介護付き有料老人ホームでは、日々の生活に変化や楽しみをつくるため、体操、ゲーム、音楽、創作活動、季節行事など、さまざまなレクリエーションが行われています。
ただし、内容や頻度、参加方法はホームによって大きく異なります。毎日何かしらの活動があるホームもあれば、週数回を中心にしているホームもあります。
まず結論|レクリエーションは「多いか」より本人に合うかで確認する
厚生労働省の有料老人ホーム設置運営標準指導指針では、入居者の要望を考慮して、運動・娯楽等のレクリエーションを実施することが示されています。ただし、全国一律で「週○回」「1日○時間」と決められているわけではありません。大切なのは、本人が無理なく参加できる内容か、参加したくないときに断れるか、身体状態や認知症の状態に配慮されているかです。見学時には予定表だけでなく、実際の参加人数や雰囲気、追加料金の有無まで確認しましょう。
介護付き有料老人ホームではどんなレクリエーションがある?
レクリエーションの内容はホームによって異なりますが、大きく分けると、身体を動かす活動、頭を使う活動、創作・趣味活動、季節行事などがあります。
身体を動かすレクリエーション
座ったままできる体操、ボールを使ったゲーム、軽いストレッチなど、身体状態に合わせた活動が行われることがあります。
- 椅子に座って行う体操
- 風船バレー
- ボール投げ
- 音楽に合わせた体操
- 軽いストレッチ
身体を動かす活動でも、リハビリテーションそのものとは目的や位置づけが異なる場合があります。
理学療法士などによる個別リハビリを希望する場合は、レクリエーションとは分けて確認してください。
頭を使うレクリエーション
クイズ、計算、しりとり、漢字問題、カードゲームなど、考えたり会話したりする活動を行うホームもあります。
正解を競うことだけが目的ではなく、入居者同士や職員との会話を楽しむ機会として行われることもあります。
創作・趣味のレクリエーション
本人が手を動かしながら楽しめる活動もあります。
- 折り紙
- 塗り絵
- 書道
- 手芸
- 生け花
- 園芸
- 歌や楽器
ホームによっては、以前から続けていた趣味を入居後も続けられるよう支援している場合があります。
季節行事・イベント
お花見、夏祭り、敬老会、クリスマス会、節分など、季節を感じられる行事を開催するホームもあります。
家族が参加できる行事や、地域住民・ボランティアとの交流を取り入れているホームもあります。
レクリエーションにはどんな役割がある?
レクリエーションは、単に時間をつぶすための活動ではありません。
入居後も本人らしい生活を続け、人との交流や楽しみを持つための機会として重要です。
生活にメリハリをつくる
施設生活では、食事や入浴など毎日の予定がある程度決まっています。
その中に趣味活動や季節行事があることで、日々の生活に変化が生まれます。
「今日は歌の会がある」「来週は夏祭りがある」といった予定が楽しみになる人もいます。
他の入居者や職員との交流機会になる
居室で一人で過ごす時間が多い人でも、レクリエーションをきっかけに共有スペースへ出て、人と話す機会が増える場合があります。
入居したばかりで周囲になじめていない人にとって、自然に他の入居者と関われるきっかけになることもあります。
本人ができることを続ける機会になる
折り紙、書道、園芸、歌など、以前から好きだった活動を続けられることは、本人らしい生活を保つことにつながります。
ただし、「高齢者にはこの活動がよい」と一律に決めるのではなく、本人の好みやこれまでの生活歴に合っているかが重要です。
POINT
レクリエーションの価値は「種類が多いこと」だけではありません。本人が興味を持てる活動があり、無理なく参加できることの方が重要です。
レクリエーションは参加しないといけない?
