老人ホームの費用を考えるときは、家賃・管理費・食費・介護費だけでなく、衣類、理美容、日用品などの生活費も見込んでおく必要があります。
一つひとつは大きな金額でなくても、毎月積み重なると無視できません。ただし、これらの費用は本人の生活習慣や施設の料金設定によって差が大きいため、「毎月必ず○円」と固定して考えるより、必要な項目を洗い出して見積もる方が現実的です。
まず結論|生活実費は「毎月固定」ではなく、本人が使うものを項目別に見積もる
老人ホーム入居後は、衣類、理美容、歯ブラシやティッシュなどの日用品、嗜好品、新聞・雑誌、外出時の買い物などが別途必要になる場合があります。おむつや洗濯の扱いは施設種別によって異なるため、料金表や重要事項説明書で確認してください。予算は一律の相場ではなく、「本人が実際に何を使うか」「施設が何を基本料金に含めるか」を整理して決めることが重要です。
老人ホーム入居後の生活費は月額料金に全部含まれるわけではない
老人ホームの月額料金には、家賃相当額、管理費、食費などが含まれていることがあります。
一方、衣類や日用品、理美容、趣味に使うお金などは、本人の生活に応じて別途必要になることがあります。
「月額料金+生活実費」で考える
施設費だけで毎月の支出を考えると、実際の請求額との差が出ることがあります。
特に、施設がまとめて購入する日用品や、訪問理美容、個別の買い物代行などを利用する場合は、施設側から別途請求されることがあります。
実費の項目は施設ごとに違う
同じ有料老人ホームでも、ティッシュや洗剤などを管理費に含めている施設もあれば、個人使用分を実費請求する施設もあります。
入居前に「月額料金に含まれない生活用品は何ですか」と確認すると、予算を組みやすくなります。
衣類にかかる費用
老人ホームでは、季節に応じた衣類や下着、寝間着などが必要です。
入居時にまとめて用意する費用
入居直後は、普段着、下着、靴下、パジャマ、上着、室内履きなどをまとめて準備することがあります。
施設によっては、洗濯頻度や収納スペースを考えて必要枚数の目安を案内してくれることもあります。
介護状態に合う衣類へ買い替えることもある
入居後に車いす中心の生活になったり、着替えに介助が必要になったりすると、前開きの服や伸縮性のある衣類などへ買い替えることがあります。
現在持っている服をすべてそのまま使えるとは限らないため、身体状態の変化も予算に入れておくと安心です。
名前付けが必要な施設もある
衣類の取り違えを防ぐため、持ち物すべてに名前を書くよう求める施設があります。
施設によっては有料で名前付けサービスを行う場合もあるため、入居準備時に確認してください。
理美容費はどのくらい見込む?
老人ホームでは、訪問理美容業者が定期的に来る施設があります。
カット代などは実費負担になることが多い
訪問理美容を利用する場合、カット、カラー、パーマなど、利用した内容に応じた料金を本人が負担するのが一般的です。
料金は施設が一律に決めるとは限らず、提携している理美容業者の料金体系によることがあります。
毎月必要とは限らない
理美容は、毎月利用する人もいれば、数か月に1回で十分な人もいます。
月単位の固定費として考えるより、年間の利用回数を想定して月平均に直す方が現実的です。
POINT
理美容費は「毎月いくら」ではなく「年に何回利用するか」で考えると見積もりやすくなります。
歯ブラシ・ティッシュなどの日用品費
老人ホームでも、日常生活で使う消耗品は必要です。
自分で用意する日用品
歯ブラシ、歯磨き粉、ティッシュ、シャンプー、ボディソープ、保湿剤などは、本人または家族が用意する場合があります。
施設側で一括購入して実費請求する方式もあるため、持ち込みと施設購入のどちらになるか確認してください。
本人のこだわりがあると費用は変わる
普段使っている化粧品、保湿剤、シャンプーなどを継続したい場合は、その購入費も生活費として見込みます。
すべてを施設指定品にする必要があるとは限らないため、持ち込み可否を確認してください。
おむつ代は施設によって扱いが違う
おむつ代は、施設種別によって費用の扱いが異なるため注意が必要です。
特養・老健などでは別途徴収できない扱いがある
厚生労働省の通知では、介護福祉施設サービス、介護保健施設サービスなどの入所者について、おむつ代、おむつカバー代、これらに係る洗濯代は保険給付の対象とされており、別途徴収できないとされています。
特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)などを検討するときは、おむつ費用が施設利用料の中でどのように扱われるか確認してください。
介護付き有料老人ホーム等では実費になる場合がある
介護保険法施行規則では、特定施設入居者生活介護について、おむつ代は日常生活に要する費用として利用者負担となり得る費用に含まれています。
介護付き有料老人ホームなどでは、本人が使用したおむつを実費負担する場合があるため、月額料金とは別に確認してください。
本人の使用量で負担が変わる
おむつ、尿取りパッドなどの使用枚数は、排せつ状態や介護方法によって変わります。
実費負担となる施設では、施設指定品を使うのか、持ち込みできるのか、1枚単位か月額定額かも確認しておきましょう。
おむつ代は「老人ホームなら全部有料」「施設なら全部無料」と一括りにしない
施設種別と介護保険上のサービスによって扱いが異なります。料金表だけでなく、施設へ「本人のおむつ代は別請求ですか」と具体的に確認してください。
洗濯代は基本料金に含まれる?
