介護医療院を選ぶとき、「看護師や介護職員は何人いるのか」は重要な確認項目です。ただし、施設案内に書かれた総職員数だけを見ても、実際にどの時間帯に何人が働いているのかは分かりません。
確認するときは、人員基準・実人数・常勤換算人数・夜勤人数を分けて見ることが大切です。
まず結論|職員配置は「基準を満たしているか」だけでなく「実際に何人勤務しているか」まで見る
介護医療院では、看護職員は原則6対1以上、介護職員はⅠ型で5対1以上・Ⅱ型で6対1以上という人員基準があります。ただし、これは常勤換算による施設全体の基準であり、「入所者6人ごとに看護職員1人が常に配置されている」という意味ではありません。実際の体制を知るには、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」で看護・介護職員の実人数、常勤・非常勤、常勤換算人数、夜勤従業者数などを確認し、見学時には日中・夜間・休日の勤務人数まで質問することが重要です。
最初に確認したい看護・介護職員の配置基準
介護医療院の職員配置を確認するときは、まず国が定める最低基準を知っておくと、施設が公表している人数を理解しやすくなります。
| 職種 | 基本となる配置基準 |
|---|---|
| 看護職員 | Ⅰ型・Ⅱ型とも6対1以上 |
| 介護職員 | Ⅰ型5対1以上、Ⅱ型6対1以上 |
ここでいう「6対1」は、入所者6人に対して看護職員を1人以上、「5対1」は入所者5人に対して介護職員を1人以上配置する考え方です。
配置基準は「常勤換算」で計算する
厚生労働省の基準では、看護職員・介護職員の人数を常勤換算方法で計算します。
常勤換算とは、常勤職員と非常勤職員の勤務時間を合計し、その施設で常勤職員が勤務すべき時間数で割って、常勤職員何人分に相当するかを示した数字です。
実人数と常勤換算人数は同じとは限らない
たとえば非常勤職員が複数いても、一人ひとりの勤務時間が短ければ、実人数は多くても常勤換算人数は少なくなります。
そのため、施設を比較するときは「看護職員20人」という実人数だけを見るのではなく、常勤換算で何人になるかも確認する必要があります。
「6対1=6人に1人が常時そばにいる」ではない
6対1という配置基準は施設全体の必要人数を常勤換算で計算する基準です。日中・夜間・休日の各時間帯に、入所者6人につき看護職員1人が常時配置されているという意味ではありません。
介護サービス情報公表システムで職員数を確認する
施設の職員配置を調べるときに役立つのが、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」です。
介護医療院ごとに、看護職員や介護職員などの従業者情報が公表されています。
まず「従業者情報」を見る
施設の詳細ページでは、看護職員・介護職員について次のような情報を確認できます。
- 常勤職員の人数
- 非常勤職員の人数
- 専従か兼務か
- 実人数の合計
- 常勤換算人数
施設によっては、看護職員・介護職員の退職者数、経験年数10年以上の介護職員の割合、夜勤を行う従業者数なども確認できます。
「常勤」と「非常勤」を分けて見る
総人数だけでは、その施設で安定した勤務体制が組まれているか判断しにくいことがあります。
常勤職員がどの程度いるか、非常勤職員が多い場合はどのような勤務体制なのかを確認すると、施設の人員構成を理解しやすくなります。
「専従」と「兼務」も確認する
公表システムでは、職員が介護医療院の業務に専従しているのか、同じ法人・施設内の別業務と兼務しているのかが分かる場合があります。
兼務だから問題という意味ではありませんが、数字を読むときは、実人数だけでなく「その職員が介護医療院でどの程度勤務しているのか」を見ることが大切です。
実人数と常勤換算人数はどう読み分ける?