レクリエーションは、原則として本人の意思を尊重して参加するものと考えるのが基本です。
大勢で集まることが好きな人もいれば、一人で静かに過ごすことを好む人もいます。
参加を強く勧められるのが苦痛になる人もいる
本人にとって興味のない活動へ毎回参加を求められると、かえって負担になる場合があります。
特に、もともと集団活動が好きではない人や、疲れやすい人にとっては、自分のペースで過ごせることも重要です。
「参加しない=何もしていない」とは限らない
居室で本を読む、テレビを見る、音楽を聴く、家族と電話するなども、その人にとって大切な過ごし方です。
見学時には、レクリエーション参加を希望しない入居者がどのように過ごしているかも確認すると、ホームの考え方が分かります。
活動量だけでホームを評価しない
毎日イベントがあるホームがすべての人に適しているわけではありません。本人がにぎやかな環境を好むのか、静かに自分のペースで暮らしたいのかを基準に選びましょう。
認知症がある人でも参加できる?
認知症がある人も、本人の状態や興味に合わせてレクリエーションへ参加できます。
大切なのは、できないことを指摘するのではなく、本人が無理なく楽しめる方法へ調整することです。
昔から親しんだ活動が参加しやすいこともある
歌、季節行事、簡単な家事、園芸など、これまでの生活でなじみのある活動には参加しやすい場合があります。
一方で、認知症の症状や本人の性格は一人ひとり異なるため、「認知症ならこのレクリエーションがよい」と一律には言えません。
職員の関わり方も確認する
説明を一度で理解することが難しい人には、短く分かりやすい声かけや、実際に見本を示すなどの工夫が必要になる場合があります。
見学時には、認知症のある入居者がレクリエーションへ参加するとき、職員がどのように支援しているか確認するとよいでしょう。
車いすや身体機能が低下した人でも参加できる?
車いすを利用している人や身体機能が低下している人でも、内容を調整すれば参加できるレクリエーションはあります。
座ったままできる活動も多い
体操、歌、ゲーム、創作活動などは、椅子や車いすに座った状態で参加できるものがあります。
片麻痺などがある場合でも、本人が使いやすい手で取り組めるよう道具を工夫することがあります。
安全面への配慮を確認する
身体を動かす活動では、転倒や疲労などへの配慮が必要です。
本人の状態に合わせて活動量を調整しているか、必要な見守りを行っているかを確認してください。
レクリエーションは毎日ある?
レクリエーションの頻度について、「介護付き有料老人ホームなら毎日必ず実施しなければならない」という全国一律の回数基準はありません。
厚生労働省の有料老人ホーム設置運営標準指導指針では、入居者の要望を考慮して、運動・娯楽等のレクリエーションを実施することとされています。
実施頻度はホームごとに違う
午前・午後に毎日何らかの活動を行うホームもあれば、定例活動を週数回行い、季節行事を別に実施しているホームもあります。
「毎日あります」という説明だけでは内容が分からないため、月間予定表を見せてもらうと具体的です。
予定表と実際の参加状況は分けて確認する
予定表に多くの活動が載っていても、本人が参加できる内容が少なければ意味がありません。
どのような入居者が参加しているか、平均何人くらい参加するか、本人と同程度の介護度の人も参加しているかを聞くとよいでしょう。
追加料金がかかるレクリエーションもある?
