介護施設を探していると、「ユニット型」「従来型」という言葉を目にすることがあります。
この違いは、単に「個室か相部屋か」だけではありません。ユニット型は、少人数の入居者を一つの生活単位として、個室と共同生活室を組み合わせながら暮らす仕組みです。一方、従来型は、個室または多床室を中心に、より大きな生活単位でケアを行う施設形態です。
居室のプライバシー、日常の過ごし方、職員との関わり方、居住費などに違いが出るため、本人の性格や生活習慣、家計を含めて比較する必要があります。
まず結論|ユニット型と従来型は「部屋」だけでなくケアの単位が違う
ユニット型は原則として個室を基本に、少人数の入居者が共同生活室を囲んで暮らし、生活習慣に合わせた個別ケアを行う仕組みです。従来型は個室または多床室があり、より大きな単位で生活・介護を行います。一般にユニット型は居住費が高くなりやすいため、プライバシーや生活のしやすさと毎月の総費用を合わせて比較することが重要です。
ユニット型と従来型の違い
ユニット型と従来型を比較するときは、「個室か相部屋か」だけで判断しないことが大切です。
違いは、居室、共同生活の単位、職員の関わり方、食事や日中の過ごし方、費用などに表れます。
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ユニット型|個室と共同生活室を組み合わせた少人数ケア
ユニット型では、入居者の居室を共同生活室の近くに配置し、少人数の入居者を一つの「ユニット」として生活します。
特別養護老人ホーム(特養)の基準では、一つのユニットの入居定員は原則としておおむね10人以下で、15人を超えないものとされています。居室は原則1人部屋です。
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従来型|個室または多床室を中心とした施設ケア
従来型には、1人で使用する「従来型個室」と、複数人で使用する「多床室」があります。
ユニット型のように少人数単位の共同生活室を基本とする仕組みではなく、食堂などを施設全体またはフロア単位で利用する形が一般的です。
違い1|ユニット型は「個室+共同生活室」が基本
ユニット型の居室は原則1人部屋
ユニット型特養では、一つの居室の定員は原則1人です。サービス提供上必要と認められる場合には2人とすることができます。
居室の床面積は、現行基準では1人用で10.65平方メートル以上とされています。
ただし、ユニット型の特徴は「個室であること」だけではありません。各居室が共同生活室に近接し、少人数の生活単位として一体的に設けられていることが重要です。
共同生活室は少人数の「居間」のような役割を持つ
ユニット内には、入居者が交流し、食事や日常生活を送るための共同生活室があります。
自宅でいう居間や食堂に近い役割を持ち、個室で一人の時間を確保しながら、部屋を出れば少人数の入居者や職員と顔を合わせられる構造です。
そのため、個室に閉じこもる生活を前提とした仕組みではありません。
POINT
ユニット型は「個室の施設」というより、個室と共同生活室を組み合わせて少人数で暮らす施設形態と考えると違いが分かりやすくなります。
違い2|従来型には個室と多床室がある
従来型個室なら一人で過ごせる
従来型にも個室があります。そのため、「個室なら必ずユニット型」というわけではありません。
従来型個室は一人で使用する居室ですが、施設全体の生活・ケアの仕組みはユニット型とは異なります。
個室を希望している場合は、料金表に「個室」と書かれているだけで判断せず、「ユニット型個室」なのか「従来型個室」なのかを確認します。
多床室は複数人で一つの居室を使う
多床室は、一つの居室を複数の入居者で使用する形です。
特養では4人部屋などが見られます。居住費を比較的抑えやすい一方、ほかの入居者の生活音、照明、テレビ、面会などが気になる人もいます。
カーテンや家具で空間を区切っていても、完全な個室と同じプライバシーが確保されるわけではありません。見学時には実際の居室を確認することが大切です。
違い3|ユニット型は少人数単位で生活に合わせたケアを行う
ユニット型では、入居者一人ひとりの生活習慣を尊重し、自宅での暮らしに近い日常生活を支えることが制度上の基本的な考え方です。
起床・食事・就寝などを一律にしないことを重視する
ユニットケアでは、入居者がそれまでの生活習慣や生活様式をできるだけ継続できるよう支援します。
たとえば、全員が同じ時刻に起きて同じ行動をすることを前提にするのではなく、本人の体調や生活リズムを考慮して日常生活を支えることが基本です。
ただし、実際にどこまで個別対応できるかは、施設の職員体制や運営方針によって差があります。
少人数だから職員や他の入居者となじみの関係を築きやすい
同じユニットで日常生活を送るため、職員が本人の生活習慣や好み、変化に気づきやすいという考え方があります。
また、大人数の共有空間が苦手な人にとっては、少人数の方が落ち着きやすい場合があります。
一方で、人間関係の相性は少人数だから必ず良くなるとは限りません。本人が実際の雰囲気をどう感じるかも大切です。
違い4|従来型は集団生活になりやすいが、施設ごとの差も大きい
従来型では、ユニット型より多い人数で食堂や共有スペースを利用する施設が一般的です。
食事、入浴、レクリエーションなども、ある程度まとまった人数で行われる場合があります。
人との交流を好む人には合う場合もある
常に周囲に人の気配がある方が安心する人や、ほかの入居者との交流を好む人にとっては、大きな共有スペースが必ずしもデメリットになるわけではありません。
特に多床室では、同室者との交流が生まれることもあります。
反対に、音に敏感な人、一人で過ごす時間を大切にする人、夜間に他人の動きが気になりやすい人は、個室の方が合う可能性があります。
「従来型=一律ケア」と決めつけない
従来型であっても、本人の生活習慣を尊重し、個別ケアに力を入れている施設はあります。