衣類やタオルの洗濯についても、施設ごとに費用の扱いが異なります。
施設サービスとして行う場合
施設職員が日常的な洗濯を行い、基本料金や施設サービスに含めている場合があります。
特別養護老人ホームでは、厚生労働省の通知上、入所者の私物の通常の洗濯は基本的な施設サービスとして扱われ、本人希望で外部クリーニング店へ取り次ぐ場合のクリーニング代などを除き、別途徴収できないとされています。
外部クリーニングは別料金になることがある
ドライクリーニングが必要な衣類や、本人・家族の希望で外部業者へ出す場合は、実費負担となることがあります。
普段着と特殊な衣類で扱いが違う場合があるため、入居前に確認してください。
有料老人ホーム等は料金体系を確認する
有料老人ホームでは、洗濯を基本サービスに含める施設もあれば、自費サービスとする施設もあります。
「洗濯無料」と表示されていても、個別クリーニングや特殊衣類は別料金になることがあります。
嗜好品・お菓子・飲み物にかかる費用
老人ホームで生活しても、本人が好きなお菓子や飲み物を楽しむことがあります。
施設の食費とは別に考える
施設の食費におやつが含まれている場合もありますが、本人が個別に購入するお菓子、飲み物、コーヒーなどは別の生活費になります。
自動販売機を利用する施設や、売店で買い物できる施設もあります。
本人の楽しみを削りすぎない
施設費を抑えることは大切ですが、本人が楽しみにしているお菓子や飲み物まで一律に減らす必要はありません。
健康状態や医師の指示を踏まえつつ、本人らしい生活を続けるための予算も残しておきましょう。
新聞・雑誌・テレビなどの費用
これまでの生活習慣を施設でも続けたい場合、娯楽や情報にかかる費用も発生します。
新聞・雑誌
個人で新聞を購読する場合や、雑誌を定期購入する場合はその費用がかかります。
共用スペースに新聞を置いている施設もあるため、本人が個人契約する必要があるか確認してください。
テレビ
居室へテレビを持ち込む場合、テレビ本体や買い替え費用に加え、電気代や放送サービスに関する費用が発生する場合があります。
管理費に電気代が含まれているかも施設ごとに違います。
外出・買い物にかかる費用
本人が外出できる施設では、買い物や外食の費用も生活費の一部になります。
本人が自分で買い物する場合
近隣のスーパーやコンビニへ出かける人は、日用品や嗜好品などを自分で購入することがあります。
本人が現金をどの程度持つか、施設が金銭を預かる仕組みがあるかも確認してください。
職員の付き添いが有料の場合がある
買い物や外出に施設職員の付き添いを依頼する場合、一定時間を超えると自費サービス料金が発生することがあります。
本人が頻繁に外出を希望する場合は、交通費と付き添い費を合わせて確認してください。
衣替え・季節用品にも費用がかかる
毎月ではありませんが、季節の変わり目にはまとまった支出が出ることがあります。
夏物・冬物の買い替え
サイズが変わった、介護しやすい服が必要になった、古い衣類が傷んだなどの理由で、季節ごとに衣類を追加購入することがあります。
寝具・防寒用品
施設が用意する寝具以外に、本人用の毛布、ひざ掛けなどを持ち込む場合があります。
持ち込み可能な物は施設ごとに異なるため、購入前に確認してください。
日用品費を見積もるときの考え方
生活実費は、全国一律の相場を当てはめるより、本人の生活を基準に考える方が正確です。
01
毎月ほぼ必要なもの
歯ブラシ、ティッシュ、保湿剤、嗜好品など、日常的に使うものを洗い出します。
02
数か月に1回必要なもの
