介護医療院の居室・設備を解説

介護医療院は、長期的な医療と介護を受けながら生活する施設です。入所を検討するときは、医療体制だけでなく、「どんな部屋で暮らすのか」「プライバシーは確保できるのか」「リハビリや入浴の設備はどうなっているのか」も重要な確認ポイントになります。

まず結論|介護医療院は医療設備と生活設備の両方を備える

介護医療院には、療養室だけでなく、診察室、処置室、機能訓練室、談話室、食堂、浴室、レクリエーション・ルームなど、医療と生活の両方を支える設備が求められています。

通常型の療養室は原則4人以下で、入所者1人当たり8㎡以上が基準です。また、多床室でも家具やパーティション等によってプライバシーへ配慮することが求められています。

この記事では、介護医療院の居室・設備について、国の基準と、実際の見学時に確認したいポイントを分けて解説します。

介護医療院にはどんな設備がある?

厚生労働省の基準では、介護医療院には生活のための設備だけでなく、医療・リハビリを行うための設備も求められています。

主な設備 役割
療養室 入所者が生活・療養する居室
診察室 医師の診察、検査、調剤等に使用
処置室 必要な医療処置を行う
機能訓練室 リハビリ・機能訓練を行う
談話室 本人同士や家族との交流
食堂 食事をする場所
浴室 身体状態に応じた入浴
レクリエーション・ルーム 余暇活動や交流

このほか、洗面所、便所、サービス・ステーション、調理室、洗濯室または洗濯場、汚物処理室なども必要です。

介護医療院の特徴は、病院に近い医療設備だけでなく、長期生活を前提とした生活設備も求められていることです。

療養室・居室はどんなつくり?

介護医療院の療養室はどんな部屋?

介護医療院では、入所者が日常生活の大半を過ごす部屋を「療養室」と呼びます。

通常型は1室4人以下

厚生労働省の基準では、通常型の介護医療院の療養室は、1室当たりの定員を4人以下とすることが定められています。

そのため、個室だけでなく、2人室や4人室などの多床室もあります。

1人当たり8㎡以上の広さが必要

通常型の療養室では、入所者1人当たり8㎡以上の床面積が必要です。

これは最低限の設備基準であり、実際の部屋の広さ、収納、家具配置、ベッド周囲の動線などは施設によって異なります。

多床室でもプライバシーへの配慮が必要

厚生労働省は、介護医療院を生活施設として位置づけており、多床室であっても家具やパーティションなどを利用し、入所者のプライバシーに配慮した環境整備を求めています。

ただし、「カーテンがある」「間仕切りがある」だけで実際の生活上のプライバシーが十分とは限りません。

見学時には、次の点を確認するとよいでしょう。

  • ベッド同士がどの程度見えないようになっているか
  • 着替えや排泄介助の際に視線を遮れるか
  • 家族との会話が周囲へ聞こえすぎないか
  • 私物を置けるスペースがあるか
  • 収納場所が十分か

個室と多床室はどう違う?

介護医療院では、施設によって個室、多床室、ユニット型療養室などがあります。

個室はプライバシーを確保しやすい

個室は、他の入所者の生活音や視線を避けやすく、家族との会話もしやすい点がメリットです。

一方で、居住費などの負担が多床室と異なる場合があります。

多床室は他の入所者と同じ空間で生活する

多床室では、同じ部屋に複数の入所者が生活します。

人の気配があることで安心する人もいますが、音や照明、面会、介助時の気配などが気になる場合もあります。

「個室のほうが必ず良い」「多床室は生活しにくい」と一律には言えません。本人の認知機能、生活歴、夜間の状態、費用、本人の希望などを踏まえて選ぶことが重要です。

ユニット型介護医療院の居室はどう違う?

介護医療院には、少人数単位で生活する「ユニット型」もあります。

ユニット型は原則1人部屋

ユニット型介護医療院の療養室は、原則として1人部屋です。ただし、サービス提供上必要と認められる場合は2人室とすることができます。

ユニット型の療養室は、1室当たり10.65㎡以上が基準です。2人室の場合は21.3㎡以上が必要です。

共同生活室を中心に少人数で生活する

ユニット型では、療養室を共同生活室の近くに配置し、少人数で日常生活を送ります。

1ユニットの定員は原則としておおむね10人以下で、15人を超えないこととされています。

共同生活室は、入居者が交流し、共同で生活する場所として設けられます。

ユニット型では療養室のプライバシーを確保しやすい

ユニット型は原則個室のため、通常型の多床室に比べ、プライバシーを確保しやすい環境です。

ただし、施設の雰囲気や職員配置、共同生活室での過ごし方は施設ごとに異なるため、実際に見学して確認することが大切です。

医療・リハビリ設備はどうなっている?

