住宅型有料老人ホームで介護量が増えてくると、「朝夕だけの訪問介護では足りない」「夜中にトイレ介助が必要になったときはどうするのか」と不安になることがあります。
そのようなときに選択肢となるのが、定期巡回・随時対応型訪問介護看護です。定期的な訪問に加えて、必要時の通報、随時訪問、訪問看護との連携を組み合わせ、24時間365日の在宅生活を支える地域密着型サービスです。
まず結論|住宅型でも利用できる。ただし「要介護1〜5」「事業所のサービス地域」「ホームでの利用可否」を確認する
住宅型有料老人ホームは、介護が必要になった場合に外部の居宅サービスを個別契約して利用する仕組みです。そのため、条件が合えば定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用できます。厚生労働省はこのサービスを、定期巡回、随時通報への対応、必要に応じた随時訪問、訪問看護との連携によって24時間365日柔軟に支援するサービスと説明しています。ただし、対象は要介護1〜5で要支援1・2は利用できません。地域密着型サービスのため原則として住所地の市区町村が指定する事業所を利用しますが、住所地特例対象者には別の取扱いがあります。入居予定の住宅型で利用できる事業所を、ケアマネジャー、施設所在地の市区町村、必要に応じ現在の保険者へ確認してください。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは?
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、要介護者ができる限り住み慣れた居宅で暮らし続けられるよう、日中・夜間を通じて介護と看護を柔軟に提供する介護保険の地域密着型サービスです。
住宅型有料老人ホームの居室も、介護保険上の居宅サービスを利用する生活の場となるため、条件を満たせば利用対象になり得ます。
定期巡回サービス
あらかじめ計画した時間帯に訪問介護員等が訪れ、排せつ、起床、就寝、服薬確認、食事前後の介助など、本人に必要な支援を行います。
一般的な訪問介護のように「長時間の訪問を1回」という使い方だけではなく、必要なタイミングに短時間の訪問を複数回組み合わせやすいことが特徴です。
随時対応サービス
利用者や家族からの通報をオペレーターが受け、本人の状態や通報内容を確認します。
電話等での相談で対応できるのか、訪問が必要なのかを判断し、必要に応じて訪問介護員等へ指示します。
随時訪問サービス
通報内容から実際の訪問が必要と判断された場合に、訪問介護員等が居室へ向かいます。
「夜中に急にトイレ介助が必要になった」「ベッドからずり落ちて一人では戻れない」など、予定外の支援が必要になった場合に役立つ仕組みです。
訪問看護サービス
一体型事業所では、同じ事業所が訪問介護と訪問看護を提供します。
連携型では、定期巡回事業所が地域の訪問看護事業所と連携してサービスを提供します。
看護が必要な場合は、本人の病状や主治医の指示を踏まえて利用内容が決まります。
「24時間365日」=職員が居室に24時間付き添うサービスではない
24時間365日とは、必要な時間帯に定期巡回や通報対応、随時訪問につなげられるサービス体制を意味します。本人の居室に介護職員や看護師が常時待機するという意味ではありません。
住宅型有料老人ホームでも利用できる理由
住宅型有料老人ホームは、ホーム本体が特定施設入居者生活介護として介護を包括提供する「介護付き有料老人ホーム」と仕組みが異なります。
住宅型では、介護が必要になった入居者が訪問介護、訪問看護、通所介護などの居宅サービスを個別に契約して利用するのが基本です。
有料老人ホームの入居者が定期巡回を利用することは制度上想定されている
介護報酬には、定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所と同一敷地内・隣接敷地内等の建物に住む利用者へのサービス提供について、所定単位数を調整する「同一建物等」の規定があります。
その対象には有料老人ホーム等も含まれており、有料老人ホームの入居者へ定期巡回サービスを提供すること自体が制度上想定されています。
ホームに定期巡回事業所が併設されている場合もある
住宅型有料老人ホームの中には、同一建物や同一敷地に定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所を併設・連携しているところがあります。
この場合、施設職員と事業所の訪問介護員が同じ建物内で働いているように見えても、ホームの生活支援と介護保険の定期巡回サービスは契約上別のサービスです。
外部事業所を利用できるケースもある
