住宅型有料老人ホームへの入居を検討していると、「入居後もリハビリを続けられる?」「理学療法士に来てもらえる?」「施設の中で歩行訓練を受けられる?」と気になる方もいるでしょう。
結論からいうと、住宅型有料老人ホームでもリハビリを受けられる場合があります。ただし、介護付き有料老人ホームや老健のように、ホーム自体が介護保険のリハビリを包括的に提供する仕組みではありません。
住宅型有料老人ホームは、必要に応じて入居者が外部の介護サービス事業所と個別に契約して介護保険サービスを利用するのが基本です。そのため、リハビリを希望する場合も、本人の状態や介護認定、医師の判断、ケアプラン、地域の事業所などを確認しながら、利用できるサービスを組み合わせます。
まず結論|このページで最も重要な内容
住宅型有料老人ホームでリハビリを受けたいときは、「施設にリハビリがあるか」ではなく、「誰のサービスとして、誰が、何を、週何回行うのか」を確認することが重要です。
訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、通所介護の機能訓練、訪問看護からのリハビリ職の訪問など、利用方法はいくつかありますが、それぞれ制度上の位置づけや利用条件が異なります。ホーム独自の体操や機能訓練と、介護保険の専門的なリハビリも分けて確認しましょう。
住宅型有料老人ホームでもリハビリは受けられる
住宅型有料老人ホームは、生活支援などが付いた高齢者向けの住まいです。
厚生労働省の介護サービス情報公表システムでは、住宅型有料老人ホームについて、特定施設入居者生活介護の指定を受けておらず、介護保険サービスが必要な場合は入居者自身が外部の介護サービス事業所と個別に契約して利用する仕組みと説明されています。
したがって、入居後にリハビリを受ける場合も、外部サービスを組み合わせる形が基本になります。
ホーム自体が介護保険のリハビリを提供するとは限らない
「住宅型有料老人ホームに入れば、施設の職員から介護保険のリハビリを受けられる」とは限りません。
ホーム内で体操や歩行練習などを行っていても、それがホーム独自の生活支援なのか、介護保険サービスとして外部事業所が提供しているものなのかを分けて確認してください。
同じ建物内に介護事業所が併設されている場合もある
住宅型有料老人ホームでは、訪問介護、訪問看護、通所介護などの事業所が同一建物や近隣にある場合があります。
ただし、併設されていることと、入居者全員が自動的にそのサービスを利用することは同じではありません。
介護保険サービスは、本人の状態や必要性を踏まえ、ケアプランなどに基づいて利用します。
住宅型有料老人ホームで利用を検討できるリハビリ関連サービス
「リハビリ」と一口にいっても、住宅型有料老人ホームで利用する方法はいくつかあります。
| 方法 | 主な特徴 |
|---|---|
| 訪問リハビリテーション | PT・OT・STなどが生活の場を訪問して行う |
| 通所リハビリテーション | 事業所へ通い、専門職によるリハビリ等を受ける |
| 通所介護の機能訓練 | デイサービスで生活機能の維持・向上を目指す訓練を行う場合がある |
| 訪問看護でのリハビリ職による支援 | 訪問看護サービスの一環としてPT・OT・STが訪問する場合がある |
| ホーム独自の体操・活動 | 介護保険のリハビリとは別にホームが実施する場合がある |
本人に合う方法は、病状、生活目標、通所できるかどうか、必要な頻度などによって異なります。
訪問リハビリテーションを利用する場合
訪問リハビリテーションは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが利用者の生活の場を訪問して、必要なリハビリテーションを行う介護保険サービスです。
医師の診察・指示などが必要
介護保険の訪問リハビリテーションは、本人が希望するだけで自由に利用できるサービスではありません。
厚生労働省の報酬基準では、通院が困難な利用者に対し、医師の診察や計画的な医学的管理のもとで必要と判断された場合に、理学療法士等が訪問してリハビリを行う仕組みになっています。
利用を希望する場合は、ケアマネジャー、主治医、訪問リハビリテーション事業所などへ相談してください。
居室での実際の生活動作を確認しやすい
訪問型の利点は、本人が実際に生活している環境で練習できることです。
たとえば次のような課題を、実際の居室や共用部の状況に合わせて確認できます。
- ベッドから立ち上がる
- 車いすへ移る
- 居室内を歩く
- トイレへ移動する
- 食堂まで安全に移動する
- 福祉用具の使い方を確認する
誰でも訪問リハビリが最適とは限らない
