特養の入居条件|要介護度・年齢・特例入所を解説

特別養護老人ホーム(特養)を検討するとき、「要介護3でないと絶対に入れない?」「要介護1・2でも申し込める?」「65歳未満でも対象になる?」と入居条件で迷うことがあります。

特養の新規入所は、原則として要介護3〜5の人が対象です。ただし、要介護1・2でも、認知症や家族の介護力、虐待のおそれ、地域の介護サービスだけでは生活を支えにくいなど、在宅生活が困難なやむを得ない事情がある場合は、特例的に入所できる可能性があります。

また、年齢についても「65歳以上だけ」と単純に決まっているわけではありません。40〜64歳でも、介護保険の特定疾病が原因で要介護認定を受けている場合は対象になり得ます。

まず結論|特養は原則要介護3以上、要介護1・2には特例入所がある

特養の新規入所は原則として要介護3〜5が対象です。要介護1・2でも、認知症、知的障害・精神障害、虐待、家族の支援が期待できないなど、居宅で生活することが困難な事情がある場合は、市区町村の関与のもとで特例入所の対象になり得ます。年齢は原則65歳以上ですが、40〜64歳でも特定疾病によって要介護認定を受けている場合は利用対象になり得ます。条件を満たしてもすぐ入所できるとは限らず、入所の必要性や家族状況などを踏まえて優先順位が判断されます。

特養の基本的な入居条件

特養は、常時介護が必要で、自宅での生活が難しい人を支える介護保険施設です。

新規入所は原則要介護3〜5

厚生労働省の入所指針では、平成27年4月1日以降、特養の新規入所者は原則として要介護3以上とされています。

要支援1・2は対象外

特養は要介護者を対象とする施設であり、要支援1・2は通常の入所対象にはなりません。

要介護1・2には特例がある

要介護1・2でも、居宅で日常生活を送ることが困難なやむを得ない事情がある場合は、特例入所の対象になり得ます。

POINT

「特養は要介護3以上しか申し込めない」と覚えるのは不正確です。要介護1・2でも申込み自体を妨げるものではなく、特例入所の要件に該当するかが確認されます。

要介護3以上なら必ず入所できる?

要介護3以上は新規入所の基本条件ですが、条件を満たせば自動的に入所できるわけではありません。

空室が必要

希望施設が満室の場合は、入所待ちになることがあります。

入所の必要性が比較される

施設では、介護の必要度、本人の状態、家族の介護力、在宅生活の困難さなどを踏まえて入所順位を判断します。

医療ニーズも確認される

常時必要な医療処置が施設の看護・介護体制を超える場合、受入れが難しいことがあります。

共同生活が可能かも確認される

認知症や精神症状があることだけで対象外になるわけではありませんが、本人に必要なケアをその施設で継続できるか個別に判断されます。

要介護1・2でも特例入所できる場合

厚生労働省の入所指針では、要介護1・2について、居宅で生活することが困難な「やむを得ない事由」があるかを判断する際に、いくつかの事情を十分考慮するとしています。

認知症で在宅生活が難しい

認知症によって、日常生活に支障を来す症状・行動や意思疎通の難しさが頻繁にみられる場合です。

知的障害・精神障害等がある

知的障害や精神障害等があり、日常生活へ大きな支障が出ている場合も考慮されます。

虐待によって安全確保が難しい

家族等から深刻な虐待を受けている、または虐待が疑われ、本人の安全・安心を確保することが難しい場合です。

家族から十分な支援を受けられない

単身世帯、同居家族が高齢・病弱などで支援を期待できず、地域の介護サービスや生活支援だけでは在宅生活を支えることが難しい場合です。

特例入所は4つの項目だけで機械的に決まらない

特例入所は、「4項目のどれかに該当すれば必ず入れる」という制度ではありません。

地域の実情も考慮される

厚生労働省の指針では、地域の実情を踏まえて自治体が必要と認める事情があれば、それも考慮するとされています。

市区町村が関与する

要介護1・2の特例入所では、施設だけで判断を完結させず、市区町村との情報共有など適切な関与が求められています。

最終的には施設の入所判定へ進む

特例入所の対象と判断された後も、他の入所申込者と同様に、入所の必要性などを踏まえて順位が検討されます。

要介護1・2でも申込みはできる?

