生活保護を受けている人や、今後生活保護の申請を考えている人が住宅型有料老人ホームを探すとき、「生活保護でも入居できるのか」「家賃や介護費はどうなるのか」「追加料金が出たら払えるのか」が気になります。
住宅型有料老人ホームは、生活保護受給者だから一律に入居できない施設ではありません。一方、どのホームでも利用できるわけではなく、家賃が住宅扶助の基準に収まるか、生活費・介護費・医療費・保険外費用をどう賄うか、福祉事務所と施設の双方に確認する必要があります。
結論|生活保護でも住宅型有料老人ホームへ入居できる場合がある
生活保護には、日常生活費を支える生活扶助、家賃等を支える住宅扶助、介護サービスを支える介護扶助、医療費を支える医療扶助などがあります。住宅型有料老人ホームに入居する場合も、これらを組み合わせて生活することは可能です。ただし、住宅扶助には地域・世帯人数等に応じた上限があり、ホームの家賃や管理費、食費、保険外サービス費のすべてが住宅扶助で支給されるわけではありません。また、介護扶助による介護サービスは生活保護法上の指定介護機関による給付が基本です。入居前に福祉事務所・ケースワーカーへ相談し、施設の料金内訳を確認してください。
最初に確認する3点
- 住宅扶助で家賃が収まるか確認する
- 介護扶助・医療扶助の対象と保険外費用を分ける
- 契約前にケースワーカーと施設へ確認する
住宅型有料老人ホームで生活保護は利用できる?
利用できる場合があります。
生活保護法では、最低限度の生活を維持するため、生活扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助などが必要に応じて支給されます。
住宅型有料老人ホームだから対象外になるわけではない
住宅型有料老人ホームは民間の高齢者向け住まいですが、生活保護受給者を受け入れているホームがあります。
施設ごとに受け入れ条件が違う
家賃設定、保証人条件、初期費用、保険外サービス費などが異なるため、「生活保護可」と表示されていても個別確認が必要です。
生活保護受給者ならどの住宅型でも入れるわけではない
家賃等が扶助の範囲に収まるか、施設独自費用を賄えるか、本人の介護・医療ニーズへ対応できるかまで確認します。
生活保護ではどの費用が支給される?
住宅型有料老人ホームでの生活費を考えるときは、扶助の種類ごとに分けて見ると分かりやすくなります。
| 扶助 | 主な対象 |
|---|---|
| 生活扶助 | 食費、被服費、光熱水費など日常生活費 |
| 住宅扶助 | 家賃等 |
| 医療扶助 | 診察、薬、治療など |
| 介護扶助 | 必要な介護保険サービス等 |
住宅扶助だけでホーム費用すべてが出るわけではない
住宅扶助の対象は住居費です。
ホームの管理費、食費、日用品費などまで、すべて住宅扶助として支給されるわけではありません。
生活扶助で日常生活費を賄う
食費、衣類、光熱水費など日常生活に必要な費用は、生活扶助の範囲で生活することになります。
住宅扶助で家賃はいくらまで支給される?
住宅扶助は、定められた範囲内で家賃等の実費を支給する仕組みです。
上限額は全国一律ではない
住宅扶助の限度額は、地域や世帯人数などによって異なります。
施設の所在地で確認する
同じ住宅型有料老人ホームでも、所在する自治体によって住宅扶助の基準額が異なる場合があります。
基準を超える家賃の施設は慎重に確認する
希望施設の家賃が住宅扶助の基準を超える場合、単純に差額を自己負担すればよいとは限りません。
入居可能か、福祉事務所・ケースワーカーへ事前相談してください。
最初にすること
施設探しを始める前に、担当ケースワーカーへ「住宅型有料老人ホームを検討している」と伝え、家賃の目安と確認手順を聞いておくと候補を絞りやすくなります。
管理費・食費は住宅扶助に含まれる?
