老人福祉サービスが充実してきていることは間違いありませんが、しかし、あまりにも急激に充実してしまったがために、具体的な報関連の整備もまた急に行われてしまったという印象も正直あって、そのため、サービスの分類が非常に雑多になってしまっているという印象も少なからずあるという気がします。
その代表的な例が、「デイサービス」と「デイケアサービス」です。どちらも非常に似通った印象を与えることばであることは間違いありませんし、実際、お年寄りの方が対象となるという点についても、本質的には同じですから、どうしても誤解が生じやすいということにはなるでしょう。
そこでここでは、「デイサービス」についてお話していきたいと思います。
「デイサービス」というのは、あくまでも「介護施設」であるという認識が必要になります。つまり、「要介護」に認定されているお年寄りがデイサービスを利用するということになります。
ただ、「要介護」の前段階である「要支援」のお年寄りの方がデイサービスを利用することができないというわけではないので、このあたりがまた少々ややこしくなってしまったりもします。
特にややこしいと感じられるのが、「要支援1」のお年寄りの介護施設の利用です。要支援認定を受けているお年寄りの方は、「要介護」の認定をもらうのをできるだけ先延ばしにするということを目標としていることになります。
要支援認定には「要支援1」と「要支援2」とがありますが、より症状が軽度である「要支援1」の認定のお年寄りが、デイサービスなどの介護施設を利用する場合には、いろいろと注意しなければならないことがあります。
要支援1のお年寄りがデイサービスを利用する場合には、「介護予防のためのリハビリ」が当然メインになってくるわけですが、その場合、「複数の事業所のサービスを受けることができない」というルールが定められているのです。この部分はかなり間違いやすい部分ですので、注意が必要になります。
デイケアサービスの1日の流れ
どんな仕事でもそうですが、デイケアサービスにも当然「1日の流れ」というものがあります。
もちろんこれに関しては、介護保険料だとかそれに基づいた施設の利用料金のように、法的な拘束力はありませんので、ある程度施設によって流れが異なるといえるでしょう。
ですから、こちらでここからご紹介する「デイケアサービスの1日の流れ」については、ほんの一例にしかすぎないということをあらかじめご了承いただいて、では、デイケアサービスを提供する施設ではいったいどんな感じで1日が流れていくのかということについてお話していきたいと思います。
デイケアサービスの範囲には、「送迎」も含まれますので、デイケア施設の1日のスタートは、やはり「送迎」からということになります。
だいたい9時~9時半に施設がオープンするという場合が多いので、送迎は8時半から8時50分くらいまでということになるでしょう。
施設に到着したら、まずはお茶を一杯・・・というサービスを提供しているところが多いようです。
そして、だいたい10時くらいから、「血圧測定」などの健康チェックを行います。ご高齢の方は、どうしても日々体調の変化が起こりやすくなってきますから、これもデイケアでは非常に重要なサービスになります。
そして、10時半くらいから入浴のサービスがあり、そして11時くらいから、デイケアの最大の目的である「リハビリ」が行われることになります。そしてお昼くらいから、昼食、そして静養ということになります。
だいたいお昼の休憩時間は2時間くらいと長めです。午後は2時くらいからのスタートということで、ここでは1時間くらいかけて、ふたたび「リハビリ」を行うことになります。
ただ、時々レクリエーションをこのタイミングで行うという施設も多いです。そして、15時からはちょっとした「おやつタイム」をとる施設が多いです。
あとは、リハビリのあとの簡単なケア(体操など)をして、帰り支度をして、おしまい・・・という感じの流れになります。
デイケアサービスの施設基準
デイケアサービスを提供する施設の場合、サービスの内容はもちろん、施設の面積、医師や看護師、さらには介護スタッフの人数など、いろいろとクリアすべき項目があります。ここでは、そういった「デイケアサービス施設の施設基準」についてお話していきたいと思います。
デイケアサービスを提供する施設の場合、「専従の医師」が1名以上必要となります。また、「看護職員」についても同様で、「理学療法士(PT)」、「作業療法士(OT)」、「言語聴覚士(ST)」、「看護師」、「准看護師」がそれぞれ必要になります。加えて、看護師以外の「介護職員」が必要となります。
看護職員は、専従職員である必要はないのですが、しかし「理学療法士(PT)」、「作業療法士(OT)」、「言語聴覚士(ST)」のうちの最低でも1人は、専従看護職員である必要があるという点では、デイケアサービス施設を開設する際には、運営者に注意が必要となります。
そして、デイケアサービス施設の施設基準の中でもけっこうたいへんな基準となるのが、「施設の敷地面積」です。デイケアサービス施設の敷地面積で特に重要になってくるのが、「リハビリ専用室」の面積です。
こちらは、「利用者1人につき3平方メートル」の面積が必要になります。このあたりは、利用者の安全を考慮して算出された面積ですので、例外は一切認められていません。
もちろん、リハビリの際に必要となる器具、機器などのリハビリ専用の機器、器具などを常備しておかなければならないなども施設基準に含まれますので、これについてもしっかりとチェックしておかなければなりません。
精神科のデイケアサービスは、「ショートケア」、「デイケア」、「ナイトケア」、「デイ・ナイトケア」の4種類に分類することができますが、これはすべて時間帯によって名称が変わるというイメージになります。そして、このそれぞれについて、「精神看護」が行われることになります。
また、精神科病院や神経科クリニック以外にも、「保健所」や「精神保険福祉センター」でも精神看護のサービスが提供されることがあります。もちろん、精神看護サービス単体でのサービスを提供している施設もあります。
精神看護のサービスが必要となる患者さんの年齢層は非常に広く、若ければ20代前半から精神看護サービスを利用する患者さんがいます。