要介護1・2だからといって、申込み自体が一律に禁止されるわけではありません。

申込時に事情を具体的に記載する

施設の申込書には、特例入所の要件に該当すると考える理由を記載する欄が設けられている場合があります。

在宅生活の困難さを具体的に説明する

「家族が大変だから」だけではなく、夜間介護、認知症症状、独居、介護者の病気など、生活を継続できない具体的な事情を整理します。

ケアマネジャー等にも相談する

現在の在宅生活の状況を把握しているケアマネジャー、地域包括支援センター、市区町村の介護保険担当窓口などへ相談すると、申込みに必要な情報を整理しやすくなります。

特養は何歳から入れる?

一般的には65歳以上の要介護者が対象ですが、40〜64歳でも条件によって介護保険サービスを利用できます。

65歳以上

65歳以上の第1号被保険者は、原因となった病気を問わず、要介護認定を受ければ介護保険サービスの対象になります。

40〜64歳

40〜64歳の第2号被保険者は、要介護状態の原因が介護保険法令で定める特定疾病による場合に、要介護認定の対象になります。

特養では要介護度の条件も満たす必要がある

40〜64歳で要介護認定を受けていても、特養の新規入所では原則要介護3以上という条件が基本です。要介護1・2なら特例入所の要件を確認します。

40〜64歳で対象になる「特定疾病」とは

介護保険では、40〜64歳の人が要介護認定を受けるには、介護が必要になった原因が政令で定められた特定疾病によることが必要です。

特定疾病に該当するかは医療情報で確認する

本人や家族が自己判断するのではなく、主治医意見書などをもとに介護認定審査会で確認されます。

代表的な特定疾病

関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、初老期における認知症、パーキンソン病関連疾患、末期がんなどが含まれます。

病名だけでは不十分

特定疾病があっても、それによって要介護状態になっていることが必要です。

65歳未満なら特養を断られる?

「特養は高齢者施設だから65歳未満は絶対に入れない」という理解は正確ではありません。

40〜64歳であっても、医療保険に加入する第2号被保険者で、特定疾病を原因として要介護認定を受け、特養の要介護度等の条件を満たせば対象になり得ます。

一方、40歳未満については介護保険の第1号・第2号被保険者には該当しないため、通常の介護保険による特養入所とは制度上の扱いが異なります。

認知症があっても入所できる?

認知症があること自体は、特養の入所を妨げる条件ではありません。

要介護3以上なら通常の申込対象

認知症があり要介護3〜5であれば、他の要介護者と同じく入所申込みを検討できます。

要介護1・2では特例入所の事情になり得る

認知症によって日常生活に支障を来す症状や意思疎通の困難さが頻繁にあり、在宅生活が難しい場合は、特例入所で考慮される事情の一つです。

施設の認知症ケア体制も確認する

徘徊・外出リスク、夜間不穏、介護拒否などがある場合は、施設がどのように支援するかを申込前に確認します。

医療処置が必要でも入所できる?

要介護度の条件を満たしていても、医療ニーズによっては施設ごとの受入判断が必要です。

看護師の配置は病院とは異なる

特養は生活施設であり、病院と同じ医療体制ではありません。

胃ろう・吸引・インスリンなど

対応できる施設がありますが、実施する職員、時間帯、処置頻度によって受入可否が変わります。

24時間の医療処置が必要な場合

夜間も頻回な処置や継続的な医学的管理が必要な場合は、その施設の看護・医療連携体制で対応可能か個別に確認します。

入所条件を満たしていても待機になることがある

特養では、申込者が多い地域や人気施設では待機になることがあります。

先着順とは限らない

申込日だけでなく、入所の必要性、介護者の状況などを踏まえて優先順位が判断されます。

複数施設へ申込みできる場合がある

自治体や施設の手続きに従い、通える範囲で複数の特養を検討する方法があります。

状況が変わったら更新する

要介護度が上がった、介護者が入院した、独居になったなど、在宅生活の状況が悪化した場合は施設へ伝えます。

入所優先順位は何で決まる?

厚生労働省は、特養について「入所の必要性の高い者の優先的な入所」に努めることを求めています。

要介護度

介護の必要性を判断する重要な材料ですが、要介護5なら必ず最優先になると決まっているわけではありません。

家族の介護力

独居、老老介護、介護者の病気・障害なども考慮されます。

在宅生活の継続可能性

在宅サービスを利用しても生活を継続できない状況かどうかが重要です。

施設・自治体の入所指針

具体的な点数化や評価方法は地域・施設の入所指針によって異なるため、申込先へ確認してください。

「要介護3になったらすぐ申し込む」でよい?

