住宅型有料老人ホームのケアプランは誰が作る?

住宅型有料老人ホームへの入居を検討すると、「ケアプランはホームの職員が作るのか」「今のケアマネジャーをそのまま利用できるのか」「ホームと同じ法人のケアマネを使わなければならないのか」が気になる人も多いでしょう。

まず結論|原則は居宅介護支援事業所のケアマネジャーが作る

住宅型有料老人ホームで介護保険の居宅サービスを利用する場合、原則として、本人が契約した居宅介護支援事業所の介護支援専門員(ケアマネジャー)が「居宅サービス計画(ケアプラン)」を作成します。

住宅型有料老人ホームそのものが、介護付き有料老人ホームのように特定施設入居者生活介護のケアプランを包括的に作る仕組みではありません。ホームとの入居契約と、居宅介護支援事業所との契約、訪問介護・訪問看護などとの契約は分けて考える必要があります。

この記事では、住宅型有料老人ホームのケアプランを誰が作るのか、本人・家族はどこまで関われるのか、併設ケアマネを使う必要があるのか、今のケアマネを継続できるか、ケアプランを変更したいときはどうするのかまで解説します。

住宅型有料老人ホームのケアプランは誰が作る?

介護保険の訪問介護、訪問看護、通所介護、福祉用具貸与などを利用する場合、通常は本人が契約した居宅介護支援事業所のケアマネジャーが居宅サービス計画を作成します。

厚生労働省の居宅介護支援基準の解釈通知でも、居宅サービス計画の作成に関する主要な過程は、介護支援専門員に担当させることとされています。

ホームの生活相談員が自動的にケアプランを作るわけではない

住宅型有料老人ホームには、生活相談や安否確認などを担うホーム職員がいます。

しかし、ホーム職員だからという理由だけで、その人が介護保険の居宅サービス計画を作成するわけではありません。

その職員が別途、指定居宅介護支援事業所のケアマネジャーとして担当している場合を除き、ホームの生活支援と介護保険のケアマネジメントは分けて考えます。

住宅型は外部サービスを組み合わせて生活する

住宅型有料老人ホームでは、介護が必要になった場合、本人が訪問介護、訪問看護、通所介護、福祉用具などの外部サービスを個別に利用します。

ケアマネジャーは、それらのサービスを本人の状態・希望に合わせて組み合わせ、ケアプランとして整理します。

ケアプランには何を書く?

ケアプランは、単に「訪問介護を週何回使うか」を並べるだけの書類ではありません。

本人の生活課題、希望、目標を整理し、その目標を実現するためにどのサービスをどのように利用するかをまとめます。

本人・家族の希望

たとえば、次のような希望を確認します。

  • できるだけ自分でトイレへ行きたい
  • デイサービスで入浴したい
  • 家族との外出を続けたい
  • 転倒せず安全に暮らしたい
  • 今の主治医・訪問看護を継続したい

長期目標・短期目標

本人が望む生活を実現するため、一定期間ごとの目標を設定します。

たとえば「居室内を歩行器で安全に移動できる」「週2回の入浴を継続する」など、本人の生活に即した目標を設定します。

利用するサービスと頻度

訪問介護、訪問看護、通所介護、福祉用具貸与など、必要なサービスと頻度・役割を位置付けます。

ケアプランの中心は「どのサービスを使うか」ではなく、「本人がどのように暮らしたいか」です。

ケアプランはどうやって決まる?

ケアマネジャーが一人で決めるの?

ケアマネジャーが一人で勝手に決めるものではありません。

居宅サービス計画は、利用者本人の希望を尊重して作成し、サービス担当者会議等で各サービス担当者の専門的な意見を聞きながら調整します。

本人への説明と同意が必要

厚生労働省の解釈通知では、作成されたケアプラン原案について本人へ説明し、文書による同意を得ることが求められています。

「ケアマネジャーが作ったから従わなければならない」というものではありません。

家族も話し合いに参加できる

本人が希望する場合や、本人の状況を家族がよく把握している場合は、家族も意向や情報を伝えます。

ただし、家族の希望だけで決めるのではなく、本人の意思・希望を中心に考えることが基本です。

サービス担当者会議では何を話す?

