レビー小体型認知症の人の老人ホーム選び

レビー小体型認知症のある家族の老人ホームを探すときは、「認知症対応可」という表示だけで決めないことが大切です。

レビー小体型認知症では、認知機能の変動、具体的な幻視、動作の遅さや筋肉のこわばりなどのパーキンソン症状、睡眠時の異常行動、立ちくらみ・失神などの自律神経症状がみられることがあります。そのため、一般的な認知症ケアだけでなく、転倒予防、夜間対応、服薬管理、医療連携まで含めて確認する必要があります。

まず結論|レビー小体型認知症は「認知症対応」だけでなく、症状の変動・幻視・転倒・夜間対応まで見る

レビー小体型認知症の人の老人ホーム選びでは、認知機能の良い時間と悪い時間の差、幻視、歩行の不安定さ、立ちくらみ、睡眠時の行動、服薬内容を施設へ具体的に伝えてください。厚生労働省の資料でも、レビー小体型認知症では認知機能の変動、繰り返す幻視、パーキンソン症状、自律神経症状などが特徴として示されています。本人の言動を頭ごなしに否定せず、その日の状態に合わせて介助方法を調整でき、転倒や急変時には医療へつなげられる施設かを確認することが重要です。

レビー小体型認知症とは?

レビー小体型認知症は、認知症の一つです。

認知症だけでなく運動症状もみられる

厚生労働省の資料では、レビー小体型認知症について、認知機能の低下に加え、動きが遅い、転びやすいなどのパーキンソン症状がみられることが示されています。

そのため、老人ホーム選びでは認知症ケアと身体介護の両方を見る必要があります。

初期から記憶障害が最も目立つとは限らない

レビー小体型認知症では、初期にもの忘れが目立ちにくい場合があり、注意力、実行機能、視空間認知の障害が目立つことがあります。

「会話ができるから軽い」「昨日はできたから今日もできる」と単純に判断しないことが大切です。

施設へ最初に伝えるべき症状

入居相談では、診断名だけでなく、実際の生活でどのような変化が起きているかを伝えます。

01

認知機能の変動

午前中は会話できるが夕方は反応が鈍い、日によって理解力が大きく違うなど、変動のパターンを伝えます。

02

幻視

人や動物が見える、知らない人が部屋にいると言うなど、本人が繰り返し訴える内容を伝えます。

03

歩行・動作

歩幅が小さい、方向転換でふらつく、立ち上がりに時間がかかるなどを伝えます。

04

睡眠中の行動

寝ながら大声を出す、手足を動かす、ベッドから転落しそうになるなどがあれば共有します。

05

立ちくらみ・失神

立ち上がったときのふらつきや、失神したことがある場合は必ず伝えます。

認知機能の「変動」に対応できる施設かを見る

レビー小体型認知症では、認知機能や覚醒レベルが大きく変動することがあります。

できる日とできない日がある

前日は自分で着替えられたのに、翌日は手順が分からないということがあります。

職員が「昨日できたのだから今日もできるはず」と考えず、その日の状態を見て支援量を調整できるか確認してください。

時間帯によって反応が違うことがある

午前中はしっかりしていても、午後になると反応が鈍くなるなど、本人なりの傾向がある場合があります。

日々の変化を記録できるか

食事量、歩行、会話、睡眠、服薬後の変化などを記録し、医師や家族と共有できる施設かを見ることが大切です。

POINT

レビー小体型認知症では、「能力が急に落ちた」と見える日があっても、その後また改善して見えることがあります。日ごとの変動を理解し、その都度必要な支援を調整できる施設か確認してください。

