介護付き有料老人ホームの費用はいくら?入居金と月額料金を解説

介護付き有料老人ホームの費用は、施設によって大きく異なります。入居時にまとまった金額を支払うホームもあれば、入居時費用を抑えて毎月の支払いを中心にするホームもあります。

そのため、「介護付き有料老人ホームはいくらかかる?」という疑問には、全国一律の金額ではなく、入居時に必要なお金と、毎月必要なお金を分けて考えることが重要です。

まず結論|介護付き有料老人ホームの費用は「入居時費用+毎月の利用料+介護保険自己負担」で見る

介護付き有料老人ホームの主な費用は、入居時に支払う前払金・敷金などと、毎月支払う家賃相当額、管理費、食費、光熱水費、介護保険自己負担などです。前払金を0円にして月額を高く設定するホームもあれば、家賃などの一部を前払いして月額を抑えるホームもあります。介護保険の特定施設入居者生活介護は、1割負担の場合、現行の基本額で要介護1が1日542円、要介護5が813円ですが、地域区分や加算によって実額は変わります。施設比較では広告の「月額○万円」だけでなく、入居時費用を含めた総額と、何が料金に含まれているかを確認しましょう。

介護付き有料老人ホームの費用は何に分かれる?

費用を理解するには、まず「入居時」と「毎月」に分けます。

支払う時期 主な費用
入居時 前払金、敷金など
毎月 家賃相当額、管理費、食費、光熱水費、介護保険自己負担など

さらに、医療費、理美容費、日用品費、個別に利用したサービスなどが別途必要になることがあります。

施設によって料金項目の名称が違うため、「月額利用料」という言葉だけでは総額を比較できません。

広告の「月額○万円」だけでは実際の支払額は分からない

表示されている月額に、介護保険自己負担、医療費、日用品費などが含まれていない場合があります。料金表では「含まれる費用」と「別途必要な費用」を必ず分けて確認してください。

入居金・前払金とは?

有料老人ホームでは、入居時に「前払金」「入居一時金」などの名称でまとまった金額を支払う方式があります。

厚生労働省の有料老人ホーム設置運営標準指導指針では、前払い方式について、終身にわたって受領する家賃やサービス費用の全部または一部を、入居時にまとめて受領する方式として整理されています。

前払金が0円のホームもある

介護付き有料老人ホームだから必ず入居金が必要なわけではありません。

前払金を設定せず、家賃などを毎月支払う「月払い方式」を採用しているホームもあります。

また、一つのホームで「前払金あり」と「前払金なし」の複数プランを用意している場合もあります。

前払金を払うと月額が低くなる場合がある

家賃などの一部を入居時に前払いすることで、その後の月額支払いが低く設定されているプランがあります。

一方、入居時費用を抑えたプランでは、毎月の家賃相当額が高くなることがあります。

したがって、「入居金が安い方がお得」「月額が安い方がお得」と単純には判断できません。

前払金を払うときは何を確認する?

前払金があるホームでは、金額だけではなく、その算定方法と退去時の扱いを確認する必要があります。

算定根拠を書面で確認する

厚生労働省の標準指導指針では、前払金を受け取る場合、算定根拠を書面で明示し、必要な保全措置を講じることが示されています。

契約前には、重要事項説明書などで、前払金が何の費用を前払いするものなのか確認してください。

途中退去時の返還方法を確認する

前払金は、契約内容に応じて一定期間にわたり償却される仕組みが一般的です。

途中で退去した場合に未償却分がどのように返還されるかは重要な確認事項です。

ここでは費用全体の見方に絞りますが、契約時には、償却期間、初期償却の有無、返還金の計算方法を必ず書面で確認しましょう。

POINT

前払金は「入居するために消えてしまうお金」と一律に考えるのではなく、何の対価を前払いしているのか、何年で償却するのか、早期退去時にいくら戻るのかを確認することが重要です。

毎月の基本費用には何が含まれる?

介護付き有料老人ホームの月額費用は、主に次の項目で構成されます。

  • 家賃相当額
  • 管理費
  • 食費
  • 光熱水費
  • 介護保険サービスの自己負担

ただし、ホームによっては光熱水費を管理費に含めたり、居室ごとに実費精算したりするため、項目名だけで判断しないことが大切です。

家賃相当額

居室を利用するための費用です。

立地、建物、居室面積、設備などによって金額は大きく異なります。

前払金で家賃の一部を支払っているプランでは、月々の家賃相当額が低く設定されることがあります。

管理費

共用施設の維持管理、事務管理、生活支援などに必要な費用として設定されます。

「管理費」という名前でも、含まれるサービスはホームによって異なります。

食費

毎日の食事にかかる費用です。

1日3食を定額で計算するホーム、実際に食べた食数で精算するホームなど、計算方法には違いがあります。

入院や外泊で食事を取らなかった場合の扱いも確認しておくとよいでしょう。

光熱水費

居室の電気・水道などについて、定額、実費、管理費込みなど施設ごとに扱いが異なります。

パンフレットの月額表示に含まれているかを確認してください。

介護保険の自己負担はいくら?

