老人ホームの料金表を見ると、「管理費」「共益費」「水道光熱費」など、似たような項目が並んでいて分かりにくいことがあります。
特に注意したいのが、居室で使う電気・水道・ガスなどの費用です。施設によって、月額料金に含まれる場合、一定額の定額制になっている場合、各居室の使用量に応じて実費請求される場合があります。
そのため、施設を比較するときは「水道光熱費込みですか」とだけ聞くのではなく、共用部と居室内でそれぞれどの費用が含まれ、何が別途請求されるのかを確認することが大切です。
まず結論|水道光熱費は「管理費込み・定額・実費」のどれかを確認する
老人ホームの水道光熱費は、全国一律の請求方法ではありません。共用部の電気・水道は管理費や共益費に含み、居室内は実費という施設もあれば、居室分まで定額で含む施設もあります。比較するときは、①共用部、②居室内、③エアコン等の電気代、④ガス・給湯、⑤料金改定や実費精算の方法を分けて確認し、最終的には月額総額で比べてください。
老人ホームの水道光熱費は月額料金に含まれる?
答えは、施設によって異なります。
管理費や共益費に含まれる場合
共用廊下、食堂、談話室、浴室などの電気・水道・空調費を、管理費や共益費に含めている施設があります。
さらに、居室内の水道光熱費まで一定額として含めている施設もあります。
居室内だけ実費精算の場合
共用部分の水道光熱費は管理費に含む一方、居室内の電気代は個別メーターで計測し、使用量に応じて請求する施設もあります。
この場合、夏や冬にエアコンを長時間使う人は、季節によって支払額が変わります。
毎月定額で請求される場合
居室の電気・水道を一定額で請求する施設もあります。
定額なら毎月の資金計画を立てやすい一方、料金改定があるか、一定使用量を超えた場合に追加料金があるかを確認する必要があります。
POINT
「月額○万円」という表示だけでは水道光熱費が含まれているか分かりません。料金表の内訳と重要事項説明書を確認し、含まれる範囲を施設ごとにそろえて比較しましょう。
最初に「共用部」と「居室内」を分けて考える
水道光熱費を確認するときは、施設全体の共用部分と本人の居室を分けると分かりやすくなります。
01
共用部分の水道光熱費
廊下、食堂、浴室、談話室、エレベーター、共用トイレなどに使われる電気・水道・空調等の費用です。
02
居室内の水道光熱費
本人の居室で使用する照明、テレビ、冷蔵庫、エアコン、給湯などに関する費用です。
管理費に含まれているか確認する
水道光熱費は、施設の料金表では独立した項目ではなく「管理費」に含まれていることがあります。
管理費の内訳を確認する
有料老人ホームの利用料は、家賃、食費、管理費など複数の項目で構成されます。
厚生労働省の有料老人ホーム設置運営標準指導指針でも、利用料等について、受領する費用ごとに合理的な算定を行い、契約内容を明確にする考え方が示されています。
「管理費に水道光熱費を含む」と書かれていても、共用部のみなのか居室内まで含むのかを確認してください。
管理費が高い・安いだけで判断しない
管理費が高くても居室内の水道光熱費まで含まれていれば、別途実費の施設より月額総額が低くなる場合があります。
逆に管理費が安くても、居室電気代や生活支援費が別に積み上がれば、最終的な負担は大きくなります。
電気代はエアコン使用で差が出やすい
居室の電気代を実費精算する施設では、エアコンの使用状況が月額費用へ影響しやすくなります。
高齢者は冷暖房を我慢しないことが重要
費用を抑えるために冷暖房の使用を過度に控えると、夏の熱中症や冬の低体温など健康上の問題につながる可能性があります。
電気代が実費でも、本人の安全を優先して必要な空調を使える資金計画にしておくことが大切です。
居室のエアコンが施設設備か本人負担かも確認する
エアコンが備え付けられている施設もあれば、本人側で購入・設置する施設もあります。
故障時の修理費、交換費、清掃費を誰が負担するのかも確認しておくと安心です。
テレビ・冷蔵庫など持込家電の電気代
老人ホームでは、テレビや小型冷蔵庫などを居室へ持ち込める場合があります。
持込家電の使用料がある施設もある
電気代を個別メーターで請求するのではなく、「テレビ○円」「冷蔵庫○円」のように家電ごとの定額使用料を設定している場合があります。
持ち込みたい家電がある場合は、電気代だけでなく持込可否と追加料金を確認してください。
消費電力の大きい家電は制限される場合がある
電気ポット、電子レンジ、暖房器具などは、安全管理や電気容量の理由で持ち込みを制限する施設があります。
本人が日常的に使いたい家電がある場合は、契約前に確認します。
