介護医療院への入所を検討するとき、「朝から夜までどのように過ごすのか」「病院のように一日中ベッドで過ごすのか」「食事や入浴、リハビリはいつ行うのか」と、実際の療養生活が気になる人も多いでしょう。
介護医療院は、長期的な医療と介護の両方を必要とする要介護者に対し、日常的な医学管理や看護・介護を提供するとともに、生活施設として日常生活を支える施設です。そのため、診察や処置だけで一日が組まれるのではなく、食事、排泄、整容、入浴、機能訓練、余暇などを組み合わせながら生活します。
結論|介護医療院の1日は「医療を受けながら生活する」流れ
介護医療院では、起床後の整容や健康確認、食事、服薬、必要な医療処置、機能訓練、入浴、レクリエーション、就寝準備などを本人の状態に合わせて行います。ただし、全国共通の起床時刻・食事時刻・リハビリ時刻が決められているわけではありません。病状や生活習慣、施設の運営方法によって1日の流れは異なります。見学時には「施設全体の予定」だけでなく、本人の場合にどのような過ごし方になるかまで確認することが大切です。
最初に確認する3点
- 全国一律の時刻表ではない
- 医療・食事・入浴・リハビリの実際の時間帯を見る
- 本人の生活リズムをどこまで尊重できるか確認する
介護医療院の1日の流れをイメージすると
介護医療院の1日は、本人の病状や身体機能によって変わります。以下は、療養生活をイメージするための一例です。制度上、全施設がこの順番や時刻で運営されているわけではありません。
| 時間帯 | 主な過ごし方の例 |
|---|---|
| 朝 | 起床、排泄、着替え、整容、健康確認 |
| 朝食 | 朝食、服薬、口腔ケア |
| 午前 | 診察・処置、入浴、リハビリ、余暇など |
| 昼 | 昼食、服薬、口腔ケア、休息 |
| 午後 | リハビリ、レクリエーション、入浴、面会など |
| 夕方 | 夕食、服薬、口腔ケア |
| 夜 | 就寝準備、排泄介助、必要な医療・看護 |
| 夜間 | 見守り、排泄、体位変換、必要な処置など |
これは「標準時刻表」ではない
介護医療院には、全国一律の「○時起床・○時リハビリ・○時就寝」という決まりはありません。本人の体調、治療、睡眠、食事の状態などによって予定が変更されることもあります。
朝|起床・排泄・整容から1日が始まる
朝は、起床後に排泄、着替え、洗面、整髪などを行い、必要に応じて職員が介助します。
介護医療院の運営基準では、入所者に対して離床、着替え、整容などの日常生活上の世話を適切に行うことが求められています。
できることは本人の力を活かす
介護医療院では、すべてを職員が代わりに行うことが目的ではありません。本人ができる動作はできるだけ本人に行ってもらい、難しい部分を介助することが自立支援につながります。
起床時間も本人の状態に合わせる
長期療養が必要な人の中には、体力が低下している人や夜間に十分眠れなかった人もいます。施設全体の生活リズムはありますが、病状や体調によって休息を優先する場合もあります。
朝の健康状態を確認する
看護職員などが体調を確認し、必要に応じて体温、血圧、脈拍、酸素飽和度などを確認します。ただし、測定する項目や回数は本人の病状によって異なります。
体調の変化があれば医師へ報告し、診察や処置につなげます。
食事|病状や飲み込みの状態に合わせて提供される
介護医療院では、朝・昼・夕の食事も療養生活の重要な部分です。
厚生労働省の運営基準では、食事は栄養だけでなく、本人の身体状況、病状、嗜好を考慮し、適切な時間に提供することが求められています。
できるだけ離床して食事をする
食事は自立支援にもつながるため、可能な人については、できるだけベッドから離れて食堂で食べられるよう努めることとされています。
ただし、病状によって離床が難しい場合は、無理に食堂へ移動するわけではありません。
食形態は本人の状態に応じて変わる
噛む力や飲み込む力に応じて、通常の食事だけでなく、やわらかい食事やペースト状の食事などを提供する場合があります。
食事中にむせる、食事量が減る、体重が変化するなどの問題があれば、医師、看護職、管理栄養士、リハビリ専門職などが状態を確認します。
食後は服薬や口腔ケアを行う
処方内容に応じて食後の薬を服用します。また、歯磨きや義歯の清掃などの口腔ケアも行います。
介護医療院には、入所者の状態に応じて口腔衛生を計画的に管理することも求められています。
日中|診察・医療処置と生活が並行する
介護医療院の大きな特徴は、生活の場でありながら長期療養に必要な医療を受けられることです。
必要に応じて医師の診察を受ける
本人の病状に応じ、医師が診察し、必要な医療を行います。診察が毎日同じ時間にあるとは限らず、施設の診療体制や本人の状態によって異なります。
医療処置は一日の予定に組み込まれる