外出して集団で運動するほうが合う人もいれば、病状や体力から居室での個別支援が適している人もいます。
本人の目的に合わせてサービスを選ぶことが重要です。
通所リハビリテーションを利用する場合
通所リハビリテーションは、いわゆるデイケアです。
介護老人保健施設、病院、診療所などへ通い、リハビリテーションや必要な支援を受けます。
施設の外へ通ってリハビリを受ける
住宅型有料老人ホームから通所リハビリテーションへ通う場合は、ホームの外にある事業所を利用することになります。
送迎の対象地域や乗降場所、本人の身体状態で送迎車に乗れるかなどを確認してください。
入浴・食事などを組み合わせる事業所もある
通所リハビリテーションでは、リハビリだけでなく、事業所によって食事や入浴などを提供している場合があります。
本人が長時間外出できるか、疲労が強くならないかも考えて利用回数を検討します。
デイサービスの機能訓練を利用する方法もある
通所介護、いわゆるデイサービスでも、機能訓練を行っている事業所があります。
ただし、「デイサービスで運動すること」と「通所リハビリテーション」は制度上同じサービスではありません。
生活機能の維持を目的とした訓練
デイサービスでは、立ち上がり、歩行、日常生活動作など、生活機能の維持・向上を目指した機能訓練を行う場合があります。
専門職の配置を確認する
機能訓練の担当者や内容は事業所によって異なります。
PT・OT・STがいるのか、看護職員などの機能訓練指導員が担当するのか、個別訓練か集団訓練かを確認してください。
「デイサービスに通えば専門的な個別リハビリを受けられる」とは限りません。
本人が必要としている訓練と、事業所が実際に提供する機能訓練が合っているかを確認しましょう。
訪問看護からPT・OT・STが訪問する場合もある
訪問看護ステーションには、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が所属している場合があります。
その場合、訪問看護の一環としてリハビリ職が訪問し、本人の状態に応じた支援を行うことがあります。
訪問リハビリテーションとは別のサービス
訪問看護からリハビリ職が訪問する場合と、訪問リハビリテーション事業所から専門職が訪問する場合は、制度上同じサービスではありません。
主治医との関係、利用目的、ケアプラン、本人の病状などを踏まえて選びます。
医療ニーズと合わせて支援を検討する場合がある
病状管理や看護が必要な人では、訪問看護の中でリハビリ職による支援を組み合わせることがあります。
どのサービスが本人に適しているかは、主治医やケアマネジャーと相談してください。
ホーム独自の「リハビリ」と介護保険サービスを区別する
住宅型有料老人ホームのパンフレットに「リハビリ充実」「毎日体操」などと書かれていることがあります。
この場合、何を「リハビリ」と呼んでいるのかを確認する必要があります。
ホーム独自の体操・レクリエーション
ホームの職員が、ラジオ体操、軽い運動、レクリエーションなどを行っている場合があります。
日々の活動量を保つうえでは大切ですが、介護保険の訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションと同じではありません。
自費サービスとして専門職が関わる場合
ホームや関連事業者が、介護保険外の自費サービスとして理学療法士等による訓練を提供している場合もあります。
自費の場合は、料金、時間、回数、契約先を確認してください。
POINT
「リハビリあり」という言葉ではなく、サービス名・提供事業者・担当職種・費用を確認すると制度上の違いが分かりやすくなります。
住宅型有料老人ホームにPT・OT・STが常勤しているとは限らない
住宅型有料老人ホームには、介護付き有料老人ホームの特定施設のように「機能訓練指導員を1人以上配置する」といった介護保険上の人員基準がそのまま課されるわけではありません。
そのため、PT・OT・STがホーム自体に配置されているかどうかは施設差があります。
併設事業所の職員かホーム職員か確認する
パンフレットに「理学療法士在籍」と書かれていても、ホームの職員ではなく、同じ建物にある訪問看護事業所やデイサービスの職員という場合があります。
誰の所属で、入居者がどのサービス契約をした場合に関われるのかを確認してください。
専門職がいても全員が利用できるとは限らない
PT・OT・STが同一建物内に勤務していても、すべての入居者が毎日訓練を受けられるとは限りません。
対象者、サービス契約、ケアプラン、利用回数などによって関わり方が変わります。
リハビリの回数はどう決まる?
