住宅型有料老人ホームでは、家賃・管理費・食費などのホーム費用とは別に、訪問介護や訪問看護などの介護保険サービスを外部事業所と契約して利用します。
その一方で、介護保険では対応できない外出同行、家事、見守り、付き添いなどを、介護保険外サービスとして全額自己負担で利用することもあります。
結論からいうと、介護保険外サービスを利用すること自体は可能ですが、「何が保険内で、何が保険外か」「誰と契約するか」「料金はいくらか」「どこまで対応してもらえるか」を明確に分けて確認することが重要です。
特に、同じ訪問介護事業所が保険内サービスと保険外サービスを続けて提供する場合は、厚生労働省の通知でも、両者を明確に区分し、保険外サービスであること・料金等を説明して利用者の理解を得ることが求められています。
契約前にまず確認したい6項目
- そのサービスは介護保険の対象か、保険外か
- 料金は時間制・回数制・定額制のどれか
- 交通費・キャンセル料・夜間料金などの追加費用があるか
- ホームの基本料金に含まれるサービスと重複していないか
- 保険内サービスの時間を削って保険外へ置き換えていないか
- 契約先・請求先・解約方法が明確か
住宅型有料老人ホームで介護保険外サービスは使える?
使えます。
住宅型有料老人ホームでは、介護保険サービスと、介護保険給付の対象にならない自費サービスを組み合わせて利用することがあります。
住宅型は介護サービスを外部事業所と個別契約する仕組み
厚生労働省は、住宅型有料老人ホームについて、入居者が介護保険サービスを利用する場合、地域の訪問介護事業所等と個別に契約してサービスを受ける仕組みと示しています。
つまり、ホームへの入居契約と、訪問介護・訪問看護・デイサービス等の契約は別です。
介護保険外サービスも別契約・別料金になることがある
介護保険外サービスは、介護保険給付の対象ではありません。
そのため、利用料は原則として全額自己負担です。
ホーム自身が提供する場合もあれば、訪問介護事業所等が保険外サービスとして提供する場合もあります。
「住宅型ホームの月額料金を払っているから、必要な介助はすべて含まれる」と考えないことが重要です。ホームの基本サービス、介護保険サービス、保険外サービスを分けて確認してください。
どんなサービスが介護保険外になりやすい?
介護保険外になる内容は、本人の生活状況や提供事業者によって異なります。
代表的には、介護保険の訪問介護では対象にならない家事や外出支援などがあります。
本人以外のための家事
介護保険の訪問介護では、本人に直接関係しない家事は対象外になることがあります。
たとえば、家族分の調理・洗濯、本人以外の居室や共用部分の掃除などです。
日常生活の援助に該当しない家事
厚生労働省の通知では、訪問介護の前後に、草むしりやペットの世話などを保険外サービスとして提供する例が示されています。
住宅型有料老人ホームでは庭仕事そのものは少ないものの、居室内の大掃除、家具移動、嗜好品購入など、介護保険の対象にならない内容が自費になることがあります。
趣味・娯楽目的の外出同行
買い物、墓参り、趣味活動、旅行、外食などの同行は、介護保険給付の対象にならない場合があります。
厚生労働省通知でも、介護保険の外出支援後に、趣味・娯楽目的の立ち寄りを保険外サービスとして続けて提供する例が示されています。
通院時の待ち時間や長時間付き添い
通院介助のうち、介護保険で算定できる範囲と、病院内の長時間待機・診察室への付き添い等の保険外部分が分かれることがあります。
「通院付き添いは全部保険外」「全部介護保険」と一律に決めず、ケアマネジャーと事業所へ具体的な行程を伝えて確認してください。
夜間の追加見守り・付き添い
ホームの夜勤体制や介護保険サービスで対応できない長時間の個別見守り、家族代替の付き添いなどを自費サービスとして提供する施設・事業者もあります。
ただし、夜間料金や最低利用時間が設定されていることがあります。
介護保険内と保険外をどう区分する?