本人によっては、喀痰吸引、経管栄養、酸素療法、褥瘡処置など継続的な医療管理が必要なことがあります。
ただし、「介護医療院ならすべての医療処置に対応できる」という意味ではありません。処置内容や必要な頻度によって対応できるかは施設ごとに確認が必要です。
POINT
介護医療院の1日は、「生活の時間」と「医療の時間」が完全に分かれているわけではありません。必要な医療や看護を日常生活の中に組み込みながら療養します。
日中|リハビリや離床の時間もある
介護医療院では、入所者の心身機能の維持・回復と日常生活の自立を支援するため、機能訓練やリハビリテーションも行います。
リハビリの内容は本人ごとに異なる
立つ、歩く、ベッドから車いすへ移るといった基本動作の練習だけでなく、着替え、食事、排泄などの日常生活動作、ことばや嚥下への支援を行う場合があります。
毎日同じ個別リハビリを受けるとは限らない
介護医療院では、すべての入所者について「毎日○分の個別リハビリ」といった全国共通の回数は決められていません。
本人の状態や施設サービス計画、リハビリ専門職の配置などによって実施内容は異なります。
日常生活そのものも機能維持につながる
食堂まで移動する、椅子から立つ、自分で食べる、着替えるなどの生活動作も、身体機能を使う機会になります。リハビリ室での訓練だけでなく、普段の生活で本人の能力を活かす支援が重要です。
入浴|毎日ではなく体調と予定に合わせて行う
入浴は毎日の予定ではありません。
厚生労働省の運営基準では、介護医療院は入所者に対して、1週間に2回以上、適切な方法で入浴または清拭を行うことが求められています。
身体状況に合う方法で入浴する
自分で浴槽へ入れる人と、座位を保つことが難しい人では入浴方法が異なります。
介護医療院には、身体が不自由な人が利用できる浴室や、介助が必要な人に適した特別浴槽を設ける基準があります。
体調によっては清拭に変更する
発熱や血圧変動などで入浴の負担が大きい場合は、入浴を延期したり、身体を拭く清拭に変更したりすることがあります。
「週2回以上」は入浴だけを意味しない
運営基準は「入浴させ、又は清拭」と定めています。本人の病状によって浴槽に入ることが難しい場合でも、身体を清潔に保つための対応が行われます。
午後|レクリエーションや面会など生活の時間もある
介護医療院は医療を受ける場所であると同時に、長期間暮らす生活施設です。
施設には談話室やレクリエーション・ルームを設ける基準があり、施設の方針や本人の状態に応じて、体操、趣味活動、季節行事、他の入所者との交流などが行われることがあります。
レクリエーションへの参加は一律ではない
病状や体力によって集団活動への参加が難しい人もいます。本人の希望や体調を考えず、全員が同じ活動へ参加することが前提ではありません。
面会時間は施設ごとに確認する
家族との面会方法や時間帯は施設によって異なります。感染症流行時などに面会方法が変更される場合もあるため、入所前と面会前に最新のルールを確認してください。
夕方から夜|夕食・就寝準備・夜間のケア
夕食後は、必要な服薬や口腔ケアを行い、着替え、排泄など就寝に向けた準備をします。
就寝時刻も全員一律とは限らない
介護医療院は生活施設でもあるため、本人の生活習慣や体調に配慮することが重要です。
ユニット型介護医療院では、本人がそれまでの生活様式や生活習慣に沿って、自律的な日常生活を送れるよう支援することも基準上求められています。
夜間も必要な介護・看護を行う
夜間には、排泄介助、体位変換、見守り、必要な医療処置などを行います。
介護医療院には夜勤職員に関する配置基準がありますが、施設類型や併設形態などによって体制に違いがあります。夜間の医療対応が重要な人は、「夜間に看護職員が何人いるか」「医師への連絡体制はどうなっているか」「必要な処置に対応できるか」を具体的に確認してください。
1日の流れは本人の病状によって大きく変わる
介護医療院では、入所者全員が同じスケジュールで動くわけではありません。
経管栄養を利用している人
経管栄養を行う時間や回数が本人の療養計画に組み込まれます。食堂で通常の食事を取る人とは生活の流れが異なることがあります。
吸引や酸素療法が必要な人
必要な医療処置を優先しながら、離床、食事、リハビリ、入浴などを調整します。
寝たきりの時間が長い人
体位変換、褥瘡予防、清潔保持、関節の動きを保つ支援などが生活の中で重要になります。
認知症がある人
認知症がある場合も、症状や生活リズムは一人ひとり異なります。起床や食事を無理に一律化するのではなく、本人の状態やこれまでの生活習慣を踏まえた支援が重要です。
見学時に「1日の流れ」で確認したい8項目
施設パンフレットに1日のスケジュールが掲載されていても、それだけで本人の生活をイメージできるとは限りません。見学・相談時には次のように具体的に聞きます。
01
起床・就寝は本人の希望に合わせられますか?
