介護付き有料老人ホームに入居したあと、要介護1から要介護3へ上がったり、反対に要介護度が下がったりすると、「毎月の料金も変わるの?」と気になる方は多いでしょう。
結論からいうと、要介護度が変わると、介護保険が適用される「特定施設入居者生活介護」の基本サービス費は変わります。一方で、家賃相当額、管理費、食費などが要介護度に連動して自動的に変わるとは限りません。
まず結論|介護度が変わると介護保険自己負担は変わるが、月額料金すべてが連動するわけではない
介護付き有料老人ホームの特定施設入居者生活介護は、要介護度ごとに基本報酬が設定されています。現行の基本報酬は1日あたり要介護1が542単位、要介護2が609単位、要介護3が679単位、要介護4が744単位、要介護5が813単位です。そのため、要介護度が上がれば介護保険自己負担も基本的に増え、下がれば減ります。ただし、実際の請求額には1~3割の負担割合、地域ごとの1単位単価、各種加算などが反映されます。家賃・管理費・食費などは契約内容によるため、介護度変更時は「どの費目が変わるのか」を分けて確認することが重要です。
介護度が変わると、まず介護保険の基本サービス費が変わる
介護付き有料老人ホームは、介護保険の「特定施設入居者生活介護」の指定を受けたホームです。
一般的な特定施設入居者生活介護では、要介護度ごとに1日あたりの基本報酬が設定されています。
| 要介護度 | 基本報酬(1日) |
|---|---|
| 要介護1 | 542単位 |
| 要介護2 | 609単位 |
| 要介護3 | 679単位 |
| 要介護4 | 744単位 |
| 要介護5 | 813単位 |
介護度が高くなるほど基本報酬が高くなるため、同じホームに住み続けていても、介護保険サービスの自己負担は増えるのが基本です。
要介護度が上がると基本報酬も上がる
たとえば要介護1から要介護3へ変更された場合、基本報酬は1日542単位から679単位へ変わります。
差は1日137単位です。30日利用した場合は4,110単位の差になります。
仮に1単位10円として計算する地域で1割負担なら、基本サービス費だけで月約4,110円の自己負担増が一つの目安になります。
ただし、実際の1単位あたりの金額は地域区分などによって異なるため、全国どこでも同じ円額になるわけではありません。
要介護度が下がれば基本サービス費は下がる
要介護4から要介護2へ変更されたような場合は、基本報酬が744単位から609単位へ下がります。
そのため、他の条件が同じであれば介護保険の自己負担も減ります。
単位数と請求額は同じではない
介護報酬は「単位」で定められており、実際の金額は地域区分などを反映した1単位の単価で計算します。料金表を見るときは、単位数だけでなく、施設が提示する実際の自己負担額を確認してください。
1割・2割・3割負担で増える金額は変わる
介護保険サービスの利用者負担は原則1割で、一定以上の所得がある人は2割または3割です。
同じ要介護度の変更でも、本人の負担割合によって実際に増減する自己負担額は異なります。
要介護1から要介護3へ上がった例
要介護1と要介護3の基本報酬差は1日137単位です。
30日では4,110単位なので、1単位10円として単純計算した介護報酬の差は41,100円です。
| 負担割合 | 30日の自己負担差の目安 |
|---|---|
| 1割 | 約4,110円増 |
| 2割 | 約8,220円増 |
| 3割 | 約12,330円増 |
これは地域区分や加算を含まない単純な比較です。実際の請求額は施設ごとに確認してください。
負担割合そのものが変わることもある
介護度の変更とは別に、所得状況などにより介護保険の負担割合が1割から2割、2割から3割などへ変わる場合があります。
介護度と負担割合が同じ時期に変われば、自己負担額の変化が大きくなることがあります。
現在の負担割合は、自治体から交付される介護保険負担割合証で確認します。
家賃・管理費・食費も介護度と一緒に上がる?
