介護医療院の食費・居住費と負担限度額を解説

介護医療院へ入所すると、介護保険サービスの自己負担とは別に、食費や居住費がかかります。「食費はいくらなのか」「個室と多床室でどのくらい違うのか」「所得が低い場合に負担を抑えられる制度はあるのか」と気になる人も多いでしょう。

介護医療院の食費・居住費は、すべての入所者に全国一律の金額が請求されるわけではありません。施設と利用者の契約で決まるのが基本ですが、低所得者については「特定入所者介護サービス費(補足給付)」により、所得や預貯金等に応じた負担限度額が設けられています。

結論|食費・居住費は施設設定が基本だが、負担限度額認定を受けると自己負担の上限が決まる

2026年10月時点で、介護保険施設の食費の基準費用額は1日1,545円です。ただし、これは全員が必ず1,545円を払うという意味ではなく、補足給付の対象外の人は施設との契約額を支払い、負担限度額認定を受けた人は所得段階に応じた食費・居住費の上限が適用されます。介護医療院の居住費は、多床室・従来型個室・ユニット型個室などの居室タイプによっても異なります。入所前は、施設の料金表と介護保険負担限度額認定証の両方を確認することが重要です。

最初に確認する3点

  • 食費・居住費は施設設定額と基準費用額を分けて見る
  • 負担限度額認定の対象か確認する
  • 居室類型で居住費が変わることを確認する

介護医療院の食費・居住費は介護保険サービス費とは別にかかる

介護医療院の月額費用を考えるときは、「介護保険サービスの自己負担」と「食費・居住費」を分けて考える必要があります。

食費

食事の提供にかかる費用です。食材料費だけでなく、調理に必要な費用などを踏まえて施設が金額を設定します。

居住費

居室・療養室を利用するための費用です。多床室、従来型個室、ユニット型個室など、居室タイプによって金額が異なります。

基準費用額=実際の請求額ではない

厚生労働省が定める「基準費用額」は、食事や居住に要する平均的な費用を勘案して設定する標準的な金額です。補足給付の対象外となる人の実際の食費・居住費は、施設と利用者との契約に基づいて決まります。

2026年8月から食費の基準費用額は1日1,545円

食材料費などの上昇を踏まえ、厚生労働省は2026年8月から、介護保険施設の食費の基準費用額を1日1,445円から1,545円へ引き上げました。

1,545円は全員の固定料金ではない

「食費の基準費用額が1,545円」という数字だけを見ると、すべての介護医療院で毎日1,545円を支払うように見えますが、そうではありません。

補足給付の対象外である第4段階の人は、施設が設定した契約額を支払います。施設の食費が基準費用額と同じ場合もあれば、それより高い場合もあります。

負担限度額認定を受けた人は段階ごとの上限になる

低所得者向けの補足給付の対象となる場合は、所得段階に応じて1日あたりの食費の負担限度額が決まります。

利用者負担段階 食費の負担限度額(日額)
第1段階 300円
第2段階 390円
第3段階① 680円
第3段階② 1,420円

2026年8月の見直しでは、第1段階と第2段階の食費負担限度額は据え置かれ、第3段階①は650円から680円、第3段階②は1,360円から1,420円へ変更されました。

数字の意味

第3段階②の人なら、食費の基準費用額1,545円をそのまま負担するのではなく、負担限度額認定が適用される場合の食費負担は1日1,420円が上限になります。基準費用額との差は補足給付として介護保険から給付されます。

介護医療院の居住費は居室タイプで違う

居住費は、利用する部屋の種類によって金額が大きく異なります。

介護医療院では、多床室、従来型個室、ユニット型個室的多床室、ユニット型個室などがあり、基準費用額と負担限度額も居室タイプ別に設定されています。

2026年10月時点の基準費用額

居室タイプ 基準費用額(日額)
多床室(室料を徴収する場合) 697円
多床室(室料を徴収しない場合) 437円
従来型個室 1,728円
ユニット型個室的多床室 1,728円
ユニット型個室 2,066円

多床室には「室料を徴収する場合」と「徴収しない場合」がある

2025年8月から、Ⅱ型介護医療院の一定の多床室について、新たに室料負担が導入されました。

対象となる多床室では、居住費の基準費用額が1日697円です。対象外で室料を徴収しない多床室では1日437円です。

すべての多床室が697円になるわけではない

室料負担の対象は、Ⅱ型介護医療院の多床室で、療養室の1人あたり床面積が8平方メートル以上など一定の条件を満たす場合です。

そのため、「介護医療院の多床室はいくらか」を確認するときは、施設が室料を徴収する対象に該当するかを確認してください。

2026年10月時点の居住費の負担限度額

負担限度額認定を受けた人は、居室タイプと利用者負担段階に応じて居住費の上限が決まります。

以下は介護老人保健施設・介護医療院等に適用される2026年8月以降の金額です。金額は「第1段階/第2段階/第3段階①/第3段階②」の順に記載しています。

居室タイプ 負担限度額(日額)
多床室(室料あり) 0円/430円/430円/530円
多床室(室料なし) 0円/430円/430円/430円
従来型個室 550円/550円/1,370円/1,470円
ユニット型個室的多床室 550円/550円/1,370円/1,470円
ユニット型個室 880円/880円/1,370円/1,470円

第3段階②は2026年8月に居住費も見直された

2026年8月から、第3段階②の居住費負担限度額についても一部見直しが行われました。

たとえば介護医療院の従来型個室では、従来の1日1,370円から1,470円へ変更されています。室料を徴収する多床室では430円から530円へ変更されています。

古い料金表に注意

2024年8月、2025年8月、2026年8月と食費・居住費に関する制度変更が続いています。施設サイトや古い資料に以前の金額が残っている場合があるため、2026年10月時点では最新の料金表と負担限度額認定証を確認してください。

負担限度額認定とは?

