グループホームの居室・設備

グループホームの居室や設備を見るときは、広さや新しさだけで判断しないことが大切です。

制度上、共同生活住居には居室、居間、食堂、台所、浴室、消火設備など、日常生活に必要な設備を設けます。居室は原則1人で、床面積は7.43平方メートル以上が基準です。

ただし、基準を満たしていても、本人にとって使いやすいとは限りません。家具を置いた後の通路、トイレまでの動線、夜間の照明、車いすや介助スペース、共有スペースの音や人との距離まで確認します。

結論|設備は「あるか」ではなく「本人が使えるか」で見る

居室7.43㎡以上という最低基準だけでは、暮らしやすさは判断できません。ベッドや家具を置いた後に安全に動けるか、トイレ・浴室へ移動できるか、認知症があっても場所を理解しやすいか、介護量が増えても使えるかまで見学で確認しましょう。

グループホームの居室は原則個室、7.43㎡以上

認知症対応型共同生活介護の設備基準では、一つの居室の床面積は7.43㎡以上とされています。

居室定員は原則1人ですが、利用者の処遇上必要と認められる場合には2人とすることができます。

7.43㎡は「家具を置いた後の使いやすさ」を保証する数字ではない

最低面積を満たしていても、ベッド、収納、椅子などを置くと通路が狭くなる場合があります。

本人が杖や歩行器を使う場合、介護職員がベッド横で介助する場合を想定して、実際の空間を確認してください。

居室は本人が落ち着ける場所でもある

グループホームは共同生活ですが、常に共有スペースで過ごす必要はありません。

一人になりたいときに居室へ戻れるか、テレビや他の入居者の声がどの程度聞こえるか、室温・採光・換気なども確認します。

家具・持ち物は「慣れ」と「安全」の両方を考える

自宅で使っていた家具や写真など、本人になじみのある物を持ち込める施設もあります。認知症のある人にとって、見慣れた物が新しい環境への適応を助けることがあります。

持込み可能な家具を契約前に確認する

  • ベッドは備え付けか持込みか
  • タンス・チェストを置けるか
  • テレビ・冷蔵庫を持ち込めるか
  • 電気製品の使用制限はあるか
  • 壁への写真・時計等の設置は可能か

家具配置は転倒リスクも考える

本人が夜間に起きる場合、ベッドからドアやトイレまでの通路に物がないかを確認します。

慣れた家具でも、角が鋭い、大きすぎて介助スペースがなくなるなどの場合は、配置を工夫する必要があります。

トイレは「数」より本人が迷わず使えるかを見る

認知症がある人は、トイレの場所を認識しにくくなることがあります。

居室からの距離と動線を確認する

夜間にトイレへ行く人は、居室から遠いと転倒リスクが高まることがあります。廊下の照明、手すり、段差なども確認します。

表示や声かけの工夫を見る

トイレの文字表示だけで分からない人には、色や絵、職員の誘導などを使う場合があります。

設備が新しいかより、本人の認知機能に合わせて分かりやすくできるかを見ることが重要です。

浴室は入浴設備と介助体制をセットで見る

浴室に手すりや介護用機器があっても、本人の身体状態で安全に入浴できるかは別です。

入居時の状態だけでなく将来の介助量も想定する

今は一人で浴槽をまたげても、将来は立ち上がりや移乗に介助が必要になる場合があります。

身体機能が低下した場合、どこまで施設内の浴室で対応できるかを確認します。

機械浴がない=入浴できないとは限らない

本人の状態によっては、個浴で介助する、シャワー浴や清拭を組み合わせるなどの方法があります。

設備名だけではなく「本人がこの状態なら、どう入浴を支援しますか」と聞いてください。

居間・食堂は「にぎやかさ」と「逃げ場」の両方を見る

居間や食堂は、入居者が長い時間を過ごす場所です。

人との距離が本人に合うか

会話やテレビの音が安心につながる人もいれば、刺激が多いと疲れる人もいます。

席の間隔、テレビの音量、職員の位置、他の入居者との距離感を見ます。

活動に参加しないときに休めるか

共有スペースの活動へ参加したくないとき、居室や静かな場所へ移動できるかを確認します。

POINT

広くて豪華な共有スペースより、本人が落ち着ける場所を選べることが重要です。見学では実際に入居者がどこで過ごしているかを見ましょう。

台所・生活設備は本人の役割と安全を両立する

グループホームでは、食事準備や片づけなどに入居者が参加する場合があります。

本人ができる作業を安全に行えるか

食器を並べる、野菜を洗う、盛り付けるなど、本人の能力に応じて役割を持つことがあります。

火や刃物の扱いなど危険がある部分は、本人の状態に合わせて職員が見守り・調整します。

車いすや歩行器を使う人は動線を実際に確認する

パンフレットに「バリアフリー」と書かれていても、本人が実際に移動しやすいかは現地で確認します。

場所 確認すること
居室 家具後の通路、ベッド横の介助スペース
廊下 歩行器・車いすのすれ違い、手すり
トイレ 入口幅、便器横の介助スペース
浴室 移乗方法、段差、必要な介助人数
食堂 車いすのまま食事できるか、席配置

将来の介護ベッド導入も考える

現在は普通のベッドでも、状態変化で介護ベッドが必要になる場合があります。サイズが変わったときに移動・介助スペースを確保できるか確認します。

夜間の設備|照明・見守り・呼出しを見る

夜間照明が明るすぎても暗すぎても負担になる

本人がトイレへ行くときに足元を確認できることは重要ですが、明るすぎる照明が睡眠を妨げる場合もあります。

呼出し設備を本人が使えるか

ナースコール等があっても、認知症によって使い方を理解できない場合があります。

本人が呼べない場合、職員がどのように巡回・見守りを行うのかを確認します。

防災設備は「設置」と「避難方法」を分けて確認する

グループホームには、法令に基づく消火設備その他の非常災害に必要な設備が求められます。

夜間にどのように避難するかを見る

火災・地震などの際、歩けない人、認知症で指示を理解しにくい人をどう誘導するのかを確認します。

避難訓練の実施、夜間想定訓練、地域との協力なども聞いてください。

設備が充実していても職員が使える体制が必要

見守り機器、特殊浴槽、防災設備などは、設置されているだけで安全を保証するものではありません。誰が、どの場面で、どのように使うかまで確認します。

見学で確認したい居室・設備

見学時の8項目

  • 家具を置いた後も安全に移動できるか
  • 本人になじみの家具を持ち込めるか
  • トイレまでの距離と夜間照明
  • 現在・将来の身体状態で浴室を使えるか
  • 共有スペースが本人にとって刺激過多ではないか
  • 一人で休める場所があるか
  • 車いすや介護ベッドでも動線を確保できるか
  • 災害時の避難方法が具体的か

まとめ|設備の基準より「本人の生活動作」で確認する

グループホームの居室は原則個室で、床面積7.43㎡以上という基準があります。また、居間、食堂、台所、浴室、消火設備などが設けられます。

ただし、基準を満たすことと本人が暮らしやすいことは同じではありません。

家具を置いた後の移動、夜間のトイレ、入浴介助、共有空間の刺激、将来の身体機能低下まで想定し、「本人がこの設備を実際に使えるか」で判断しましょう。

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