老人ホームへの入居が決まると、申込み、入居審査、契約、入居当日までにさまざまな書類の提出を求められます。
ただし、必要書類は全国一律ではありません。施設種別、本人の介護・医療状態、契約内容、支払方法などによって異なります。
そのため、インターネット上の一覧だけで準備を終えるのではなく、候補施設から最新の「必要書類一覧」を受け取り、誰が・いつまでに・原本か写しかを確認することが重要です。
まず結論|書類は「申込み・審査・契約・入居当日」の4段階で整理する
老人ホーム入居では、介護保険被保険者証・負担割合証などの介護関係書類、診療情報提供書・薬剤情報などの医療関係書類、本人確認・緊急連絡先・支払関係の書類などが必要になることがあります。ただし、全施設で同じ書類を求めるわけではありません。申込み前に施設の必要書類一覧を入手し、「提出期限」「原本か写しか」「誰が作成するか」を一つずつ確認してください。
老人ホーム入居で必要な書類は施設によって違う
老人ホームへ入るときに必要な書類は、施設種別や本人の状態によって変わります。
有料老人ホーム・サ高住・特養などで手続きが異なる
有料老人ホームでは入居契約書や重要事項説明書を使って契約します。特養などの介護保険施設では、申込書や介護保険関係書類など、施設種別に応じた手続きがあります。
また、医療処置がある人では診療情報提供書等を求められることがあり、介護度や健康状態によって追加書類が必要になる場合があります。
同じ施設種別でも必要書類は同じとは限らない
同じ介護付き有料老人ホームでも、健康診断書の様式、保証・緊急連絡に関する書類、支払口座の手続きなどは施設ごとに異なります。
POINT
「一般的な必要書類」を参考に準備しつつ、最終的には入居予定施設の案内を優先してください。特に健康診断書や診療情報提供書は、施設指定の様式がないか先に確認すると二度手間を防げます。
申込み時に準備しやすい書類
最初の入居申込みでは、本人の基本情報と介護状態を確認するための書類を求められることがあります。
01
入居申込書
氏名、生年月日、住所、家族構成、介護状態、希望入居時期などを記入します。施設指定の様式を使用するのが一般的です。
02
介護保険被保険者証
要介護・要支援認定や保険者などを確認するため、提示や写しの提出を求められることがあります。
03
介護保険負担割合証
介護保険サービスの自己負担割合を確認するために使用します。要介護・要支援認定を受けている人には、有効期限を定めた負担割合証が交付されます。
04
現在のケアプラン・介護情報
在宅介護サービスを利用している場合、現在の支援内容を把握する資料として確認されることがあります。
入居審査で必要になりやすい医療関係書類
施設が本人の健康状態や医療ニーズを確認するため、医療機関からの情報が必要になる場合があります。
診療情報提供書
主治医が、病名、治療状況、既往歴、現在必要な医療などを他の医療機関や施設へ伝えるための書類です。
施設によっては指定様式を用意しているため、主治医へ作成を依頼する前に確認してください。
健康診断書
入居前の健康状態を確認するため、施設指定の健康診断書を求められる場合があります。
検査項目や有効期間の扱いは施設によって異なります。
看護サマリー
病院から退院して直接施設へ移る場合、入院中の看護内容や日常生活の状態などをまとめた看護サマリーが引継ぎに使われることがあります。
薬剤情報・お薬手帳
現在服用している薬の種類・用量・服用時間を確認するため、お薬手帳や薬剤情報提供書などを準備します。
医療書類は早すぎる取得にも注意
施設によっては「入居予定日前○か月以内」など、健康診断書等の作成時期に条件を設けていることがあります。先に取得すると再作成が必要になる場合があるため、施設の指示を確認してから依頼してください。
医療保険の資格確認方法も確認する
入居後に訪問診療や通院を利用するため、医療保険の資格確認に必要なものも整理します。
現在はマイナ保険証または資格確認書が基本
従来の健康保険証は有効期限が終了しており、医療機関・薬局では、マイナ保険証を利用する人はマイナ保険証、利用しない人は資格確認書で資格確認を行います。
施設での管理方法を確認する
本人が自分でマイナンバーカード等を管理できない場合、施設がどのように受診支援を行うかを確認します。
マイナンバーカードを施設へ預けるかどうかは一律ではありません。施設の管理方法、本人・家族の希望、資格確認書を利用できるかなどを確認してください。
契約時に確認する本人確認・契約関係書類