ホームに定期巡回事業所が併設されていなくても、地域の事業所がそのホームを通常の事業実施地域としており、サービス提供体制が整えば利用できる場合があります。
ただし、「近くに事業所がある」だけでは利用できるとは限りません。本人の住所、市区町村指定、事業所の実施地域、訪問体制を確認する必要があります。
利用条件|要介護1〜5・市区町村条件を確認する
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、すべての高齢者が利用できるサービスではありません。
対象は要介護1〜5
厚生労働省の介護サービス情報公表システムでは、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の対象は要介護1〜5とされています。
要支援1・2の人は利用できません。
そのため、住宅型有料老人ホームへ自立・要支援の段階で入居し、将来このサービスを使いたいと考えている場合は、要介護認定後に改めて利用可否を検討することになります。
要介護認定だけで自動的に利用できるわけではない
要介護1以上なら全員に定期巡回が必要というわけではありません。
本人が一日の中でどの時間帯に、何回、どのような介助を必要としているかを整理し、ケアマネジャーが他のサービスも含めてケアプランを検討します。
短時間の介助を複数回必要とする人と相性がよい
たとえば、朝の起床、昼の排せつ、夕方の移乗、就寝前の介助など、一日の中で複数回の支援を必要とする人では、定期巡回の仕組みが生活に合う場合があります。
一方、週1回の掃除だけを希望するなど、支援量が少ない場合には、通常の訪問介護の方が適していることもあります。
地域密着型サービスなので市区町村の条件を確認する
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は「地域密着型サービス」です。
そのため、事業所がどこにあるかだけでなく、本人の住所がどの市区町村になるかが重要です。
原則は住所地の市区町村が指定する事業所を利用する
介護サービス情報公表システムでは、地域密着型サービスは原則として、住んでいる市区町村以外の事業所を利用できないと案内されています。
ただし、有料老人ホームが介護保険の住所地特例対象施設に該当する場合、施設へ住民票を移しても、介護保険の保険者が入居前の市区町村のままになることがあります。住所地特例対象者については、施設所在地の市区町村が指定する一定の地域密着型サービスを利用できる仕組みがあるため、「保険者と施設所在地が違うから利用できない」と一律に判断しないでください。
候補の住宅型が住所地特例の対象か、本人が住所地特例対象者になるか、利用予定の定期巡回事業所が対象となるかを、施設所在地の市区町村、現在の保険者、ケアマネジャーへ確認します。
市境に近いホームでは特に確認する
ホームのすぐ近くに定期巡回事業所があっても、自治体が異なれば原則としてそのまま利用できるとは限りません。
候補事業所名をケアマネジャーまたは市区町村の介護保険窓口へ伝え、指定状況を確認してください。
ホーム入居前に事業所の有無を調べる
定期巡回サービスは、地域によって事業所数や対応範囲が異なります。
「入居してから必要になれば使えばよい」と考えるのではなく、将来頻回な介助が必要になる可能性が高い人は、入居前に地域の事業所とホームの連携実績を確認しておくと安心です。
夜間介助と訪問看護はどこまで対応できる?
定期巡回なら夜間の介助も頼める?
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は日中・夜間を通じたサービスですが、夜間に必要な介助をすべて無条件で依頼できるわけではありません。
計画された夜間訪問
夜間の排せつ、体位変換、就寝後の確認など、本人に必要な支援としてケアプラン・サービス計画に位置づけられれば、定期巡回として訪問する場合があります。
予定外の介助は随時通報から判断する
予定していなかった介助が必要になった場合は、利用者側から通報し、オペレーターが状況を確認して随時訪問の必要性を判断します。
「呼べば何でもすぐ来る」とは限らない
随時訪問は、本人の状態や通報内容に応じて必要性を判断して提供する仕組みです。
事業所からホームまでの距離、同じ時間帯の他利用者への対応状況などもあるため、見学時には「夜間にコールしてから訪問まで、普段どのように対応していますか」と運用を確認してください。
ホームの夜勤職員と定期巡回の職員を混同しない
住宅型有料老人ホームにはホーム側の夜勤・宿直職員がいる場合がありますが、その職員と定期巡回事業所の訪問介護員は役割が異なることがあります。
夜間に誰がコールを受け、誰が居室へ訪問し、施設職員とどう情報共有するのかまで確認することが重要です。
訪問看護も24時間来てもらえる?