ケアプランを作成・変更するときは、必要に応じてサービス担当者会議を開きます。

参加者には、ケアマネジャー、訪問介護、訪問看護、デイサービス、福祉用具事業者など、本人の支援に関わる担当者が含まれます。

住宅型ホームの職員も情報共有することがある

住宅型有料老人ホームは介護保険サービス事業所とは別の立場ですが、本人の日常生活を把握しているため、生活状況や困りごとについて情報共有することがあります。

たとえば、夜間にトイレ回数が増えた、食事量が減った、転倒が増えたなど、ホーム内での変化はケアプラン見直しの重要な情報になります。

各事業者の役割を整理する

住宅型では複数の事業者が関わるため、誰が何をするのか曖昧にならないよう整理することが重要です。

たとえば、

  • 朝の起床介助は訪問介護
  • 日中の健康観察は訪問看護
  • 食事提供はホーム
  • 夜間の安否確認はホーム

というように役割を確認します。

ホーム職員とケアマネジャーはどう連携する?

住宅型有料老人ホームの職員はケアプランに関わらない?

関わらないわけではありません。

介護保険の居宅サービス計画を正式に作成するのは居宅介護支援事業所のケアマネジャーですが、住宅型ホームの職員は本人の生活状況を把握し、ケアマネジャーへ情報を伝える重要な役割があります。

ホーム内の生活情報は重要

たとえば、

  • 夜間に何回起きているか
  • 食事量が減っていないか
  • 転倒が増えていないか
  • 他の入居者との交流状況
  • 排泄・移動で新たな介助が必要になっていないか

などは、訪問サービスの短い時間だけでは把握しにくい情報です。

ホームとケアマネの連携方法を確認する

見学・契約時には、「ケアマネジャーとホーム職員はどのように情報共有していますか」と確認してください。

同一法人・今までのケアマネを選べる?

ホームと同じ法人のケアマネが作ることはある?

あります。

住宅型有料老人ホームを運営する法人や関連法人が、居宅介護支援事業所も運営している場合があります。

本人がその居宅介護支援事業所を選び、契約すれば、同じ法人・関連法人のケアマネジャーが担当することがあります。

同じ法人だから問題というわけではない

ホームとの情報共有がしやすい、担当者同士の連絡が取りやすいなどのメリットを感じる人もいます。

本人が内容を理解し、納得して選択しているのであれば、同一法人の事業所を利用すること自体が問題になるわけではありません。

利用を強制されるものではない

厚生労働省は、高齢者向け住まいについて、住まいに付帯する基本サービスと介護保険サービスを切り分け、併設事業所と他の事業所のメリット・デメリットを理解したうえで、利用者が自由に選択できる環境を整えることを求めています。

併設の居宅介護支援事業所や訪問介護事業所の利用を強要・義務付けることは、適切な運営とはされていません。

「ホームと同じ法人だからダメ」でも、「ホームと同じ法人を必ず使う」でもありません。本人が複数の選択肢を理解したうえで決められるかが重要です。

今までのケアマネジャーを入居後も継続できる?

継続できる場合があります。

住宅型有料老人ホームへ転居しても、現在の居宅介護支援事業所が新しい住所を担当でき、事業所側が継続可能であれば、そのまま同じケアマネジャーを利用できることがあります。

通常の事業実施地域を確認する

遠方へ転居する場合は、現在の居宅介護支援事業所の通常の事業実施地域から外れることがあります。

その場合は、新しいホーム周辺の居宅介護支援事業所へ変更する方法を検討します。

ホーム側にも事前に伝える

現在のケアマネジャーを継続したい場合は、入居契約前にホームへ伝えてください。

外部のケアマネジャーとの情報共有、訪問時の入館方法、サービス担当者会議の方法などを確認できます。

入居時のケアプランで最初に確認すること

ケアプランを作る前に何を確認する?

