介護医療院のⅠ型・Ⅱ型の違いとは?

介護医療院を調べていると、「Ⅰ型」「Ⅱ型」という区分を目にすることがあります。どちらも長期的な医療と介護を必要とする要介護者が生活する介護保険施設ですが、主に想定する入所者の状態と、人員配置の基準に違いがあります。

まず結論|Ⅰ型はより医療ニーズの高い人を想定、Ⅱ型は比較的状態が安定した人を想定

厚生労働省の基準では、Ⅰ型療養床は、長期療養が必要な人のうち、重篤な身体疾患がある人や、身体合併症のある認知症高齢者などを主に受け入れる療養床です。Ⅱ型はⅠ型以外の療養床で、制度設計上はⅠ型より比較的容体が安定した人を想定しています。Ⅰ型は医師・介護職員・薬剤師の配置基準がⅡ型より手厚く設定されています。ただし、「Ⅰ型ならどんな医療にも対応できる」「Ⅱ型では医療対応が弱い」と単純に判断するのは適切ではありません。本人に必要な医療処置・夜間対応・看取り体制などを施設ごとに確認することが重要です。

介護医療院のⅠ型・Ⅱ型は何が違う?

Ⅰ型とⅡ型の違いは、単なる施設のランクではありません。

厚生労働省は、介護医療院を制度化する際、長期療養を必要とする人の状態に応じて、大きく二つの機能を設けました。

区分 制度上の考え方
Ⅰ型 重篤な身体疾患や身体合併症のある認知症高齢者など、より医療ニーズの高い人を主に想定
Ⅱ型 Ⅰ型より比較的容体が安定した人を主に想定

厚生労働省の介護医療院ハンドブックでは、Ⅰ型は介護療養病床の療養機能強化型A・B相当、Ⅱ型は介護老人保健施設相当以上を参考に制度設計されたと説明されています。

Ⅰ型・Ⅱ型は「良い・悪い」「上・下」の違いではない

Ⅰ型の方が医師や介護職員などの配置基準が手厚い一方、本人の状態が比較的安定している場合にはⅡ型が適することもあります。大切なのは、施設区分の優劣ではなく、本人の医療・介護ニーズと施設機能が合っているかです。

Ⅰ型介護医療院はどんな人を想定している?

厚生労働省の基準では、Ⅰ型療養床について、長期にわたり療養が必要な人のうち、重篤な身体疾患を有する人、身体合併症を有する認知症高齢者などを主として入所させる療養床と定義しています。

日常的・継続的な医学管理が必要な人

Ⅰ型では、長期療養を続けながら、日常的な医学管理を必要とする人が中心になります。

たとえば、喀痰吸引や経管栄養など継続的な医療処置が必要な人、複数の疾患を持ち病状管理が重要な人などが候補になる場合があります。

ただし、具体的な受入可否は、処置の内容・頻度・時間帯・本人の病状によって異なります。

身体合併症のある認知症高齢者も想定されている

認知症があり、さらに身体疾患への継続的な医学管理が必要な人も、Ⅰ型が想定する入所者像の一つです。

認知症だけを理由にⅠ型になるわけではなく、身体疾患や医療ニーズを合わせて判断します。

「重度なら必ずⅠ型」という決まりではない

本人の要介護度が高い、寝たきりである、といった理由だけでⅠ型・Ⅱ型が自動的に決まるわけではありません。

必要な医療、病状、介護量、施設側の受入体制などを踏まえて、実際に入所する療養床を施設が検討します。

Ⅱ型介護医療院はどんな人を想定している?

厚生労働省の基準では、Ⅱ型療養床は「Ⅰ型療養床以外のもの」と定義されています。

制度設計上は、Ⅰ型より比較的容体が安定している長期療養者を主な利用者像として想定しています。

医療と介護は必要だが状態が比較的安定している人

Ⅱ型も介護医療院であるため、医療を必要としない人向けの施設ではありません。

長期的な医療・介護が必要でありながら、Ⅰ型で想定されるほど高い医療依存度ではなく、比較的病状が安定している人が候補になります。

Ⅱ型でも医師・看護職員は配置される

Ⅱ型だから医師や看護職員がいないわけではありません。

介護医療院として医師・看護職員などの配置基準があり、医学的管理、看護、介護、機能訓練、必要な医療などを提供します。

POINT

Ⅱ型は「介護中心で医療はほとんどない施設」ではありません。Ⅰ型より比較的状態が安定した人を想定しているものの、長期療養のための医療と介護を一体的に提供する介護医療院である点は共通しています。