診察室・処置室にはどんな設備がある?

介護医療院は医療を内包する施設のため、診察や処置を行う設備も必要です。

診察室には診察・検査・調剤の機能がある

厚生労働省の基準では、診察室には、医師が診察を行うための施設、臨床検査施設、調剤を行う施設を設けることとされています。

ただし、検体検査を外部へ委託する場合は、施設内にその検査設備を設けないこともできます。

処置室では必要な医療処置を行う

処置室には、入所者への処置を適切に行える広さの施設と、診察用のエックス線装置が求められています。

一部の設備は診察室と兼用できる場合があります。

設備があることと、すべての医療処置に対応できることは別です。人工呼吸器、喀痰吸引、経管栄養など特定の医療が必要な場合は、設備だけでなく職員体制と受入実績も確認してください。

機能訓練室では何をする?

介護医療院には、機能訓練を行うための設備も必要です。

通常型は40㎡以上

介護医療院の機能訓練室は、原則として内法40㎡以上の面積が必要で、機能訓練に必要な器械・器具を備えることとされています。

ただし、併設型小規模介護医療院では、機能訓練を行うのに十分な広さと必要な器械・器具があればよいとされています。

広さだけでなく実際の訓練内容を見る

機能訓練室が広くても、本人に必要なリハビリが十分受けられるとは限りません。

見学時には次のような点を確認してください。

  • 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の配置
  • どのような訓練を行っているか
  • 個別訓練の頻度
  • ベッド上や生活場面での訓練も行うか
  • 本人の状態に合った器具があるか

食事・交流のための共用設備は?

食堂・談話室・レクリエーション設備はどうなっている?

介護医療院は生活施設でもあるため、食事や交流のための場所も必要です。

食堂は入所者1人当たり1㎡以上

食堂は、入所者1人当たり1㎡以上の面積を確保することが基準です。

ただし、実際に全員が同じ時間に食堂へ集まるか、療養室で食事をする人がいるかなどは施設によって異なります。

談話室は家族との交流にも使われる

談話室は、入所者同士や入所者と家族が会話を楽しめる広さを確保することとされています。

面会時に療養室以外で落ち着いて話せる場所があるか確認しておくとよいでしょう。

レクリエーション・ルームも必要

通常型の介護医療院では、レクリエーション・ルームを設けることが求められています。

ただし、設備があっても活動内容や頻度は施設によって異なります。

本人が日中どのように過ごせるか、実際の活動予定や参加状況も確認してください。

浴室・トイレ・洗面は身体状態に対応できる?

浴室・トイレ・洗面設備は身体状態に配慮されている?

長期生活では、入浴や排泄の設備が本人の身体状態に合っているかも重要です。

浴室は身体の不自由な人が使える設備が必要

介護医療院の浴室は、身体の不自由な人が入浴するのに適したものとすることが求められています。

実際には、一般浴、個浴、機械浴など、施設によって設備が異なります。

本人が寝たきりの場合や、座位保持が難しい場合は、どの入浴設備を使用するのか確認してください。

トイレ・洗面所は数だけでなく使いやすさを見る

トイレや洗面設備は、車いすでも使用しやすいか、手すりがあるか、職員が介助できるスペースがあるかを確認します。

本人が一部でも自分で排泄や整容を行える場合は、設備の使いやすさが自立支援にも関係します。

移動・安全設備はどうなっている?

廊下や階段にも設備基準がある

介護医療院は、高齢者や身体の不自由な人が生活するため、移動経路にも基準があります。

廊下は原則1.8m以上

通常型の介護医療院では、廊下の幅は原則1.8m以上、中廊下は2.7m以上とされています。

ただし、廊下の一部を広げることで人や車いす等の往来に支障がないと認められる場合には、1.5m以上、中廊下は1.8m以上とすることができます。

階段には手すりが必要

階段には手すりを設けることが求められています。

見学時には、廊下が広いかだけでなく、車いすやストレッチャーがすれ違いやすいか、職員が介助しながら安全に移動できるかも確認してください。

ナースコールは設置されている?