ケアマネジャーは、ケアプラン作成前に本人の心身状態、生活環境、希望などを把握するためのアセスメントを行います。

入居前後で生活環境が大きく変わる

自宅から住宅型有料老人ホームへ移ると、食事提供、安否確認、居室設備、職員配置など生活環境が変わります。

自宅で必要だったサービスが、入居後も同じように必要とは限りません。

ホームの基本サービスを確認する

ケアプランを作る前に、ホームの月額料金に何が含まれているかを確認します。

たとえば、安否確認や食事提供をホームが基本サービスとして行うなら、それと重複する介護保険サービスを機械的に組み込まないよう整理が必要です。

ケアプランにホームの基本サービスも書く?

居宅サービス計画は介護保険サービスを中心に作成しますが、本人の生活全体を支えるという観点から、ホームの生活支援、家族の支援、医療なども含めて役割を整理することがあります。

介護保険サービスとホームサービスを重複させない

住宅型ホームの基本サービスで実施している内容について、同じ内容を介護保険サービスとして重複して位置付けることがないよう確認する必要があります。

ケアマネジャーへ、重要事項説明書・サービス一覧・料金表を共有すると整理しやすくなります。

訪問介護の回数・事業者は誰が決める?

訪問介護の回数はホームが決める?

ホームが一方的に決めるものではありません。

ケアマネジャーが本人の状態・希望をアセスメントし、本人・家族、サービス事業者等と調整しながら必要なサービス内容をケアプランへ位置付けます。

「このホームでは全員1日○回」は要確認

入居者の状態が違うにもかかわらず、ほぼ全員に同じ回数の訪問介護が組まれているような場合は、そのサービスが本人に本当に必要なのか確認してください。

厚生労働省も、住宅型有料老人ホーム等で併設・関連事業所への利用が限定・誘導され、過剰な介護サービスが提供される「囲い込み」を課題として挙げています。

必要性と本人の希望を確認する

サービス回数を説明されたときは、

  • なぜこの回数が必要なのか
  • どの生活課題に対応するのか
  • ホームの基本サービスで対応できない理由は何か
  • 本人が希望している内容か

を確認してください。

本人・家族からサービス事業所を指定できる?

本人がサービス事業者を選ぶことが基本です。

厚生労働省の居宅介護支援基準の解釈通知では、ケアマネジャーは地域のサービス事業者について、サービス内容や利用料等の情報を適切に提供し、利用者に選択を求めることとされています。

特定の事業者だけを最初から提示するのは適切ではない

利用者へ選択を求めず、同じ法人のサービスだけでケアプラン原案を最初から提示することがないよう求められています。

本人が同じ法人を選ぶことは可能

複数の選択肢を理解したうえで、連携のしやすさなどを理由にホームと同じ法人の訪問介護等を本人が選ぶことは可能です。

ケアプランは変更できる?

ケアプランは一度作ったら変えられない?

変更できます。

ケアマネジャーは、ケアプラン作成後もサービスの実施状況や本人の状態を把握し、必要に応じて計画を見直します。

身体状態が変わったとき

たとえば、

  • 転倒して歩行が難しくなった
  • 食事介助が必要になった
  • 排泄介助が増えた
  • 訪問看護が必要になった

などの場合はサービス内容を見直します。

本人の希望が変わったとき

「デイサービスを減らしたい」「外出の機会を増やしたい」など、本人の希望が変わった場合もケアマネジャーへ相談してください。

退院後は特に見直しが必要

入院前と退院後では介護量・医療ニーズが変わることがあります。

退院前から病院、ホーム、ケアマネジャー、訪問看護等で情報共有し、必要に応じてケアプランを見直します。

ケアプランの内容に納得できないときは?

そのまま同意する必要はありません。

ケアプランは本人の希望を尊重して作成し、説明・同意を得ることが必要です。

なぜ必要なのか説明を求める

利用回数や事業者に疑問がある場合は、

  • このサービスは何のためですか
  • この回数が必要な根拠は何ですか
  • 別の事業者も選べますか
  • 費用はいくら増えますか

と確認してください。

ケアマネジャー自体を変更することもできる

十分に話し合っても希望が反映されない、信頼関係を築くことが難しい場合は、居宅介護支援事業所や担当ケアマネジャーの変更を検討できます。

セルフケアプランは可能?