ユニット型という建物・運営形態だけでサービスの質が決まるわけではありません。
施設を比較するときは、実際の職員の声かけ、入居者の過ごし方、食事や入浴の時間、本人の希望への対応などを確認します。
違い5|費用はユニット型の方が高くなりやすい
ユニット型と従来型では、介護保険の施設サービス費と居住費の両方に違いがあります。
ここでは制度上の違いが分かりやすい特別養護老人ホーム(特養)を例に、2026年10月時点で確認できる現行の基準を見ていきます。
介護保険の施設サービス費はユニット型の方が高い
特養の1日あたり基本サービス費は、施設形態・居室形態と要介護度によって異なります。
たとえば1割負担の場合、要介護3では、従来型個室・多床室が1日732円、ユニット型個室・ユニット型個室的多床室が1日815円です。
要介護5では、従来型個室・多床室が871円、ユニット型個室・ユニット型個室的多床室が955円です。
実際の請求では、地域区分、職員配置、各種加算などが加わるため、この金額だけで月額を計算することはできません。
居住費もユニット型個室の方が高くなりやすい
居住費は施設ごとに設定されますが、介護保険制度では居室区分ごとに「基準費用額」が定められています。
2024年度介護報酬改定後の基準費用額では、ユニット型個室は1日2,066円、ユニット型個室的多床室は1,728円です。
特養の従来型個室は1日1,231円、多床室は1日915円です。
これは各施設が必ずこの金額を請求するという意味ではありません。実際の居住費は施設との契約で確認する必要があります。
費用は「居室代だけ」で比較しない
毎月の支払いには、介護保険自己負担、居住費、食費、各種加算、日常生活費などが含まれます。また、所得・資産など一定の要件を満たす場合には、食費・居住費の負担限度額制度を利用できることがあります。候補施設には同じ条件で月額総費用を確認してください。
「ユニット型個室的多床室」とは何か
料金表を見ると、「ユニット型個室的多床室」という聞き慣れない区分が記載されていることがあります。
これはユニット型施設にある居室区分の一つです。完全な個室と同じ構造ではない居室で、現在新たに一般的な選択肢として増やすものではなく、既存施設に残る区分として目にすることがあります。
名前だけでは実際のプライバシー性が分かりにくいため、該当する施設では居室の壁や天井までの仕切り、音の聞こえ方などを現地で確認することが重要です。
ユニット型が向いている人
ユニット型を検討しやすい人
- 一人で落ち着いて過ごせる個室を希望する
- これまでの生活習慣をできるだけ維持したい
- 大人数の共有空間より少人数の生活を好む
- プライバシーを重視したい
- 居住費が高くなっても生活環境を優先したい
特に、音や周囲の視線が気になりやすい人にとって、個室は大きな安心につながることがあります。
一方で、一人になると不安を感じやすい人もいます。その場合は、個室の有無だけでなく、本人が共同生活室へ出やすい雰囲気か、職員がどのように声をかけているかを見ることが大切です。
従来型が向いている人
従来型を検討しやすい人
- できるだけ居住費を抑えたい
- 多床室でも抵抗が少ない
- 人の気配がある環境の方が安心する
- 個室より施設の介護内容や立地を優先したい
- 希望地域でユニット型の空きが少ない
ただし、従来型を選ぶ場合でも多床室しかないとは限りません。従来型個室を用意している施設もあるため、個室希望の場合は空室状況と費用を確認してください。
見学では居室だけでなく「暮らし方」を確認する
ユニット型と従来型のどちらが本人に合うかは、パンフレットの設備欄だけでは判断できません。
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本人が居室で落ち着いて過ごせるか
部屋の広さだけでなく、ベッドからトイレまでの動線、収納、窓、生活音、私物をどこまで持ち込めるかを確認します。
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共有スペースで入居者がどう過ごしているか
テレビの前に全員が集まっているだけなのか、それぞれが好きなことをしているのか、職員との会話があるのかを見ます。
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職員の声かけと入居者との距離感を見る
ユニット型という名称より、実際の職員の関わり方が重要です。名前を呼んで話しかけているか、本人のペースを待っているか、急かすような対応がないかを確認します。
04
同じ条件で月額総費用を比較する
介護保険自己負担、居住費、食費、加算、日用品などを含め、要介護度と負担割合を伝えたうえで月額の見込みを出してもらいます。
ユニット型だから良い、従来型だから悪いとは限らない
ユニット型は、少人数ケアやプライバシーを重視した仕組みとして設計されています。一方、従来型には費用を抑えやすい多床室があり、人の気配がある環境を好む人に合うこともあります。
また、建物がユニット型でも、職員が忙しく入居者と十分に関われていなければ、制度の考え方どおりの生活が実現しているとは限りません。
反対に、従来型でも個別の生活習慣を丁寧に把握し、本人に合わせたケアを行っている施設があります。
施設形態は重要な比較項目ですが、最終的には本人がその場所でどのように過ごせるかを見て判断します。
まとめ|居室・ケア・費用の3つを合わせて比較する
ユニット型と従来型の最大の違いは、居室だけではなく、生活とケアを行う単位にあります。
ユニット型は原則個室で、少人数の入居者が共同生活室を囲み、本人の生活習慣に合わせたケアを行うことを基本としています。
従来型には個室と多床室があり、ユニット型より大きな生活単位になりやすい一方、多床室では居住費を抑えやすい特徴があります。
どちらを選ぶか迷ったときは、本人が個室を必要としているか、少人数の生活が合うか、毎月の総費用を無理なく支払えるかを整理したうえで、実際の施設を見学してください。