介護老人保健施設(老健)への入所が決まると、「何を持っていけばよいのか」「薬や保険関係の書類は何が必要か」「衣類は何枚くらい準備すればよいのか」と迷いやすくなります。
老健の持ち物は全国で完全に統一されているわけではありません。衣類や靴、服用中の薬などは本人ごとに準備する一方、タオルや洗面用品、寝具などは施設の備品・有料の日用品サービス・本人持参のいずれになるかが施設ごとに異なります。
まず結論|「書類・薬・衣類・靴」を先に確認し、日用品は施設の持ち物表に合わせる
老健入所時は、介護保険関係の書類、医療保険の資格確認に必要なもの、現在使用している薬と服薬内容が分かる資料、普段着・下着・履き慣れた靴などを優先して準備します。タオル、洗面用品、寝具、家電などは施設ごとの指定を確認してから用意してください。なお、老健入所者のおむつに係る費用は介護保険給付の対象で、おむつ代・おむつカバー代・それらの洗濯代を施設が別途徴収することはできません。
最初に確認する3点
- 施設が用意する物と本人が持参する物を分ける
- 記名・数量・持込禁止品を入所前に確認する
- 保険証類は現在有効な確認方法に合わせる
老健入所時の持ち物をまず一覧で確認
入所準備は、「手続き」「薬・医療」「衣類・靴」「身の回り品」の4つに分けると整理しやすくなります。
入所前の基本チェックリスト
- 介護保険被保険者証
- 介護保険負担割合証
- 介護保険負担限度額認定証(交付を受けている人)
- 医療保険の資格確認に必要なもの
- 各種医療証・障害者手帳など(該当する人)
- 現在使用している処方薬
- お薬手帳・薬剤情報提供書など
- 普段着
- 下着・肌着・靴下
- パジャマや寝間着(施設から指定がある場合)
- 履き慣れた室内用の靴
- 眼鏡・補聴器
- 義歯・義歯ケース・洗浄用品
- 施設から指定された洗面用品・日用品
- 施設から指定された契約書類・印鑑など
ただし、この一覧だけで買い物を始めるのはおすすめできません。老健ごとに持参品、施設備品、レンタル・日用品サービスの範囲が異なるため、最終的には入所する施設から渡される「入所のしおり」「持ち物一覧」などを優先します。
最初に「必須」「施設確認」「不要」に分ける
| 区分 | 考え方 |
|---|---|
| 必須 | 施設から持参を指定された書類・薬・衣類など |
| 施設確認 | タオル、洗面用品、寝具、家電など |
| 原則不要 | 施設側で用意されるおむつ類など |
「念のため全部持っていく」より、施設の指定に合わせたほうが、荷物の重複や居室内の保管スペース不足を防ぎやすくなります。
書類と薬は入所当日にすぐ渡せるようにまとめる
衣類や日用品より先に整理したいのが、介護保険・医療保険関係の書類と薬です。入所手続きや医療情報の引き継ぎに使うため、ほかの荷物とは分けておくと受け渡しがスムーズです。
介護保険関係の書類
老健では、介護保険被保険者証によって被保険者資格や要介護認定の状況などを確認します。施設からは、次のような書類の提示・提出を求められることがあります。
- 介護保険被保険者証
- 介護保険負担割合証
- 介護保険負担限度額認定証(認定を受けている場合)
負担限度額認定証は対象者だけ
負担限度額認定は、一定の要件を満たす人について、介護保険施設での食費・居住費の負担を軽減する制度です。認定を受けている人は、証書をどのように提示・管理するか施設に確認してください。
医療保険の資格確認に必要なもの
2026年10月時点では、従来の健康保険証はすでに有効期限が終了しています。医療機関・薬局での資格確認は、原則としてマイナ保険証または資格確認書を使用します。
マイナンバーカードを施設へ預ける必要があるとは限らない
入所中の受診に備えて何を施設が管理するかは、施設の運用や本人の状況によって異なります。マイナ保険証を使う人も、資格確認書を使う人も、「何を持参するか」「原本を預けるか」「家族が管理するか」を入所前に確認してください。
