住宅型有料老人ホームで介護サービスを増やすと費用はいくら増える?

住宅型有料老人ホームに入居した後、要介護度が上がったり、排泄介助や入浴介助が増えたりすると、「訪問介護を増やしたら月額はいくら上がるのか」が気になります。

ただし、介護サービスを増やしたときの費用は「1回増やすと一律○円」とは決まりません。サービスの種類、所要時間、利用回数、地域区分、加算、本人の自己負担割合、区分支給限度基準額まで含めて計算する必要があります。

結論|「追加するサービスの単位数×回数×地域単価×自己負担割合」で増額の目安を考える

住宅型有料老人ホームでは、介護が増えると外部の訪問介護や訪問看護などを追加することがあります。たとえば現在の厚生労働省告示では、訪問介護の身体介護20分以上30分未満は244単位、30分以上1時間未満は387単位、生活援助20分以上45分未満は179単位です。仮に1単位10円、加算なし、1割負担として身体介護20~30分を月8回追加するなら、単純計算では約1,952円の自己負担増が目安です。ただし実際は地域区分、各種加算、早朝・夜間等の条件、事業所体制によって変わります。さらに区分支給限度基準額を超える部分は原則全額自己負担となるため、「追加後も限度額内か」まで確認することが重要です。

最初に確認する3点

  • 追加するサービスの単位数と回数を確認する
  • 自己負担割合と地域区分・加算を反映する
  • 区分支給限度基準額を超えるか確認する

介護サービスを増やすと費用はいくら増える?

増額の目安は、基本的に「追加するサービスの介護報酬」と「本人の自己負担割合」で決まります。

基本の考え方

おおまかな計算は次の順番です。

手順 確認する内容
1 追加するサービスの単位数を確認する
2 1か月の追加回数を掛ける
3 地域ごとの1単位当たり単価を掛ける
4 加算・減算を反映する
5 本人の1割・2割・3割負担を反映する
6 区分支給限度基準額を超えないか確認する

「単位×10円」だけでは実際の請求額にならない

介護報酬は地域によって1単位当たりの金額が異なるほか、事業所が算定する加算などでも変わります。この記事の試算は仕組みを理解するための概算です。

訪問介護の基本報酬はサービス内容・時間で変わる

2026年10月時点の厚生労働省告示では、訪問介護の基本報酬は次のように定められています。

項目内容
身体介護|所要時間20分未満
身体介護|基本単位数163単位
身体介護|所要時間20分以上30分未満
身体介護|基本単位数244単位
身体介護|所要時間30分以上1時間未満
身体介護|基本単位数387単位
身体介護|所要時間1時間以上
身体介護|基本単位数567単位+以降30分ごと82単位
生活援助|所要時間20分以上45分未満
生活援助|基本単位数179単位
生活援助|所要時間45分以上
生活援助|基本単位数220単位
通院等乗降介助|所要時間1回
通院等乗降介助|基本単位数97単位

排泄介助・移乗・入浴などは身体介護

本人の身体に直接触れて行う介助は、一般に身体介護として算定されます。

掃除・洗濯などは生活援助になる場合がある

本人の日常生活上必要な家事援助については、利用要件を満たす場合に生活援助として位置づけられます。

実際の所要時間ではなく計画上の標準的時間で区分される

介護報酬は単純なストップウォッチ方式ではなく、訪問介護計画に位置づけられた内容を行うために必要な標準的な時間で算定区分が決まります。

身体介護20~30分を週2回増やすといくら?

分かりやすくするため、1単位10円、加算なし、1割負担という仮定で計算します。

月8回追加する例

身体介護20分以上30分未満は244単位です。

244単位 × 8回 × 10円 = 19,520円相当となり、1割負担なら単純計算で約1,952円の自己負担増です。

負担割合 単純計算の自己負担増
1割 約1,952円
2割 約3,904円
3割 約5,856円

実際にはこの金額より変わることがある

地域区分、加算、早朝・夜間等の条件、事業所の算定状況によって請求額は異なります。

使い方

見学・ケアプラン変更時には、「この介助を週2回増やした場合、加算込みで本人負担はいくら増えますか」とケアマネジャーへ確認すると具体的です。

身体介護30~60分を週2回増やすといくら?

