特別養護老人ホーム(特養)では、毎日の歯みがきや義歯の手入れなどの口腔ケアに加え、歯科医師・歯科衛生士と連携して口腔状態を確認する体制が整えられています。
ただし、「特養に入れば施設内でいつでも歯科治療を受けられる」という意味ではありません。協力歯科医療機関や訪問歯科の有無、診療できる内容、受診が必要な場合の対応は施設ごとに異なります。
特養では日常の口腔ケアと歯科専門職との連携を確認する
まず結論|歯科治療の有無だけでなく口腔管理の仕組みを見る
特養選びでは、毎日の口腔ケア、口腔状態の定期確認、歯科医師・歯科衛生士との連携、必要時の歯科受診までがどのようにつながっているかを確認することが重要です。
2024年度の介護報酬改定では、介護老人福祉施設を含む介護保険施設で、入所時および入所後の定期的な口腔の健康状態の評価を行い、適切な口腔管理や歯科専門職につなげる体制が強化されています。
特養で受けられる口腔ケアとは
毎日の歯みがきや義歯の手入れを支援する
自分で歯みがきができる人には必要な声かけや準備を行い、手の動きが難しい人や認知症がある人には、状態に応じて介護職員などが口腔ケアを支援します。
歯だけでなく、舌や頬の内側、歯ぐき、義歯なども清潔に保つことが大切です。義歯を外して洗浄する、夜間の保管方法を整えるといった管理も確認したい点です。
口腔の状態を定期的に確認する
特養では、口腔内の汚れ、歯や義歯の状態、口の乾燥、痛み、腫れ、飲み込みに関する変化などを把握し、必要に応じて歯科専門職へつなげます。
「毎日歯みがきをしているか」だけではなく、口腔状態を評価し、その結果を日常のケアに反映しているかが重要です。
POINT
口腔ケアは清潔を保つだけでなく、食べる機能の維持や口腔トラブルの早期発見にも関わります。
歯科診療は施設内の訪問歯科か外部受診になる
特養は協力歯科医療機関をあらかじめ定めておくよう努めることとされています。ただし、施設内に歯科診療所が常設されているとは限りません。
訪問歯科に対応している施設
歯科医師や歯科衛生士が施設を訪問し、むし歯、歯周病、義歯の調整、口腔内の確認などを行う施設があります。どの程度の頻度で訪問があるか、予約方法、診療対象となる内容は施設ごとに確認が必要です。
義歯が合わない、歯が痛い、歯ぐきが腫れているなどの症状がある場合に、どのような流れで歯科診療へつなぐのかも聞いておきましょう。
外部の歯科医院を受診する場合
訪問歯科では対応できない処置や検査が必要な場合は、外部の歯科医院や病院を受診することがあります。家族の付き添いが必要か、施設職員が同行できるか、送迎方法はどうなるかを確認します。
歯科受診の支援方法は施設によって異なるため、入所前に本人の歯科通院歴や治療中の内容を伝えておくとスムーズです。
義歯を使っている人は管理方法を確認する
高齢者では義歯を使っている人も多く、紛失や破損、装着忘れ、洗浄不足などを防ぐための管理が必要です。
義歯の保管と記名方法
施設によっては義歯ケースへの記名や、保管場所を決めて管理しています。
認知症がある人では本人が義歯を外して別の場所へ置いてしまうこともあるため、日常的な確認方法を聞いておきます。
合わなくなった義歯を放置しない
体重減少や口腔内の変化で義歯が合わなくなると、痛みが出たり食事がしづらくなったりします。
食事量の低下や口の痛みがみられたとき、義歯の不具合も含めて確認してもらえるかが大切です。
嚥下や誤嚥性肺炎が心配な人は歯科との連携も見る
口腔内を清潔に保つことは、口腔トラブルの予防だけでなく、誤嚥性肺炎のリスクを考えるうえでも重要です。ただし、口腔ケアだけで誤嚥性肺炎を完全に防げるわけではありません。
むせや食べにくさを歯科・医療職へつなげる
食事中のむせ、食事時間の延長、口の中に食べ物が残る、体重減少などがある場合は、歯科だけでなく医師、看護職員、管理栄養士、言語聴覚士などとの連携が必要になることがあります。
口腔状態と食事形態、姿勢、嚥下機能を別々に見るのではなく、施設内で情報共有されているかを確認します。
歯科衛生士の関わり方も確認する
歯科衛生士が口腔ケアの方法について職員へ助言したり、入所者の口腔状態を確認したりする施設もあります。
どの程度の頻度で専門職が関わっているかは、施設の口腔管理体制を見る材料になります。
歯科診療や口腔ケアの費用は何が含まれるか確認する
日常的な口腔ケアは施設サービスの一部として行われますが、歯科医師による診察や治療は、内容に応じて医療保険の自己負担などが発生することがあります。
義歯の作製・修理、むし歯治療、歯周病治療なども個別の診療内容によって費用が異なります。施設利用料にすべて含まれていると考えず、歯科受診時の費用、訪問歯科の支払い方法、外部受診時の交通費や付き添い費用の扱いを確認してください。
歯科診療の対応範囲は施設ごとに異なる
協力歯科医療機関があっても、すべての歯科治療を施設内で受けられるとは限りません。治療内容によっては外来受診が必要です。
見学・入所前に確認したい歯科・口腔ケアのポイント
01
協力歯科医療機関や訪問歯科はあるか
歯科医師や歯科衛生士が施設へ来るのか、必要時に外部受診するのかを確認します。訪問頻度や予約方法も聞いておくと具体的です。
02
毎日の口腔ケアは誰がどのように行うか
本人ができる部分を生かしながら、必要な介助を受けられるかを確認します。就寝前の義歯管理や口腔ケアの時間帯も聞いておきましょう。
04
外部歯科受診が必要なときの対応はどうなるか
家族の付き添いが必要か、施設が送迎や同行を行うのか、費用が別途必要かまで確認します。
まとめ|特養の歯科対応は日常ケアから受診まで一連で確認する
特養では、日常的な口腔ケアに加え、口腔状態の定期的な確認や歯科専門職との連携が重視されています。一方、歯科医師の訪問頻度や施設内で対応できる治療、外部受診時の支援方法は施設ごとに異なります。
入所前には、日常の口腔ケア、義歯管理、口腔状態の評価、協力歯科医療機関・訪問歯科、外部受診の支援まで一連の流れを確認してください。歯科治療の有無だけではなく、普段から口の状態を把握し、必要な支援につなげられる施設かどうかを見ることが重要です。
