特別養護老人ホーム(特養)を探していると、「ユニット型」と「従来型」という言葉を目にします。どちらも特養ですが、居室のつくりだけでなく、日常生活の単位や介護の受け方にも違いがあります。
ユニット型特養は、少人数の入居者ごとに生活単位をつくり、個室と共同生活室を組み合わせて暮らす方式です。プライバシーを保ちやすい一方、居住費などが従来型より高くなることがあります。
ユニット型特養とは少人数単位で暮らす特別養護老人ホーム
まず結論|ユニット型と従来型の最大の違い
ユニット型特養は、個室と共同生活室を組み合わせた少人数の生活単位でケアを行う施設です。従来型は施設全体をより大きな単位で運営することが多く、居室が多床室の場合もあります。どちらが優れているかではなく、本人が落ち着いて暮らせる環境と、必要な介護を受けられる体制が合っているかで比較することが大切です。
厚生労働省の基準では、ユニット型特養は、少数の居室とそれに近接する共同生活室を一体的に構成した「ユニット」ごとに生活し、その単位で支援を受ける仕組みです。
居室は原則として1人部屋で、各居室は共同生活室に近接して配置されます。1ユニットの入居定員は原則としておおむね10人以下とされ、15人を超えない基準になっています。
ユニット型特養と従来型特養の違い
01
ユニット型は個室を中心に少人数で生活する
ユニット型では、個室とリビングに相当する共同生活室が一体的に配置されています。自室で過ごす時間と、同じユニットの入居者と過ごす時間を分けやすく、生活のリズムやプライバシーを保ちやすい構造です。
使い慣れた家具などを持ち込める場合もあり、自宅に近い雰囲気をつくりやすいことも特徴です。ただし、持ち込み可能な家具やサイズは施設ごとに確認が必要です。
02
従来型には個室と多床室がある
従来型特養には、従来型個室と多床室があります。多床室は複数人で一つの居室を使用するため、個室よりも他の入居者との距離が近くなります。
一方で、従来型だから介護の質が低いという意味ではありません。職員の声かけ、入居者の様子、夜間対応、排泄・食事・入浴などの支援方法は施設ごとに異なるため、建物の形式だけで判断しないことが重要です。
03
生活単位と職員との関わり方にも違いがある
ユニット型は少人数の生活単位で日常生活を支えることを前提としているため、同じ入居者や職員と顔を合わせる機会が多くなりやすい設計です。
ただし、実際の職員配置や担当方法、夜勤体制、ユニット間の応援方法は施設ごとに異なります。見学時には「いつも同じ職員が担当するのか」だけでなく、夜間や急変時にどのように連携するかまで確認します。
ユニット型特養の居室と共同生活室
居室は原則1人部屋
ユニット型特養の居室は原則として1人部屋です。サービス提供上必要と認められる場合には2人で使用できる例外もありますが、基本は個室です。
居室には一定の床面積基準があり、ブザーなどの呼び出し設備も求められます。本人が長時間を過ごす場所になるため、広さだけでなく、ベッドからトイレへの動線、車いすでの移動、収納、室温、日当たりなども確認するとよいでしょう。
共同生活室はユニット内の生活拠点になる
共同生活室は、食事や交流などに使うユニット内の共用スペースです。単なる食堂ではなく、入居者が日常生活を送るための居間に近い役割を持ちます。
見学では、入居者が実際に共同生活室でどのように過ごしているかを確認します。テレビを見ているだけなのか、会話や活動があるのか、職員の声かけが自然かなどを見ると、ユニットの雰囲気が分かりやすくなります。
ユニット型特養は従来型より費用が高いことがある
ユニット型個室は、従来型の多床室などと比べて居住費が高くなることがあります。個室と共同生活室を備える構造や、居室区分ごとの費用設定が異なるためです。
金額だけで比較しない
特養の支払いは、介護サービスの自己負担だけでなく、居住費、食費、医療費、日用品などで構成されます。所得等によって負担軽減の対象になる場合もあるため、施設から提示された月額の内訳を確認してください。
「ユニット型は月額いくら」と固定的に考えるのではなく、本人の要介護度、所得、負担割合、居室区分、施設ごとの実費を含めて総額を比較します。
ユニット型特養が向いている人
候補にしやすい人
- 一人で落ち着ける個室を重視したい
- 大人数の空間では疲れやすい
- 生活リズムやプライバシーを保ちたい
- 少人数のなじみの関係をつくりやすい環境を希望する
- 居住費を含む総額を確認したうえで負担できる
認知症がある人でも、個室で落ち着きやすい人もいれば、一人になることで不安が強くなる人もいます。本人の性格やこれまでの生活習慣によって合う環境は異なります。
そのため、家族が「個室のほうが良さそう」と決めつけるのではなく、本人が共同生活室でどのように過ごせそうか、見学時の反応も確認すると判断しやすくなります。
従来型特養が合う場合もある
従来型には多床室があるため、他の人の気配があるほうが安心できる人には合うことがあります。また、居住費を抑えたい場合に候補になりやすいこともあります。
一方で、音や人の出入りが気になりやすい人、睡眠が浅い人、プライバシーを重視したい人は、居室環境を慎重に確認したほうがよいでしょう。
従来型個室もあるため、「従来型=必ず多床室」とは限りません。希望する施設にどの居室区分があるかを確認してください。
ユニット型特養を見学するときの確認ポイント
01
共同生活室で入居者がどう過ごしているか
設備だけでなく、日中の過ごし方を見ます。入居者の表情、会話、職員の声かけ、食事前後の様子などから、少人数ケアが実際にどのように行われているかを確認します。
02
夜間は何人の職員で対応するか
日中はユニットごとに職員がいても、夜間は複数ユニットをまとめて担当することがあります。転倒リスク、頻回な排泄介助、医療的ケアがある場合は、夜間体制を具体的に確認します。
03
個室での事故や体調変化をどう把握するか
個室はプライバシーを保ちやすい反面、常に人の目があるわけではありません。巡回、コール、センサーの使用方針など、本人の状態に応じた見守り方法を確認します。
04
費用と退去条件を重要事項説明書で確認する
居住費、食費、介護保険自己負担、追加費用だけでなく、医療対応や看取り、入院が長期化した場合の扱い、退去条件も確認します。ユニット型であることだけでは、将来も同じ条件で住み続けられるとは判断できません。
特養の入所条件はユニット型でも従来型でも基本は同じ
ユニット型も従来型も特別養護老人ホームであるため、新規入所は原則として要介護3以上です。
ただし、要介護1・2でも、認知症や家族による支援の困難さなど一定の事情があり、在宅生活を続けることが難しい場合には、特例入所の対象になることがあります。要介護3未満だから一律に申込みできないと考える必要はありません。
実際の入所順位は、要介護度だけでなく、介護者の状況や在宅生活の困難さなどを踏まえて検討されます。施設ごとの申込み方法や入所判定の考え方も確認してください。
まとめ|ユニット型か従来型かは本人の暮らし方で選ぶ
ユニット型特養は、個室と共同生活室を組み合わせ、少人数の生活単位でケアを行うことが特徴です。従来型には個室と多床室があり、より大きな生活単位で運営される場合があります。
比較するときは、個室か多床室かだけでなく、本人の性格、認知症の状態、夜間の見守り、医療対応、職員との関わり、月額総費用まで確認します。
施設見学では、建物の新しさよりも、入居者の表情や職員の声かけ、本人がその場で落ち着いて過ごせそうかを見ることが、実際の施設選びにつながります。