入居審査を通過した後は、正式な契約手続きへ進みます。
本人確認書類
マイナンバーカード、運転免許証など、施設が指定する本人確認書類を求められる場合があります。
入居契約書
入居期間、利用料金、サービス、契約解除、退去などの条件を定める重要な書類です。
その場で署名する前に、不明点を確認してください。
重要事項説明書
有料老人ホームでは、入居契約に関する重要事項を説明するための重要事項説明書が作成され、入居相談時の交付や契約締結前の説明が求められています。
事業者、建物、職員体制、サービス、利用料金、契約内容などを確認する資料です。
管理規程
日常生活上のルール、施設サービス、費用の取扱いなどが記載されている場合があります。
契約書・重要事項説明書とあわせて確認します。
身元引受人・緊急連絡先に関する書類
施設によっては、緊急連絡先や身元引受人等について届出を求めることがあります。
何の役割を求めているか確認する
緊急時の連絡、入退院時の対応、退去時の荷物整理、死亡時の手続きなど、施設が求める役割を確認します。
連帯保証とは分けて考える
緊急連絡先、身元引受人、連帯保証人は同じ意味とは限りません。
書類へ署名する前に、金銭債務まで保証するのか、連絡・手続きだけを担当するのかを確認してください。
費用の支払いに必要な書類
月額利用料を口座振替で支払う施設では、金融機関関係の手続きが必要になる場合があります。
口座振替依頼書
利用料金を引き落とす銀行口座を登録します。
口座情報を確認できるもの
通帳、キャッシュカードなど、施設が指定する方法で口座情報を確認することがあります。
金融機関届出印
手続方法によっては届出印が必要になる場合がありますが、オンライン手続き等で不要なケースもあります。
印鑑を準備する前に、施設の支払方法を確認してください。
印鑑証明書や住民票は必ず必要?
老人ホーム入居について、「住民票・戸籍謄本・印鑑証明書は必ず必要」と一律に考える必要はありません。
契約内容によって求められる場合がある
本人確認、保証契約、住所変更等の手続きなどで、住民票や印鑑証明書等を求められる施設があります。
必要と分かってから取得する
公的証明書には取得費用がかかり、提出時期や発行後の期間を指定される場合があります。
先に大量に取得せず、必要な種類・部数・発行時期を確認してください。
介護保険負担限度額認定証がある人は準備する
特養、老健、介護医療院などの対象施設を利用し、介護保険負担限度額認定を受けている人は、認定証を確認します。
食費・居住費の負担に関わる
対象となる介護保険施設等では、認定区分に応じて食費・居住費の負担限度額が設定されます。
有料老人ホーム等には同じ仕組みがそのまま適用されない
介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、一般的なサ高住の家賃・食費が、同じ負担限度額認定で軽減されるわけではありません。
障害者手帳・医療受給者証などがある場合
本人が各種制度を利用している場合、その証書等も整理します。
障害者手帳
身体障害者手帳などを所持している場合、入居後の生活や公的手続きで必要になることがあります。
各種医療受給者証
自治体の医療費助成などを利用している場合は、対象となる受給者証等を確認します。
転居によって制度の取扱いが変わる場合があるため、自治体にも確認してください。
入居当日に持参する書類は別にまとめる
契約時に提出した書類とは別に、入居当日に必要なものがあります。
入居当日に確認したいもの
- 介護保険被保険者証
- 介護保険負担割合証
- 医療保険の資格確認に必要なもの
- お薬手帳・最新の薬剤情報
- 現在服用している薬
- 診療情報・看護情報など施設から指定された資料
- 緊急連絡先一覧
- 施設から指定された契約・生活関係書類
原本を施設が預かるのか、写しだけ提出するのかも確認してください。
退院後そのまま入居する場合は病院と連携する
病院から老人ホームへ直接移る場合、家族だけで書類を集めるより、病院の退院支援担当者と連携した方が進めやすくなります。
退院支援看護師・医療ソーシャルワーカーへ相談する
施設から求められた診療情報提供書、看護サマリーなどについて、誰へ依頼すればよいか確認します。
施設へ提出期限を確認する
入居審査前に必要なのか、入居日まででよいのかによって準備の順番が変わります。
最新情報への更新が必要か確認する
入居審査後に本人の状態や薬が変わった場合、古い情報のまま入居しないよう施設へ伝えてください。