薬は「現物」と「処方内容が分かる資料」をセットにする
内服薬だけでなく、塗り薬、貼り薬、点眼薬、吸入薬、頓服薬など、現在使用している薬はすべて施設へ伝えます。
薬を何日分持参するかは施設に確認する
持参する薬の日数は、入所後の処方・薬剤管理の方法によって変わるため、自己判断で大量に用意せず、施設から指定された日数を準備します。
お薬手帳や薬剤情報も一緒にする
薬の名称だけでなく、用量、服用回数、服用時点、頓服薬の使い方などが分かるよう、お薬手帳や薬剤情報提供書などを用意します。
市販薬・サプリメントも申告する
市販薬、健康食品、サプリメントを日常的に使っている場合も、無断で居室へ持ち込まず施設へ伝えます。処方薬との組み合わせや施設内での管理方法を確認するためです。
衣類と靴は「着替えやすさ・洗濯・リハビリ」で選ぶ
老健では、日常生活に加えてリハビリテーションを行う機会があります。衣類は枚数だけでなく、本人が着替えやすいか、介助しやすいか、身体を動かしやすいかまで考えて選びます。
普段着・下着・靴下
必要枚数は、施設の洗濯方法と洗濯頻度によって変わります。家族が持ち帰るのか、施設内の洗濯サービスや外部委託を利用するのかを先に確認してください。
身体状況に合った服を選ぶ
片麻痺や関節の動かしにくさがある場合、前開きの服、伸縮性のある衣類などが使いやすいことがあります。ただし、本人の動作能力や介助方法によって適した服は違うため、迷う場合は入所前に施設へ相談します。
洗濯方法に合う素材か確認する
施設や委託業者の洗濯では乾燥機を使用することがあります。縮みやすい衣類、デリケート素材、家庭での個別洗いが必要な衣類は扱いにくい場合があるため、洗濯条件も確認します。
パジャマ・寝間着
就寝時にパジャマへ着替えるか、どの程度の枚数を用意するかは施設や本人の状態によって異なります。施設の指定がある場合は、その内容に合わせます。
室内履き・リハビリ用の靴
転倒を防ぐため、スリッパよりも、かかとが安定していて本人が履き慣れた靴を指定する老健があります。実際に、老健の入所案内でスリッパや草履を不可とし、履き慣れた靴を求めている例もあります。
装具を使っている人は事前に相談する
足の装具や特殊な靴を使用している場合は、そのまま持参してよいか、リハビリ時に別の靴が必要かを施設へ確認します。
日用品は施設差があるが、おむつ代は別に考える
タオル、歯ブラシ、コップ、ティッシュ、電気シェーバーなどの日用品は、本人が持参する施設もあれば、施設の備品や有料の日用品サービスを利用する施設もあります。
| 項目 | 確認するポイント |
|---|---|
| タオル類 | 持参か、施設備品・レンタルか |
| 歯ブラシ・コップ | 本人持参か、日用品サービスに含まれるか |
| 寝具 | 施設備品か、毛布など一部持参が可能か |
| ティッシュ等 | 個人用を持参する必要があるか |
| 電気シェーバー | 持ち込み可能か、充電・保管方法はどうするか |
老健のおむつ代は介護保険給付の対象
老健の入所者が使用するおむつに係る費用は、介護保険給付の対象です。厚生労働省の通知では、おむつ代だけでなく、おむつカバー代や、それらに係る洗濯代なども施設が別途徴収することはできないとされています。
POINT
「老健によっておむつ代が別料金になる」と考える必要はありません。通常使用するおむつ類は施設側で用意する運用が基本です。本人が特定の商品を希望するなど個別事情がある場合は、持ち込み可否を施設へ相談してください。
義歯・眼鏡・補聴器はケースも準備する
義歯、眼鏡、補聴器は生活に欠かせない一方、小さく紛失しやすい物です。保管ケースや必要な洗浄用品も一緒に準備し、本体とケースの両方に記名できるか確認します。
記名・貴重品・持ち込み禁止品を確認する
老健では、入浴、洗濯、着替え、リハビリなどで本人の持ち物が居室外へ移動することがあります。紛失や取り違えを防ぐため、衣類や日用品への記名を求める施設があります。