水道代は定額か実費かを確認する
居室にトイレ、洗面台、ミニキッチンなどがある施設では、水道代の扱いも確認します。
個別メーターがあるか確認する
居室ごとに水道メーターがある場合は、使用量に応じて実費請求されることがあります。
個別メーターがない施設では、管理費や共益費へ含めたり、月額定額で請求したりする場合があります。
入浴費用との関係も見る
共用浴室を利用する場合、水道・給湯費が基本料金に含まれているケースが多い一方、特別な個別サービスなどで別料金が設定される場合があります。
入浴そのものの介護保険サービスと、水道光熱費の請求は分けて確認してください。
ガス・給湯費が別になっていないか確認する
施設によっては、居室内の給湯設備やミニキッチンにガス・電気を使用します。
オール電化かガス併用か
建物の設備によって、給湯や調理に使うエネルギーが異なります。
電気代だけ確認していても、別にガス代が発生する場合があります。
給湯基本料の有無を確認する
実際の使用量とは別に、設備利用の基本料金が設定されていることもあります。
「水道光熱費」という一括項目だけでなく、電気・水道・ガス・給湯のそれぞれを確認すると見落としを防ぎやすくなります。
月額定額制のメリットと注意点
水道光熱費を毎月一定額にしている施設では、季節による支出変動が小さくなります。
資金計画を立てやすい
実費精算よりも毎月の金額が読みやすいため、年金と預貯金から生活費を計算しやすくなります。
定額に含む範囲を確認する
「水道光熱費月額○円」と書かれていても、エアコンや特定家電は別料金という場合があります。
また、物価や光熱費の上昇に伴って定額料金が改定される可能性もあります。
契約書や管理規程で、料金改定のルールと通知方法を確認してください。
実費精算のメリットと注意点
居室内の水道光熱費を使用量に応じて請求する施設では、使った分だけ支払う仕組みになります。
使用量が少ない人は負担を抑えられる場合がある
外出が多い、居室に家電が少ないなどの場合は、定額制より負担が低くなることがあります。
季節による変動が大きくなる
夏冬のエアコン使用などで電気代が増える可能性があります。
資金計画では、年間平均だけでなく「最も高い月はいくら程度になるか」を確認すると安心です。
請求単価も確認する
施設が電力会社等から受けた請求をそのまま按分するのか、施設独自の単価を設定するのかなど、計算方法を確認します。
サ高住では家賃・共益費・生活支援費と分けて見る
サービス付き高齢者向け住宅では、家賃、共益費、状況把握・生活相談サービス費などが表示されます。
水道光熱費が共益費に含まれるとは限らない
共益費には共用部分の維持費が含まれていても、居室内の電気・水道は個別契約または実費という住宅があります。
一般の賃貸住宅に近い料金構造のサ高住では、本人が電力会社等と直接契約するケースも考えられます。
介護費用とは別に計算する
一般的なサ高住では、介護保険サービスは必要に応じて外部サービスを利用します。
家賃・共益費・水道光熱費に加えて、介護保険自己負担や食費などを合計して月額総額を見ます。
有料老人ホームでは重要事項説明書を確認する
有料老人ホームでは、料金表だけでなく重要事項説明書も確認してください。
利用料金の内訳を見る
重要事項説明書には、家賃、管理費、食費などの利用料金や、個別に選択するサービスの費用に関する情報が記載されます。
水道光熱費が管理費へ含まれる場合は、その説明や施設の料金資料を照らし合わせます。
口頭説明と書面が一致しているか確認する
見学時に「光熱費込みです」と説明された場合でも、契約書や料金表で同じ扱いになっているか確認します。
「居室電気代のみ別」「冬季のみ暖房費が別」など例外がないかも聞いてください。
「光熱費込み」という一言だけで判断しない
共用部だけなのか居室内まで含むのか、電気・水道・ガスすべてなのか、一部家電が別料金なのかで実際の負担は変わります。必ず対象範囲を確認してください。
二人入居では水道光熱費がどうなるか確認する
夫婦など二人で同じ居室へ入る場合も、施設によって請求方法が異なります。
一室単位か一人単位か
居室の電気代は一室単位でも、水道光熱費の定額料金を一人ずつ請求する施設があるかもしれません。
二人入居プランでは、家賃・管理費・食費・水道光熱費をそれぞれ一人分か二人分か確認します。
一人になった後の料金も確認する
夫婦の一方が入院・退去した場合、残った一人の定額料金がどう変わるかも確認しておくと、将来の費用変化を把握しやすくなります。
長期入院中の水道光熱費はどうなる?