幻視への対応を確認する

レビー小体型認知症では、具体的で詳細な幻視が繰り返し現れることがあります。

本人の訴えを頭ごなしに否定しない

厚生労働省の資料では、幻視がある場合、本人の話をまずよく聴くことが対応として示されています。

本人にとっては実際に見えている体験であるため、「そんなものはいません」と強く否定すると不安が強くなる場合があります。

何が見えるかを家族から伝える

人、動物、虫など、本人がよく訴える内容が分かっている場合は施設へ共有します。

恐怖が強い場合は医療へつなぐ

幻視によって強い恐怖や不眠が続く場合は、施設だけで対応方法を決めず、主治医へ相談できる体制を確認してください。

部屋の見え方・照明にも注意する

視覚認知の問題がある人では、影や模様を人・物と見間違える場合があります。

暗い廊下・強い影を減らす

夜間に家具やカーテンの影を人影と誤認する場合があります。照明を適切に調整できるか確認します。

複雑な床模様を見る

床の柄や色の境目を段差と感じることがあります。本人が歩きにくそうにしていないか見てください。

居室へ馴染みの物を持ち込めるか

本人が見慣れた家具や写真などを置くことで、場所を理解しやすくなる場合があります。

パーキンソン症状と転倒リスクを見る

レビー小体型認知症では、動作が遅い、筋肉がこわばる、歩幅が小さくなるなどのパーキンソン症状がみられることがあります。

立ち上がりを急かさない

動作開始に時間がかかる人を急かすと、姿勢が不安定になり転倒しやすくなることがあります。

方向転換が安全にできるか

トイレやベッド周囲で方向転換するときにバランスを崩す人もいます。

手すり・歩行器を使える環境か

本人に合った歩行補助具を使い、家具や段差を避けて移動できる居室・廊下か確認してください。

立ちくらみ・失神への対応を確認する

レビー小体型認知症では、自律神経症状として起立性低血圧や失神がみられる場合があります。

立ち上がり時の見守り

ベッドや椅子から急に立ち上がるとふらつく人は、ゆっくり動けるよう声をかけ、必要に応じて見守る体制が必要です。

転倒歴を伝える

過去に立ちくらみや失神で転倒したことがある場合は、施設へ共有してください。

急な意識低下を認知症だけで判断しない

反応が悪い状態が認知機能の変動なのか、血圧低下や別の体調悪化なのかを見分けるため、看護職員・医師へつなげられる体制が重要です。

夜間の睡眠時異常行動を確認する

レビー小体型認知症では、睡眠中に大声を出す、手足を激しく動かすなどの睡眠時の異常行動がみられることがあります。

夜勤職員数を確認する

夜中に本人が起き上がったり、ベッドから転落しそうになったりした場合に、職員が対応できる体制か確認します。

ベッド周囲の安全を見る

家具の角、床の物、ベッド高さなど、睡眠中に大きく動いてもけがにつながりにくい環境か確認してください。

日中の眠気も共有する

夜間の睡眠状態だけでなく、日中に強く眠る時間がある場合も施設へ伝えます。

夜間せん妄や急な混乱と区別できるか

夜間に混乱が強くなった場合、すべてをレビー小体型認知症の症状と決めつけないことが重要です。

急な変化なら体調も確認する

感染症、脱水、便秘、痛み、薬の影響などによって急に混乱が強くなる場合があります。

普段との違いを職員が把握しているか

日頃の会話や睡眠、歩行状態を把握していれば、いつもと違う変化に気づきやすくなります。

服薬管理と薬への反応を確認する

レビー小体型認知症では、認知症の症状だけでなくパーキンソン症状、睡眠、自律神経症状などに対して複数の薬が使われる場合があります。

施設で薬を管理できるか

認知症がある場合は、飲み忘れや重複服用を防ぐため、施設管理へ切り替える必要がないか確認します。