身体介護30分以上1時間未満は387単位です。

同じく1単位10円、加算なし、月8回という仮定では次のようになります。

387単位 × 8回 × 10円 = 30,960円相当です。

負担割合 単純計算の自己負担増
1割 約3,096円
2割 約6,192円
3割 約9,288円

入浴介助など、一定時間の身体介護を追加するときの概算を理解する材料になります。

生活援助20~45分を週2回増やすといくら?

生活援助20分以上45分未満は179単位です。

1単位10円、加算なし、月8回という仮定なら、179単位 × 8回 × 10円 = 14,320円相当です。

負担割合 単純計算の自己負担増
1割 約1,432円
2割 約2,864円
3割 約4,296円

住宅型ではホーム側の生活支援との重複に注意する

掃除や洗濯がホームの管理費・生活支援費に含まれている場合、介護保険の訪問介護として利用できる内容との役割分担を確認する必要があります。

早朝・夜間・深夜の訪問介護は費用が変わる

同じ身体介護でも、利用時間帯によって加算が生じる場合があります。

朝・夜の介助が必要になるケース

起床介助、就寝介助、夜間の排泄介助などでは、利用時間帯によって通常の基本報酬だけではない場合があります。

夜間介護が増えたら月額を再試算する

昼間の介助だけだった人が、朝・夜にも支援を必要とするようになると、回数増加と時間帯加算の両方で負担が増える可能性があります。

夜間の「予定外介助」は別の問題

訪問介護はケアプランに基づいて提供されます。予定外のナースコールにホーム職員が対応する場合、ホーム独自の保険外料金が必要になることもあるため、介護保険サービス費とは別に確認してください。

加算があると基本単位だけの計算とは違う

実際の介護報酬には、基本報酬以外の加算が加わることがあります。

事業所体制による加算

職員配置やサービス提供体制など、事業所が要件を満たすことで算定される加算があります。

処遇改善に関する加算

介護職員の処遇改善に関する加算も、介護報酬の総額に影響します。

サービス内容に応じた加算

緊急時対応など、サービス内容・条件によって算定される加算もあります。

ケアマネジャーに「加算込みの本人負担」を聞く

単位表を自分で足し上げるより、実際に利用予定の事業所を前提に、加算込みの月額を試算してもらうほうが正確です。

地域区分で1単位当たりの金額が変わる

介護報酬は、全国どこでも必ず1単位10円ではありません。

人件費の地域差を反映する

地域区分により、人件費割合などを反映して1単位当たりの金額が調整されます。

同じ単位数でも地域によって円換算額が違う

同じ244単位の身体介護でも、所在地によって介護報酬の円換算額は異なる場合があります。

施設所在地と訪問介護事業所を確認する

実際の負担額を知りたい場合は、利用する介護事業所の地域区分を前提に試算してもらいます。

自己負担割合が1割・2割・3割で増額は変わる

介護保険の自己負担割合は、所得等に応じて1割、2割、3割のいずれかです。

負担割合証を確認する

本人の介護保険負担割合証で現在の負担割合を確認します。

同じサービス量でも3割負担なら自己負担は大きくなる

たとえば介護報酬相当額が月20,000円増える場合、単純には1割なら約2,000円、2割なら約4,000円、3割なら約6,000円の負担増となります。

高額介護サービス費も別に確認する

1か月の介護保険サービス自己負担が一定額を超えた場合、高額介護サービス費の対象となることがあります。

ただし、支給限度額超過分など、すべての負担が対象になるわけではありません。

区分支給限度基準額を超えると負担が急に増える

住宅型有料老人ホームで外部の居宅サービスを利用する場合、要介護度ごとの区分支給限度基準額が重要です。

要介護度 1か月の区分支給限度基準額
要介護1 16,765単位
要介護2 19,705単位
要介護3 27,048単位
要介護4 30,938単位
要介護5 36,217単位