老人ホームに入居した後、病院へ長期間入院する場合があります。
定額制では不在でも請求される場合がある
管理費や定額水道光熱費として契約している場合、本人が入院して居室を使っていなくても費用が発生することがあります。
実費制では基本料金だけ残る場合もある
使用量が減っても、電気・水道等の基本料金や施設独自の設備費が残る場合があります。
長期入院時の家賃、管理費、水道光熱費、食費の扱いを契約前に確認してください。
料金改定のルールも確認する
電気・ガス・水道料金は社会情勢によって変動します。
固定料金でも将来変わる可能性がある
入居時に月額定額であっても、施設が将来料金を改定する場合があります。
契約書や管理規程で、料金変更の条件や入居者への通知方法を確認してください。
過去の値上げ実績を聞く
「過去数年で水道光熱費や管理費を改定しましたか」と聞くと、今後の資金計画を考える参考になります。
値上げ自体ではなく、改定理由や説明方法が明確かを見ることが重要です。
施設見学で聞きたい水道光熱費の質問
そのまま使える確認項目
- 共用部分の水道光熱費は管理費・共益費に含まれますか
- 居室内の電気代は月額料金に含まれますか
- 居室内の水道代は定額ですか、実費ですか
- ガス・給湯費は別料金ですか
- 個別メーターはありますか
- 実費の場合、どのような単価で計算しますか
- テレビ・冷蔵庫などの家電に追加料金はありますか
- エアコン使用料は別ですか
- 長期入院中も水道光熱費は請求されますか
- 料金改定時はどのように通知されますか
施設比較では水道光熱費を月額総額に加える
老人ホームの費用比較では、水道光熱費だけを取り出して安い・高いと判断する必要はありません。
01
家賃・居住費
居室そのものの費用を確認します。
02
管理費・共益費
共用部の水道光熱費など、何を含んでいるか確認します。
03
食費
欠食時の扱いや特別食の追加料金も含めて確認します。
04
居室の水道光熱費
定額・実費・基本料金など、本人の条件で月額を見積もります。
05
介護・医療・追加サービス
介護保険自己負担、医療費、日用品、個別サービス等を加えます。
この合計を同じ条件で比べれば、料金項目の名称が違う施設同士でも実際の負担を比較しやすくなります。
水道光熱費を節約しすぎない
実費請求の施設では、本人や家族が費用を気にして電気・水道の使用を抑えたくなることがあります。
高齢者の安全を優先する
特に空調は、高齢者の健康維持に関係します。
費用を理由に必要な冷暖房を控えず、必要な使用を前提に予算を組んでください。
安さより継続可能な総費用を見る
水道光熱費を含めても無理なく支払える施設かどうかを確認します。
入居後に生活を過度に切り詰めなければならない料金設定ではなく、長期的に続けられる施設を選ぶことが重要です。
まとめ|水道光熱費は「込みか別か」だけでなく対象範囲を確認する
老人ホームの水道光熱費は、施設によって料金体系が異なります。
共用部は管理費や共益費に含み、居室内だけ実費とする施設もあれば、居室分まで定額で含む施設もあります。
そのため、「水道光熱費込み」という説明だけで判断せず、電気・水道・ガス・給湯について、共用部と居室内を分けて確認してください。
特に重要なのは、「何が月額料金に含まれ、何が実費または追加料金なのか」を重要事項説明書・料金表・契約書で確認することです。
施設を比較するときは、水道光熱費単体ではなく、家賃・管理費・食費・介護保険自己負担・医療費・追加サービスまで含めた月額総額で判断すると、入居後の費用差を把握しやすくなります。