる場合があります。

CHECK

認知症が進行して介護量が増えた場合に、月々の費用がどう変わるかも確認しましょう。

認知症の施設選びで確認したい8つのポイント

01

本人の認知症症状に対応できるか

診断名ではなく、実際の生活上の課題を伝えて確認します。

02

夜間の職員体制

夜間に何人の職員がいるのか、見守りや排せつ介助へどのように対応するかを確認します。

03

認知症ケアの考え方

本人の行動を制止することだけでなく、生活歴や本人の思いを踏まえた支援をしているか確認します。

04

建物の安全と生活環境

出入口、廊下、トイレ、共有スペースなど、本人が安全に生活できる環境かを見ます。

05

医療との連携

持病や医療処置がある場合は、看護職員、訪問診療、協力医療機関の体制を確認します。

06

認知症が進行しても住み続けられるか

状態が変化した場合の対応範囲や退去条件を確認します。

07

看取りへの対応

最期まで同じ施設で暮らすことを希望する場合は、看取り方針や医療連携を確認します。

08

本人との相性

設備だけでなく、職員の声かけ、他の入居者の様子、本人が落ち着いて過ごせそうかを見ます。

施設見学では認知症への対応を具体的に聞く

パンフレットに「認知症対応」と書かれていても、本人の状態に合うかは実際に確認する必要があります。

見学時に聞きたい質問

  • 現在の本人の状態でも受け入れ可能ですか
  • 夜間は何人で対応していますか
  • 一人で外へ出ようとした場合はどう対応しますか
  • 介護拒否や興奮がある場合はどうしますか
  • 認知症が進行しても住み続けられますか
  • 医療が必要になった場合はどうなりますか
  • 看取りには対応していますか
  • どのような場合に退去が必要になりますか

施設選びで感じたこと

私たちが義母の施設を探したときは、最初に家族だけで検討するのではなく、複数の施設を見学しました。

その後、本人にももう一度施設を見てもらい、その場での反応を確認しました。

条件だけではなく、本人がその場所でどう感じているかを見ることも、最終的に施設を決めるための大切な材料になりました。

認知症の人は本人も見学したほうがいい?

本人の状態が許すのであれば、候補をある程度絞った段階で本人にも施設を見てもらう方法があります。

ただし、知らない場所へ行くこと自体が強い負担になる人もいるため、無理に連れて行く必要はありません。

本人の反応を見る

職員の声かけに対する反応、共有スペースで落ち着いていられるか、居室を嫌がらないかなども判断材料になります。

家族だけで先に見学してもよい

候補が多い場合は、まず家族が見学して2〜3施設程度に絞り、その後本人に見てもらう方法もあります。

認知症が進行した後も住み続けられるか確認する

入居時に受け入れ可能でも、将来状態が変化したときに同じ施設で生活を続けられるとは限りません。

介護量が増えた場合

移乗、食事、排せつなどの介助が増えても対応できるか確認します。

行動・心理症状が強くなった場合

夜間不安、外出しようとする行動、介護拒否などが強くなった場合の対応を確認します。

医療ニーズが高くなった場合

医療処置が必要になった場合や、入院後に戻れる条件も確認しておきましょう。

退去条件は契約前に必ず確認する

認知症の進行そのものではなく、施設の人員・設備・医療体制では安全な生活を支えられなくなった場合などに住み替えが必要になることがあります。具体的な条件は重要事項説明書や契約書で確認してください。

まとめ|認知症の人の施設選びは「本人の状態を具体的に伝える」ことから始める

認知症の人が入れる老人ホーム・介護施設には複数の選択肢があります。

  • グループホームは認知症を対象とする地域密着型サービス
  • グループホームは要支援2・要介護1〜5が対象
  • 特養、有料老人ホーム、住宅型有料、サ高住なども候補になる
  • 認知症の診断名だけでなく具体的な生活状況を伝える
  • 夜間の見守り・介助体制を確認する
  • 持病や医療処置がある場合は医療連携も確認する
  • 認知症が進行した後も住み続けられるか確認する
  • 退去条件と看取りへの対応も事前に確認する

CONCLUSION

「認知症対応の施設」ではなく、「本人の今の状態と将来の変化に対応できる施設」を選ぶことが大切です。

複数の施設を比較し、職員体制、生活環境、医療、費用、本人との相性まで確認しましょう。

認知症に対応できる介護施設を比較する

本人の介護度、認知症の状態、必要な医療、費用、地域などを整理し、条件に合う施設を比較してみましょう。

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