老人ホームで家族が亡くなったときは、悲しみの中で、死亡確認、葬儀社への連絡、死亡届、施設退去、費用精算、遺品整理など複数の手続きを進めることになります。
施設で看取りを行っていた場合は、施設職員や医師から案内を受けながら進められますが、誰が何を行うのかを事前に知っておくと慌てにくくなります。
まず結論|最初に行うのは死亡確認、その後に搬送・死亡届・施設精算を進める
老人ホームで亡くなったときの基本的な流れは、①医師による死亡確認、②家族への連絡、③葬儀社等へ連絡してご遺体を搬送、④死亡診断書等を受け取る、⑤死亡届と火葬許可の手続き、⑥葬儀・火葬、⑦老人ホームとの退去・精算、⑧遺品整理・各種名義変更、です。施設が代行する範囲は異なるため、家族が行うことと施設が行うことを分けて確認してください。
老人ホームで亡くなった直後の流れ
死亡直後は、まず本人の死亡確認と家族への連絡が行われます。
医師が死亡確認を行う
施設で看取りを行っている場合でも、最終的な死亡確認は医師が行います。
施設常勤医、訪問診療医、協力医療機関の医師など、誰が死亡確認を行うかは施設体制によって異なります。
家族へ連絡が入る
施設は、あらかじめ登録された緊急連絡先へ死亡の連絡を行います。
深夜・早朝でも連絡が入る可能性があるため、看取り期に入ったら、家族内で誰が最初に連絡を受けるか決めておくと安心です。
POINT
看取りを希望する場合は、亡くなった後の連絡先・搬送先・葬儀社まで事前に決めておくと、死亡直後の判断負担を減らせます。
死亡診断書を受け取る
死亡確認後は、医師が死亡診断書を作成します。
死亡届と一体になっていることが多い
一般に、死亡診断書と死亡届は一枚の用紙になっており、医師が死亡診断書部分を記載し、届出人が死亡届部分を記入します。
葬儀社が死亡届提出を代行する場合もあるため、原本を誰に渡すのか確認してください。
コピーを取っておく
死亡診断書は、その後の保険・年金・相続などで内容確認が必要になることがあります。
原本提出前にコピーを複数枚保管しておくと便利です。
ご遺体の搬送先を決める
老人ホームの居室に長時間ご遺体を安置できるとは限りません。
葬儀社へ連絡する
あらかじめ葬儀社を決めている場合は、死亡確認後に連絡して搬送を依頼します。
決めていない場合は、施設から葬儀社を紹介されることがありますが、その業者を必ず利用しなければならないとは限りません。
自宅・葬儀会館・安置施設などへ搬送する
家族の希望や住宅事情に応じて搬送先を決めます。
搬送後に葬儀内容を決めることもできるため、死亡直後にすべてを即決する必要はありません。
死亡届は7日以内に提出する
死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に市区町村へ提出する必要があります。
提出先を確認する
死亡地、本籍地、届出人の所在地など、法律上認められた市区町村へ提出します。
実務では葬儀社が代行して提出することも多いため、家族が自分で提出するか確認してください。
火葬許可の申請も行う
火葬には市町村長の許可が必要です。
死亡届の提出と合わせて火葬許可申請を行い、火葬許可証の交付を受けます。
死亡届と火葬許可は別の手続きだが、実務上まとめて進めることが多い
死亡届を出しただけで自動的に火葬できるわけではありません。火葬には市町村長の許可が必要です。葬儀社が手続きを代行する場合でも、誰が申請するか確認してください。
葬儀・火葬を行う
死亡届と火葬許可の手続き後、葬儀・火葬へ進みます。
葬儀形式を決める
家族葬、一日葬、直葬など、本人・家族の希望や予算に応じて選びます。
生前に本人の希望が確認できている場合は、その内容を尊重して進めます。
火葬は原則として死亡後24時間を経過してから
墓地、埋葬等に関する法律では、原則として死亡後24時間を経過した後でなければ火葬できないと定められています。
実際の火葬日時は、火葬場の予約状況や葬儀日程を踏まえて決まります。
老人ホームとの退去手続きを進める
死亡すると、老人ホームとの入居契約終了に関する手続きが必要です。
契約終了日を確認する
死亡日で契約が終了するのか、居室明け渡し日まで家賃・管理費が発生するのかは契約によって異なります。
入居契約書・重要事項説明書で、死亡時の契約終了条件を確認してください。
居室の明け渡し期限を確認する
遺品をいつまでに搬出する必要があるか施設へ確認します。
数日以内の場合もあれば、一定期間の猶予がある場合もあります。
最終請求・返金を確認する
死亡後は施設利用料の最終精算があります。
日割りになる費用を確認する
家賃、管理費、食費などが死亡日までの日割りか、月額固定かを確認します。
請求書の内訳を見て、利用していない期間の費用がどう扱われているか確認してください。
前払金の返還があるか確認する
前払金方式を利用していた場合は、未償却分の返還がある可能性があります。
返還額、計算方法、振込時期を契約書と施設の説明で確認してください。
未払い医療費・立替費を確認する
訪問診療費、薬代、日用品費など、施設が立て替えていた費用が後から請求される場合があります。
施設利用料だけでなく、最終請求全体を確認します。
遺品整理を行う
居室内の荷物は家族等が整理する必要があります。
必要な物と処分する物を分ける
通帳、印鑑、保険証券、契約書、写真、貴重品などは誤って処分しないよう注意します。
相続に関係する書類や資産が含まれている可能性があるため、急いで大量処分しないことが大切です。
施設預かり品を確認する
