介護付き有料老人ホームの介護保険費用はいくら?

介護付き有料老人ホームでは、家賃や管理費、食費とは別に、介護保険サービスである「特定施設入居者生活介護」の自己負担がかかります。

この介護保険費用は、要支援・要介護度ごとに基本報酬が定められ、本人の所得に応じて1割、2割または3割を負担します。さらに、施設が算定する加算や地域区分によって実際の金額が変わります。

まず結論|介護保険費用は「基本報酬+加算」に1~3割を負担する

通常型の介護付き有料老人ホームでは、特定施設入居者生活介護の基本報酬が1日単位で設定されています。現行の基本報酬は要介護1が542単位/日、要介護5が813単位/日などで、本人は介護保険負担割合証に応じて1~3割を負担します。ただし、1単位の金額は地域区分で変わり、さらに各種加算も加わるため、「単位数×10円×負担割合」だけでは実際の請求額になりません。

介護付き有料老人ホームの介護保険費用はいくら?

通常の特定施設入居者生活介護の基本報酬は、要支援・要介護度に応じて1日あたりの単位数が決まっています。

要介護度 基本報酬(1日)
要支援1183単位
要支援2313単位
要介護1542単位
要介護2609単位
要介護3679単位
要介護4744単位
要介護5813単位

この単位数に地域ごとの1単位あたり単価を掛けて介護報酬額を計算し、そのうち本人の負担割合に応じた1~3割を支払います。

単位数がそのまま円ではない

「要介護1は542単位だから542円」と考えるのは誤りです。

地域区分で1単位の金額が変わる

介護報酬は地域の人件費差を反映するため、地域区分によって1単位あたりの金額が異なります。

そのため、同じ要介護度・同じ加算でも、所在地が違えば自己負担額が少し変わることがあります。

30日利用した場合の自己負担目安

仕組みをイメージしやすくするため、ここでは1単位=10円、加算なし、30日利用と仮定した単純計算を示します。

要介護度 1割負担の目安
要支援15,490円
要支援29,390円
要介護116,260円
要介護218,270円
要介護320,370円
要介護422,320円
要介護524,390円

2割なら単純計算で約2倍、3割なら約3倍

たとえば、1単位10円・30日・加算なしと仮定した要介護1なら、1割負担16,260円、2割負担32,520円、3割負担48,780円です。

これは実際の請求額ではない

実際には地域区分、施設が算定する加算、月の日数などが反映されます。

この表は、要介護度によって基本部分がどの程度変わるかを見るための目安として使ってください。

注意:上表には家賃、管理費、食費、水道光熱費、医療費、薬代、日用品費などは含まれていません。介護付き有料老人ホームの「月額総額」とは別の数字です。

自己負担は1割・2割・3割のどれになる?

介護保険サービスの利用者負担は原則1割で、一定以上の所得がある人は2割または3割です。

自分の負担割合は介護保険負担割合証で確認する

本人の負担割合は、自治体から交付される「介護保険負担割合証」に記載されています。

家族の収入だけでは決まらない

負担割合は本人の所得や、同一世帯の第1号被保険者の年金収入等を含む基準によって判定されます。

「家族が高所得だから必ず3割」「年金だけだから必ず1割」と自己判断せず、負担割合証を確認してください。

途中で負担割合が変わることもある

所得状況の変化などにより、年度の更新時に負担割合が変わる場合があります。

費用シミュレーションでは、現在の負担割合だけでなく、将来変わった場合の影響も確認しておくと安心です。

介護保険費用には「加算」が上乗せされる

実際の介護保険請求は、基本報酬だけではありません。

施設が一定の人員・サービス体制を整え、算定要件を満たした場合には、各種加算が加わります。

加算は施設によって異なる

夜間看護体制、医療機関との連携、個別機能訓練、認知症ケア、看取り、介護職員等処遇改善など、施設の体制や本人の状態に応じて算定される加算があります。

全員に同じ加算が付くとは限らない

施設全体の体制で算定されるものもあれば、本人が一定の条件に該当した場合だけ算定されるものもあります。

「このホームの介護保険自己負担はいくらですか」と確認するときは、基本報酬だけでなく、本人に実際に算定予定の加算を含めた見積りを依頼してください。

POINT

比較するときは「要介護3なら基本報酬はいくらか」ではなく、「本人の要介護度・負担割合・そのホームの加算を入れた30日分はいくらか」で確認します。

要介護度が上がると介護保険費用も上がる

特定施設入居者生活介護の基本報酬は、要介護度が高くなるほど大きく設定されています。

要介護1と要介護5では基本単位が違う

現行の基本報酬は、要介護1が542単位/日、要介護5が813単位/日です。

介護度変更は認定日・適用時期も確認する

区分変更や更新で要介護度が変わった場合、介護保険部分の請求額も変わります。

いつから新しい要介護度が適用されるかは認定結果を確認し、施設の請求担当者へ確認してください。

家賃・管理費まで同時に上がるとは限らない

要介護度が変わることで直接変わるのは、介護保険サービス費の基本報酬などです。

家賃、管理費、食費などの施設利用料が要介護度に連動するかは、ホームの料金体系によって異なります。

介護付き有料老人ホームは支給限度額を気にする?