ホームの月額料金には、家賃だけでなく管理費・食費などが含まれています。
管理費
共用部の維持、事務費、生活支援費などが含まれる場合があります。
何が住宅費として扱われ、何が生活費として扱われるかは、料金内訳を福祉事務所へ提示して確認します。
食費
食費は日常生活費に当たるため、住宅扶助とは別に考えます。
光熱水費
管理費込み、定額、実費など施設によって料金設定が異なります。
「月額○万円」ではなく内訳が必要
生活保護で入居可能か判断するときは、家賃・管理費・食費・光熱水費・生活支援費などを分けた料金表を確認してください。
介護サービス費は介護扶助の対象になる?
生活保護には介護扶助があります。
厚生労働省は、介護扶助について、必要な介護サービスの費用を介護事業者へ直接支払う仕組みとして案内しています。
本人負担なしが基本
介護扶助の対象となる介護サービス費については、原則として本人が窓口で自己負担を支払う形ではありません。
必要なサービスであることが前提
介護扶助は、本人の要介護状態等に応じて必要な介護サービスを保障する制度です。
指定介護機関を利用する
介護扶助による介護サービスは、生活保護法による指定介護機関が担当するのが基本です。
住宅型ホームで利用する訪問介護も介護扶助の対象?
住宅型有料老人ホームでは、必要に応じて外部の訪問介護、訪問看護、デイサービスなどを利用します。
訪問介護
ケアプラン等に基づき必要と判断された居宅介護サービスは、介護扶助の対象となり得ます。
デイサービス
通所介護なども、必要な介護サービスとして位置づけられれば対象となり得ます。
福祉用具
福祉用具についても、生活保護法の介護扶助の範囲に含まれています。
保険外サービスは別
介護保険給付・介護扶助の対象にならないホーム独自の有料サービスは、介護扶助で自動的に支給されるものではありません。
重要
「介護サービスは生活保護なら全部無料」と考えず、介護扶助の対象サービスなのか、ホーム独自の保険外サービスなのかを分けて確認してください。
医療費はどうなる?
生活保護には医療扶助があります。
診察
必要な診療は医療扶助の対象になります。
薬
処方薬なども医療扶助の対象となります。
訪問診療
住宅型有料老人ホームで訪問診療を受ける場合も、医療扶助の仕組みに基づいて利用します。
対象外の費用に注意する
診断書代など、医療扶助の対象外となる費用が生じることがあります。
生活保護でも自己負担が発生することはある?
あります。
介護扶助や医療扶助の対象外となる費用、ホーム独自のサービス費、日用品等は別に考える必要があります。
理美容費
訪問理美容を利用する場合、カット等の費用がかかることがあります。
おむつ・日用品
施設の料金体系や本人の状況によって、日用品等の実費が必要になります。
通院付き添い
ホーム職員による通院同行が保険外サービスとして設定されている場合があります。
個別の外出支援
買い物や墓参りなどの個別付き添いに追加料金が設定されている施設があります。
嗜好品
本人が希望する菓子・飲料など、生活扶助の範囲でやりくりする費用もあります。
「生活保護対応ホーム」の料金は何を確認する?
広告や紹介サイトで「生活保護相談可」「生活保護対応」と書かれていても、料金確認は必要です。
家賃
住宅扶助の基準内に収まる設定か確認します。
管理費
何に対する費用なのか、毎月固定かを確認します。
食費
1日3食の料金、欠食時の扱い、特別食の追加料金などを確認します。
生活支援費
安否確認、生活相談、清掃、洗濯など、どこまで含まれるか確認します。
介護保険外費用
通院付き添い、夜間の個別対応、買い物代行などの料金表を確認します。
入居一時金がある施設は利用できる?
生活保護を利用している場合、高額な入居一時金や前払金を必要とする住宅型有料老人ホームは選びにくくなります。
初期費用ゼロ・低額の施設を探す
生活保護受給者を受け入れているホームでは、初期費用を低く設定している場合があります。
敷金も確認する
敷金が必要な場合、その支払い方法について福祉事務所へ相談します。
先に自己判断で契約しない
契約金を支払った後で扶助の対象にならないと分かることを避けるため、契約前にケースワーカーへ相談してください。
生活保護受給中に要介護度が上がったら?
