老人ホームを探していると、「月額15万円」「月額20万円」といった料金表示を目にします。
しかし、その金額だけで実際の毎月負担が分かるとは限りません。家賃・食費・管理費のほか、介護保険の自己負担、医療費、日用品、通院同行などが別に必要になることがあります。
まず結論|老人ホームの月額費用は「基本料金+介護費+医療・生活実費」で考える
老人ホームの月額費用を比較するときは、パンフレットの「月額利用料」だけでなく、家賃相当額、管理費、食費などの基本料金に、介護保険の自己負担、医療費、薬代、日用品、理美容、通院同行などを加えた総額で考えることが重要です。施設種別や本人の要介護度、利用するサービス量によって総額は変わるため、本人の状態を伝えて具体的な見積もりを確認してください。
老人ホームの月額費用は何でできている?
老人ホームの毎月の支出は、大きく分けると「施設へ支払う基本料金」「介護にかかる費用」「医療・生活にかかる実費」の3つで考えると分かりやすくなります。
01
施設へ支払う基本料金
家賃相当額、管理費、食費など、施設で生活するために毎月支払う費用です。
水道光熱費や生活支援費などが基本料金に含まれているか、別料金かは施設によって異なります。
02
介護にかかる費用
介護保険サービスを利用する場合、本人の所得に応じた自己負担が発生します。
介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームでは介護サービスの受け方が異なるため、費用の出方も同じではありません。
03
医療・生活にかかる実費
医療費、薬代、日用品、理美容、衣類、嗜好品などは別途必要になることがあります。
本人の持病や生活習慣によって金額が変わるため、月額表示には含めず別枠で考える方が安全です。
家賃相当額とは?
家賃相当額は、居室を利用するための費用です。
居室の広さ・設備・立地で差が出る
個室の広さ、トイレや浴室の有無、建物の立地などによって家賃相当額は変わります。
同じ施設でも、居室タイプによって料金が異なる場合があります。
入院中も支払いが続く場合がある
病院へ入院していても、居室を確保している間は家賃相当額が継続する場合があります。
長期入院時の居室確保期間と料金は、契約前に確認してください。
管理費とは?
管理費は、共用部分の維持管理や施設運営に関わる費用として設定されていることがあります。
何が含まれるかは施設ごとに違う
共用部の清掃、設備維持、事務管理、人件費の一部などが管理費として扱われる場合があります。
ただし、「管理費」という名称だけでは中身が分からないため、重要事項説明書や料金表で内訳を確認してください。
水道光熱費が含まれるか確認する
管理費に水道光熱費が含まれる施設もあれば、居室の電気代などを別に請求する施設もあります。
月額比較では、管理費だけでなく、別に発生する固定費がないか確認することが重要です。
食費とは?
食費は、朝・昼・夕食など施設で提供される食事にかかる費用です。
1日3食すべて含むとは限らない
基本料金に3食分が含まれている場合もあれば、1食ごとに計算する施設もあります。
おやつ、特別食、行事食などが別料金になる場合もあるため、食費の内訳を確認してください。
欠食時の扱いを見る
外泊や外食で施設の食事を取らなかった場合、一定の条件で食費が減額される施設があります。
何日前までに連絡が必要か、1食単位で精算されるかなど、ルールを確認しておくと実際の費用が分かりやすくなります。
POINT
同じ「月額20万円」でも、何が含まれているかで実際の負担は変わります。
料金比較では、家賃・管理費・食費の合計だけでなく、別料金になる項目も合わせて確認してください。
介護費はいくらかかる?
介護にかかる費用は、施設種別と本人の要介護度、利用するサービス量などによって変わります。
介護付き有料老人ホームの場合
介護付き有料老人ホームでは、特定施設入居者生活介護として、施設が介護サービスを包括的に提供するのが基本です。
要介護度などに応じた介護保険サービス費の自己負担が発生し、各種加算が付く場合もあります。
住宅型有料老人ホームの場合
住宅型有料老人ホームでは、必要な介護を外部の訪問介護などと契約して利用するのが基本です。
利用するサービス量によって介護保険自己負担が変わるため、介護量が増えると毎月の支出も増える可能性があります。
介護保険外サービスにも注意する
介護保険では対応しない個別の生活支援を利用すると、施設や事業者が設定する自費サービス料がかかることがあります。
何が介護保険内で、何が自費なのかを契約前に確認してください。
医療費・薬代は月額料金と別に考える
老人ホーム入居後も、持病の診察や薬が必要なら医療費が発生します。
訪問診療でも医療費はかかる
施設へ医師が来る訪問診療を利用する場合でも、診察や薬について医療保険の自己負担が発生します。
「訪問診療あり」という案内は、医療費が月額料金に含まれるという意味ではありません。
専門外来への通院費も考える
眼科、歯科、皮膚科、透析など、別の医療機関へ通う必要がある場合があります。
診療費だけでなく、交通費や施設職員の通院同行費も発生する可能性があります。
日用品・理美容などの生活費
施設生活では、毎日の細かな実費も積み重なります。
日用品
歯ブラシ、ティッシュ、衣類、洗面用品などが必要になります。
施設がまとめて用意する場合と、家族が持参・購入する場合があります。
理美容
訪問理美容を利用する場合、カット代などは実費負担になるのが一般的です。
利用頻度を含めて、月平均の生活費として見込んでおくとよいでしょう。
嗜好品・趣味