現金、鍵、保険証、薬、補聴器などを施設が預かっている場合があります。
返却物の一覧を確認し、受領したことが分かる形で受け取ります。
死亡後に確認したい主な公的手続き
施設退去後も、年金・保険・相続など複数の手続きが続きます。
01
年金関係
受給していた年金について、死亡に伴う手続きや未支給年金の請求が必要になる場合があります。
年金の種類によって必要な手続きが異なるため、日本年金機構等へ確認してください。
02
健康保険・介護保険
資格確認書、介護保険被保険者証など、返却や手続きが必要になる場合があります。
加入していた制度に応じて市区町村や保険者へ確認してください。
03
銀行・保険・公共料金等
銀行口座、生命保険、クレジットカード、携帯電話などの名義・解約手続きを行います。
相続手続きと関係するものは、家族だけで判断せず必要に応じて専門家へ相談してください。
看取り前に確認しておくとよいこと
死亡後の手続きは、本人が元気なうちや看取り期に少し準備しておくと負担を減らせます。
緊急連絡先
夜間でも連絡が取れる家族を決めておきます。
第一連絡先がつながらない場合の第二連絡先も施設へ伝えてください。
葬儀社・搬送先
利用したい葬儀社がある場合は、施設へ事前に伝えておきます。
搬送先も自宅・葬儀会館など家族内で共有しておくと安心です。
宗教・葬儀の希望
本人が希望する宗派、葬儀形式、連絡してほしい親族などがあれば記録します。
家族間で意見が分かれそうな場合ほど、生前の本人意思を確認しておくことが重要です。
施設に確認しておきたい死亡時の対応
看取り前に施設へ聞く質問
- 死亡確認は誰が行いますか
- 夜間に亡くなった場合は誰へ連絡しますか
- 家族はどのタイミングで呼ばれますか
- ご遺体は居室にどのくらい安置できますか
- 葬儀社は家族が自由に選べますか
- 施設から葬儀社を紹介してもらえますか
- 死亡診断書は誰から受け取りますか
- 死亡後の契約終了日はいつですか
- 居室はいつまでに明け渡す必要がありますか
- 最終請求はいつ届きますか
- 前払金の返還はありますか
- 施設預かり品はどのように返却されますか
死亡当日に家族が確認すること
死亡直後のチェック項目
- 死亡確認をした医師
- 死亡時刻
- 死亡診断書の受取方法
- 葬儀社への連絡
- ご遺体の搬送先
- 施設から持ち出す貴重品
- 施設に残す荷物の扱い
- 死亡届を誰が提出するか
- 火葬許可申請を誰が行うか
- 家族内で連絡する相手
施設で亡くなったとき警察対応になる場合もある
すべての死亡が通常の看取りとして扱われるとは限りません。
医師が通常の死亡として診断できない場合
突然死、事故、原因不明の死亡などでは、警察への連絡や検案が必要になる場合があります。
その場合は、通常の看取りとは手続きの流れが変わることがあります。
家族が独自判断で搬送しない
警察確認が必要な可能性がある場合は、施設・医師の案内に従ってください。
死亡確認前や必要な確認が終わる前に、家族判断で葬儀社へ搬送を急がないことが重要です。
身元保証人・身元引受人がいる場合の役割を確認する
施設によっては、死亡時の対応を身元引受人等へ求める契約があります。
ご遺体・遺品の引き取り
契約上、身元引受人がご遺体や遺品の引き取りを担当すると定められている場合があります。
誰が担当するか家族内で事前に確認しておくと安心です。
費用精算の連絡先
死亡後の最終請求・返金について、契約時の連絡先へ案内される場合があります。
契約者、連帯保証人、身元引受人の役割が異なる場合があるため、契約書を確認してください。
家族が遠方の場合は事前準備が重要
家族が遠方に住んでいると、死亡直後にすぐ施設へ到着できないことがあります。
家族到着まで施設ができることを確認する
ご遺体をどの程度安置できるか、葬儀社へ先に搬送してよいかなどを確認します。
施設によって安置可能時間は異なります。
代理で動ける人を決めておく
近隣親族や信頼できる人がいる場合は、緊急時にどこまで対応を依頼するか決めておきます。
ただし、死亡届や契約手続きには届出人・権限の確認が必要な場合があるため、できることを分けて考えてください。
死亡後の施設費トラブルを防ぐために契約書を確認する
本人が亡くなった後に、家族が「こんな費用までかかると思わなかった」と感じることがあります。
死亡日と契約終了日が同じか確認する
契約によっては死亡日で終了する場合もあれば、居室明け渡しまで一定費用がかかる場合もあります。
死亡時の規定を入居前に確認してください。
原状回復費を確認する
居室の修繕・清掃費について請求がある場合があります。
どの範囲が入居者負担か、通常損耗との区別も含めて契約書を確認してください。
返還金の計算方法を確認する
前払金や保証金がある場合は、死亡時の返還条件を確認します。
返金時期と振込先も家族側で把握しておくと安心です。
まとめ|死亡後は「死亡確認・搬送・行政手続き・施設精算」の順で整理する
老人ホームで亡くなったときは、まず医師による死亡確認が行われ、その後、家族連絡、葬儀社による搬送、死亡届・火葬許可、葬儀・火葬へ進みます。
同時に、老人ホームとの契約終了、最終請求、前払金等の返還、居室明け渡し、遺品整理も必要です。
死亡届は死亡の事実を知った日から7日以内に提出し、火葬には市町村長の許可が必要です。
死亡後に家族が慌てないためには、看取り期のうちに「誰が連絡を受けるか」「どの葬儀社へ搬送するか」「施設費はいつまで発生するか」を確認しておくことが大切です。