介護度が上がったからといって、介護付き有料老人ホームの支払いすべてが自動的に上がるわけではありません。
料金を考えるときは、介護保険対象の費用と、それ以外の費用を分けます。
| 費用項目 | 介護度変更の影響 |
|---|---|
| 介護保険基本サービス費 | 要介護度に応じて変わる |
| 家賃相当額 | 通常は契約・料金プランによる |
| 管理費 | 通常は契約・料金表による |
| 食費 | 通常は食数・料金設定等による |
| 医療費 | 受診・薬・医療内容により変わる |
家賃相当額は要介護度と直接連動しないのが基本
同じ居室に住み続け、契約内容も変わらなければ、要介護1から要介護3になったことだけを理由に家賃が自動で上がるとは限りません。
ただし、ホーム独自の料金体系や契約変更がある場合は別です。最終的には入居契約書と料金表を確認します。
管理費も「介護度が上がったから必ず値上げ」とは限らない
管理費には共用部分の維持管理や事務費用など、施設ごとに異なる内容が含まれています。
要介護度に応じて変動する料金なのか、介護度にかかわらず定額なのかを確認してください。
食費は介護度ではなく食事の契約・利用方法で決まることが多い
食費は、1日定額、食数精算、月額定額などホームによって計算方法が異なります。
介護度そのものが上がっただけで食費が増えるとは限りません。
POINT
介護度が変わったときは「月額がいくら増えますか」だけでなく、「介護保険分・家賃・管理費・食費のうち、どの項目がいくら変わりますか」と分けて確認すると料金変化を理解しやすくなります。
加算も含めると請求額の変化は基本報酬差だけではない
介護付き有料老人ホームの介護保険自己負担は、要介護度別の基本報酬だけで決まりません。
施設の体制や本人への支援内容に応じて、各種加算が算定される場合があります。
基本報酬が変わると処遇改善加算などにも影響する場合がある
一部の加算は、基本報酬や他の対象単位数をもとに一定割合で計算します。
そのため、要介護度が変わって基本報酬が変わると、関連する加算分も含めて自己負担額が変化する場合があります。
本人の状態変化で新たな加算が算定される場合もある
介護度の変更と同じ時期に、本人の状態や必要な支援内容が変われば、別の加算が新たに算定されることもあります。
このため、単純に「要介護1と要介護3の基本報酬差」だけを見ても、請求額の最終的な差と一致しない場合があります。
加算の詳細は別テーマになるため、介護度変更時には施設へ「変更後に算定予定の加算を含めた見積もり」を依頼すると分かりやすくなります。
介護度が変わった料金はいつから適用される?
料金がいつから変わるかは、要介護認定の変更がどの手続きで行われたかによって確認が必要です。
更新認定なら新しい認定の有効期間から
認定の有効期間満了に伴う更新で要介護度が変わった場合は、新しい要介護度が適用される有効期間に合わせて介護保険サービス費も変わります。
たとえば現在の認定が月末で満了し、翌月から新しい認定が有効になる場合は、その新しい有効期間から新しい区分のサービス費が適用されます。
区分変更申請では申請日との関係に注意する
心身状態が大きく変化した場合は、認定の有効期間途中でも要介護状態区分の変更申請を行うことができます。
区分変更認定では、申請日を起点として認定の効力が生じる扱いになるため、認定結果が出る前の利用分についても、新しい要介護度を前提に精算が必要になる場合があります。
認定結果が出るまで請求額が確定しないことがある
区分変更申請中は、最終的に要介護度がいくつになるか分かりません。
そのため、いったん現在の区分で請求し、認定後に差額を精算するなど、施設・保険者の処理によって請求の見え方が変わることがあります。
区分変更を申請したときは、「今月分はどの介護度で請求し、結果が出たあとどう精算するか」を施設へ確認してください。
要支援から要介護になった場合はどうなる?
介護付き有料老人ホームの中には、要支援者を対象とする「介護予防特定施設入居者生活介護」の指定も受けているホームがあります。
その場合、要支援から要介護へ認定区分が変わると、適用される介護保険サービスの基本報酬も変わります。
要支援と要介護では基本報酬の仕組みが違う
現行の基本報酬は、要支援1が1日183単位、要支援2が313単位です。
要介護1になると542単位になるため、要支援2から要介護1へ変わった場合でも介護保険自己負担は増えます。
ただし、ホームが介護予防特定施設入居者生活介護の指定を受けているか、そもそも要支援者を入居対象としているかは施設ごとに確認が必要です。
介護度が上がると追加の介護料金を請求される?
介護付き有料老人ホームの指定サービスとして通常必要な介護は、特定施設入居者生活介護として提供されます。
要介護度が上がったからという理由だけで、施設が自由に「介助回数が増えたので毎月○万円追加」とできると考えるのは適切ではありません。
ただし保険外の個別サービスは別に確認する
本人の希望で、介護保険の指定サービスとは別に個別の有料サービスを利用する場合は、別料金が発生することがあります。
何が基本料金に含まれ、何が別料金なのかはホームの重要事項説明書や料金表で確認してください。
この点は「介護度が変わったための料金」と「本人が希望して利用する保険外サービス」を混同しないことが大切です。
介護度が上がると医療費も増える?
