住宅型有料老人ホームに入居していると、「担当ケアマネジャーと合わない」「ホームと同じ法人のケアマネを使っているが変更したい」「以前からのケアマネに戻したい」と感じることがあります。
まず結論|住宅型有料老人ホームでもケアマネジャーは変更できる
住宅型有料老人ホームに入居していても、原則として利用する居宅介護支援事業所・ケアマネジャーは本人が選べます。今のケアマネジャーが合わない場合は、別の居宅介護支援事業所へ変更することが可能です。
住宅型有料老人ホームは、介護付き有料老人ホームのようにホーム自身が介護保険サービスを包括提供する仕組みではありません。介護が必要な場合は、入居者自身が居宅介護支援事業所や訪問介護・訪問看護等と個別に契約します。
ただし、変更時には新しい事業所との契約、ケアプランの引継ぎ、介護保険上の届出などが必要です。また、「ホームと同じ法人のケアマネから変えると不利になるのでは」と心配な場合も、制度上の原則とホーム側の説明を分けて確認することが重要です。
住宅型有料老人ホームでもケアマネジャーを自分で選べる?
選べます。
厚生労働省の居宅介護支援の運営基準では、居宅介護支援は利用者の選択に基づき、多様な事業者から適切な保健医療・福祉サービスが提供されるよう配慮して行うこととされています。
ケアマネ事業所の選択は利用者が基本
厚生労働省の通知でも、どの居宅介護支援事業者を選ぶかは、利用者の自由な選択によることが基本とされています。
住宅型有料老人ホームに入居したからといって、ホームが指定する居宅介護支援事業所だけを利用しなければならないという全国一律の仕組みではありません。
住宅型ではホームとケアマネ事業所の契約は別
住宅型有料老人ホームでは、一般に、
- ホームとの入居契約
- 居宅介護支援事業所との利用契約
- 訪問介護・訪問看護等との利用契約
がそれぞれ別に存在します。
厚生労働省の資料でも、住宅型有料老人ホームと入居者の入居契約とは別に、入居者と居宅介護支援事業所が居宅介護支援利用契約を結ぶ構造が示されています。
「そのホームに住むこと」と「そのホームと同じ法人のケアマネを使うこと」は、本来別の契約です。
ホーム併設のケアマネ事業所を使い続ける必要はある?
原則として、本人の希望に反して利用を強制されるものではありません。
厚生労働省の有料老人ホーム関係資料では、住宅型有料老人ホームへの入居にあたり、併設・隣接のケアマネ事業所や介護事業所の利用を条件にしているケースが確認されており、利用者の選択を妨げることは問題とされています。
併設事業所を選ぶこと自体は問題ではない
ホーム併設の居宅介護支援事業所を選ぶこと自体が悪いわけではありません。
ホームの生活状況を把握しやすい、訪問介護等と連携しやすいなどの利点がある場合もあります。
問題になるのは、本人が十分な情報を与えられず、事実上選択肢がない状態です。
「入居条件です」と言われたら契約書を確認する
もし「このケアマネ事業所を使うことが入居条件です」「変更すると住み続けられません」と説明された場合は、口頭だけで判断せず、重要事項説明書・入居契約書の該当箇所を確認してください。
そのうえで、施設所在地の自治体の有料老人ホーム担当部署や介護保険担当窓口へ相談することもできます。
どんなときに変更を考える?
ケアマネジャーを変更したいのはどんなとき?
ケアマネジャーを変更したい理由はさまざまです。
本人・家族の希望がケアプランへ反映されない
本人が希望している生活や家族が伝えている困りごとが、十分にケアプランへ反映されないと感じることがあります。
居宅サービス計画は、利用者の希望を尊重して作成し、その内容を説明したうえで同意を得ることが基本です。
特定の介護事業所ばかり勧められる
厚生労働省の解釈通知では、ケアマネジャーが特定の居宅サービス事業者に不当に偏った情報を提供したり、利用者へ選択を求めず同一事業主体のサービスだけでケアプラン原案を最初から示したりしてはならないとされています。
ホームと同じ法人の訪問介護・デイサービスだけを当然のように勧められる場合は、理由と他の選択肢を確認してください。
連絡が取りにくい・説明が少ない
急な状態変化やサービス変更について相談したいのに連絡がつかない、説明が不十分で不安が大きいなど、信頼関係の問題から変更を考えることもあります。
本人との相性が合わない
ケアマネジャーは生活上の希望や困りごとを継続的に聞く立場です。
話しにくい、本人の気持ちをくみ取ってもらいにくいなど、相性が合わないと感じる場合もあります。
担当者だけ変更するか、事業所ごと変更するか
同じ居宅介護支援事業所の中で担当だけ変更できる?
