老健の費用はいくら?月額料金と自己負担を解説

介護老人保健施設(老健)の費用は、全国一律の「月額○万円」で決まるわけではありません。要介護度、施設の類型、居室の種類、所得による自己負担割合、各種加算、食費・居住費などによって変わります。

老健は、リハビリなどを行いながら在宅復帰を支援する介護保険施設です。長期居住を第一目的とした施設ではありませんが、入所期間が一律に3か月と決められているわけでもありません。費用を考えるときは、入所する期間も含めて見通しを立てることが大切です。

まず結論|老健の月額費用は「介護費+食費+居住費+実費」で決まる

老健で毎月支払う費用は、介護保険が適用される施設サービス費の自己負担に、食費・居住費・日常生活費などを加えた金額です。介護サービス費は原則1割、一定以上の所得がある人は2割または3割負担です。食費・居住費は所得が低い人を対象とした負担軽減制度があるため、料金表を見るときは「総額」と「軽減制度適用後の金額」の両方を確認します。

老健の費用は何に分かれるのか

老健の入所費用は、大きく分けると「介護保険の施設サービス費」「食費」「居住費」「その他の実費」で構成されます。有料老人ホームでみられるような高額な入居一時金を前提とする料金体系ではありません。

02

食費

老健で提供される食事にかかる費用です。介護保険の施設サービス費とは別に負担します。実際の食費は施設と利用者の契約に基づいて設定されますが、所得が低く一定の要件を満たす人には負担限度額が設けられます。

03

居住費

施設で生活する居室にかかる費用です。多床室、従来型個室、ユニット型個室など、居室の種類によって金額が異なります。

食費と同様、一定の低所得者については負担限度額認定によって負担が軽減される場合があります。

04

日用品・理美容などの実費

理美容、個人的に使用する日用品、希望して参加する活動などについて実費が必要になる場合があります。何が別料金になるかは施設によって異なるため、料金表と重要事項説明書で確認します。

介護保険の自己負担はいくらになるのか

老健の施設サービス費は、要介護1〜5の要介護度、施設の類型、居室の種類などによって1日あたりの介護報酬が設定されています。

2026年10月時点で、たとえば基本型の多床室で算定する「介護保健施設サービス費(Ⅰ)」の基本報酬は、要介護1で1日793単位、要介護5で1日1,012単位です。

仮に1単位を10円として30日利用し、加算を含めず1割負担で単純計算すると、基本サービス部分は要介護1で約23,790円、要介護5で約30,360円となります。ただし、実際には地域によって1単位あたりの単価が異なる場合があり、施設の類型や各種加算によっても金額が変わります。

この金額だけで老健の月額費用にはなりません

上記は介護保険の基本サービス部分を単純計算した例です。実際の請求には各種加算が加わる場合があり、さらに食費、居住費、日常生活費などを支払います。施設へ問い合わせるときは、本人の要介護度と自己負担割合を伝えて月額の見込み額を出してもらってください。

1割・2割・3割負担は何で決まるのか

介護保険サービスの利用者負担は原則1割ですが、65歳以上の第1号被保険者で一定以上の所得がある人は2割または3割となります。

本人の負担割合は、市区町村から交付される「介護保険負担割合証」で確認できます。施設へ入所する前に、要介護認定の結果とあわせて確認しておくと、介護サービス費の見込みを出しやすくなります。

なお、2割・3割負担の人でも、介護サービス費の自己負担が一定額を超えた場合には、高額介護サービス費の対象になることがあります。

食費・居住費はいくらかかるのか

食費と居住費は、原則として利用者が負担します。第4段階に該当する一般的な所得区分の人については、施設との契約に基づいて金額が設定されるため、「老健なら全国どこでも1日○円」と一律には決まりません。

一方、制度上は平均的な費用を踏まえた「基準費用額」が定められています。2026年8月から、老健などの食費の基準費用額は1日1,545円です。

居住費の基準費用額は居室によって異なり、老健ではユニット型個室が1日2,066円、ユニット型個室的多床室・従来型個室が1日1,728円、多床室は室料を徴収する場合と徴収しない場合で基準費用額が異なります。

CHECK

基準費用額は「すべての施設で請求される固定料金」ではありません。実際に支払う食費・居住費は、施設の料金設定と、本人が負担限度額認定の対象になるかを確認して判断します。

所得が低い人は食費・居住費を軽減できる場合がある

介護保険施設では、所得や資産が一定以下の人について、食費・居住費の負担を軽減する「特定入所者介護サービス費(補足給付)」があります。

対象になる場合は、市区町村へ申請して「介護保険負担限度額認定」を受けます。所得状況だけでなく、配偶者の課税状況や預貯金等の資産要件もあるため、「住民税非課税なら自動的に全員対象」とは限りません。