要介護度が上がった場合は、本人に必要な介護サービスを見直します。
ケアプランを見直す
排泄、入浴、移乗、訪問看護など、必要な支援を再評価します。
介護扶助も必要なサービスに応じて利用する
介護扶助は、必要な居宅介護等を保障する仕組みです。
ホームの受け入れ体制も確認する
介護扶助が使えることと、ホームが重度者を安全に受け入れられることは別です。
夜間の介護、医療処置、認知症症状などに対応可能か確認してください。
生活保護申請前でも住宅型を探せる?
現在の収入や資産では今後の施設費を払えない可能性がある場合、入居契約を先に進めるのではなく、福祉事務所へ相談することが重要です。
生活保護の相談窓口は福祉事務所
生活保護の相談・申請は、居住地を所管する福祉事務所が窓口です。
最低生活費と収入を比較して判断される
厚生労働省は、最低生活費と収入を比較し、収入が最低生活費に満たない場合、その差額を保護費として支給すると説明しています。
施設入居ありきで決めない
本人の収入、資産、介護状態、現在の住居状況などを踏まえ、どの住まいが適切か相談します。
施設探しはケースワーカーと一緒に進める
生活保護を利用して住宅型有料老人ホームへ入居する場合、ケースワーカーとの事前調整が重要です。
01
施設を探す前に予算条件を確認する
住宅扶助の基準、生活費の見通し、初期費用の扱いなどを確認します。
02
候補施設の料金表を入手する
家賃、管理費、食費、光熱水費、生活支援費を分けて確認します。
03
介護事業所の指定状況を確認する
利用予定の訪問介護等が、介護扶助を担当できる指定介護機関か確認します。
04
保険外費用を洗い出す
介護扶助・医療扶助の対象外となる追加料金を確認します。
05
福祉事務所の確認後に契約する
費用の見通しを確認してから入居契約を進めます。
入居前に確認したい10項目
01
生活保護受給者を受け入れていますか?
現在の受け入れ状況を確認します。
02
家賃はいくらですか?
住宅扶助の基準と照らし合わせます。
03
管理費の内訳は何ですか?
住居費と生活支援費を区別できるようにします。
04
食費・光熱水費はいくらですか?
毎月の生活費として無理なく賄えるか確認します。
05
初期費用はありますか?
敷金、前払金、保証会社費用などを確認します。
06
利用する介護事業所は指定介護機関ですか?
介護扶助で利用できるか確認します。
07
保険外サービスはありますか?
通院付き添い、夜間対応、買い物代行などを確認します。
08
おむつ・日用品は別料金ですか?
毎月の実費を試算します。
09
要介護度が上がっても住み続けられますか?
将来の介護・医療体制を確認します。
10
料金改定時はどうなりますか?
家賃、管理費、食費などが上がった場合の対応を確認します。
生活保護で住宅型を探すときの最終チェック
- 福祉事務所・ケースワーカーへ先に相談した
- 住宅扶助の基準を確認した
- 家賃・管理費・食費の内訳を確認した
- 初期費用の有無を確認した
- 介護扶助の対象サービスを確認した
- 利用予定事業所の指定状況を確認した
- 医療扶助の対象外費用を確認した
- ホーム独自の保険外料金を確認した
- 重度化後も受け入れ可能か確認した
- 将来の料金改定にも対応できるか確認した
まとめ|生活保護でも入居可能。ただし「家賃・介護・実費」を分けて確認する
生活保護を受けている人でも、条件が合えば住宅型有料老人ホームへ入居できます。
生活保護には、日常生活費を支える生活扶助、家賃等を支える住宅扶助、介護サービスを支える介護扶助、医療を支える医療扶助があります。住宅型有料老人ホームで生活する場合も、これらを本人の必要に応じて利用します。
ただし、住宅扶助には地域等に応じた基準があり、ホームの月額料金すべてを住宅扶助で支払えるわけではありません。また、ホーム独自の保険外サービスや日用品など、扶助の対象外となる費用が発生する場合があります。
施設を契約する前に、担当ケースワーカーへ相談し、候補ホームの料金表を「家賃」「管理費」「食費」「生活支援費」「介護保険サービス」「保険外費用」に分けて確認してください。生活保護対応という表示だけで判断せず、毎月の費用全体と将来の介護・医療体制まで確認することが重要です。