医師の配置基準はⅠ型の方が手厚い

Ⅰ型・Ⅱ型の違いが明確に表れるのが医師の配置基準です。

区分 医師の基本配置基準
Ⅰ型 入所者48人に対して1人以上
Ⅱ型 入所者100人に対して1人以上

一般的な介護医療院では、Ⅰ型については施設全体で3人以上を基本とする基準があり、Ⅱ型は介護老人保健施設と同程度の医師配置を参考に設計されています。

48対1・100対1は「担当患者数」ではない

この数字は、施設に必要な医師数を算定するための人員基準です。

「Ⅰ型では医師1人が必ず48人だけを担当する」「Ⅱ型では100人につき医師が一人しか診ない」という意味ではありません。

実際の診察頻度、勤務時間、夜間・休日の連絡体制などは施設へ個別に確認する必要があります。

看護職員の配置基準はⅠ型・Ⅱ型で同じ

看護職員については、Ⅰ型・Ⅱ型ともに、原則として入所者6人に対して1人以上という配置基準です。

Ⅰ型だから看護職員の基準が必ず多いわけではない

Ⅰ型は医療ニーズが高い人を想定しているため、「看護師もⅡ型より必ず多い」と考えやすいですが、国の基本的な看護職員配置基準はⅠ型・Ⅱ型とも6対1です。

ただし、実際には基準を上回って看護職員を配置している施設もあります。

実際の人数は施設ごとに確認する

施設を比較するときは、基準だけでなく次の点も確認します。

  • 看護職員の常勤換算人数
  • 看護師と准看護師の内訳
  • 日中の勤務人数
  • 夜勤の看護職員数
  • 休日の勤務体制

とくに夜間に医療処置が必要な人は、Ⅰ型・Ⅱ型という区分よりも、実際の夜勤体制の確認が重要になる場合があります。

介護職員の配置はⅠ型の方が手厚い

介護職員の基本配置基準は、Ⅰ型とⅡ型で異なります。

区分 介護職員の基本配置基準
Ⅰ型 入所者5人に対して1人以上
Ⅱ型 入所者6人に対して1人以上

Ⅰ型では、より医療・介護ニーズが高い入所者を想定していることから、介護職員もⅡ型より手厚い配置基準となっています。

5対1・6対1も常勤換算による基準

この数字も、各時間帯にその比率で職員が常時配置されているという意味ではありません。

常勤職員と非常勤職員の勤務時間を換算して施設全体の人数を算定します。

薬剤師の配置基準にも違いがある

Ⅰ型・Ⅱ型では薬剤師の配置基準も異なります。

区分 薬剤師の配置基準
Ⅰ型 入所者150人に対して1人以上
Ⅱ型 入所者300人に対して1人以上

高齢者は複数の薬を服用していることも多いため、薬の管理や副作用への配慮も療養生活では重要です。

ただし、薬剤師の人数だけで薬物療法の質を判断できるわけではありません。医師・看護職員との連携や、外部薬局との関係も施設によって異なります。

Ⅰ型・Ⅱ型で提供されるサービスの基本は共通

Ⅰ型とⅡ型では対象者像や人員配置に違いがありますが、どちらも「介護医療院」である点は同じです。

介護医療院では、長期療養が必要な要介護者に対して、療養上の管理、看護、医学的管理のもとでの介護、機能訓練、必要な医療、日常生活上の支援を行います。

どちらも生活施設としての役割を持つ

Ⅰ型は医療ニーズが高い人を想定していますが、病院のように治療だけを行う場所ではありません。

Ⅱ型も含め、介護医療院は長期療養と生活の場を兼ねた施設です。

看取り・ターミナルケアも介護医療院の重要な機能

介護医療院は、日常的な医学管理に加えて、看取りやターミナルケアを担うことも制度上期待されています。

ただし、実際の看取り方針や家族の面会体制、急変時の対応などは施設ごとに確認が必要です。

Ⅰ型の方が医療処置に必ず対応できる?

Ⅰ型はⅡ型より医療ニーズの高い人を想定し、医師などの配置基準も手厚く設定されています。

しかし、Ⅰ型であれば本人に必要な医療処置へ必ず対応できるという意味ではありません。

受入可否は処置内容と時間帯で変わる

施設へ確認するときは、単に「医療対応できますか」と質問するのではなく、現在必要な処置を具体的に伝えます。

  • 喀痰吸引の有無・頻度
  • 経管栄養の方法と実施時間
  • 酸素療法の有無
  • インスリン注射の有無
  • 褥瘡処置の内容
  • 夜間にも処置が必要か
  • 専門科への定期通院が必要か

同じ処置でも、頻度や本人の状態によって受入判断は変わります。

Ⅱ型でも対応できる医療処置は施設によってある

Ⅱ型だから医療処置に対応できないわけではありません。

実際の看護体制や医師の勤務体制、職員の経験、協力医療機関との連携によって対応可能な範囲は異なります。

施設区分だけで受入可否を決めない

「医療処置があるからⅠ型」「状態が安定しているからⅡ型」と家族だけで決める必要はありません。診療情報を候補施設へ提出し、現在の病状と必要な医療に対応できるか個別に判断してもらうことが大切です。

Ⅰ型・Ⅱ型で料金も変わる?