薬の変更後の変化を観察できるか

眠気、ふらつき、歩行状態、食欲、幻視の変化などを職員が記録し、主治医へ伝えられるか確認してください。

自己判断で薬を変更しない

家族や施設職員だけで薬を増減・中止せず、医師の指示に従います。

向精神薬への過敏性に注意する

レビー小体型認知症では、一部の向精神薬に対して強い反応が出る場合があることが知られています。

診断名を主治医・施設へ確実に共有する

幻視や興奮があるからといって、施設側だけで薬物対応を決めることはできません。

薬が追加された後の状態変化を見る

強い眠気、動きにくさ、意識状態の変化などが出た場合は、速やかに医師へ相談できる体制が必要です。

幻視があるから薬で抑えればよいとは限らない

レビー小体型認知症では薬剤への反応に注意が必要です。幻視の内容、本人の苦痛、生活への影響を確認し、薬物療法が必要かどうかは主治医が判断します。

食事・嚥下状態も確認する

パーキンソン症状が進むと、食事動作や飲み込みに支援が必要になる場合があります。

食事に時間がかかる場合

手の動きが遅い、姿勢保持が難しい場合は、本人のペースで食事できる時間を確保できるか確認します。

むせがある場合

水分や食事でむせる、食後に咳が増える場合は施設へ伝えてください。

食形態の調整

必要に応じてやわらか食、とろみなど本人の嚥下状態に合う食事へ調整できるか確認します。

排せつ・便秘への対応を確認する

自律神経症状や活動量低下、薬の影響などにより便秘が問題になる人もいます。

排便状況を記録できるか

何日排便がないか、便の状態を記録し、必要に応じて看護職員へつなげられるか確認します。

トイレまでの移動を安全にできるか

歩行が不安定な人では、トイレを急いで転倒することがあります。

失禁だけで判断しない

自律神経症状や認知機能の変化など、複数の要因が関係する場合があります。

体温調節・発汗など自律神経症状も共有する

本人によっては血圧、排せつ、発汗など自律神経に関わる症状がみられることがあります。

本人の普段の状態を伝える

血圧が下がりやすい、汗をかきやすいなど、家族が把握している特徴を施設へ共有してください。

体調悪化を認知症の変動と決めつけない

反応が悪い、動けないなどの変化があった場合、必要に応じてバイタル確認や医療相談につなげられる体制が重要です。

リハビリ・運動の体制を見る

動作が遅くなっても、必要以上に活動を減らすと身体機能が低下しやすくなります。

歩行や立ち上がりを続けられるか

本人の安全を確認しながら、日常生活の中で動く機会を確保できる施設か確認します。

専門職へ相談できるか

理学療法士や作業療法士等が関わり、歩行補助具や介助方法を見直せる体制があるかを聞いてください。

転倒予防だけを理由に車いすへ固定しない

本人の能力に応じて、歩ける時間や立つ機会を残す視点があるかも確認材料になります。

身体拘束を前提にしない施設か確認する

転倒や幻視が心配でも、「動かないようにすれば安全」と単純に考えることはできません。

介護保険サービスでは身体拘束等は原則禁止

介護保険の施設・入居系サービスでは、本人または他の利用者等の生命・身体を守るため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他の行動制限は原則として禁止されています。

環境調整と見守りを見る

手すり、照明、家具配置、歩行補助具、職員の見守りなどを組み合わせて転倒を予防しているか確認してください。

グループホームが合う場合

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、認知症のある人が少人数で共同生活を送りながら支援を受ける地域密着型サービスです。