理美容、衣類、靴など、毎月ではない費用を年間回数から月平均に換算します。
03
状態変化で増える可能性があるもの
おむつ、介護用衣類、保湿用品など、介護状態が変わると使用量が増えるものを確認します。
この3つに分けると、月ごとの変動があっても年間予算を組みやすくなります。
施設に任せるか家族が用意するかで費用は変わる
日用品の購入方法は施設によって異なります。
施設一括購入
必要な日用品を施設が購入し、後から本人へ実費請求する方法があります。
家族が頻繁に届ける必要がない反面、商品を自由に選べない場合があります。
家族が購入・補充する
家族がティッシュ、衣類、化粧品などを定期的に持参する方法です。
本人が使い慣れた商品を選べますが、遠方の家族では補充の負担が大きくなることがあります。
本人が自分で購入する
自立度が高い人では、自分で外出したり売店を利用したりして購入することもあります。
金銭管理を本人が続けられるかも含めて考えます。
施設の料金表で確認したい生活実費
入居前に確認したい衣類・理美容・日用品関連費
- 普段着・下着・寝間着の準備
- 衣類への名前付け
- 通常の洗濯代
- 外部クリーニング代
- 訪問理美容の料金
- 歯ブラシ・歯磨き粉
- ティッシュ・トイレット用品
- シャンプー・ボディソープ
- 化粧品・保湿用品
- おむつ・尿取りパッド
- お菓子・飲み物
- 新聞・雑誌
- テレビ等の電気代
- 買い物代行費
- 外出付き添い費
- 交通費
- 季節ごとの衣類・靴
見積もりでは「実費」「別途」の項目を具体化する
施設の料金表には、「日用品費は実費」「理美容代は別途」などと書かれていることがあります。
本人の場合はいくらになりそうか聞く
「実費です」とだけ説明された場合は、本人が現在使っている物や利用頻度を伝え、「一般的にこの方なら何が必要になりますか」と確認してください。
施設によって過去の利用例をもとに、どのような費用が発生しやすいか説明してもらえる場合があります。
施設指定品の有無を確認する
おむつ、洗剤、衛生用品などで施設指定の商品がある場合は、持ち込みできるか確認します。
指定品しか使えない場合は、その料金も予算に含めてください。
家族が毎月チェックしたいこと
入居後は、実際の請求明細を数か月確認すると、本人に必要な生活費が見えてきます。
想定より増えている費用を確認する
おむつ、日用品、通院同行などが想定より多い場合は、本人の状態変化やサービス利用量が増えている可能性があります。
単に「請求が高い」と考えず、何が増えたかを施設へ確認してください。
使っていないサービスがないか確認する
定額の日用品サービスなどを契約している場合、本人が実際に必要としているか定期的に確認します。
料金プランの変更が可能かも施設へ聞いてみましょう。
まとめ|日用品費は本人の生活に合わせて余裕を持って見積もる
老人ホーム入居後は、施設の月額料金とは別に、衣類、理美容、日用品、嗜好品、外出などの生活費が必要になることがあります。
これらは本人の生活習慣によって差が大きいため、一律の相場を当てはめるより、「毎月使うもの」「数か月に1回必要なもの」「状態変化で増えるもの」に分けて考えると見積もりやすくなります。
また、おむつや洗濯の費用は施設種別によって扱いが異なります。特養・老健などと有料老人ホーム等では同じではないため、料金表や重要事項説明書で確認してください。
老人ホームの生活費を考えるときは、必要最低限だけでなく、本人が衣類を選ぶ、髪を整える、好きな飲み物を楽しむといった「その人らしい生活」に使うお金も含めて予算を組むことが大切です。