負担限度額認定は、所得や預貯金等が一定以下の人について、介護保険施設で支払う食費・居住費の負担を軽減する制度です。

制度上は「特定入所者介護サービス費(補足給付)」と呼ばれます。

第1~第3段階②の人が補足給付の対象

利用者負担段階は、本人・世帯の課税状況、年金収入等、預貯金等の資産状況によって判定されます。

段階 主な考え方
第1段階 生活保護受給者、一定の老齢福祉年金受給者など
第2段階 世帯全員が市町村民税非課税で、年金収入等が一定以下
第3段階① 世帯全員非課税で、第2段階より年金収入等が多い一定範囲
第3段階② 世帯全員非課税で、第3段階①を超える一定範囲
第4段階 世帯に課税者がいる、本人が市町村民税課税など

所得だけでなく預貯金等の要件もある

補足給付は、市町村民税が非課税というだけで自動的に適用される制度ではありません。

配偶者の課税状況や、預貯金、有価証券などの資産要件も確認されます。世帯分離している配偶者も判定対象に含まれる点に注意が必要です。

POINT

「年金が少ないから負担限度額が使える」と自己判断せず、市区町村の介護保険窓口で対象になるか確認してください。所得・資産の状況によって段階が決まり、認定後は介護保険負担限度額認定証が交付されます。

負担限度額認定は自動ではなく申請が必要

補足給付を受けるためには、原則として市区町村へ申請し、負担限度額認定を受ける必要があります。

申請先は住民票のある市区町村の介護保険窓口

必要書類や申請方法は自治体によって異なりますが、一般に申請書のほか、預貯金等を確認する書類などの提出を求められます。

認定証が届いたら施設へ提示する

認定された場合は、負担段階と適用される限度額が記載された介護保険負担限度額認定証が交付されます。

施設側で正しい負担額を適用できるよう、入所時や更新後に認定証をどのように提出するか確認してください。

有効期間と更新を確認する

負担限度額認定には有効期間があります。引き続き軽減を受ける場合は更新手続きが必要になるため、市区町村からの案内を確認してください。

第4段階の人は食費・居住費を施設との契約で確認する

補足給付の対象外となる第4段階の人には、国が定めた負担限度額は適用されません。

施設ごとに料金が違う

食費や居住費は、施設が実際に必要とする費用などを踏まえて設定します。

そのため、同じ介護医療院でも施設によって食費が異なり、同じ居室タイプでも居住費に差が出ることがあります。

基準費用額を超える施設もある

基準費用額は「施設が請求できる上限額」ではありません。

補足給付の対象外の人については、施設との契約により基準費用額より高い食費・居住費になることがあります。

入所前に料金表と重要事項説明書を確認する

契約前には、食費、居住費、介護保険サービス費、日用品費などを分けて確認し、月額総額がどの程度になるかを施設に試算してもらうと分かりやすくなります。

食費・居住費の月額は「日額×30日」だけでは決まらない

負担限度額を月額へ直すとき、「日額×30日」でおおよその目安は出せますが、実際の請求額は利用日数や入退所日などで変わります。

食費は実際の提供状況も確認する

外泊や入院などで施設の食事を取らなかった場合の取扱いは、施設の料金規程を確認します。

居住費は入院・外泊時の扱いを確認する

入院や外泊中に居室を確保する場合の居住費がどのように扱われるかは、契約内容や介護保険上の取扱いを確認する必要があります。

「施設にいなかった日は必ず居住費が0円」とは限らないため、重要事項説明書や利用契約書で確認してください。

入所前に確認したい食費・居住費の7項目

介護医療院の費用を正確に把握するには、基準費用額だけでなく本人に実際に請求される金額を確認します。

01

食費は1日いくらですか?

第4段階の場合の施設設定額と、負担限度額認定がある場合の扱いを確認します。

02

居室はどのタイプですか?

多床室、従来型個室、ユニット型個室など、本人が利用する部屋の種類を確認します。

03

多床室は室料徴収の対象ですか?

Ⅱ型介護医療院の一定の多床室では室料負担があるため、本人の部屋が対象か確認します。

04

負担限度額認定は使えますか?

認定証を持っている場合は、現在の段階と適用後の食費・居住費を施設に確認します。

05

月額総額はいくらになりますか?

食費・居住費だけでなく、介護保険サービス費や実費を含めて試算してもらいます。

06

入院・外泊時の食費・居住費はどうなりますか?

不在日の料金と、居室を確保する場合の取扱いを確認します。

07

料金改定時はどのように通知されますか?

食材料費や光熱費の上昇などで施設設定額が変わることもあるため、変更時の説明方法を確認します。

まとめ|最新の負担限度額と施設の契約額を分けて確認する

介護医療院の食費・居住費は、介護保険サービス費とは別に必要です。補足給付の対象外となる人は施設との契約額を負担し、低所得者で負担限度額認定を受けた人には所得段階に応じた上限が適用されます。

2026年8月から、食費の基準費用額は1日1,545円となり、第3段階①は680円、第3段階②は1,420円へ食費の負担限度額が見直されました。居住費についても第3段階②などで金額が変更されています。

また、介護医療院の多床室では、室料を徴収する場合の基準費用額697円と、徴収しない場合の437円があり、従来型個室やユニット型個室とは金額が異なります。

入所前には、本人の負担段階、利用する居室タイプ、施設の食費・居住費、負担限度額認定の適用、入院・外泊時の扱いまで確認し、「本人の場合に月いくらかかるのか」を具体的に試算してもらうことが大切です。

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