職員配置を確認するときに最も混同しやすいのが、「実人数」と「常勤換算人数」です。
| 数字 | 意味 |
|---|---|
| 実人数 | 実際に在籍している職員の人数 |
| 常勤換算人数 | 勤務時間を常勤職員何人分に相当するかへ換算した人数 |
実人数が多くても勤務時間が多いとは限らない
非常勤職員が多数いる施設では、在籍人数が多く見えることがあります。
しかし、勤務時間を常勤職員の勤務時間へ換算すると、常勤換算人数は実人数より少なくなることがあります。
施設比較では常勤換算人数も見る
同じ入所定員の2施設を比較するとき、単純な実人数より、常勤換算人数を合わせて見る方が職員配置を比較しやすくなります。
ただし、常勤換算人数が多ければ必ずサービスの質が高いと断定できるわけではありません。職員の経験、時間帯別配置、業務分担なども確認する必要があります。
入所定員と職員数をセットで確認する
「看護職員が10人いる」という数字だけでは、多いか少ないかを判断できません。
入所定員30人の施設と100人の施設では、同じ10人でも意味が異なるためです。
施設の入所定員を見る
介護サービス情報公表システムでは、介護医療院の入所定員も確認できます。
職員数を見るときは、必ず入所定員と合わせて確認してください。
実際の入所者数も参考にする
公表情報には要介護度別の入所者数などが掲載されている場合があります。
要介護4・5の人が多い施設などでは、日常の介護量も多くなる可能性があります。
人数だけでなく、どのような状態の入所者が多い施設なのかも参考にすると、職員体制をより具体的にイメージできます。
POINT
職員数を比較するときは「職員○人」ではなく、「入所定員○人に対して、看護職員・介護職員が常勤換算で何人か」という形で見ると分かりやすくなります。
夜勤人数は必ず確認する
介護医療院は24時間生活する施設なので、日中だけでなく夜間の職員配置が重要です。
特に、夜間に吸引、経管栄養の管理、排せつ介助、体位変換などが必要な人は、夜勤体制を具体的に確認する必要があります。
夜間にも看護職員が配置される基準がある
厚生労働省の夜勤基準では、一般的な介護医療院について、夜勤を行う看護職員を1人以上配置することが定められています。
併設型小規模介護医療院には例外がある
一定の要件を満たす併設型小規模介護医療院では、併設医療機関の夜勤職員や緊急時の連絡体制を前提に、通常とは異なる夜勤配置の取扱いがあります。そのため、「介護医療院なら全国一律に同じ夜勤人数」と考えず、施設の類型と実際の夜間勤務表を確認してください。
ただし、一部の併設型小規模介護医療院には例外があります。
公表システムの「夜勤を行う従業者数」を見る
介護サービス情報公表システムでは、施設によって「夜勤を行う従業者数」が表示されます。
ただし、この数字だけでは看護職員と介護職員の内訳や、1日の夜勤で同時に何人勤務しているかまで分からない場合があります。
見学時は「一晩に何人いるか」を聞く
夜勤体制については、次のように質問すると分かりやすくなります。
- 夜間は看護職員が何人勤務していますか
- 夜間は介護職員が何人勤務していますか
- その人数で入所者何人を担当しますか
- 複数の療養棟を兼務していますか
- 休憩時間中はどのように職員配置を確保しますか
「24時間看護職員がいます」という説明だけで終わらせず、実際の勤務人数まで聞くことが重要です。
Ⅰ型とⅡ型では介護職員の配置基準が違う
介護医療院の看護職員はⅠ型・Ⅱ型とも6対1以上ですが、介護職員はⅠ型とⅡ型で基準が異なります。
- Ⅰ型:入所者5人に対して介護職員1人以上
- Ⅱ型:入所者6人に対して介護職員1人以上
施設内にⅠ型・Ⅱ型が混在する場合もある
介護医療院によっては、施設内にⅠ型とⅡ型の療養床を持っている場合があります。
その場合、「施設全体の職員数」だけを見ても、自分が入所する療養棟の体制が分かりにくいことがあります。
入所相談では、本人がどの療養棟へ入る予定なのか、その療養棟の職員配置はどうなっているのか確認してください。
経験年数や退職者数も参考にする
職員配置を見るときは、人数だけではなく職員構成も参考になります。
経験年数10年以上の介護職員の割合
介護サービス情報公表システムでは、経験年数10年以上の介護職員の割合が掲載されている施設があります。