通常の施設内レクリエーションは管理費などに含まれている場合がありますが、すべてが無料とは限りません。
材料費や外出費用が別途必要になる場合がある
たとえば、次のような費用が実費になることがあります。
- 手芸・工作の材料費
- 外食イベントの飲食代
- 外出先の入場料
- 交通費
- 特別なイベントの参加費
- 外部講師による教室の費用
どの活動に追加料金がかかるかは、ホームごとの料金体系によって異なります。
参加しなかった場合の費用も確認する
有料イベントを申し込んだあと欠席した場合に返金されるのか、キャンセル料がかかるのかなども確認しておくと安心です。
レクリエーション費をまとめて月額で徴収している場合は、料金に何が含まれているのか重要事項説明書や料金表で確認します。
外出・地域交流を取り入れているホームもある
ホームによっては、施設内活動だけでなく、買い物、散歩、花見などの外出機会を設けています。
厚生労働省の標準指導指針でも、有料老人ホームは入居者と家族との交流や、入居者の外出の機会を確保するよう努めることが示されています。
外出できる人の条件を確認する
外出レクリエーションは、本人の身体状態、車いす対応、職員配置などによって参加できる範囲が変わります。
介護度が高くなっても参加できるのか、車いすでも参加可能かなどを確認してください。
家族参加型の行事も確認する
夏祭り、敬老会などに家族も参加できるホームがあります。
家族との交流を大切にしたい場合は、行事への家族参加、面会、外出のルールも確認するとよいでしょう。
ホームを比較するときは「レクリエーションの数」だけを見ない
パンフレットでは、「年間行事が充実」「毎日レクリエーション」などが強調されることがあります。
しかし、本人に合うホームか判断するには、活動数だけでなく中身を見る必要があります。
01
本人の好きな活動があるか
歌が好き、手芸が好き、身体を動かしたいなど、本人の好みと実際のプログラムが合っているかを確認します。
02
介護度が上がっても参加できるか
車いすや介助が必要になった場合でも、参加方法を調整してもらえるか確認します。
03
参加しない自由があるか
集団活動が苦手な人に無理に参加を求めず、本人の希望を尊重してもらえるか確認します。
04
追加料金が分かりやすいか
通常料金に含まれる活動と、実費・参加費が必要な活動を分けて確認します。
見学時は実際の雰囲気を見る
レクリエーションを重視する場合は、パンフレットや月間予定表だけで判断せず、可能であれば活動時間に見学すると分かりやすくなります。
職員が一方的に進めていないか
職員だけが盛り上げて入居者が見ているだけなのか、それとも入居者自身が楽しんで参加しているのかを見ます。
参加していない人の過ごし方も見る
レクリエーションに参加していない人が、無理に集められていないか、自分の好きな場所で過ごせているかも重要です。
本人と同じくらいの介護度の人を見る
元気な入居者だけが参加している場合、介護度が高い本人には参加しにくい可能性があります。
車いす利用者や介助が必要な人にも参加機会があるかを確認してください。
入居前に確認したい質問
レクリエーションのチェックリスト
- 普段はどのようなレクリエーションを行っていますか
- 週に何回程度ありますか
- 月間予定表を見せてもらえますか
- 本人が好きな○○の活動はありますか
- 車いすでも参加できますか
- 認知症がある人にはどのように参加を支援しますか
- 参加したくない日は断れますか
- レクリエーションに参加しない人はどう過ごしていますか
- 外出イベントはありますか
- 家族が参加できる行事はありますか
- 別途費用が必要な活動は何ですか
- 材料費や外出費用は月にどの程度かかりますか
「レクリエーションは充実していますか」と抽象的に聞くより、本人が好きな活動や現在の身体状態を伝えて、「この状態でも参加できる活動は何がありますか」と聞く方が具体的です。
まとめ|本人が楽しめるか・無理なく参加できるかを確認する
介護付き有料老人ホームでは、体操、ゲーム、創作活動、音楽、季節行事など、さまざまなレクリエーションが行われています。
厚生労働省の有料老人ホーム設置運営標準指導指針でも、入居者の要望を考慮して、運動・娯楽等のレクリエーションを実施することが示されています。
ただし、実施回数や内容に全国一律の基準があるわけではなく、施設によって大きな違いがあります。
ホーム選びでは、「活動が何種類あるか」ではなく、「本人が興味を持てるか」「介護度や認知症の状態に合わせて参加できるか」「参加しない自由があるか」「追加料金が明確か」まで確認することが大切です。
可能であれば実際のレクリエーション時間に見学し、参加している入居者だけでなく、参加していない人の過ごし方や職員の関わり方も確認してください。