ケアプランを自分で作ることはできる?

一般的には居宅介護支援事業所のケアマネジャーへ作成を依頼しますが、制度上は利用者自身が居宅サービス計画を作成する、いわゆる「セルフケアプラン」という方法もあります。

厚生労働省資料では、利用者自身がケアプランを作成する場合でも、あらかじめ市町村へ届け出ることで保険給付につなげる仕組みが示されています。

実務負担が大きい

セルフケアプランでは、本人・家族がサービス事業者との調整、利用票等の作成、給付管理に関する手続などを行う必要があり、一般的な方法ではありません。

希望する場合は、まず本人の保険者である市区町村へ現在の手続方法を確認してください。

「ケアマネを使わず簡単に自己作成できる」という意味ではありません。住宅型ホーム入居者でも、通常は居宅介護支援事業所へ依頼するほうが実務上一般的です。

届出・入居前の確認事項

居宅介護支援事業所を決めたら市区町村への届出は必要?

居宅サービス計画の作成を居宅介護支援事業所へ依頼する場合は、「居宅サービス計画作成依頼(変更)届出書」等を市区町村へ届け出ます。

厚生労働省は標準様式を示しており、居宅介護支援事業所を変更する場合も変更年月日等を記載して届け出る形式になっています。

実際の提出方法は市区町村で確認する

名称、電子申請の有無、提出先、本人・事業所のどちらが提出するかなどは自治体運用を確認してください。

通常は担当する居宅介護支援事業所が手続きを案内してくれます。

入居前にケアマネジャーと確認したいこと

住宅型入居時のケアプラン確認

  • 今のケアマネジャーを継続できますか
  • 新しい居宅介護支援事業所を自由に選べますか
  • ホーム併設のケアマネ事業所を使う必要がありますか
  • ホームの基本サービスには何が含まれますか
  • 訪問介護は何のために何回必要ですか
  • 訪問看護は必要ですか
  • デイサービスを継続・変更できますか
  • 現在の福祉用具を継続できますか
  • ホーム職員とケアマネはどう情報共有しますか
  • 状態が変わったとき誰に連絡しますか
  • サービス事業者を自分で選べますか
  • ケアプラン変更を希望するときは誰に伝えますか

判断するときの順番

1
本人の生活目標を最初に決める
サービス回数より先に、どのように暮らしたいかを整理します。
2
ホームの基本サービスを確認する
安否確認や生活支援など、介護保険外で提供される内容を把握します。
3
必要な外部サービスを組み合わせる
訪問介護・訪問看護・デイ・福祉用具等を必要性から位置付けます。
4
本人が内容を確認して同意する
事業者の選択肢、費用、サービス回数を確認し、納得したうえで決めます。

住宅型のケアプランは「本人の生活」を中心に作る

住宅型有料老人ホームで介護保険の居宅サービスを利用する場合、原則として、本人が契約する居宅介護支援事業所のケアマネジャーがケアプランを作成します。

ケアマネジャーが一人で決めるのではなく、本人の希望を確認し、サービス担当者会議等で訪問介護・訪問看護などの担当者から意見を聞き、本人へ説明して同意を得たうえで決定します。

住宅型ホームと同じ法人のケアマネジャーを本人が選ぶことはできますが、併設事業所の利用が当然に義務付けられるものではありません。

特に確認したいのは、ホームの基本サービスと介護保険サービスが重複していないか、本人に必要なサービスが必要な量だけ組まれているか、本人が事業者を選択できているかです。

ケアプランは一度作って終わりではありません。身体状態、医療ニーズ、本人の希望が変わったときは、ケアマネジャーへ相談して見直してください。

制度確認:本記事の居宅サービス計画作成、本人のサービス選択、説明・同意、併設事業所の利用、セルフケアプラン、居宅サービス計画作成依頼届等は、2026年10月20日時点で厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」、同解釈通知、高齢者向け住まいにおける介護保険サービスの自由な選択に関する資料等を確認しています。実際の届出様式・手続方法は市区町村によって異なる場合があるため、本人の保険者と担当居宅介護支援事業所へ確認してください。

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