事業所に複数のケアマネジャーが在籍していれば、居宅介護支援事業所そのものは変えず、担当者だけ変更できる場合があります。
まず管理者へ相談する方法がある
担当者との関係だけが問題で、事業所の方針や連携体制には不満がない場合は、まず居宅介護支援事業所の管理者へ相談してみてもよいでしょう。
「担当者本人に直接言いづらい」という場合も、管理者へ相談できます。
必ず希望どおりになるとは限らない
在籍するケアマネジャー数、担当件数、専門性などによって、事業所内で担当変更できない場合もあります。
その場合は、別の居宅介護支援事業所へ変更する方法を検討します。
別の居宅介護支援事業所へ変更する手順
別の事業所へ変更する場合は、次のような流れで進めます。
本人の希望、医療ニーズ、住宅型ホームとの連携可否などを確認します。
現在地が通常の事業実施地域か、担当できるケアマネジャーがいるか確認します。
重要事項の説明を受け、居宅介護支援利用契約を締結します。
ケアプランやサービス利用状況等の引継ぎを調整します。
居宅サービス計画作成依頼に関する届出等を、新しい事業所と市区町村の運用に沿って進めます。
先に新しい事業所を見つけると空白期間を作りにくい
今の事業所へ解約を伝えてから新しい事業所を探すと、ケアマネジャーが不在になる期間が生じる可能性があります。
急いで変更する事情がなければ、新しい居宅介護支援事業所の受入れ可否を確認してから、変更日を調整するとスムーズです。
変更後も今の介護サービスを続けられる?
変更すると今の介護サービスは全部変わる?
ケアマネジャーを変更しただけで、訪問介護・訪問看護・デイサービス等をすべて変更しなければならないわけではありません。
ケアマネ変更とサービス事業所変更は別
居宅介護支援事業所との契約と、訪問介護等のサービス事業所との契約は別です。
現在利用している訪問介護等に満足している場合は、新しいケアマネジャーに継続希望を伝えてください。
新しいケアプランでサービス内容を見直すことはある
新しいケアマネジャーが本人の状態を再確認した結果、回数や時間帯、サービス内容の見直しを提案することがあります。
ただし、ケアプランに位置付けるサービスは本人の希望を尊重し、説明と同意を経て決定することが基本です。
ホームと同じ法人の訪問介護も変更できる?
原則として、利用者自身が介護サービス事業者を選ぶことが基本です。
厚生労働省の解釈通知では、ケアマネジャーは地域のサービス事業者の内容・利用料等について適切な情報を提供し、利用者に選択を求めることとされています。
同一法人サービスへの固定は原則ではない
住宅型有料老人ホームと同じ法人が、居宅介護支援、訪問介護、訪問看護等を運営しているケースがあります。
連携のしやすさなどから本人が納得して選択することは問題ありませんが、他の事業所を希望しているのに利用を妨げることは適切ではありません。
外部事業者がホームへ訪問できるか確認する
実際に別法人の訪問介護等へ変更する場合は、ホームへの出入り方法、ナースコール時の連携、鍵やセキュリティ、サービス提供場所など、運用面も確認してください。
制度上選べることと、実際にスムーズに連携できることは別です。変更前に、ホーム・新ケアマネ・新しい介護事業所の三者で具体的な連携方法を確認してください。
変更で不利益を受けると言われたら?
ケアマネ変更でホームから不利益を受けることはある?
ケアマネジャーを別事業所へ変更したことだけを理由に、本人の選択を妨げるような不利益な扱いを受けることは、本来想定されるものではありません。
厚生労働省の有料老人ホーム関係資料では、ホームが特定の介護サービス事業者からのサービス提供に限定・誘導したり、利用者の希望を妨げたりしないよう求めています。
「外部ケアマネにすると夜間対応できない」と言われたら確認する
ホーム独自サービスと介護保険サービスの役割分担が違うため、外部事業者利用時に連携方法を調整する必要がある場合はあります。
ただし、「外部のケアマネに変えたから夜間の安否確認を一切しない」などと言われた場合は、ホームの入居契約に含まれる基本サービスと介護保険サービスを切り分けて確認してください。
書面で理由を確認する
変更に伴って費用やサービス内容が変わると言われた場合は、何が、なぜ変わるのかを重要事項説明書・契約書・料金表に基づいて説明してもらってください。
変更の伝え方・引継ぎを確認する
変更するとき今のケアマネに理由を言う必要はある?
変更理由を詳細に説明しなければ変更できないというものではありません。
ただし、引継ぎを円滑に進めるためには、変更する意向と変更日を伝える必要があります。
言いにくい場合は簡潔でよい
たとえば、
- 家族の希望で別事業所へ変更することになった
- 医療連携に強い事業所へ変更したい
- 本人との相性を考えて変更したい
など、必要最低限の説明でも構いません。
不満を伝える場合も事実を整理する
苦情を兼ねて変更する場合は、「連絡しても折り返しがなかった」「希望していない事業所だけを提案された」など、具体的な事実を整理して伝えると、今後の改善にもつながります。
新しいケアマネジャーへ何を引き継ぐ?
ケアマネジャーを変更しても、本人の生活・介護は続きます。
そのため、現在の支援内容を切れ目なく引き継ぐことが重要です。
主な引継ぎ情報
- 現在の居宅サービス計画
- 本人・家族の希望
- 要介護度・認定期間
- 利用中の訪問介護・訪問看護・通所介護等
- 福祉用具の利用状況
- 主治医・医療機関
- 服薬・医療上の注意点
- 最近の状態変化
- ホーム内での生活状況
- 緊急連絡先
本人の希望は改めて伝える
旧ケアプランの内容をそのまま引き継ぐだけでなく、「これからどう暮らしたいか」を新しいケアマネジャーへ改めて伝えてください。
変更時期・今のケアマネ継続をどう考える?