限度額内なら原則1~3割負担

限度額の範囲内で対象サービスを利用すれば、本人の負担割合に応じた自己負担となります。

超えた部分は原則全額自己負担

限度額を超えて利用した部分には介護保険給付が適用されないため、超過分は原則10割負担です。

限度額直前では追加1回の影響が大きくなる

すでに限度額近くまでサービスを使っている人が訪問介護を追加すると、その全部または一部が10割負担になることがあります。

最重要ポイント

「1回追加すると自己負担は数百円」とだけ考えず、現在の月間利用単位数と限度額との差を確認してください。限度額超過の有無で増額は大きく変わります。

要介護度が上がると限度額も上がる

要介護度が上がると、区分支給限度基準額も大きくなります。

要介護2から3の場合

要介護2の19,705単位から、要介護3では27,048単位へ増えます。

限度額が増えても自己負担が下がるとは限らない

利用できる保険給付の枠が増える一方、本人に必要なサービス量も増えていれば、実際の自己負担は増えることがあります。

認定変更後はケアプラン全体を見直す

単に訪問介護を1回ずつ追加するのではなく、排泄、入浴、移乗、訪問看護、福祉用具などをまとめて再評価します。

訪問介護以外を増やすときも同じ考え方

介護量が増えたときは、訪問介護だけでなく複数のサービスを追加することがあります。

訪問看護

病状観察や医療的ケアが必要になれば、訪問看護の利用回数を増やす場合があります。

デイサービス

入浴や機能訓練、日中活動のために利用日数を増やす場合があります。

福祉用具

車いすや特殊寝台などを新たに利用すると、福祉用具貸与の自己負担が増えます。

保険外サービス

介護保険では対応できない支援をホーム独自サービスで補うと、その部分は介護保険外の費用になります。

介護サービスを増やす前に確認したい7項目

01

何の介助を追加するのか

排泄、入浴、移乗、起床、就寝など具体的に整理します。

02

1回何分のサービスになるのか

訪問介護の算定区分を確認します。

03

月何回増やすのか

週1回・週2回・毎日など、月間回数に換算します。

04

加算込みで何単位になるのか

基本単位だけでなく、利用事業所が算定する加算を確認します。

05

本人の負担割合は何割か

介護保険負担割合証で確認します。

06

現在何単位使っているか

区分支給限度基準額までどの程度余裕があるか確認します。

07

限度額超過後はいくらになるか

10割負担になる部分を含めて月額を試算します。

ケアマネジャーには「変更前後の月額」を出してもらう

サービス追加を検討するときは、変更後のケアプラン案だけでなく、費用の変化も確認します。

現在の利用単位数

まず今のサービスで月何単位使っているかを確認します。

追加後の利用単位数

新しい介助を加えた後の月間単位数を出してもらいます。

保険給付内と超過分を分ける

区分支給限度基準額を超える場合、どこまでが1~3割負担で、どこからが全額自己負担になるか確認します。

ホーム独自費用も合算する

予定外の夜間介助など、住宅型有料老人ホーム独自の保険外サービスを利用する場合は、その料金も加えます。

費用増を確認するチェックリスト

  • 追加するサービス名
  • 1回当たりの基本単位数
  • 月間利用回数
  • 地域区分を反映した金額
  • 事業所の加算
  • 本人の自己負担割合
  • 現在の月間利用単位数
  • 区分支給限度基準額までの残り
  • 限度額超過分の全額自己負担
  • 住宅型ホーム独自の保険外料金

まとめ|「1回の料金」ではなく月間単位数と限度額まで確認する

住宅型有料老人ホームで介護サービスを増やしたときの費用は、追加するサービスの種類・時間・回数だけでは決まりません。

2026年10月時点の厚生労働省告示では、訪問介護の基本報酬は身体介護20分以上30分未満244単位、30分以上1時間未満387単位、生活援助20分以上45分未満179単位などと定められています。

ただし、実際の負担額には地域区分、加算、利用時間帯、本人の1~3割の自己負担割合が影響します。さらに、区分支給限度基準額を超える部分は原則全額自己負担になるため、限度額に近い人ほど追加サービスの影響が大きくなります。

サービスを増やすときは、ケアマネジャーに「現在の月間利用単位数」「変更後の月間利用単位数」「限度額超過の有無」「変更前後の本人負担額」を並べて出してもらってください。住宅型有料老人ホーム独自の保険外サービスを使う場合は、その費用も加えた月額総額で判断することが重要です。

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