通常型の特定施設入居者生活介護は、訪問介護や通所介護を組み合わせて使う場合とは費用の仕組みが異なります。

通常型は包括的な介護報酬

ホームの看護・介護職員等から、特定施設入居者生活介護として包括的に介護サービスを受けます。

通常型は区分支給限度基準額の対象外

通常の特定施設入居者生活介護は、外部サービス利用型や短期利用を除き、居宅サービスの区分支給限度基準額が適用されないサービスです。

そのため、「訪問介護を使いすぎて限度額を超えた分が全額自己負担になる」という仕組みを、そのまま通常型の介護付き有料老人ホームへ当てはめるものではありません。

外部サービス利用型は仕組みが異なる

介護付き有料老人ホームには、外部サービス利用型特定施設入居者生活介護という類型もあります。

この場合は、通常型とは介護報酬の仕組みが異なるため、候補ホームがどちらの類型かを確認してください。

高額介護サービス費で負担が軽くなることがある

介護保険サービスの1~3割自己負担が高額になった場合は、「高額介護サービス費」の対象になることがあります。

月ごとの自己負担に上限がある

高額介護サービス費は、1か月の介護保険サービス自己負担額が所得区分ごとの上限を超えた場合、超過分が支給される仕組みです。

一般的な課税世帯の上限は44,400円

2025年8月以降の制度では、市町村民税課税世帯で課税所得約380万円未満の区分は、世帯上限44,400円です。

より高所得の世帯は93,000円または140,100円、非課税世帯等にはより低い上限が設定されています。

家賃・食費などはこの上限に含まれない

高額介護サービス費の対象は、原則として介護保険サービスの自己負担部分です。

介護付き有料老人ホームの家賃、管理費、食費、日用品費、医療費などまで上限44,400円になるわけではありません。

注意:「高額介護サービス費があるからホームへの請求総額は一定額で止まる」という意味ではありません。介護保険対象部分と、保険外の生活費を分けて考えてください。

介護保険費用に含まれないもの

介護付き有料老人ホームの毎月の請求では、介護保険自己負担以外の費用も大きな割合を占めます。

介護保険費用とは別に確認する主な費用

  • 家賃
  • 管理費
  • 食費
  • 水道光熱費
  • 医療費・薬代
  • 日用品費
  • 理美容費
  • 個別有料サービス
  • ホーム独自の上乗せ介護費等

「介護保険費用が2万円」でも月額総額は2万円ではない

介護保険の自己負担は、ホームへの請求の一部分です。

施設比較は総額と内訳を分ける

介護保険部分だけを比較する場合は、要介護度・負担割合・加算条件をそろえます。

実際の入居予算を考える場合は、家賃・管理費・食費などを加えた総額で確認してください。

見積書ではどこを確認する?

1
現在の要介護度

基本報酬の区分が正しいか確認します。

2
負担割合

介護保険負担割合証の1割・2割・3割のどれで試算しているか確認します。

3
地域区分

1単位あたりの単価がいくらで計算されているか確認します。

4
算定予定の加算

本人に毎月付く加算、一時的に付く加算を分けて確認します。

5
30日・31日の違い

1日単位の基本報酬なので、月の日数によって基本部分が変わります。

6
高額介護サービス費

本人の所得区分で上限がいくらか、申請方法も自治体へ確認します。

介護保険費用を比較するときの注意点

よくある見方 正しい確認方法
542単位=542円 地域区分の1単位単価を掛ける
要介護1なら全国同じ金額 地域区分・加算で実額は変わる
基本報酬だけ見ればよい 本人に算定予定の加算を含めて見る
介護保険費用=ホームの月額総額 家賃・管理費・食費等は別に見る
高額介護サービス費で全請求に上限が付く 介護保険対象自己負担の上限制度として見る

まとめ|「要介護度×負担割合×加算」で本人の介護保険費用を確認する

介護付き有料老人ホームの介護保険費用は、特定施設入居者生活介護の基本報酬をもとに計算されます。

現行の通常型では、要介護1が542単位/日、要介護5が813単位/日などで、本人の負担は原則1割、一定以上所得者は2割または3割です。

特に確認したい3点

  • 本人の要介護度と負担割合で、基本報酬はいくらになるか
  • 施設が算定する加算を含め、30日分の実際の介護保険自己負担はいくらか
  • 高額介護サービス費の対象になる場合、本人の所得区分の上限はいくらか

全国一律の「要介護3なら月○円」と覚えるのではなく、介護保険負担割合証と施設の加算一覧をもとに、そのホームから本人条件で見積りを出してもらうのが最も確実です。

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