自宅での生活が難しくなっているなら、要介護3の認定後に情報収集を始めるのでは遅い場合があります。

要介護1・2でも早めに相談する

特例入所に該当する可能性があるなら、ケアマネジャーや市区町村、希望施設へ早めに相談します。

将来候補を見学する

すぐ申込みをしない場合でも、立地、医療対応、看取り、費用などを比較しておくと選びやすくなります。

在宅サービスも並行して整える

特養待機中は、訪問介護、ショートステイ、デイサービスなどを組み合わせて在宅生活を支える方法を検討します。

特例入所を考えるときに整理したいこと

要介護1・2の申込み前チェック

  • 認知症による行動・意思疎通の困難さがあるか
  • 精神障害・知的障害等により在宅生活が難しいか
  • 虐待や安全上の問題があるか
  • 本人が独居か
  • 同居家族が高齢・病気・障害等で介護が難しいか
  • 夜間介護の負担が大きいか
  • 在宅サービスを増やしても生活を維持できないか
  • 介護者が就労・育児等と両立できない状況か
  • ケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談したか

申込みに必要な書類を確認する

特養の申込み方法は自治体・施設によって異なります。

入所申込書

本人の基本情報、要介護度、生活状況、希望施設などを記載します。

介護保険被保険者証等

要介護認定の内容を確認できる書類を求められる場合があります。

ケアマネジャー等の情報

在宅サービスの利用状況や本人の生活状況を確認するため、担当ケアマネジャーの情報が必要になることがあります。

特例入所の理由

要介護1・2では、在宅生活が困難な事情について具体的な説明を求められます。

申込み前に施設へ確認したいこと

施設へそのまま聞ける質問

特養の入所条件確認項目

  • 要介護3ですが申込みできますか
  • 要介護1・2の特例入所は受け付けていますか
  • 特例入所ではどのような事情を確認しますか
  • 40〜64歳で特定疾病による要介護認定がありますが対象になりますか
  • 現在の待機状況はどうなっていますか
  • 入所順位はどのように判断していますか
  • 申込後に要介護度や家族状況が変わった場合は連絡が必要ですか
  • 認知症があっても入所できますか
  • 現在必要な医療処置に対応できますか
  • 入院後に状態が変わっても施設へ戻れますか
  • 看取りまで対応していますか

要介護度が変わった場合はどうなる?

入所申込み後や入所後に要介護度が変わることがあります。

待機中に要介護度が上がった場合

優先順位の判断に影響する可能性があるため、認定結果を申込施設へ連絡します。

入所後に要介護1・2へ改善した場合

新規入所時の「原則要介護3以上」と、すでに入所している人の継続入所は同じ扱いではありません。要介護度が改善したからといって直ちに退所になるとは限りません。

認定更新時は施設と確認する

本人の状態や制度上の扱いについて、施設のケアマネジャー等と確認します。

「要介護3以上」だけで特養を選ばない

特養の入所条件を満たすことと、その施設が本人に合うことは別です。

医療対応

インスリン、胃ろう、吸引、酸素療法などが必要な場合は、対応時間・看護体制を確認します。

認知症ケア

外出リスク、夜間不穏、介護拒否など、本人に必要な支援を確認します。

居室・生活環境

ユニット型・従来型、個室・多床室など、本人の生活スタイルとの相性を見ます。

看取り

長期入所を考えるなら、人生の最終段階まで施設で支援できるか確認します。

家族の通いやすさ

入院・通院や面会も考え、家族が無理なく関われる立地か確認します。

まとめ|特養の入居条件は「要介護3以上」が原則だが例外もある

特養の新規入所は、原則として要介護3〜5の人が対象です。厚生労働省の入所指針でも、平成27年4月以降は原則要介護3以上とする一方、要介護1・2でも居宅で日常生活を営むことが困難なやむを得ない事情がある場合には特例入所を認めています。

特例入所では、認知症、知的障害・精神障害、虐待、独居や家族の介護力不足、地域サービスだけでは在宅生活を支えられない事情などが考慮されます。

また、年齢は65歳以上が中心ですが、40〜64歳でも特定疾病が原因で要介護認定を受け、特養の入所条件を満たす場合は対象になり得ます。

最も重要なのは、「要介護3かどうか」だけで諦めたり安心したりせず、本人が自宅で生活を続けられるか、特例入所の事情があるか、施設で必要な介護・医療を受けられるかを総合的に確認することです。

要介護1・2で在宅生活が限界に近い場合も、申込みできないと自己判断せず、ケアマネジャー、地域包括支援センター、市区町村、希望する特養へ早めに相談しましょう。

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