お菓子、飲み物、新聞、雑誌、趣味用品なども本人の生活に必要な支出です。
施設費だけに予算を使い切らず、本人が楽しむための費用も残しておくことが大切です。
通院同行・買い物代行などの追加サービス費
施設職員が個別に対応するサービスの一部は、有料になることがあります。
通院同行
協力医療機関への同行は基本料金内、それ以外は有料など、施設ごとにルールが異なります。
家族が通院同行できない場合は、料金と対応範囲を必ず確認してください。
買い物・外出支援
個別の買い物代行や外出付き添いが、所定時間を超えると有料になる場合があります。
本人が外出を希望する場合は、どこまで基本サービスに含まれるか確認します。
介護付きと住宅型では「月額費用の見え方」が違う
同じ有料老人ホームでも、介護付きと住宅型では介護サービスの仕組みが異なります。
介護付きは介護費を予測しやすい場合がある
介護付き有料老人ホームでは、要介護度などに応じた介護保険自己負担を基本に考えるため、毎月の介護費を把握しやすい面があります。
ただし、加算や介護保険外サービスなどで追加負担が生じる場合があります。
住宅型はサービス量で介護費が変わりやすい
住宅型有料老人ホームでは、訪問介護などを必要に応じて利用します。
介護量が少ないときは利用量も少なく済む一方、介護度が上がりサービス回数が増えると自己負担も変わる可能性があります。
基本の月額料金が安い施設が、総額でも安いとは限らない
特に住宅型有料老人ホームでは、介護サービスや医療サービスを多く利用する人ほど、基本料金以外の支出が増えることがあります。本人の状態を前提に総額で比較してください。
特養・老健・介護医療院では食費・居住費の考え方が異なる
介護保険施設である特別養護老人ホーム(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護医療院では、有料老人ホームとは費用の仕組みが異なります。
食費・居住費と介護保険自己負担を支払う
介護サービス費の自己負担に加えて、食費と居住費などを負担します。
所得・資産が一定以下の人は、食費・居住費について特定入所者介護サービス費(補足給付)の対象になる場合があります。
施設種別だけで金額を決めない
居室種類、要介護度、所得区分などによって自己負担が変わります。
「特養なら必ず月○万円」と固定額で考えず、本人の条件で施設や市区町村へ確認してください。
入居一時金・前払金がある施設は月額だけで比べない
有料老人ホームには、入居時に前払金を支払う料金プランがある場合があります。
前払いで月額が低く見える場合がある
一定期間分の家賃相当額などを前払いすることで、月々の支払いが低くなるプランがあります。
月額だけで比較すると、初期費用の大きさを見落とすため、総支払額で考える必要があります。
返還条件を確認する
短期間で退去した場合にいくら返還されるのか、何年で償却されるのかを確認します。
前払金がある場合は、入居契約書に記載された返還金の算定方法を確認してください。
月額費用を比較するときの計算方法
候補施設を比べるときは、パンフレットの月額だけではなく、本人が実際に生活した場合の総額を出します。
毎月の支出に入れたい項目
- 家賃相当額
- 管理費
- 食費
- 水道光熱費
- 介護保険の自己負担
- 介護保険外サービス費
- 医療費
- 薬代
- 通院同行・交通費
- 日用品
- 理美容費
- おむつ等の実費
- 嗜好品・趣味費
- その他施設独自の費用
すべての項目が毎月発生するとは限りません。固定費と、月によって変動する費用を分けて考えると予算を組みやすくなります。
見積もりをもらうときに確認したいこと
本人の状態を伝えた見積もりか
一般的な料金表だけでなく、本人の要介護度、必要な介護、医療、通院頻度などを伝えたうえで概算を確認します。
本人の状態を入れずに出した最安料金だけでは、実際の支出と差が出やすくなります。
「別途」「実費」の中身を確認する
料金表に「別途」「実費」とだけ書かれている項目は、具体的に何が含まれるか質問してください。
特に通院、買い物、外出支援、医療関連の生活支援は、利用頻度によって負担が変わります。
将来介護度が上がった場合も聞く
現在の状態だけでなく、要介護度や医療ニーズが上がったときに何の費用が増えるかを確認します。
長く住むことを前提にすると、将来の負担まで含めた比較が重要です。
重要事項説明書・料金表で正式な条件を確認する
見学担当者の説明だけでなく、重要事項説明書や料金表で費用条件を確認します。
基本料金と追加料金を照らし合わせる
何が月額利用料に含まれ、何が別料金なのかを書面で確認してください。
「通常はかかりません」と説明された項目でも、どの条件で料金が発生するのか確認すると安心です。
料金改定の扱いも確認する
食費や管理費などは、将来改定される可能性があります。
料金変更時の説明方法や、過去に改定があったかを確認しておくと、長期的な負担を考えやすくなります。
まとめ|「月額利用料」ではなく毎月の総支出で比較する
老人ホームの月額費用は、家賃相当額、管理費、食費だけで決まるわけではありません。
介護保険の自己負担、医療費、薬代、日用品、理美容、通院同行などが別に必要になることがあります。
また、介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、特養などでは、介護や食費・居住費の仕組みも異なります。
施設を比較するときは、広告に表示された月額料金だけでなく、本人の介護・医療・生活状況を当てはめた「毎月の総支出」を確認してください。