介護付き有料老人ホームで「特定施設入居者生活介護」を利用する場合、介護保険サービス費の1割、一定以上の所得がある人は2割または3割を負担します。

厚生労働省の介護サービス情報公表システムが示す現行の基本額では、1割負担の場合、1日あたり次の金額が目安です。

要介護度 1割負担・1日あたり
要介護1 542円
要介護2 609円
要介護3 679円
要介護4 744円
要介護5 813円

30日分として単純計算すると、1割負担の基本額は約16,260~24,390円です。

実際の請求額はこの金額だけでは決まらない

この金額は基本的なサービス費の目安です。

実際には、ホームの所在地による地域区分や、提供されたサービス・職員体制に応じた加算などが反映されます。

そのため、入居候補のホームには本人の要介護度と負担割合を伝え、介護保険自己負担の月額見込みを出してもらいましょう。

要支援1・2の料金も設定されている

介護予防特定施設入居者生活介護の指定を受けたホームでは、要支援1・2の人も介護保険サービスを利用できます。

1割負担の基本額は、要支援1が1日183円、要支援2が313円です。

1割・2割・3割で月額はいくら変わる?

介護保険サービスの負担割合は、介護保険負担割合証で確認できます。

同じ介護サービス費であれば、2割負担の人は1割負担のおおむね2倍、3割負担の人はおおむね3倍が介護保険自己負担の目安になります。

家賃や食費まで2倍・3倍になるわけではない

負担割合が適用されるのは、介護保険対象となるサービス費です。

家賃相当額、管理費、食費などは別の料金です。

そのため、1割負担から2割負担になっても、ホームへの月々の支払総額がそのまま2倍になるわけではありません。

月払い方式と前払い方式はどちらが安い?

どちらが有利かは、前払金の金額、月額料金、入居期間によって変わります。

方式 特徴
月払い方式 入居時費用を抑えやすい一方、月々の家賃相当額が高くなる場合がある
前払い方式 入居時負担は大きいが、月々の支払額を抑えられる場合がある

短期間で退去する可能性も考える

本人の病状や家族事情によって、想定より早く退去する可能性もあります。

前払金を選ぶ場合は、早期退去時の返還金を確認し、短期間で退去しても大きな不利益が出ないかを見てください。

長期入居なら月額差が積み上がる

月払い方式と前払い方式で月額に数万円の差がある場合、数年間では大きな差になります。

比較するときは入居時費用だけでなく、3年、5年など一定期間利用した場合の総額を試算すると判断しやすくなります。

介護度が高くなると費用はどう変わる?

特定施設入居者生活介護の基本サービス費は、要介護度が高くなるほど高く設定されています。

そのため、要介護度が上がると介護保険自己負担も増えるのが基本です。

家賃・管理費は要介護度と連動しないことが多い

要介護度が上がったからといって、家賃相当額や通常の管理費まで自動的に上がるとは限りません。

どの費用が要介護度によって変わり、どの費用が変わらないのかを料金表で分けて確認します。

将来の料金でも資金計画を作る

入居時が要介護1でも、長期入居中に要介護3、4、5へ変化することがあります。

入居時点の金額だけでなく、要介護度が上がった場合の介護保険自己負担も確認しておくと、将来の費用を見通しやすくなります。

料金表はどの順番で見ればいい?