住宅型有料老人ホームに入居したからといって、「週3回のリハビリが保証される」といった全国一律の仕組みはありません。
利用するサービス、本人の必要性、ケアプラン、介護保険の支給限度額、事業所の空き状況などによって変わります。
要介護度だけで回数が決まるわけではない
同じ要介護2でも、歩行訓練が必要な人と、嚥下や食事動作への支援が必要な人では、必要なサービスが異なります。
まず本人の目標を決め、その目標に合ったサービスと回数を検討します。
介護保険の支給限度額も確認する
住宅型有料老人ホームでは、訪問介護や通所介護など他の介護保険サービスも個別に利用することがあります。
そのため、リハビリ関連サービスだけでなく、生活全体で必要な介護サービスとのバランスを考える必要があります。
利用量によって自己負担も変わるため、ケアマネジャーに月額の見込みを確認しましょう。
退院直後にリハビリを続けたい場合の確認ポイント
病院から住宅型有料老人ホームへ移る場合、「病院で受けていたリハビリをそのまま続けられる」と考えないほうがよいでしょう。
病院と介護保険サービスでは、提供体制や目的、頻度が異なることがあります。
退院前に現在のリハビリ内容を整理する
病院のリハビリ担当者から、次の内容を確認しておくと引き継ぎやすくなります。
- 現在できる動作
- 介助が必要な動作
- 歩行補助具の種類
- 移乗方法
- 転倒リスク
- 関節可動域や筋力の課題
- 食事・嚥下の課題
- 今後続けたい訓練
入居日からすぐサービスを利用できるか確認する
外部サービスは、事業所との契約、医師の診察や指示、ケアプラン調整などが必要になる場合があります。
入居後しばらくリハビリが空白にならないよう、退院前からケアマネジャーやホームへ相談してください。
リハビリで何を目指すかを決める
リハビリを選ぶときは、「歩けるようになりたい」だけでなく、実際の生活目標まで具体化するとサービスを選びやすくなります。
歩行能力だけでなく、廊下の距離、手すり、歩行補助具、見守り方法まで確認します。
立ち上がり、方向転換、衣服操作、排せつ後の動作まで生活場面で確認します。
本人だけでなく、介護職員が同じ介助方法を共有できるか確認します。
嚥下に課題がある場合は、STなど専門職の関与や食事場面への情報共有を確認します。
リハビリ専門職とホーム職員の情報共有が重要
外部の専門職が週に数回リハビリを行っても、残りの時間はホームで生活します。
そのため、訓練内容が日常生活に反映されるかどうかが重要です。
移乗・歩行方法を職員間で共有する
リハビリ専門職が「この方法なら立てる」と評価していても、ホーム職員が知らなければ日常生活では活かせません。
安全な介助方法や福祉用具の使い方を、ホーム職員と共有できる体制か確認してください。
「できることを全部介助しない」視点も必要
安全を理由にすべてを職員が行うと、本人が日常的に身体を動かす機会が減ることがあります。
リハビリ専門職の評価をもとに、本人ができる動作は生活の中で続けられるよう支援できるかが重要です。
嚥下や食事のリハビリも確認する
リハビリというと歩行訓練を想像しやすいですが、食べる機能やコミュニケーションも重要です。
言語聴覚士が関われるか
むせ、飲み込みにくさ、発声などに課題がある場合は、言語聴覚士など専門職が関われるサービスがあるか確認します。
食事場面まで情報が共有されるか
訓練時だけではなく、実際の食事姿勢、食形態、とろみ、介助方法などをホーム職員や食事提供側と共有できるかが重要です。
嚥下に問題がある場合は「リハビリできますか」だけではなく、「食事の時間に専門職の評価内容がどう反映されますか」と確認してください。
認知症がある人は参加しやすい方法を確認する
認知症がある場合、決められた訓練へ参加することが難しい場合があります。
本人が理解しやすい活動になっているか
散歩、体操、家事動作など、本人が自然に参加しやすい活動を生活機能の維持につなげる方法もあります。
拒否したときの対応を見る
一度断っただけでサービスが実質的に利用できなくなるのではなく、時間帯を変える、声かけを変えるなど本人に合わせた工夫ができるか確認してください。
リハビリの費用はどう考える?