2026年8月以降の食費の負担限度額

老健に入所する場合の食費の負担限度額は、2026年8月以降、第1段階が1日300円、第2段階が390円、第3段階①が680円、第3段階②が1,420円です。

30日で単純計算すると、食費部分は第1段階で9,000円、第2段階で11,700円、第3段階①で20,400円、第3段階②で42,600円が目安になります。

居住費の負担限度額は居室の種類でも変わる

老健の居住費は、多床室か個室かによって大きく異なります。たとえばユニット型個室では、第1・第2段階は1日880円、第3段階①は1,370円、第3段階②は1,470円が負担限度額です。

従来型個室では、第1・第2段階は1日550円、第3段階①は1,370円、第3段階②は1,470円です。多床室ではさらに低い負担限度額が設定されています。

負担軽減には申請が必要です

食費・居住費の補足給付は、対象者が市区町村へ申請して認定を受ける制度です。入所を検討している段階で、本人が対象になりそうか市区町村の介護保険窓口やケアマネジャーへ確認してください。

介護費が高くなったときは高額介護サービス費を確認する

介護保険サービスの1〜3割の自己負担が1か月の上限額を超えた場合、超過分が支給される「高額介護サービス費」という制度があります。

上限額は所得区分によって異なります。2025年8月以降の制度では、たとえば市町村民税非課税世帯には世帯24,600円などの上限が設定され、さらに条件によって個人15,000円の上限が適用される場合があります。

一方、食費・居住費や日常生活費などは、高額介護サービス費の計算対象には含まれません。月額費用を考える際は、介護保険の自己負担と、それ以外の生活費を分けて考える必要があります。

老健ではほかにどのような費用がかかるのか

老健では基本的な施設サービス費、食費、居住費のほかにも費用が発生することがあります。

入所前に確認したい追加費用

  • 理美容代
  • 個人的に使用する日用品
  • 希望して利用する教養娯楽・クラブ活動等の実費
  • 特別な居室を希望した場合の室料
  • 通常の食事とは別に希望する特別な食事の費用
  • 衣類などの私物洗濯にかかる費用

追加費用の項目や金額は施設によって異なります。「日用品費」「教養娯楽費」などの名称だけで判断せず、何に対する費用なのか、利用しない場合にも請求されるのかを確認してください。

老健の医療費は月額料金にすべて含まれるのか

老健は医師や看護職員が配置され、施設内で必要な医療や健康管理も行われます。ただし、「医療に関する費用が何でも施設料金に含まれる」という意味ではありません。

入所中の医療については介護保険と医療保険の給付調整があり、外部医療機関への受診や薬剤なども一律の扱いではありません。現在治療中の病気がある人や高額な薬を使用している人は、入所前に施設へ伝え、どこまで施設内で対応できるか確認する必要があります。

費用だけでなく、必要な治療を継続できるかという観点で確認することが大切です。

老健の費用を比較するときの4つの確認ポイント

老健は介護保険施設なので、基本的な介護報酬は制度に基づいています。しかし、実際の月額負担は居室や加算、実費などによって差が出ます。

01

本人の要介護度と負担割合で見積もる

ホームページの代表的な料金例ではなく、本人の要介護度と1割・2割・3割のどの負担割合になるかを伝え、実際の見込み額を確認します。

同じ老健でも施設類型や算定する加算によって請求額は変わるため、本人の条件を反映した見積もりで比較することが大切です。

02

多床室か個室かを確認する

居室の種類は居住費に影響します。個室を希望する場合は、介護保険上の居住費だけでなく、特別な療養室として別料金が設定されていないかも確認します。

03

負担限度額認定の対象になるか確認する

低所得者に該当する可能性がある場合は、食費・居住費の補足給付を受けられるか市区町村へ確認します。適用の有無によって月額負担が大きく変わることがあります。

04

加算と実費を含めた総額を出してもらう

基本料金だけでなく、施設で通常算定される加算、食費、居住費、日用品などを加えた「1か月の支払見込み額」を出してもらいます。料金表に含まれていない費用も質問しておくと、入所後の想定外の支出を減らせます。

「3か月分の費用」だけで考える必要はない

老健について「3か月で必ず退所する」と説明されることがありますが、一律に3か月で退所する制度ではありません。老健は在宅復帰・在宅療養支援を目的とする施設であり、定期的に入所継続の必要性を検討しながら支援します。

そのため家計を考えるときも、「必ず3か月分だけ用意すればよい」と考えるのではなく、施設から説明された入所期間の見通しと、退所後の生活に必要な費用まで含めて考えることが重要です。

まとめ|老健の料金は本人の条件で見積もる

老健の月額費用は、介護保険の施設サービス費だけでは決まりません。介護サービスの自己負担に、食費、居住費、日常生活費などを加えたものが実際の支払額になります。

施設サービス費は要介護度や施設類型などで変わり、本人の所得によって1割・2割・3割の自己負担があります。さらに、所得や資産が一定以下の場合は食費・居住費の負担限度額認定、高額になった介護サービス費には高額介護サービス費など、負担軽減制度を利用できる場合があります。

入所先を比較するときは、本人の要介護度・負担割合・居室タイプ・負担軽減制度を反映した1か月の総額を施設に確認してください。料金表の最も安い金額だけではなく、実際に自分が支払う金額で比較することが大切です。

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です