ケアマネジャーに準備を相談できる書類
在宅介護中の人は、担当ケアマネジャーが本人の介護状況を把握しています。
現在の介護サービス利用状況
どのサービスをどの程度利用しているか、施設へ伝える際の参考になります。
日常生活動作の情報
移動、排せつ、入浴、認知症など、家族だけでは整理しにくい情報を確認できます。
施設へ何を引き継ぐか確認する
施設入居後はサービスの仕組みが変わる場合があるため、現在のケアマネジャーにいつまで担当してもらうのかも確認してください。
書類は原本を渡す前にコピー・記録を残す
重要な書類を提出するときは、自宅でも内容を確認できるようにしておくと安心です。
契約書・重要事項説明書は必ず手元に保管する
料金変更、退去、サービス内容の確認など、入居後に見返す機会があります。
医療書類も可能な範囲で控えを確認する
施設へ何を提出したか分かるようにしておくと、後の受診や住み替え時にも役立ちます。
原本預かりの場合は管理方法を確認する
介護保険関係書類などを施設が預かる場合は、どこで保管し、必要時に返却してもらえるか確認します。
マイナンバーカードの扱いは特に確認する
マイナ保険証を利用している人では、施設入居後のマイナンバーカードの管理方法を決めておく必要があります。
施設へ預けることを前提にしない
本人が管理できるのか、家族が管理するのか、施設の支援が必要なのかを確認します。
資格確認書を利用できるケースも確認する
高齢者や障害のある人など、マイナンバーカードによる受診が困難で配慮が必要な場合には、申請により資格確認書の交付対象となる仕組みがあります。
本人の加入する医療保険者へ確認してください。
書類準備でよくある失敗
01
健康診断書を先に取ってしまう
施設指定様式や有効期間があり、取り直しになることがあります。
02
薬の情報が古い
入居直前に処方変更があった場合は、最新の薬剤情報を施設へ共有します。
03
誰が作る書類か確認していない
医師・病院・ケアマネジャー等へ依頼する書類は、完成まで日数がかかる場合があります。
04
原本を渡したまま控えがない
契約・料金・医療情報を後から確認できるよう、手元に残す書類を整理します。
申込み前に施設へ確認したい質問
そのまま使える確認項目
- 申込み時に必要な書類を一覧でもらえますか
- 入居審査までに必要な書類はどれですか
- 診療情報提供書・健康診断書に指定様式はありますか
- 健康診断書はいつ以降に作成したものが必要ですか
- 契約時に必要な本人確認書類は何ですか
- 住民票・印鑑証明書等は必要ですか
- 介護保険証等は原本を預けますか、写しだけですか
- 医療保険の資格確認はどのように行いますか
- マイナンバーカードを施設で管理する必要がありますか
- 口座振替の手続きに何が必要ですか
- 緊急連絡先・身元引受人にはどのような役割を求めますか
準備は「誰が・何を・いつまでに」で管理する
必要書類が多いと、家族の誰が何を準備しているのか分からなくなることがあります。
書類名だけでなく担当者を書く
「診療情報提供書=病院へ長男が依頼」「住民票=長女が取得」など、担当を決めます。
提出期限を入れる
入居審査前、契約日、入居当日など、必要になるタイミングを分けます。
原本・コピーを区別する
提出後に返却されるのか、施設保管になるのかも一覧にしておくと管理しやすくなります。
まとめ|必要書類一覧を施設から受け取り、段階別に準備する
老人ホーム入居では、介護保険関係書類、医療関係書類、本人確認書類、契約書類、支払関係書類などが必要になることがあります。
ただし、必要書類は施設や本人の状態によって異なります。「老人ホームならこの10点が必須」と一律に考えるのではなく、入居予定施設から正式な必要書類一覧を受け取ってください。
特に健康診断書や診療情報提供書は、施設指定の様式や作成時期があるかを確認してから医療機関へ依頼すると、取り直しを防ぎやすくなります。
また、現在の医療保険の資格確認はマイナ保険証または資格確認書が基本です。施設入居後に本人がカード管理や受診手続きを行うのが難しい場合は、入居前に施設・家族・医療保険者で管理方法を確認しておきます。
最も重要なのは、必要書類を「申込み」「入居審査」「契約」「入居当日」に分け、誰が・何を・いつまでに準備するかを明確にすることです。
契約時には書類を提出するだけでなく、重要事項説明書や入居契約書の内容を十分確認し、料金、サービス、退去条件まで理解したうえで入居手続きを進めてください。