住宅型有料老人ホームでは、家賃や管理費などのホーム利用料と、外部の介護保険サービスの自己負担を分けて考える必要があります。
介護保険サービスは利用量に応じて負担する
住宅型有料老人ホームでは、外部の介護サービス事業所と個別に契約し、実際に利用した介護保険サービスに応じて自己負担が発生します。
リハビリ関連サービスを増やすと、その分だけ介護保険サービスの利用量が増える場合があります。
自費リハビリは別料金
介護保険外の自費リハビリを利用する場合は、介護保険の自己負担とは別に料金がかかります。
1回の時間、単価、月額料金、キャンセル料などを確認してください。
「ホームの月額料金」だけで判断しない
施設比較では、ホームへ支払う固定費だけでなく、訪問介護、リハビリ関連サービス、医療費などを含めた月額総額を確認することが重要です。
リハビリを重視する人が見学時に確認すること
CHECK|確認しておきたいポイント
住宅型有料老人ホームのリハビリ確認項目
- ホーム自体で行っている運動・体操は何か
- その活動は介護保険サービスかホーム独自サービスか
- 訪問リハビリテーションを利用できるか
- 通所リハビリテーションへ通えるか
- 利用できるデイサービスに機能訓練があるか
- 訪問看護のPT・OT・STが関われるか
- リハビリ専門職はホーム所属か外部事業所所属か
- PT・OT・STのどの職種が関われるか
- 個別訓練は週何回・1回何分程度を想定できるか
- サービス開始までに必要な手続き
- 送迎が必要な場合は対応できるか
- リハビリ内容をホーム職員と共有できるか
- 介護度が上がった場合も継続できるか
- 介護保険の自己負担はいくらになるか
- 自費サービスがある場合の料金
「リハビリできますか」ではなく本人の希望を伝える
次のように具体的に質問すると、入居後の支援をイメージしやすくなります。
- 「退院後も歩行器で歩く練習を続けたいのですが、どのサービスを利用できますか」
- 「訪問リハビリを利用する場合、どの事業所と契約しますか」
- 「週3回程度のリハビリを希望していますが、実際に調整可能ですか」
- 「リハビリ専門職が決めた移乗方法をホーム職員にも共有してもらえますか」
- 「嚥下の訓練や評価が必要ですが、言語聴覚士が関われますか」
介護サービス情報公表システムで外部事業所も確認する
住宅型有料老人ホームそのものの情報だけでなく、利用候補となる訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、訪問看護などの事業所も、厚生労働省の介護サービス情報公表システムで調べられます。
事業所ごとに、サービス提供地域、営業時間、専門職数、サービス内容などが掲載されています。
併設事業所だけでなく選択肢を確認する
ホームに介護事業所が併設されている場合でも、本人に必要な支援を提供できるかを確認することが大切です。
地域内にどのような事業所があるかを調べ、ケアマネジャーと相談してください。
老健のリハビリとは目的と仕組みが違う
住宅型有料老人ホームと老健では、リハビリの位置づけが異なります。
老健は、在宅復帰・在宅療養支援を目的とし、施設内に医師やリハビリ専門職などを配置してリハビリを提供する介護保険施設です。
一方、住宅型有料老人ホームは生活の場であり、リハビリが必要な場合は外部の介護保険サービスなどを個別に組み合わせるのが基本です。
退院後に集中的な専門リハビリを必要としている場合は、「住宅型有料老人ホームに入居しながら必要量を確保できるか」を事前に確認してください。
CONCLUSION
最後に、本文で確認した内容を本人の状況に置き換え、施設・担当者へ具体的に確認して判断しましょう。
まとめ|住宅型有料老人ホームでは外部サービスまで含めてリハビリ体制を確認する
住宅型有料老人ホームでも、リハビリを受けられる場合があります。
ただし、住宅型有料老人ホームは、ホームが介護保険サービスを包括的に提供する介護付き有料老人ホームとは仕組みが異なり、必要な介護保険サービスを外部事業所と個別に契約して利用するのが基本です。
リハビリを希望する場合は、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、通所介護の機能訓練、訪問看護からのリハビリ職の訪問など、本人に合う方法を検討します。
また、ホーム独自の体操や自費サービスを「リハビリ」と呼んでいる場合もあるため、サービス名、提供事業者、担当職種、利用条件、回数、費用を確認することが重要です。
特に退院直後でリハビリを途切れさせたくない場合は、入居後に考えるのではなく、退院前からホーム、ケアマネジャー、主治医、リハビリ事業所で調整してください。
住宅型有料老人ホームをリハビリ重視で選ぶときは、「PTがいる」「リハビリあり」という表示だけでなく、本人が必要とする訓練を、誰が、どこで、週何回行い、その内容を日常生活へどうつなげるのかまで確認することがポイントです。