介護医療院の基本サービス費は、Ⅰ型・Ⅱ型で異なります。

さらに、要介護度、居室の種類、施設が算定するサービス費の区分、各種加算、本人の負担割合によって自己負担額が変わります。

Ⅰ型だから請求総額が必ず高いとは限らない

介護保険の基本サービス費には差がありますが、実際に支払う月額には食費、居住費、加算、日常生活費なども含まれます。

そのため、Ⅰ型・Ⅱ型という区分だけで月額の高い・安いを判断することはできません。

施設から本人の条件に合わせた月額見積もりを受け取り、総額で確認してください。

一つの介護医療院にⅠ型とⅡ型の両方があることもある

介護医療院は、施設全体が必ずⅠ型だけ、またはⅡ型だけとは限りません。

厚生労働省のハンドブックでは、一つの介護医療院でⅠ型とⅡ型を組み合わせることができると説明されています。

施設名だけでは本人がどちらに入るか分からない

候補施設にⅠ型・Ⅱ型の両方がある場合は、本人がどの療養棟の対象になる予定なのか確認します。

同じ施設内でも、療養棟によって人員配置や基本サービス費などが異なる場合があります。

状態が変わった場合の扱いも確認する

長期療養では、入所後に病状や医療ニーズが変化することがあります。

Ⅰ型とⅡ型を併設している施設では、状態変化に応じて療養棟を変更する場合があるのか、その際に料金や居室がどう変わるのかも確認しておくと安心です。

本人にはⅠ型・Ⅱ型のどちらが向いている?

本人に合う区分を考えるときは、施設名や人員基準だけではなく、現在の医療ニーズを中心に判断します。

01

現在必要な医療処置を整理する

処置名だけでなく、頻度、時間帯、夜間対応の必要性まで整理します。

02

病状の安定度を確認する

主治医に、長期療養の段階にあるのか、どの程度の医学管理が継続して必要なのか確認します。

03

認知症と身体疾患を合わせて考える

認知症の有無だけでなく、身体合併症や必要な医療・介護の内容を確認します。

04

候補施設へ個別に受入可否を確認する

診療情報提供書や看護サマリーなどをもとに、本人の状態でどの療養床が適切か施設側に判断してもらいます。

施設へ確認したいⅠ型・Ⅱ型の質問

入所相談時のチェックリスト

  • この施設にはⅠ型・Ⅱ型のどちらがありますか
  • Ⅰ型とⅡ型の両方がある場合、それぞれ何床ですか
  • 本人の現在の状態ではどちらが候補になりますか
  • その判断理由を教えてもらえますか
  • 本人に必要な医療処置へ対応できますか
  • 夜間にも必要な処置へ対応できますか
  • 看護職員の夜勤人数は何人ですか
  • 医師が不在の夜間・休日はどのように連絡しますか
  • 状態が変化した場合、Ⅰ型・Ⅱ型間で療養棟を変更することがありますか
  • 療養棟が変わる場合、料金や居室はどう変わりますか
  • 看取りまで継続して入所できる条件は何ですか

特に大切なのは、「Ⅰ型ですか、Ⅱ型ですか」で終わらず、本人の状態ではなぜその区分が適しているのかまで説明してもらうことです。

まとめ|Ⅰ型・Ⅱ型の違いは「医療ニーズと人員配置」で見る

介護医療院のⅠ型とⅡ型は、施設の優劣を表す区分ではありません。

Ⅰ型は、重篤な身体疾患がある人や身体合併症のある認知症高齢者など、より医療ニーズの高い長期療養者を主に想定しています。Ⅱ型は、Ⅰ型より比較的容体が安定した長期療養者を想定した区分です。

人員基準では、医師はⅠ型48対1・Ⅱ型100対1、介護職員はⅠ型5対1・Ⅱ型6対1、薬剤師はⅠ型150対1・Ⅱ型300対1が基本で、看護職員はどちらも6対1です。

ただし、実際の医療対応は、施設の実配置、夜間体制、医療処置への対応、協力医療機関との連携などによって異なります。

施設選びでは、「Ⅰ型だから安心」「Ⅱ型だから医療が少ない」と単純に判断せず、本人に必要な医療と介護を具体的に伝え、その施設・療養棟で継続して対応できるか確認することが重要です。

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