老人ホームの入居申込金とは?返金条件を確認

老人ホームへ申し込むとき、「入居申込金」「申込預り金」などの名目で、契約前にお金の支払いを求められることがあります。

ここで注意したいのは、「申込金」という名称だけでは、そのお金が何のための費用なのか、キャンセルしたら返ってくるのかを判断できないことです。施設によって扱いが異なるため、支払う前に書面で条件を確認する必要があります。

まず結論|入居申込金は「何のお金か」と「いつまでなら返金されるか」を支払う前に確認する

老人ホームの入居申込金は、施設によって申込時の預り金、契約手続きに関する費用、入居時費用へ充当する金銭など扱いが異なります。「申込後は一切返金しません」という説明だけで判断せず、①何の対価か、②契約前にキャンセルした場合、③入居契約後に解約した場合、④入居一時金や初月利用料へ充当されるか、⑤返金時期を必ず書面で確認してください。

老人ホームの「入居申込金」とは

入居申込金は、老人ホームへ入居を申し込む段階で支払うよう案内される金銭の通称です。

ただし、「入居申込金」という名称について全国一律の金額や扱いが決まっているわけではなく、施設ごとに性質が異なることがあります。

申込時の預り金として扱う場合がある

入居意思を確認する目的などで一時的に預かり、正式契約時に入居費用へ充当する施設があります。

この場合は、契約に至らなかったときに全額返金されるのか、一部費用が差し引かれるのかを確認する必要があります。

事務手続きの費用として説明される場合もある

施設によっては、申込手続きに関する費用として案内することがあります。

その場合も、「事務手数料」という名称だけで返金不可と決めつけず、具体的に何の業務に対する費用なのか、キャンセル時にどの程度の費用が実際に発生するのかを確認してください。

POINT

名称ではなく、「誰が・何のために受け取り、契約しなかった場合にどう精算するお金なのか」を確認することが重要です。

入居申込金と入居一時金は同じではない

「入居申込金」と「入居一時金」は似た言葉ですが、同じ意味とは限りません。

入居申込金は申込段階で支払う金銭

一般には、正式な入居契約より前の申込段階で求められる金銭として使われることがあります。

その後、正式契約に進んだ場合に前払金や初月利用料などへ充当されるのか、申込金とは別に支払いが必要なのかを確認します。

入居一時金は前払金として扱われることがある

有料老人ホームで一般に「入居一時金」と呼ばれるものには、将来の家賃などの全部または一部を前払いする前払金があります。

前払金には算定根拠、返還条件、保全措置など確認すべき事項があり、申込金とは分けて考える必要があります。

有料老人ホームでは「権利金」は受け取れない

有料老人ホームでは、老人福祉法により、家賃、敷金、介護等その他の日常生活上必要な便宜の対価として受領する費用を除き、権利金その他の金品を受領してはならないとされています。

名称だけ変えれば受け取れるわけではない

重要なのは「申込金」「会員金」などの名前ではなく、実際に何の対価として受領する金銭なのかです。

何に使われるのか説明できない費用や、契約内容と関係が分かりにくい費用を求められた場合は、その根拠を確認してください。

費用の内訳を書面で確認する

口頭で「皆さん払っています」と説明されても、それだけで判断しないようにします。

料金表、申込書、重要事項説明書などで、費用名、金額、目的、返還条件を確認してください。

申込金を払う前に最も確認したい「返金条件」

入居申込金でトラブルになりやすいのが、申込後に入居を取りやめた場合の返金です。

01

契約前にキャンセルした場合

正式な入居契約を結ぶ前に本人の体調が変わったり、別施設へ決めたりして申し込みを取り下げることがあります。

この段階で全額返金されるのか、実費が差し引かれるのか、返金されない部分があるのかを事前に確認します。

02

入居契約後・入居前に解約した場合

正式契約後に入院が長引いたり、本人が入居を拒否したりして、実際の入居前に契約解除となる場合があります。

申込時とは返還条件が変わる可能性があるため、「契約成立後はどうなるか」も分けて確認してください。

03

入居後すぐ退去した場合

実際に入居してから短期間で退去した場合は、申込金だけでなく、前払金や月額費用の精算も関係します。

それぞれの費用について、どの契約条項に基づき、どのように計算するのか確認してください。

「一切返金しません」と書いてあれば必ず有効とは限らない

過去には、有料老人ホームの利用約款で「申込み後に解除されても入居申込金を返還しない」とする条項について、適格消費者団体から是正を求められた事例があります。

消費者契約では、解約に伴う違約金等について、事業者に生ずべき平均的な損害を超える部分が無効となる場合があります。

返金不可の理由を確認する

施設から「キャンセルしても返金できません」と説明された場合は、なぜ返金されないのか、その金額が何の費用に対応するのかを確認します。

契約事務や実際に提供済みのサービスなど、どのような費用が既に発生しているのか説明を求めてください。

納得できなければその場で支払わない

返還条件が曖昧な状態で「部屋を押さえるため」と急いで支払うと、後から認識違いになることがあります。

申込金を支払う前に、キャンセル時の精算方法を紙や電子書面などで確認できる状態にしておくことが大切です。

返金条件は口頭ではなく書面で確認する

「今回は返します」「普通は返金されます」といった口頭説明だけでは、後から確認できません。申込書、預り証、契約書などに、返還条件・控除される費用・返還時期がどう書かれているか確認してください。