通常型の療養室には、ナースコールを設けることが求められています。ユニット型の療養室にもナースコールが必要です。

本人が実際に使える位置か確認する

ナースコールが設置されていても、本人が手を動かしにくい、認知症で使い方が分からないなどの場合は、別の見守り方法が必要になることがあります。

本人が自分で押せない場合は、施設がどのように見守るのか確認してください。

夜間の呼出しへの対応も確認する

夜間に排泄介助や体位変換、吸引などが必要な人は、ナースコールの有無だけでなく、夜間の職員配置と対応方法まで確認することが重要です。

設備基準を満たしていれば快適?

設備基準を満たしていれば快適とは限らない

国の設備基準は、介護医療院として必要な最低限の条件を定めたものです。

同じ基準を満たしていても、実際の暮らしやすさは施設ごとに異なります。

療養室の実際の使い方を見る

部屋の面積だけでなく、ベッド、収納、車いす、医療機器などを置いた状態で動きやすいかを確認します。

酸素濃縮器、吸引器、経管栄養の機器などを使用する場合は、本人の生活スペースが狭くならないかも見ておくとよいでしょう。

音・におい・照明も確認する

長期生活では、設備の数値だけでは分からない環境も重要です。

  • 夜間の物音が大きすぎないか
  • 療養室や廊下に強いにおいがないか
  • 日中に自然光が入るか
  • 夜間の照明がまぶしすぎないか
  • 室温を適切に管理できているか

見学できる場合は、パンフレットだけでなく実際の療養室や共用部を確認することが大切です。

見学では居室・設備の何を確認する?

介護医療院の見学で確認したい居室・設備

介護医療院を選ぶときは、設備が「あるか」だけでなく、本人が実際に使いやすいかを確認します。

見学時の設備チェック

  • 個室・多床室のどちらを利用する予定か
  • 療養室の実際の広さとベッド周囲の動線
  • 多床室のプライバシー対策
  • 私物・衣類を置く収納スペース
  • ナースコールを本人が使えるか
  • トイレ・洗面所を車いすで使いやすいか
  • 本人の身体状態に対応する浴室設備があるか
  • 機能訓練室でどのような訓練を行うか
  • 家族と落ち着いて話せる談話スペースがあるか
  • 食堂でどのように食事をするか
  • レクリエーションの場所と実施内容
  • 医療機器を置いても療養室で安全に生活できるか
  • 廊下を車いす・ストレッチャーで移動しやすいか

判断するときの順番

1
療養室の種類を確認する
多床室・個室・ユニット型など、候補施設の実際の居室を確認します。
2
本人の動作に合う設備かを見る
車いす、トイレ、入浴、移乗など日常の動線を現地で確認します。
3
基準値と実際の使いやすさを分ける
面積や廊下幅が基準を満たしていても、家具配置や介助スペースまで確認します。
4
長期生活の視点で判断する
プライバシー、家族面会、私物、収納など生活面も含めて比較します。

介護医療院の設備は「基準」と「実際の暮らし」を両方見る

介護医療院には、療養室、診察室、処置室、機能訓練室、談話室、食堂、浴室、レクリエーション・ルームなど、医療と生活を両立するための設備が求められています。

通常型の療養室は原則4人以下、入所者1人当たり8㎡以上です。ユニット型では原則個室で、1室10.65㎡以上が基準となります。また、通常型の機能訓練室は原則40㎡以上、食堂は入所者1人当たり1㎡以上など、設備ごとに基準があります。

ただし、基準を満たしていることと、本人にとって暮らしやすいことは同じではありません。入所前には、プライバシー、収納、移動のしやすさ、浴室、トイレ、リハビリ設備、ナースコール、面会スペースなどを実際に確認してください。

制度確認:本記事の療養室定員・床面積、診察室、処置室、機能訓練室、食堂、談話室、浴室、廊下、ユニット型設備等に関する記述は、2026年10月20日時点で厚生労働省「介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」および介護医療院公式情報を確認しています。実際の居室構成、設備の配置、浴室の種類、リハビリ機器等は施設によって異なるため、候補施設を見学して確認してください。

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