老人ホーム入居後も住宅ローンが残っている場合の資金計画

老人ホームへの入居を考えたとき、自宅の住宅ローンがまだ残っていると、施設費と住宅ローンの支払いが重なる可能性があります。特に、自宅をすぐに売却しない場合は、ローン返済だけでなく、固定資産税や管理費、修繕費なども続くため、毎月の支出をまとめて確認することが大切です。

先に確認したいこと

住宅ローンが残っている状態で老人ホームへ入居する場合は、施設費だけでなく、住宅ローンと自宅維持費を含めた「二重負担」で資金計画を立てます。そのうえで、自宅を売却するのか、保有するのか、家族が住むのか、賃貸に出せるのかを整理し、必要に応じて金融機関や専門家へ確認します。

住宅ローンが残っていると施設費との二重負担になる

老人ホームへ入居しても、自宅の住宅ローンは自動的になくなりません。ローン返済が続く一方で、老人ホームの入居時費用や月額費用も必要になるため、家計全体では支出が大きく増えることがあります。

まずは、現在の住宅ローン残高、毎月返済額、返済終了予定時期を確認します。そのうえで、施設側の家賃・管理費・食費・介護保険自己負担・医療費・日用品費などを加え、毎月いくら必要になるかを計算します。

ポイント

施設入居後の資金計画では、「老人ホームにいくらかかるか」だけでなく、「今までの住まいにいくら残るか」を同時に見る必要があります。

住宅ローン以外にも自宅の維持費が残る

自宅を保有し続ける場合、住宅ローン以外の支出も残ります。戸建てかマンションかによって内訳は異なりますが、次の費用を確認しておきましょう。

1
固定資産税・都市計画税

施設へ入居しても、自宅を所有している限り税負担が続くことがあります。

2
マンションの管理費・修繕積立金

マンションの場合、居住していなくても所有者として毎月の管理費や修繕積立金が必要になることがあります。

3
火災保険・地震保険など

住宅の保険を継続する場合は、更新時期と保険料を確認します。

4
空き家の管理費

定期的な換気、庭木の管理、清掃、防犯対策などに費用がかかる場合があります。

自宅をどうするかで資金計画は大きく変わる

売却する場合

自宅を売却できれば、住宅ローン残高の返済や施設入居後の生活資金に充てられる可能性があります。ただし、売却価格が住宅ローン残高を下回る場合は、差額をどうするか金融機関との調整が必要です。

また、売却には仲介手数料などの諸費用がかかることがあります。売却額だけでなく、ローン返済後に実際にいくら手元に残るかで考えます。

自宅を保有し続ける場合

本人が自宅へ戻る可能性を残したい、家族が将来使う予定があるなどの理由で保有を続けることもあります。この場合は、住宅ローンと維持費をどの程度の期間まで負担できるかを確認します。

施設入居が一時的なのか、長期になる可能性が高いのかによって判断は変わります。短期間で結論を急がず、今後の身体状況や介護の見通しも踏まえて考えます。

家族が住む場合

配偶者や子どもなどがそのまま自宅で暮らす場合は、住宅ローンや維持費を誰が負担するかを家族で明確にしておく必要があります。本人の年金から支払うのか、家族が一部負担するのかを曖昧にすると、施設費との両立が難しくなることがあります。

賃貸に出す場合

自宅を賃貸に出して家賃収入を得る方法も考えられますが、住宅ローンは原則として本人が居住することを前提とした契約になっている場合があります。契約内容によっては、金融機関への事前相談や承諾が必要になることがあります。

「施設に入るから、そのまま賃貸に出せばよい」と自己判断せず、ローン契約と金融機関の扱いを確認してください。

注意

住宅ローンの商品や契約条件は金融機関ごとに異なります。賃貸利用や名義変更、売却時の返済方法などは、契約書を確認したうえで借入先の金融機関へ相談してください。

施設入居後の毎月の支出を一度すべて並べる

資金計画では、老人ホームと自宅の支出を別々に考えるのではなく、同じ月の支出としてまとめます。

毎月確認したい主な支出

老人ホームの月額料金、介護保険自己負担、医療費、日用品費、住宅ローン、固定資産税の月割り相当額、マンション管理費・修繕積立金、住宅保険、空き家管理費などを一つにまとめます。

さらに、入居一時金や引っ越し費用、自宅売却費用など、毎月ではない支出も別に整理します。これにより、「毎月は払えるが、数年後に資金が不足する」といった問題を早めに確認できます。

短期と長期で分けて考える

骨折や病気の後などで、一時的に施設を利用する可能性がある場合と、長期入居を前提にする場合では、自宅の扱いは変わります。

短期の資金計画

まず数か月から1年程度は、住宅ローンと施設費の両方を支払えるか確認します。急いで自宅を処分せず、本人の回復状況や在宅復帰の可能性を見ながら判断できる場合もあります。

長期の資金計画

長期入居になる可能性が高い場合は、3年、5年などの期間で総支出を計算します。住宅ローン残高が長く残る場合は、自宅を保有し続けることが家計に与える影響も大きくなります。

本人の資産だけでなく家族負担の上限も決める

本人の年金や預貯金だけでは二重負担をまかなえない場合、家族が支援するケースもあります。しかし、家族の負担を前提にした資金計画は、長期間続くと家族自身の生活を圧迫することがあります。

「毎月いくらまでなら支援できるか」「住宅ローンを家族が負担するのか」「施設費を補助するのか」など、負担の範囲を具体的に決めておくことが重要です。

契約前に施設側の費用も詳しく確認する

住宅ローンが残っている場合は、老人ホーム側の費用もより慎重に確認する必要があります。広告に記載された月額料金だけではなく、介護保険自己負担、医療費、日用品費、通院付き添い、理美容、個別サービスなど、別途必要になる費用まで把握します。

有料老人ホームでは、利用料金やサービス内容などを重要事項説明書で確認できます。契約前に、現在の介護度だけでなく、介護度が上がった場合の費用変化や料金改定の考え方も確認しておくと安心です。

自宅を売却するか迷うときは結論を急がない

老人ホーム入居と同時に自宅を売却する必要があるとは限りません。本人の状態が安定していない時期や、在宅復帰の可能性がまだ分からない時期は、すぐに売却を決めることが難しい場合もあります。

一方で、住宅ローンと施設費の二重負担が長く続けば、預貯金の減少が早くなることもあります。本人の今後の生活場所、ローン残高、資産、家族の負担を並べ、どの時点で自宅の扱いを判断するかを決めておきましょう。

まとめ

住宅ローンが残ったまま老人ホームへ入居する場合は、施設費だけでなく、自宅に残る住宅ローンと維持費を合わせて資金計画を立てる必要があります。

最初に住宅ローン残高と毎月返済額を確認し、固定資産税や管理費なども加えます。そのうえで、自宅を売却するのか、保有するのか、家族が住むのか、賃貸を検討するのかを整理します。

特に賃貸や売却については住宅ローン契約との関係があるため、自己判断せず金融機関へ確認することが重要です。短期と長期の両方で資金繰りを確認し、本人と家族が無理なく継続できる方法を選びましょう。

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