要介護度が上がることと、医療費が増えることは制度上は別です。
ただし、介護度が上がる背景に病気や身体機能の低下がある場合、受診、薬、医療処置が増え、結果として医療費が増えることはあります。
請求額が増えたら何が増えたのか分ける
月額請求が増えた場合は、介護保険サービス費だけを原因と考えず、次の項目を分けて確認します。
- 要介護度変更による介護保険基本報酬
- 介護保険の加算
- 医療費・薬代
- 日用品費
- 本人が利用した保険外サービス
請求明細で変化した項目を確認すると、介護度変更との関係が分かりやすくなります。
要介護度が上がっても住み続けられる?
介護付き有料老人ホームは、要介護度が上がっても施設の介護サービスを受けながら生活を続けることを想定した住まいです。
そのため、要介護1から要介護4になったという理由だけで直ちに退去になるとは限りません。
介護度より医療ニーズの変化が重要になる場合がある
一方、介護度上昇と同時に医療ニーズが高まり、ホームの対応範囲を超えた場合は、入院や別の療養先を検討することがあります。
たとえば、頻回な医療処置や夜間の継続的な看護対応が必要になった場合などです。
「要介護5まで対応」と書かれていても、どの医療状態まで継続入居できるかは別に確認してください。
介護度変更時は新しい月額見積もりを出してもらう
介護度が変わったときに最も分かりやすい方法は、施設へ変更後の月額見積もりを依頼することです。
01
基本サービス費の変更額を見る
変更前と変更後の要介護度で、1日・1か月あたりの介護保険基本サービス費がいくら変わるか確認します。
02
加算を含めた自己負担を確認する
基本報酬だけでなく、実際に算定予定の加算を含めた月額を出してもらいます。
03
家賃・管理費・食費に変更がないか確認する
介護度変更とは別に料金改定や契約変更がないか、費目ごとに確認します。
04
いつから新料金になるか確認する
更新認定・区分変更のどちらなのかを伝え、新しい要介護度がどの利用日から請求へ反映されるか確認します。
介護度が変わったとき施設へ確認したい質問
料金変更のチェックリスト
- 新しい要介護度の基本サービス費はいくらですか
- 現在との差額は1日いくらですか
- 30日利用した場合、介護保険自己負担はいくら変わりますか
- 本人の1割・2割・3割の負担割合を反映した金額ですか
- 地域区分を反映した実際の金額を教えてもらえますか
- 要介護度変更によって新たに付く加算はありますか
- 家賃相当額は変わりますか
- 管理費は変わりますか
- 食費は変わりますか
- 変更後の月額見積書を出してもらえますか
- 新しい料金は何日から適用されますか
- 区分変更申請中の請求はどのように処理しますか
- 認定結果が出たあと差額精算はありますか
- 今後さらに介護度が上がった場合の料金表も見せてもらえますか
請求額を確認するときは、口頭で「数千円上がります」と聞くだけではなく、変更前・変更後を同じ費目で並べた見積書を出してもらうと比較しやすくなります。
入居前から「要介護5になった場合」まで試算しておく
介護付き有料老人ホームは長期間暮らす可能性があるため、入居時の介護度だけで費用を判断しないことが大切です。
現在が要介護1なら、要介護3、要介護5になった場合の介護保険自己負担も確認しておきましょう。
将来も支払いを続けられるか確認する
介護度が上がると介護保険自己負担は増えます。
さらに、状態変化に伴って医療費や日用品費などが増えることもあります。
「現在なら払える」だけでなく、介護度が高くなった場合にも家計が維持できるかを考えて施設を選ぶことが重要です。
まとめ|介護度変更時は「介護保険分」と「それ以外」を分けて確認する
介護付き有料老人ホームでは、要介護度が変わると、特定施設入居者生活介護の基本サービス費も変わります。
現行の基本報酬は、要介護1が1日542単位、要介護2が609単位、要介護3が679単位、要介護4が744単位、要介護5が813単位です。
そのため、要介護度が上がれば介護保険自己負担は基本的に増え、下がれば減ります。ただし、実際の金額には1~3割の負担割合、地域区分、加算などが影響します。
一方、家賃相当額、管理費、食費などは、要介護度に合わせて一律に変わる費用ではありません。ホームの契約や料金表に基づいて確認する必要があります。
また、区分変更申請をした場合は、認定結果が出たあとに差額精算が必要になることがあります。
介護度が変わったら、「月額はいくらになりますか」だけでなく、「どの費目が・いつから・いくら変わるのか」を書面で確認することが大切です。