サービス名に「訪問介護看護」とあるため、「看護師も24時間いつでも居室へ来る」と誤解しやすい点に注意が必要です。
一体型と連携型で仕組みが違う
| 方式 | 仕組み |
|---|---|
| 一体型 | 同一事業所が訪問介護と訪問看護を提供 |
| 連携型 | 定期巡回事業所が外部の訪問看護事業所と連携 |
看護職員の連絡体制と実際の訪問体制は分けて確認する
人員基準では、看護職員のうち1人以上についてサービス提供時間帯を通じた連絡体制の確保が求められています。
しかし、これは必ず看護師がホーム内に24時間常駐しているという意味ではありません。
医療処置がある人は処置内容・回数・時間帯を伝える
インスリン、たん吸引、褥瘡処置、経管栄養などが必要な場合は、「訪問看護と連携していますか」だけでは不十分です。
本人に必要な処置名、1日の回数、実施時間、夜間対応の必要性を伝え、その事業所とホームの体制で対応できるか確認してください。
「定期巡回あり」=24時間看護師常駐ではない
介護職員による定期巡回・随時訪問と、看護職員による訪問看護は同じではありません。医療ニーズがある人は、訪問看護の提供時間、緊急連絡、夜間オンコール、主治医との連携まで確認してください。
通常の訪問介護との違いとデイサービス併用
住宅型有料老人ホームでは通常の訪問介護も利用できるため、どちらを選ぶか迷うことがあります。
| 通常の訪問介護 | 定期巡回・随時対応 |
|---|---|
| 計画した訪問時間にサービス提供 | 定期訪問に加えて随時通報・随時訪問 |
| 訪問ごとのサービスが中心 | 1日の複数回訪問にも対応しやすい |
| 訪問介護単独 | 訪問看護と一体・連携して提供 |
| 全国的な居宅サービス | 地域密着型サービス |
回数の多さだけで決めない
定期巡回の利点は単純に「訪問回数を増やせる」ことだけではありません。
本人の状態変化に応じて定期訪問と随時対応を組み合わせ、介護と看護が情報共有しながら支える点に特徴があります。
ケアマネジャーに1日の生活を伝えて比較する
「訪問介護を週何回使うか」だけではなく、起床から就寝まで、いつ何の介助が必要かを時系列で整理します。
そのうえで、通常の訪問介護を組み合わせる方法と、定期巡回へ切り替える方法のどちらが本人の生活に合うか検討します。
デイサービスと一緒に利用できる?