施設全体のおおまかな時間と、本人の生活習慣にどこまで対応できるかを確認します。
02
食事はどこで食べますか?
食堂で食べるのか、病状によって療養室でも対応できるのかを確認します。
03
入浴は週何回で、どの方法ですか?
一般浴、機械浴など本人の身体状態に合う方法があるか、体調不良時はどう対応するかを聞きます。
04
リハビリは週何回・1回何分ですか?
個別リハビリと、集団体操・生活動作の支援を分けて確認します。
05
日中はどのくらい離床しますか?
本人の病状を踏まえ、ベッド以外で過ごす時間や活動内容を確認します。
06
レクリエーションにはどんなものがありますか?
開催頻度だけでなく、参加を希望しない場合や体調が悪い場合の過ごし方も聞きます。
07
夜間はどのような体制ですか?
看護・介護職員の勤務体制、急変時の医師への連絡方法、本人に必要な夜間処置への対応を確認します。
08
本人の場合の1日を説明してもらえますか?
一般的なスケジュールだけでなく、現在の病状・食事・医療処置・リハビリを踏まえた本人の生活例を聞くと判断しやすくなります。
「病院らしさ」だけでなく生活の場として確認する
介護医療院は医師や看護職員が配置され、長期療養に必要な医療を提供する施設ですが、厚生労働省は「生活施設」としての機能も介護医療院の重要な特徴として示しています。
療養室以外で過ごせる場所があるか
談話室、食堂、レクリエーション・ルームなど、本人が療養室以外で過ごせる環境を見ます。
本人の生活習慣がどこまで尊重されるか
起床、就寝、食事、余暇などについて、施設側の都合だけで一律に決めるのではなく、本人の意思や生活習慣をどの程度尊重しているか確認します。
医療と生活が両立しているかを見る
医療処置の体制だけでなく、食事を楽しめるか、日中に離床する機会があるか、家族と過ごせるかなども、長期間生活する場所を選ぶうえでは重要です。
見学時の最終チェック
- 本人の起床・就寝リズムへの対応
- 食事場所と食形態
- 入浴・清拭の回数と方法
- 診察・医療処置の実施方法
- リハビリの頻度と内容
- 日中の離床や活動の機会
- レクリエーション・面会
- 夜間の看護・介護・急変対応
まとめ|介護医療院の1日は医療だけでなく「生活」を見る
介護医療院の1日は、起床、整容、食事、服薬、医療処置、リハビリ、入浴、余暇、就寝準備などを、本人の病状や生活状態に合わせて組み合わせながら進みます。
厚生労働省の基準では、食事は身体状況や病状、嗜好を考慮して適切な時間に提供し、入浴または清拭は週2回以上行うことなどが定められています。一方、起床時刻やリハビリ時間、レクリエーションの予定などは全国一律ではありません。
入所を検討するときは、施設の一般的なスケジュールを見るだけでなく、「本人の病状ならどのような1日になるのか」を説明してもらってください。長期療養の場だからこそ、必要な医療を受けられることと、本人らしい生活を続けられることの両方を確認することが大切です。