介護付き有料老人ホームの料金表は項目が多いため、順番を決めて確認すると整理しやすくなります。

01

入居時費用を確認する

前払金、敷金など、入居前または入居時に必要な金額を確認します。

02

毎月固定で払う費用を確認する

家賃相当額、管理費など、利用量にかかわらず毎月発生する費用を確認します。

03

食費・光熱水費を確認する

定額か実費か、月額表示に含まれているかを確認します。

04

介護保険自己負担を加える

本人の要介護度と1~3割の負担割合を反映した月額を確認します。

05

別途費用の有無を確認する

料金表の基本額に含まれない費用があることを前提に、見積書の項目を確認します。

「月額利用料」に含まれるものはホームごとに違う

ホームAが月額18万円、ホームBが月額20万円と表示されていても、Aの方が必ず安いとは限りません。

たとえば、片方は光熱水費込み、もう片方は実費ということがあります。

食費についても、30日分を一律で表示している場合と、実際の食数で精算する場合があります。

同じ条件にそろえて比較する

複数施設を比較するときは、本人の条件をそろえて見積もりを依頼します。

  • 1人入居
  • 希望する居室タイプ
  • 現在の要介護度
  • 介護保険の負担割合
  • 通常の1か月を30日として試算

条件をそろえることで、料金表の表示方法の違いに惑わされにくくなります。

入居時費用0円なら安いとは限らない

「入居金0円」は初期負担を抑えたい人には大きなメリットがあります。

一方で、月払い方式では家賃相当額が高めになることがあるため、長期間入居すると前払い方式より総額が大きくなる場合もあります。

0円の対象範囲を確認する

「入居金0円」と表示されていても、敷金や初月利用料など、入居前に別の支払いが必要な場合があります。

広告の大きな数字だけでなく、「契約までに必要な総額はいくらか」を確認してください。

入居時に実際に用意する金額を聞く

契約時には、次のように質問すると具体的です。

「このプランで契約する場合、入居日までに実際に振り込む総額はいくらですか」

これにより、前払金以外の初期費用も含めて把握しやすくなります。

費用比較では何年住むかを想定する

介護付き有料老人ホームは長期的な住まいになる可能性があります。

そのため、1か月の料金だけではなく、一定期間での支払総額を比較することが重要です。

3年・5年などで試算する

たとえば前払金ありプランと月払いプランを比較する場合は、次のように計算します。

  • 入居時に必要な金額
  • 月額固定費×想定月数
  • 介護保険自己負担の見込み

将来の要介護度や物価、料金改定までは正確に予測できませんが、現在の料金で比較するだけでも支払い方式の違いが見えます。

手元資金を残すことも考える

前払金を多く支払えば月々の負担を抑えられる場合がありますが、その分、手元の現金は減ります。

今後の医療費や家族の生活費なども考え、入居費用に資産を使いすぎないよう資金計画を立てることが大切です。

重要事項説明書で料金の根拠を確認する

有料老人ホームでは、契約前に重要事項説明書を確認することが重要です。

厚生労働省の標準指導指針では、契約に際して、利用料等の支払方法などについて事前に十分説明することが求められています。

パンフレットと契約書類の両方を見る

パンフレットは比較しやすい一方、料金条件をすべて記載しているとは限りません。

最終的には、重要事項説明書、入居契約書、料金表を突き合わせて確認します。

値上げの条件も確認する

長期入居では、管理費、食費などが将来改定される可能性があります。

どの費用が変更される可能性があるか、変更時にどのような説明が行われるかも契約前に確認しておくと安心です。

入居前に確認したい料金の質問

費用のチェックリスト

  • 入居日までに必要な費用の総額はいくらですか
  • 前払金0円のプランはありますか
  • 前払金は何の費用を前払いするものですか
  • 途中退去した場合の返還方法はどうなっていますか
  • 月額利用料には何が含まれていますか
  • 家賃相当額はいくらですか
  • 管理費にはどのサービスが含まれますか
  • 食費は定額ですか、食数精算ですか
  • 光熱水費は月額に含まれますか
  • 現在の要介護度で介護保険自己負担はいくらですか
  • 介護度が上がると月額はいくら変わりますか
  • 1割・2割・3割負担それぞれで試算できますか
  • 基本料金以外に毎月発生しやすい費用は何ですか
  • 料金改定が行われる場合のルールはどうなっていますか
  • 3年・5年入居した場合の支払総額を試算できますか

最も分かりやすいのは、本人の要介護度、負担割合、希望する居室・料金プランを伝え、「入居時に払う金額」と「通常月に払う金額」を分けた見積書を作成してもらうことです。

まとめ|入居金と月額料金を分け、総額で比較する

介護付き有料老人ホームの費用は全国一律ではなく、施設の立地、居室、料金方式、サービス内容などによって大きく異なります。

まず、入居時に前払金・敷金などが必要かを確認し、次に毎月の家賃相当額、管理費、食費、光熱水費、介護保険自己負担を確認します。

介護保険の基本サービス費は要介護度によって異なり、1割負担の場合、現行の目安では要介護1が1日542円、要介護5が813円です。ただし、地域区分や加算によって実額は変わります。

前払金を設定するホームでは、金額だけでなく、算定根拠、償却、退去時の返還方法も確認が必要です。

「入居金が安い」「月額が安い」という一つの数字だけで決めず、同じ条件で3年・5年などの総支払額を試算し、無理なく払い続けられる施設を選ぶことが大切です。

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