人工肛門(ストーマ)や人工膀胱(ウロストミー)があっても、老人ホームへ入居できる可能性はあります。ただし、施設によって対応できる範囲は大きく異なります。
「ストーマ対応可」と書かれていても、装具交換を本人ができることが前提なのか、介護職員や看護職がどこまで支援できるのか、皮膚トラブルや漏れが起きたときにどう対応するのかまで確認しなければ、入居後に困ることがあります。
まず結論|このページで最も重要な内容
人工肛門・人工膀胱がある人の施設選びでは、ストーマの有無だけでなく、本人が自分で管理できる範囲、装具交換の支援者、皮膚トラブル時の対応、夜間体制、医療機関との連携まで具体的に確認することが重要です。
人工肛門・人工膀胱があっても老人ホームへ入居できる
人工肛門や人工膀胱があることだけを理由に、すべての老人ホームで入居できないわけではありません。受け入れ可否は、本人の状態と施設の支援体制によって変わります。
特に重要なのは、本人がどこまで自分でストーマ管理を行えるかです。装具交換、排泄物の処理、皮膚の観察などを自分で行える人と、全面的な支援が必要な人では、施設に求められる体制が異なります。
確認のポイント
施設へ問い合わせるときは「人工肛門があります」だけでなく、交換頻度、本人ができること、現在受けている支援まで伝えます。
人工肛門と人工膀胱では管理内容が異なる
人工肛門は便を腹部のストーマから排出するためのもので、人工膀胱は尿を排出するためのものです。いずれも装具を装着して管理しますが、排泄物の性状や皮膚への影響、装具交換時の注意点などは異なります。
そのため、施設に「ストーマ対応経験があるか」と確認するときは、人工肛門なのか人工膀胱なのかまで具体的に伝える必要があります。
最初に確認したいのは本人のセルフケア能力
老人ホーム選びでは、本人がどこまでストーマ管理を自分で行えるかを整理します。
- 装具交換を一人で行えるか
- 排泄物の処理を自分で行えるか
- ストーマ周囲の皮膚状態を確認できるか
- 装具の漏れやはがれに自分で気づけるか
- 必要な物品を自分で管理できるか
認知症、視力低下、手指の麻痺、寝たきりなどがあると、以前は自分でできていた管理が難しくなることがあります。現在だけでなく、今後支援量が増えた場合にも対応できるかを確認しておくことが大切です。
装具交換を誰が行うのかを具体的に確認する
施設によって、装具交換への関わり方は異なります。本人が自分で交換することを前提にする施設もあれば、看護職や訪問看護と連携して支援する施設もあります。
介護職員が日常生活上の支援として関われる範囲と、医療的な判断や専門的処置が必要な範囲は同じではありません。入居前に、実際の交換方法を施設側へ伝えたうえで、誰がどの場面を担当するのかを確認します。
「対応できます」だけで決めない
対応可能という説明だけではなく、平日・夜間・休日それぞれで誰が支援するのかまで確認しておくと安心です。
皮膚トラブルや装具の漏れへの対応体制を見る
ストーマ周囲の皮膚が赤くなる、ただれる、出血する、装具が密着しにくくなるといったトラブルが起こることがあります。漏れが続くと生活上の負担も大きくなります。
そのため、日常的な観察だけでなく、異常が起きたときに誰へ連絡し、必要に応じて受診につなげられるかを確認します。皮膚・排泄ケア認定看護師など専門職へ相談できる医療機関と連携しているかも、状況によっては確認材料になります。
夜間や休日にトラブルが起きたときの対応を確認する
ストーマ装具の漏れやはがれは、日中だけに起きるとは限りません。夜間に看護師が常駐していない施設では、介護職員がどこまで初期対応できるのか、オンコールで看護師へ相談できるのかを確認します。
特に全面的な介助が必要な人は、夜間の排泄物処理や寝具・衣類の交換まで含めて支援体制を確認しておく必要があります。
訪問看護を利用できる施設か確認する
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などでは、必要に応じて外部の訪問看護を利用できる場合があります。ストーマの状態確認、皮膚トラブルへの対応、家族や施設職員への助言などを受けられることがあります。
ただし、訪問看護を自由に利用できるかどうかは、施設種別、介護保険・医療保険の利用条件、本人の状態などによって異なります。入居前に施設とケアマネジャー、主治医などへ確認します。
主治医やストーマ外来との連携も重要
ストーマの形状変化、皮膚障害、出血、排泄量や性状の大きな変化などがある場合は、医療機関での確認が必要になることがあります。
現在通院している病院やストーマ外来へ今後も通えるのか、施設からの受診支援はあるのか、通院時の付き添いは誰が行うのかまで確認します。
遠方の施設へ入居する場合は、入居先の地域で新しい医療機関を確保する必要があるため、入居前から紹介状や診療情報の準備を進めます。
排泄物処理と廃棄物の扱いも確認する
ストーマ装具や関連物品をどこで保管するか、使用済み装具をどのように廃棄するかは、日々の生活に直結します。
居室内に十分な保管場所があるか、トイレまでの移動がしやすいか、臭いや漏れが起きたときにすぐ対応してもらえるかも確認するとよいでしょう。
寝たきりや認知症がある場合は支援量が増える
ストーマ自体が安定していても、寝たきりや認知症があると管理の難しさは変わります。寝たきりでは装具交換時の体位保持が必要になり、認知症では装具を触る、はがす、交換時の説明を理解しにくいといったことがあります。
施設へはストーマの情報だけでなく、移乗、排泄、認知症症状、夜間の様子、本人が受け入れやすい声かけなども合わせて伝えます。
入居前に施設へ伝えておきたい情報
施設へ伝える内容
- 人工肛門か人工膀胱か
- ストーマの位置と現在使用している装具
- 装具交換の頻度
- 本人が自分でできること
- 介助が必要な部分
- 皮膚トラブルや漏れの有無
- 現在の通院先・ストーマ外来
- 夜間に起こりやすい問題
- 認知症や麻痺など他の状態
- 家族がどこまで対応できるか
可能であれば、病院や訪問看護から現在の管理方法を説明してもらうと、施設側も受け入れ可否を判断しやすくなります。
施設見学では実際の支援場面を想定して質問する
見学では「ストーマ対応できますか」とだけ聞くのではなく、生活場面を想定して質問します。
- 装具交換は誰が行いますか
- 夜間に漏れた場合はどう対応しますか
- 皮膚トラブルが起きたときは誰へ相談しますか
- 訪問看護は利用できますか
- ストーマ外来への通院支援はありますか
- 本人が自分で管理できなくなった後も入居を続けられますか
現在対応できるかだけでなく、介護度や認知症が進んだときにも継続入居できるかを確認することが重要です。
ストーマ対応だけでなく生活全体で施設を選ぶ
人工肛門・人工膀胱への対応は大切ですが、それだけで施設を決めると生活全体が合わないことがあります。食事、入浴、移動、認知症ケア、医療連携、家族の通いやすさ、費用なども合わせて確認します。
本人ができることを維持しながら、必要な部分だけ支援を受けられる施設であれば、入居後も自立性を保ちやすくなります。
最後に確認したいこと
施設名や「ストーマ対応可」という表示だけで判断せず、本人の管理方法を実際に施設へ伝え、日中・夜間・緊急時それぞれの対応を具体的に確認してから入居を決めましょう。