介護保険サービスと保険外サービスを続けて利用することは可能ですが、両者を曖昧にしてはいけません。
厚生労働省通知で求められている区分
厚生労働省は、指定訪問介護と保険外サービスを組み合わせる場合について、
- 介護保険サービスとは別事業であること
- 介護保険給付の対象外であること
- 利用料等を別に定めること
- 会計を介護保険サービスと区分すること
などを示しています。
利用者にも違いを説明する必要がある
「ここから先は保険外です」とサービスの区切りを説明し、料金を含めて本人・家族が理解したうえで利用することが重要です。
同じ職員が連続して対応すると、どこまでが保険内か分かりにくくなるため、開始時刻・終了時刻・内容を確認してください。
請求書も分かれているか確認する
介護保険自己負担と保険外料金が同じ請求書に記載されていても、内訳が明確に分かる状態であることが重要です。
「その他サービス費」など曖昧な名目だけで請求されている場合は、具体的なサービス内容と算定根拠を確認してください。
保険外サービスの契約・料金で確認すること
介護保険外サービスには、全国一律の介護報酬単価はありません。
料金は事業者が設定するため、契約前に総額の計算方法を確認します。
基本料金だけで判断しない
「30分○円」「1時間○円」と表示されていても、実際には次の費用が追加されることがあります。
- 事務手数料
- 交通費
- 送迎費
- 夜間・早朝・休日割増
- 延長料金
- キャンセル料
- 付き添い先で発生した実費
最低利用時間を確認する
15分だけ利用したくても、最低30分・1時間からなどの条件が設定されている場合があります。
短時間利用が多い場合は、単価だけでなく最低利用単位を確認してください。
月額で試算する
1回の金額が小さくても、毎日利用すれば負担は大きくなります。
たとえば夜間見守りや通院同行を定期利用する場合は、1回料金だけでなく「1か月で何回・何時間使うか」を試算します。
値上げ条件も確認する
保険外サービスの料金改定について、何日前に通知されるか、契約書・料金表にどう記載されているかも確認してください。
キャンセル・解約条件を確認する
保険外サービスは、利用頻度が変わったときに簡単に減らせるとは限りません。
キャンセル料
当日キャンセル、前日キャンセル、連絡なしの場合など、キャンセル料が発生する条件を確認します。
急な入院や体調不良時の扱いも重要です。
定額契約の解約
月額定額の保険外サービスでは、解約予告期間が定められていることがあります。
「使わなかった月も満額か」「日割りになるか」「入院中も料金が続くか」を確認してください。
状態変化で不要になったとき
介護度や医療状態が変わると、必要なサービスも変わります。
定期的に保険外サービスを見直し、不要な契約が残っていないか確認します。
事故・トラブル時の責任範囲も確認する
外出同行や買い物代行などでは、転倒、物品紛失、交通事故などのリスクがあります。
事業者の賠償責任保険
事故が起きた場合の連絡先、事業者が加入している保険、補償範囲を確認します。
金銭管理を依頼するとき
買い物代行等で現金を預ける場合は、預り証、レシート、残金返却、記録方法を確認してください。
高額な現金や通帳・印鑑の管理まで安易に委ねないことが重要です。
家族への報告方法
利用後の報告書、電話、アプリなど、実施内容を確認できる方法があるか確認します。
ホーム料金・ケアプランとの重複を防ぐ
住宅型有料老人ホームでは、ホーム自身が安否確認、生活相談、食事提供、清掃、健康管理などのサービスを提供している場合があります。
そのうえで別の保険外サービスを利用するなら、同じ内容に二重で費用を払っていないか確認が必要です。
重要事項説明書と料金表を見る
ホームが提供するサービスの内容・料金は、入居契約書、管理規程、重要事項説明書、料金表などで確認します。
「居室清掃は月額管理費に含まれるのか」「追加清掃だけ有料なのか」といった境界を確認してください。
基本サービスと追加サービスを区別する
たとえば、
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 清掃 | 定期清掃は基本料金内か、追加清掃のみ自費か |
| 買い物 | 定期代行は含まれるか、個別同行は自費か |
| 通院 | 送迎・付き添い・院内待機のどこまで含むか |
| 夜間 | ナースコール対応と長時間個別見守りを分ける |
のように確認すると、二重請求を防ぎやすくなります。
ケアプランとの関係はどう考える?
保険外サービスは介護保険給付ではありませんが、介護保険サービスと組み合わせて生活を支える場合、ケアマネジャーと情報共有することが重要です。
保険内・保険外を一体で生活設計する
厚生労働省の通知では、指定訪問介護と保険外サービスを組み合わせる場合、両者の内容・提供時間・料金等を明確に区分し、保険外サービスの内容を担当ケアマネジャーへ報告することが示されています。ケアマネジャーは、必要に応じてその情報をケアプラン等へ記載します。
保険外サービスを増やすことで介護保険サービスの時間帯や役割が変わる場合は、契約前にケアマネジャーへ伝え、生活全体の支援が重複・分断しないよう調整してください。
保険外だからケアマネジャーに知らせなくてよいとは限らない
たとえば、自費の通院同行や夜間見守りを定期利用している場合、その情報は本人の生活全体を支えるうえで重要です。
緊急連絡先やサービス提供時間も含めて共有すると、支援の重複や空白を防ぎやすくなります。
必要な介護保険サービスを自費へ置き換えていないか確認する
介護保険で必要性が認められるサービスまで、合理的な理由なく自費利用へ置き換えられていないかも確認します。
「ホーム指定の自費サービスを使わないと生活できない」と言われた場合は、ケアマネジャーへ現在のケアプランと必要な介護量を確認してください。
同じ法人の保険外サービスしか選べないと言われたら?