変更するタイミングは月初がいい?
必ず月初でなければならないわけではありません。
ただし、介護給付管理やサービス事業所との調整があるため、実務上は変更日を旧・新の居宅介護支援事業所で調整します。
急な変更ではサービスが途切れないようにする
退院直後、状態急変直後などサービス調整が多い時期に変更する場合は、現在のケアプラン、医療情報、サービス担当者との連絡を早めに引き継ぐことが重要です。
今までのケアマネを住宅型有料老人ホーム入居後も継続できる?
継続できる場合があります。
住宅型有料老人ホームへの入居後も、そのホームが旧ケアマネ事業所の通常の事業実施地域内で、事業所が引き続き担当可能であれば、継続できる可能性があります。
住所・事業実施地域を確認する
遠方のホームへ転居する場合は、旧事業所の通常の事業実施地域外になることがあります。
その場合は、入居先周辺の居宅介護支援事業所へ変更するほうが、訪問やサービス事業者との連携を行いやすい場合があります。
入居前に継続希望を伝える
現在のケアマネジャーを継続したい場合は、住宅型有料老人ホームの契約前に、
- 現在の居宅介護支援事業所
- 候補ホーム
の両方へ継続可能か確認してください。
新しいケアマネジャーをどう選ぶ?
どんなケアマネジャーを選べばいい?
「大手だから」「ホームと同じ法人だから」だけで決めるのではなく、本人に必要な支援との相性を確認します。
住宅型ホームとの連携経験
住宅型有料老人ホームでは、ホームの生活支援と外部介護保険サービスを切り分けて調整する必要があります。
住宅型でのケアマネジメント経験があるかは一つの確認材料です。
医療ニーズが高い人は医療連携も確認
訪問診療・訪問看護を利用している人なら、医療職との連携経験も重要です。
本人の希望を聞いてくれるか
サービス量を増やすことだけではなく、本人ができること、自分で続けたいこと、費用負担も含めて一緒に考えてくれるかを確認してください。
変更を拒まれたときの相談先と確認事項
ケアマネ変更を拒まれたらどこへ相談する?
まず、現在の居宅介護支援事業所の管理者、住宅型有料老人ホームの管理者へ理由を確認します。
それでも解決しない場合は、外部の相談先があります。
市区町村の介護保険担当窓口
居宅介護支援事業所の変更手続きや介護保険上の扱いについて相談できます。
地域包括支援センター
本人の生活全体について相談し、地域の居宅介護支援事業所を探すための情報を得られる場合があります。
自治体の有料老人ホーム担当部署
ホームから併設事業所の利用を強制される、外部事業所を利用すると不利益があるなど、有料老人ホームの運営に関する問題は、施設所在地の自治体へ相談できます。
国民健康保険団体連合会等の苦情相談
介護保険サービスに関する苦情については、自治体や国民健康保険団体連合会等へ相談できる場合があります。
変更前に確認したいチェックリスト
ケアマネ変更前の確認事項
- 担当者だけの変更で解決できますか
- 別の居宅介護支援事業所へ変更したい理由は明確ですか
- 新しい事業所は住宅型ホームの所在地を担当できますか
- 新しい事業所に受入れ余力がありますか
- 現在の訪問介護・訪問看護等を継続できますか
- ホームと新しいケアマネの連携方法を確認しましたか
- 現在のケアプラン・医療情報を引き継げますか
- 変更日を旧・新事業所で調整しましたか
- 市区町村への届出方法を確認しましたか
- ホームから不利益な条件を提示されていませんか
住宅型有料老人ホームでもケアマネ変更は本人の選択が基本
住宅型有料老人ホームに入居していても、利用する居宅介護支援事業所・ケアマネジャーは本人が選ぶことが基本です。
ホーム併設・同一法人の居宅介護支援事業所を利用すると連携しやすい場合はありますが、それを本人の希望に反して強制することとは別です。
変更したい場合は、まず担当者だけの変更でよいのか、事業所ごと変更したいのかを整理してください。
別事業所へ変更する場合は、新しい居宅介護支援事業所の受入れ確認 → 契約 → 旧事業所からの引継ぎ → 必要な届出の順で進めると、介護サービスが途切れにくくなります。
また、ケアマネジャーの変更と、訪問介護・訪問看護等の変更は別です。今のサービスを継続したい場合は、その希望を新しいケアマネジャーへ伝えてください。
制度確認:本記事の住宅型有料老人ホームにおける居宅介護支援事業所の選択、ケアプラン作成、サービス事業者の選択等は、2026年10月20日時点で厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」、同解釈通知、「有料老人ホームの設置運営標準指導指針」、有料老人ホームの契約関係に関する資料等を確認しています。実際の変更届や手続書類は市区町村によって運用が異なる場合があるため、本人の保険者である市区町村と新しい居宅介護支援事業所へ確認してください。