経験豊富な職員がどの程度いるかを知る一つの手掛かりになります。
ただし、経験年数が長い職員が多いから必ずサービスが良い、少ないから悪いと断定することはできません。
退職者数も一つの確認材料
看護職員・介護職員の退職者数が掲載されている場合もあります。
退職者数が多い場合は、職員の入れ替わりが多い可能性がありますが、施設規模や採用状況などによって意味は変わります。
数字だけで評価せず、見学時に職員の勤務年数や教育体制などを聞く材料として使うのが適切です。
人員基準を上回っているか施設へ確認する
国の人員基準は、施設運営に必要な最低基準です。
施設によっては基準より多く職員を配置している場合があります。
「基準を満たしています」だけでは比較できない
すべての指定介護医療院は人員基準を満たすことが前提なので、「基準を満たしています」という説明だけでは施設同士を比較できません。
次のように聞くと具体的です。
- 基準上必要な看護職員数は何人ですか
- 実際の常勤換算人数は何人ですか
- 基準より何人多く配置していますか
- 介護職員についても同じ数字を教えてください
時間帯別の配置を聞く
施設全体の常勤換算人数が多くても、その職員が日中に集中して勤務している可能性があります。
本人が夜間に多くの介助や医療的ケアを必要とする場合は、夜勤人数の方が重要になることがあります。
見学時は実際の職員の動きも見る
公表データと施設からの説明を確認したら、可能であれば見学時に実際の現場も見ます。
職員が入所者へ対応できているか
単純に職員の姿が多いかだけでなく、入所者から声をかけられたときに対応できているか、急いで走り回っていないかなどを見ます。
ナースコールへの対応方法を聞く
ナースコールを押したときに誰が対応するのか、夜間はどの職員へ通知されるのかを確認すると、実際の人員体制を理解しやすくなります。
食事・排せつなど忙しい時間帯を確認する
介護施設では、食事前後や起床・就寝時間などに介助が集中します。
「一番忙しい時間帯には何人で対応していますか」と質問すると、総人数だけでは分からない配置を確認できます。
職員配置を見るときに避けたい判断
総職員数だけで多い・少ないを決める
事務職員、リハビリ職、調理員などを含めた総従業者数が多くても、看護・介護職員が多いとは限りません。
必ず職種別の人数を確認します。
実人数だけで判断する
非常勤職員が多い施設では実人数が大きく見えることがあります。
常勤換算人数も合わせて見てください。
配置基準だけで医療対応を判断する
看護職員が基準以上配置されていても、本人に必要な医療処置へ対応できるとは限りません。
職員配置と医療処置の受入可否は別に確認する必要があります。
施設へ確認したい職員配置の質問
看護・介護職員配置のチェックリスト
- Ⅰ型・Ⅱ型のどちらの療養棟へ入所しますか
- 入所定員は何人ですか
- 看護職員の実人数は何人ですか
- 看護職員の常勤換算人数は何人ですか
- 介護職員の実人数は何人ですか
- 介護職員の常勤換算人数は何人ですか
- 看護師と准看護師の内訳はどうなっていますか
- 日中は看護職員・介護職員がそれぞれ何人勤務しますか
- 夜間は看護職員・介護職員がそれぞれ何人勤務しますか
- 休日は平日と比べて職員数が変わりますか
- 職員は複数の療養棟や他部門を兼務していますか
- 夜間に本人の必要な医療処置へ対応できますか
- 職員の研修や新人教育はどのように行っていますか
公表システムで確認した数字と施設からの説明に差がある場合は、「公表時点から職員数が変わりましたか」と確認してください。公表情報は最新の勤務状況と完全に一致しない場合があります。
まとめ|「実人数・常勤換算・夜勤人数」の3つを確認する
介護医療院では、看護職員はⅠ型・Ⅱ型とも6対1以上、介護職員はⅠ型5対1以上・Ⅱ型6対1以上という配置基準があります。
ただし、この数字は常勤換算による施設全体の基準です。実際の勤務体制を知るには、基準だけでは不十分です。
介護サービス情報公表システムを使って、看護・介護職員の実人数、常勤・非常勤、常勤換算人数、夜勤従業者数などを確認し、そのうえで施設へ日中・夜間・休日の実際の勤務人数を質問しましょう。
特に重要なのは、「職員が全部で何人いるか」ではなく、「本人が介護や看護を必要とする時間帯に、誰が何人いて、どこまで対応できるか」を確認することです。