住宅型有料老人ホームでは、入居者が地域の介護サービス事業所と自由に契約する仕組みが基本です。
厚生労働省の近年の検討でも、高齢者向け住まいにおけるいわゆる「囲い込み」が問題として扱われています。
関連事業所の利用が契約条件になっていないか確認する
ホームと同じ法人の訪問介護事業所や居宅介護支援事業所を利用すること自体が問題なのではありません。
本人が内容・料金を理解したうえで選んでいるかが重要です。
入居条件として特定事業所の利用を強制されていないか、他事業所を選べるかを確認してください。
自費サービスについても比較する
保険外サービスは介護保険報酬のような全国共通単価ではありません。
選択肢がある場合は、料金だけでなく、対応時間、職員資格、キャンセル規定、夜間対応、事故時の補償などを比較してください。
「同じ法人だから安心」「外部事業所だから安心」と単純に判断するのではなく、選択の自由、契約内容、料金、実際のサービス内容を確認してください。
通院・夜間など具体的な利用場面の注意点
住宅型有料老人ホームでよく問題になるのが通院付き添いです。
どこからどこまでが料金対象か確認する
居室から玄関、車への乗降、病院までの移動、受付、診察待ち、診察室、会計、薬局、帰宅まで、行程ごとに誰が支援するか確認します。
院内待機時間の料金を確認する
診察が長引くと、付き添い時間が予定より延びることがあります。
延長料金が何分単位で加算されるか、上限があるか確認してください。
交通費・駐車場代を確認する
自費サービス料金とは別に、タクシー代、福祉車両料金、駐車場代などが必要になる場合があります。
家族が同行する場合との費用差も比較すると判断しやすくなります。
夜間・緊急時に保険外サービスを使う場合の注意点
夜間の見守りや付き添いを自費で利用する場合は、通常時間帯より詳しい確認が必要です。
夜間料金と職員配置
夜間・早朝割増があるか、何時から何時までが割増対象か確認します。
また、保険外サービスの職員が常に施設内にいるとは限りません。
緊急時対応と自費サービスを混同しない
急変時の救急要請やホームの緊急対応は、個別の自費見守りサービスとは役割が異なる場合があります。
「自費を契約しないと緊急時に対応してもらえない」という意味なのか、単に長時間の個別見守りが自費なのかを確認してください。
医療行為は別問題
介護保険外サービスとして料金を払えば、誰でも医療行為を行えるわけではありません。
医療処置が必要な場合は、訪問看護・訪問診療等の医療・介護制度と、実際に対応する職種を確認してください。
介護保険外サービスを契約する前の判断手順
「介護が足りない」ではなく、通院待機、夜間見守り、買い物同行など必要な支援を時間帯まで整理します。
重要事項説明書・料金表・入居契約書で二重払いを防ぎます。
ケアマネジャーへ相談し、保険内と保険外の境界を確認します。
基本料金、延長、交通費、夜間割増、キャンセル料、解約条件まで見ます。
同じ事業者が連続提供する場合は、開始終了時刻と請求内訳を確認します。
状態変化やケアプラン変更後も必要なサービスか、月額負担と効果を確認します。
契約前の最終チェックリスト
サービス区分・契約
- □ 保険内か保険外か説明を受けた
- □ ホーム基本料金との重複がない
- □ ケアマネジャーへ相談した
- □ サービス内容が書面にある
- □ 料金表を受け取った
追加費用・解約
- □ 最低利用時間を確認した
- □ 夜間・休日割増を確認した
- □ 交通費・実費を確認した
- □ 延長料金を確認した
- □ キャンセル料を確認した
- □ 入院時の料金扱いを確認した
- □ 解約予告期間を確認した
選択・請求・事故対応
- □ 同じ法人以外の選択肢も確認した
- □ 保険内・保険外の請求が区分されている
- □ 事故時の連絡・補償を確認した
- □ 利用内容を家族が確認できる方法がある
まとめ|「自費だから自由」ではなく、保険内との境界を明確にする
住宅型有料老人ホームでは、介護保険外サービスを利用することで、介護保険では対応しにくい外出同行、家事、長時間の付き添い、個別見守りなどを補える場合があります。
一方、保険外サービスは原則として全額自己負担で、全国一律の料金ではありません。
同じ訪問介護事業所が保険内と保険外を続けて提供する場合も、厚生労働省通知では、両者を明確に区分し、保険外であること・利用料等を説明することが示されています。
住宅型有料老人ホームでは、ホーム費用、介護保険サービス、介護保険外サービスが重なりやすいため、「誰が」「何を」「何分」「いくらで」「どの契約に基づいて」提供するのかを確認してください。
契約前には、重要事項説明書・料金表・保険外サービス契約書を確認し、ケアマネジャーにも共有したうえで、本当に必要な部分だけを利用することが大切です。
制度確認:本記事は2026年10月21日時点で、厚生労働省「介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いについて」「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について」「高齢者向け住まいについて」「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」等を確認して作成しています。保険外サービスの具体的な内容・料金・キャンセル規定・選択可否は事業者・施設で異なるため、契約書、料金表、重要事項説明書、ケアマネジャーへの確認を優先してください。