衣類だけでなく日用品にも記名する
衣類は洗濯表示タグなど、洗濯しても消えにくく確認しやすい場所へ記名します。靴、タオル、コップ、義歯ケース、補聴器ケース、電気シェーバーなども記名対象になる場合があります。
フルネーム指定があるか確認する
同姓の入所者がいる可能性もあるため、フルネームでの記名を求める施設があります。施設指定のラベルや記名方法がある場合はそれに従います。
多額の現金・高価な貴重品は持ち込まない
現金や貴重品の管理方法は施設ごとに異なります。紛失時の補償ができないとして持ち込みを控えるよう案内している老健もあるため、必要最小限にします。
預かり金の仕組みがあるか確認する
入所中に小口の現金が必要な場合は、施設で預かり金を管理できるか、管理方法や費用を確認してください。
刃物・火気・家電・食品は持ち込む前に確認する
安全管理や衛生管理のため、はさみ・カッター・ライターなどの持ち込みを制限している施設があります。テレビ、冷蔵庫、電気毛布などの家電や、食品・飲料についても施設独自のルールがあります。
「本人が自宅で使っていた物」でも自由に持ち込めるとは限らない
電源容量、転倒・火災リスク、食事制限、誤嚥リスク、他の入所者への影響などを考慮して持ち込みを制限することがあります。購入や搬入の前に施設へ確認してください。
入所前に施設へ確認すれば持ち物の過不足を防げる
老健の持ち物で迷う部分は、「施設による」で終わらせず、具体的な質問に変えて確認します。
01
衣類は何組必要ですか?
普段着、下着、パジャマ、靴下について、それぞれ推奨枚数を聞きます。
02
洗濯は誰が行いますか?
家族対応、施設内洗濯、委託洗濯のどれなのか、利用できる場合は料金や洗濯頻度も確認します。
03
タオル・洗面用品・寝具は何を持参しますか?
施設備品、有料の日用品サービス、本人持参の範囲を確認し、重複購入を防ぎます。
04
薬は何日分必要ですか?
持参する処方薬の日数と、お薬手帳・薬剤情報をどのように提出するか確認します。
05
保険関係の書類は何を持参しますか?
介護保険被保険者証、負担割合証、負担限度額認定証、医療保険の資格確認に必要なものについて、原本・写し・管理方法を確認します。
06
持ち込みを制限している物はありますか?
刃物、火気、家電、食品、酒類、貴重品など、施設独自のルールを確認します。
07
記名はどこまで必要ですか?
衣類だけでなく、靴、タオル、コップ、眼鏡ケース、補聴器ケースなども対象か確認します。
荷造りは「受付で渡す物」と「居室へ運ぶ物」に分ける
介護保険関係の書類、薬、お薬手帳などは入所手続きで必要になるため、衣類や日用品とは別のバッグやファイルにまとめておくと探しやすくなります。
持ち物の写真を残す方法もある
眼鏡、補聴器、杖など、形や特徴を説明しにくい物は、入所前に写真を残しておくと確認に役立つことがあります。ただし、高価な物は写真を撮ることよりも、持ち込み自体が必要かを先に検討します。
必要な物を最初からすべて持ち込む必要はありません
入所後の生活を見て追加できる物もあります。収納スペースや施設ルールを確認せず荷物を増やすと管理しにくくなるため、最初は施設から指定された物と本人の生活に欠かせない物を優先します。
まとめ|老健の持ち物は「共通して重要な物」と「施設確認が必要な物」を分ける
老健入所時は、介護保険関係の書類、医療保険の資格確認に必要なもの、処方薬と服薬情報、衣類・下着・履き慣れた靴などを優先して準備します。
一方、タオル、洗面用品、寝具、家電などは施設ごとの差があるため、持ち物表を確認してから準備します。衣類や日用品は、記名範囲や洗濯方法も一緒に確認すると必要枚数を決めやすくなります。
なお、老健入所者のおむつに係る費用は介護保険給付の対象で、おむつ代・おむつカバー代・それらの洗濯代を別途徴収することはできません。一般的な老人ホームの持ち物情報と混同せず、老健の制度と入所する施設のルールを分けて確認することが大切です。