定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用しながら、通所介護(デイサービス)等を利用することは制度上想定されています。
ただし、定期巡回の介護報酬は月単位の包括的な仕組みであり、通所介護等を利用した日について所定単位数を調整する規定があります。
本人の生活目標から組み合わせる
入浴、機能訓練、他者交流などを目的にデイサービスへ通いながら、朝夕・夜間は定期巡回を利用するなどの組み合わせが考えられます。
費用計算はケアマネジャーに確認する
定期巡回とデイサービスを併用する場合、自己負担を単純に「それぞれの月額を足す」だけでは正確に判断できません。
本人の要介護度、負担割合、利用日数、加算等を反映した見積もりをケアマネジャーや各事業所へ確認してください。
利用開始までの流れ
住宅型有料老人ホームで定期巡回を使いたい場合、ホームへ申し込むだけで自動的に開始されるわけではありません。
01
ケアマネジャーへ相談する
まず現在の介助内容、夜間の困りごと、訪問介護の利用状況を伝えます。
02
利用可能な事業所を確認する
本人の市区町村、ホーム所在地、事業所の通常の実施地域・指定状況を確認します。
03
住宅型へ利用可能か確認する
外部事業所の出入り、鍵の管理、夜間の入館方法、ホーム職員との連絡方法を確認します。
04
ケアプランと定期巡回の計画を作る
何時ごろにどの支援が必要か、随時対応をどう利用するかを具体化します。
05
契約・利用開始
料金、通報方法、合鍵の管理、緊急時対応等の説明を受けて契約します。
住宅型で利用するときは「ホーム職員」と「定期巡回事業所」の役割を確認する
住宅型有料老人ホームで定期巡回を利用すると、ホームの職員と介護保険事業所の職員の両方が生活に関わります。
ここが曖昧だと、「ホームに頼んだつもりだった」「定期巡回の訪問時間まで対応できないと言われた」といった認識違いが起きやすくなります。
ホームの生活支援
安否確認、食事提供、フロント対応、生活相談など、入居契約に含まれるサービスを確認します。
定期巡回の介護保険サービス
排せつ介助、移乗、起床・就寝介助など、ケアプラン・定期巡回計画に基づいて提供するサービスを確認します。
予定外の出来事が起きたとき
転倒、急な排せつ介助、体調変化などがあった場合、ホーム職員が先に対応するのか、本人が通報するのか、ホームから定期巡回事業所へ連絡するのかを確認します。
合鍵の管理
定期巡回事業所の運営規程には合鍵の管理方法等を定めることが求められています。
夜間に居室へ訪問する可能性があるため、鍵を誰が保管し、どのようなルールで使用するのかを契約時に確認してください。
定期巡回を選ぶ前に確認したい質問
住宅型×定期巡回の確認チェックリスト
- この住宅型で定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用できますか
- 現在利用している入居者はいますか
- 併設事業所ですか、外部事業所ですか
- 外部の定期巡回事業所を選べますか
- 住所地特例を含め、本人が利用できる指定事業所ですか
- 要介護1〜5のどの状態を多く支援していますか
- 定期訪問は1日に何回程度を想定していますか
- 夜間の定期訪問も計画できますか
- 随時通報はどの機器・方法で行いますか
- 通報を受けるオペレーターは24時間対応ですか
- 随時訪問が必要かどうかは誰が判断しますか
- 夜間に訪問が必要になったときの流れはどうなりますか
- ホームの夜勤職員と定期巡回職員の役割はどう違いますか
- 一体型ですか、連携型ですか
- 訪問看護はどの事業所が担当しますか
- 看護職員の夜間連絡体制はどうなっていますか
- 本人に必要な医療処置へ対応できますか
- デイサービスと組み合わせられますか
- 月額自己負担はいくらになりますか
- 加算・減算を含めた見積もりを出せますか
- 合鍵は誰がどのように管理しますか
- 状態が変わったとき訪問回数・内容をどう見直しますか
まとめ|住宅型でも利用できるが「24時間対応の実態」まで確認する
住宅型有料老人ホームでも、条件が合えば定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用できます。
厚生労働省は、定期巡回、随時通報への対応、随時訪問、訪問看護との連携によって、24時間365日必要なサービスを柔軟に提供する地域密着型サービスと位置づけています。
対象は要介護1〜5で、要支援1・2は利用できません。また地域密着型サービスであるため原則として住所地の市区町村が指定する事業所を利用しますが、住所地特例対象者には別の取扱いがあります。
住宅型で利用するときに特に重要なのは、「定期巡回が使える」という表示だけで判断しないことです。
定期訪問の時間帯、夜間の通報方法、随時訪問までの流れ、訪問看護の提供体制、ホーム職員との役割分担、合鍵管理、デイサービスとの組み合わせ、月額自己負担まで確認してください。
本人が一日の中で何度も短時間の介助を必要としている場合や、夜間を含めて予定外の介助へ備えたい場合には、有力な選択肢になることがあります。現在の訪問介護で困っている具体的な時間帯と介助内容をケアマネジャーへ伝え、通常の訪問介護との違いを比較したうえで検討しましょう。