申込金が最終的に何へ充当されるか確認する

返金の有無だけでなく、正式入居した場合に申込金がどう扱われるのかも重要です。

入居一時金へ充当されるか

申込金が正式契約時の前払金の一部に充当される場合があります。

たとえば申込時に支払った金額が、契約時に必要な総額から差し引かれるのかを確認してください。

初月利用料へ充当されるか

家賃、管理費、食費などの初月利用料へ充当する施設も考えられます。

どの費用へ、いつ充当されるのかが分かるよう、領収書や精算書を受け取って保管してください。

別途費用として消えるのか

正式入居しても申込金が他の費用へ充当されず、独立した費用として扱われる場合は、その対価が何なのかを確認します。

説明が曖昧であれば、重要事項説明書や契約書との整合性も確認してください。

申込金を払うと「部屋を確保できる」のか確認する

家族が申込金を支払う理由として、「この部屋を押さえられる」と考えるケースがあります。

支払いで何が確保されるのか聞く

特定の居室が確保されるのか、入居審査の順番が確保されるだけなのか、単なる申込受付なのかを確認します。

支払ったのに居室が確定していなかったという認識違いを防ぐため、申込金と施設側の義務をセットで確認してください。

確保期間を確認する

居室を一定期間確保してくれる場合は、何日間なのか、その期間を過ぎたらどうなるのかを確認します。

入院中の本人を受け入れる場合など、退院日がずれる可能性があるときは特に重要です。

入居審査で不承認になった場合を確認する

老人ホームでは、本人の健康状態や医療・介護ニーズを確認したうえで入居可否を判断することがあります。

施設側が受け入れ不可と判断した場合の返金を聞く

本人や家族の都合ではなく、施設の入居審査で受け入れできないと判断された場合、申込金がどうなるのか確認します。

申込時には入居できると思って支払ったのに、審査後に不承認となるケースも想定しておくことが大切です。

健康診断等の実費と申込金を分ける

入居判定のために健康診断書などが必要な場合、その費用は医療機関へ支払う費用として別途発生することがあります。

施設へ支払う申込金と、本人側で実際に発生した検査・書類費用を混同しないようにしてください。

本人の入院・死亡などで入居できなくなった場合

高齢者の施設入居では、申込後から入居日までの間に本人の状態が変化することがあります。

長期入院になった場合

入居日を延期できるのか、申込みを取り消すことになるのかを確認します。

延期中に居室を確保する場合、追加料金が発生するのかも聞いてください。

本人が亡くなった場合

入居前に本人が亡くなった場合、既に支払った申込金やその他の費用がどのように精算されるか確認します。

家族側の自己都合キャンセルと同じ扱いになるのか、別の条件があるのかを契約前に確認しておくと安心です。

申込金を払う前に受け取る書類

支払った記録が残らない状態は避けます。

支払い前後に確認したい書類

  • 入居申込書
  • 申込金の金額と目的が分かる書類
  • キャンセル時の返還条件
  • 正式契約時の充当先が分かる書類
  • 支払日・金額が記載された領収書または預り証
  • 重要事項説明書
  • 入居契約書の案

領収書か預り証を必ず受け取る

現金、振込など支払方法にかかわらず、施設がいくら受け取ったか分かる記録を残します。

「預り金」であれば、何のために預かっているのか、いつ精算されるのかが分かる書類も確認してください。

申込金を急いで払うよう求められたときの注意点

人気施設では空室が少なく、「今日申込金を払えば部屋を確保できます」と案内される場合があります。

空室の少なさと契約条件は分けて考える

早く申し込まなければ候補居室が埋まる可能性があっても、返金条件を確認しなくてよい理由にはなりません。

少なくとも金額、目的、キャンセル条件、充当先を確認してから支払います。

家族で確認する時間を取る

高額な申込金を求められる場合は、その場で一人が決めず、可能な範囲で家族にも条件を共有します。

特に本人の資産から支払う場合は、本人の意思や資金計画との整合性も確認してください。

入居申込金について施設へ聞く質問

申込前にそのまま使える質問

  • この申込金は何のためのお金ですか
  • 正式契約前にキャンセルしたら全額返金されますか
  • 返金されない場合、何の費用が差し引かれますか
  • 施設側の入居審査で不承認になった場合は返金されますか
  • 本人の入院で入居できなくなった場合はどうなりますか
  • 本人が入居前に亡くなった場合はどう精算しますか
  • 正式契約後・入居前の解約ではどうなりますか
  • 正式入居した場合、申込金は何の費用へ充当されますか
  • 申込金を払うと特定の居室が確保されますか
  • 居室を確保できる期間は何日ですか
  • 返金される場合、いつまでに振り込まれますか
  • 返還条件が記載された書面をもらえますか

返金トラブルになった場合の相談先

施設と返金条件について認識が食い違った場合は、まず契約書、申込書、預り証、施設とのやり取りを確認します。

施設へ書面の根拠を確認する

返金されないと言われた場合は、どの契約条項に基づくのか、差し引く金額はどのように計算したのか説明を求めます。

電話だけでなく、可能な範囲で回答を記録として残しておくと後から整理しやすくなります。

消費生活センター等へ相談する方法もある

契約や解約、返金条件について施設との話し合いで解決しない場合は、消費生活センターなどの相談窓口を利用する方法があります。

相談時には、申込書、契約書、領収書、説明資料などを準備してください。

まとめ|申込金は支払う前に「出口」を確認する

老人ホームの入居申込金は、名称だけでは何の費用か、キャンセル時に返還されるかを判断できません。

申込時の預り金なのか、事務手続きに関する費用なのか、正式入居した場合に前払金や月額利用料へ充当されるのかを確認する必要があります。

特に重要なのは、契約前、契約後・入居前、入居後という段階ごとの返還条件です。入居審査で不承認になった場合や、本人の入院などで入居できなくなった場合も確認しておきます。

「申込金はいくらか」だけでなく、「何のお金で、どの時点までならいくら返り、いつ返金されるのか」を書面で確認してから支払うことが、トラブルを防ぐために重要です。

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