要支援2・要介護1~5が対象

認知症の診断があり、要支援2または要介護1~5が対象です。要支援1は対象外です。

少人数環境が合う人もいる

大人数の環境より、馴染みの職員と生活しやすい少人数環境が本人に合う場合があります。

身体・医療ニーズが高い場合は確認する

歩行介助、嚥下、頻回な失神、医療処置などが増えている場合は、看護体制を含めて受け入れ可能か確認してください。

介護付き有料老人ホームが合う場合

介護付き有料老人ホームでは、施設の職員が介護サービスを提供します。

介護量が増えても対応しやすい施設がある

移動、排せつ、食事、入浴など複数の場面で介助が必要な人は、施設内の介護体制を確認しやすい選択肢です。

看護職員の勤務時間を見る

立ちくらみ、失神、嚥下障害など医療的な観察が必要な場合は、看護職員の勤務時間を確認します。

住宅型有料老人ホームを選ぶ場合

住宅型有料老人ホームでもレビー小体型認知症の人を受け入れている施設があります。

外部介護サービスとの組み合わせを見る

訪問介護等を利用して必要な介護を受ける仕組みが一般的です。

認知症と身体介護の両方を支えられるか

症状の変動が大きい場合、予定した訪問時間だけで十分か、施設職員による生活支援とどう組み合わせるかを確認してください。

特別養護老人ホーム(特養)が候補になる場合

常時介護が必要な人では、特別養護老人ホーム(特養)が候補になることがあります。

新規入所は原則要介護3以上

特養の新規入所は原則として要介護3以上ですが、要介護1・2でもやむを得ない事情がある場合は特例入所の対象になることがあります。

医療ニーズは施設ごとに確認する

頻回の失神、嚥下障害、医療処置などがある場合は、看護体制や協力医療機関を確認してください。

見学時は入居者と職員の関わりを見る

レビー小体型認知症の人へのケアでは、症状そのものだけでなく職員の関わり方が重要です。

幻視を強く否定していないか

本人の話を聞き、不安を和らげる関わりをしているか確認します。

動作を急かしていないか

立ち上がりや歩行に時間がかかる人を急がせず、本人のペースを待てるかを見ます。

入居者の表情を見る

職員が近づいたとき、入居者が過度に緊張していないか、穏やかに会話しているかも判断材料です。

本人を見学へ連れて行くときの注意

認知機能の変動がある人では、見学する時間帯によって本人の反応が大きく違う場合があります。

比較的調子の良い時間を選ぶ

家族が本人の生活リズムを把握している場合は、会話や歩行が安定している時間帯に訪問します。

一度の反応だけで判断しない

見学日に反応が鈍かったから施設が合わない、反対に調子が良かったから問題ないと即断しないことが大切です。

本人の表情・職員との相性を見る

職員の声かけにどう反応するか、共用スペースで落ち着いていられるかを確認してください。

急な状態変化への医療連携を確認する

レビー小体型認知症では症状の変動があるため、急な体調悪化との区別が難しい場合があります。

看護職員の勤務時間

日中だけか、夜間も施設内にいるか、オンコール対応かを確認します。

訪問診療・協力医療機関

認知症の主治医だけでなく、発熱、転倒、失神など身体面の急変にも対応できる医療連携を確認してください。

救急搬送の流れ

意識状態の変化や転倒による大きなけががあった場合、誰が救急要請し家族へ連絡するかを聞きます。

看取りまで希望する場合

認知症や身体症状が進行したときも同じ施設で暮らしたい場合は、看取り対応を確認します。

食事が難しくなった場合

嚥下機能が低下し、食事量が減ったときにどのような支援を行うか確認します。

歩けなくなった場合

車いす、全介助、寝たきりになっても継続入居できるかを聞いてください。

医療ニーズが増えた場合

酸素療法、吸引などが必要になった場合の受け入れ範囲を確認します。

本人の意思を共有する

救急搬送や看取りについて、本人が意思を伝えられる段階から家族・医療者・施設で話し合うことが大切です。

施設へ伝える情報チェックリスト

入居相談時に共有したいこと

  • レビー小体型認知症の診断
  • 要介護度
  • 認知機能が良い時間・悪い時間
  • 幻視の内容と頻度
  • 幻視で不安・恐怖が強くなるか
  • 歩行状態
  • 過去の転倒歴
  • 立ちくらみ・失神歴
  • 睡眠中の異常行動
  • 昼間の強い眠気
  • 食事・嚥下状態
  • 排せつ・便秘の状態
  • 現在の薬剤
  • 薬剤変更後の強い副作用歴
  • 本人が落ち着きやすい声かけ
  • 主治医・医療機関

施設見学で確認したいチェックリスト

レビー小体型認知症の施設選び

  • 現在の症状で受け入れ可能か
  • 認知機能の変動への理解
  • 幻視への対応方法
  • 職員の認知症ケア研修
  • 転倒予防
  • 歩行・移乗介助
  • 起立時の見守り
  • 夜勤職員数
  • 睡眠時異常行動への対応
  • 服薬管理
  • 薬剤変更後の観察
  • 嚥下・食事対応
  • 看護職員の勤務時間
  • 協力医療機関・訪問診療
  • 身体拘束等を防ぐ取り組み
  • 状態悪化時の退去条件
  • 看取り対応

状態が進行した場合の退去条件を確認する

入居時は対応できても、身体機能や医療ニーズが変化したときに継続入居が難しくなる施設があります。

転倒・失神が増えた場合

見守り量が大きく増えたときに、施設でどこまで対応できるか確認します。

嚥下障害が進んだ場合

食形態変更、吸引、経管栄養等が必要になった場合の受け入れ範囲を聞いてください。

重要事項説明書・入居契約書を見る

医療ニーズ増加、他害等の行動症状、長期入院などを理由とする退去条件を契約前に確認します。

まとめ|レビー小体型認知症は「症状の変動を理解できる施設」を選ぶ

レビー小体型認知症の人でも、本人の症状と施設の認知症ケア・介護・医療体制が合えば、老人ホームへ入居できる場合があります。

厚生労働省の資料では、レビー小体型認知症では、認知機能の変動、繰り返す幻視、パーキンソン症状、睡眠時の異常行動、自律神経症状などがみられることが示されています。

施設へは診断名だけでなく、本人の調子が良い時間・悪い時間、幻視、転倒、立ちくらみ、夜間の行動、服薬後の変化まで具体的に伝えてください。

施設見学では、幻視を強く否定せず本人の不安を聞けるか、動作を急かさないか、日ごとの症状の変化を記録し医療へつなげられるかを確認します。

最も大切なのは、「認知症対応可」という表示ではなく、レビー小体型認知症特有の変動や身体症状を理解し、その日の本人に合わせて介護方法を変えられる施設を選ぶことです。

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