そして、お年寄りでは65歳前後の方も精神看護サービスを利用している患者さんがいます。
一番多いとされるのが、40代、50代といった、いわゆる「働き盛り」と呼ばれる世代の患者さんということで、やはりそれだけストレスを抱え込まなければならない立場の方が多いということになるでしょう。
このように、精神科病院や神経科クリニックなどの関連施設のデイケアサービスにおける精神看護は、非常に多くの立場や境遇の患者さんにとってとても大きな役割を担っているといえるでしょう。
それだけに、精神看護のスタッフの人手不足もやや深刻化していますし、また、そういった状況がやや慢性化してきている印象もあります。このあたりの事情は、今後の課題ということになるでしょう。
デイサービスでも看護師が活躍
看護師さんというと、病院での仕事が真っ先に思い浮かぶことになると思いますが、しかし実際には、病院以外の施設でも看護師さんが活躍するケースは少なくありません。
そして、その代表的な活躍の場所が「デイサービス」ということになります。デイサービスというのは、主に介護が必要であるお年寄りへの介護サービスを提供する施設ということで、おそらくそのサービス内容についてもけっこう多くの人が理解するようになってきているのではないか、とい気がします。
ただ、デイサービスという施設の場合、看護師とは別に、介護スタッフがちゃんといるわけですから、看護師さんと、看護師さん以外の介護スタッフさんの仕事が明確に別れるケースが多いということになります。
ただし、これはある程度大きな規模のデイサービス施設に足していえることであり、規模が小さいデイサービス施設においては、看護師さんが介護スタッフさんの仕事をするようなケースもまったくないとは言えません。
ただ、介護スタッフさんが看護師さんの仕事をするということは、一般的には考えられないといえます。というのも、看護師さんの仕事というのは、看護師の資格がないとできない仕事が多く含まれているからです。
そういった仕事を、看護師の資格を持たない介護スタッフさんがやってしまうと、かなり大きな問題となってしまいます。
万一のことがその施設内で起こってしまった場合、もしそこにそういった「本来看護師さんがすべき仕事を、看護師さん以外の介護スタッフが行ったことが原因で起こってしまった」ような事実が絡んでくるとすると、これは非常にまずいことになります。
まあもちろんそのあたりは施設単位でしっかりと管理していただいているとは思いますが、しかし、何しろデイサービスの施設というのは、慢性的にかなり忙しくしているというところが多いですから、「ついうっかり」の部分には十分注意していただきたいというふうに思います。
厚生労働省によるデイサービスの情報
主にお年寄りへのサービスとなる介護関連サービスを管轄しているのは厚生労働省です。
ですから、たとえばデイサービスなど、主要な介護サービスに関連した情報を知りたいということであれば、厚生労働省のホームページを見ていただけると、概要という意味では、ほぼすべての情報を知ることができるということになります。
かつて厚生労働省のホームページは、いかにもお役人らしく、「とてもわかりづらい構成」になっていた印象も正直ありますが、近年のホームページはだいぶ見やすくなってきているという気もしますので、やはり一番手っ取り早いのが、厚生労働省のホームページを閲覧するという方法になるのではないかという気がします。
もちろん、厚生労働省とは無関係の民間のホームページや、デイサービスなど、介護施設で立ち上げているホームページなどでも詳細を知ることができるという意味では、メリットは大きいと思います。
特に、入所や通所を希望する具体的な施設がすでにわかっている場合においては、その介護施設のホームページを直接閲覧したほうが手っ取り早いケースが多いです。
厚生労働省のホームページの場合、そうした民間のホームページとはちがって、たとえば「デイサービスとは何か」とか、「デイケアサービスとは何か」とか、さらには「デイサービスとデイケアサービスのちがいはどういうところか」などといった、あくまでも概要の部分になりますので、そういったことに関して知りたいというケースでは、民間のホームページよりも厚生労働省のホームページを閲覧するほうが目的達成の近道ということになるでしょう。
ただ、民間の当サイト以外のホームページでもデイサービスなど介護施設に関する説明をしているホームページがあります。
どれもなかなかよく調べてあることは間違いないのですが、しかし中には、誤った情報が掲載されているホームページもあるようですから、信憑性高い概要を知りたいということであれば、やはり厚生労働省のほうがよいといえます。
デイサービスを経営側から見て浮き出てくる課題
ある程度の規模で大きく回しているデイサービス施設の経営であれば、基本的にな後ろ盾が大きいというケースが多いですから、経営の面でそんなに心配する必要はないと思われます。
そういったデイサービス施設であれば、よほどのことがない限り破綻してしまうようなことはないでしょう。
というよりも、規模が大きくなるとすると、その地域のデイサービスを一手に担っているというケースも少なくないわけですから、経営を破たんさせるわけにはいかないという部分のほうが大きいのです。
しかし、たとえば10人以下の小規模なデイサービス施設の場合、経営状態が芳しくないという実情も、かなり多くの施設で抱え込んでいるという話はよく耳にします。
何しろ、介護報酬にくらべると、どうしても重労働になりがちな業界ですから、資金繰りそのものよりも、「人手不足」がより深刻な状況に陥りやすいのが、小規模なデイサービス施設ということになってしまいます。
どうしても、人海戦術の部分では、大規模なデイサービス施設にはかなわないところが出てきてしまうのです。
一般的に「忙しいことは良いことだ」などと言われることが多いですが、しかし実際のところ、あまりにもそれが過度な状況に達してしまうと、サービスの質の低下につながってくるのも明らかですから、そうなってしまうと、今度は何かと不都合が生じやすくなり、場合によっては信用問題にまで発展してしまうことにもなります。
そうなると、徐々に経営を圧迫するような自体に追い込まれてしまうことにもなりかねませんので、早目の対策が必要になってくるといえるでしょう。