住宅型有料老人ホームの中には、夫婦2人で入居できるホームがあります。
ただし、「夫婦で入居できる」と「夫婦が同じ部屋で暮らせる」は別です。同じホームにそれぞれ個室を契約するケースもあれば、夫婦向けの2人入居可能な居室を利用できる場合もあります。
まず結論|夫婦入居は「2人とも入居条件を満たすか」「同室か別室か」を分けて確認する
住宅型有料老人ホームへ夫婦で入居できる場合はありますが、すべてのホームで可能とは限りません。夫婦それぞれについて年齢・要介護度・認知症・医療ニーズ等が入居条件に合うかを確認し、そのうえで夫婦向け居室の有無、2室同時に確保できるか、料金、介護度が変わったときの扱い、一方が入院・死亡した場合の契約まで確認することが重要です。
住宅型有料老人ホームへ夫婦で入居できる?
夫婦入居を受け入れている住宅型有料老人ホームはあります。
一方で、夫婦であることを理由に2人とも自動的に入居できるわけではありません。入居条件は原則として夫婦それぞれについて確認されます。
「同じホーム」と「同じ部屋」は別
夫婦で同じホームに入居できても、居室は別々になることがあります。
夫婦向け居室があるホームもある
自治体の有料老人ホーム指導指針では、夫婦部屋を想定した基準を設けている例があります。たとえば愛知県の指導指針では、居室を個室としたうえで、夫婦部屋の場合は内法20平方メートル以上とする基準が示されています。
ただし、国の標準指導指針では一般居室等を個室とし、入居者1人当たり13平方メートル以上とする考え方が示されています。夫婦部屋の扱いは自治体の指導指針や施設の設計・届出内容によって異なるため、全国一律の条件として判断しないでください。
夫婦部屋がなくても同じホームへ入れることがある
2人用居室がない場合でも、それぞれが個室を契約して同じホームで生活できる場合があります。
2室同時に空いているか確認する
夫婦双方が入居条件を満たしていても、個室が1室しか空いていなければ同時入居できません。申込時には、2室を同時に確保できるか、入居時期をそろえられるか確認します。
まず夫婦それぞれが入居条件を満たすか確認する
住宅型有料老人ホームは、ホームごとに入居対象を定めています。
一方が要介護、もう一方が自立でも入れる場合がある
夫が要介護3、妻が自立というように介護度が異なっていても、ホームが双方を入居対象としていれば夫婦で入居できる可能性があります。
2人分の条件を別々に確認する
- 年齢
- 要支援・要介護認定の有無
- 認知症の状態
- 医療処置の有無
- 常時介助の必要性
- 身元保証・緊急連絡先等の契約条件
自立している配偶者の生活も確認する
介護が必要な側に合うホームでも、自立している側にとって生活しやすいとは限りません。
外出・食事・生活の自由度を見る
外出しやすい立地か、食事を選択できるか、共用スペースや活動が本人に合うかなど、自立している配偶者の生活も一緒に確認してください。
夫婦同室と別室はどちらがよい?
同室と別室のどちらがよいかは、費用だけでなく、介護量や生活リズムで判断します。
| 居室の形 | 確認したいこと |
|---|---|
| 夫婦同室 | 2人用居室の定員、広さ、介護動線、料金、一方が退去した後の扱い |
| 別々の個室 | 2室の空室、部屋の距離、2室分の費用、将来の居室移動 |
同室は生活を共にしやすい
長年一緒に暮らしてきた夫婦にとって、同じ居室で生活できることは安心につながる場合があります。
介護動線に十分な広さがあるか確認する
2人分のベッドや家具を置いたうえで、車いすや歩行器を使えるか、介助者がベッド周囲へ入れるか、トイレまで安全に移動できるかを実際の居室で確認します。
別室の方が暮らしやすい夫婦もいる
夜間介護の回数が多い、睡眠時間が違う、認知症によって生活リズムが変化している場合などは、別室の方が双方の負担を減らせることがあります。
部屋の距離も確認する
同じホームでも階が違うと行き来しにくいことがあります。隣室や同じフロアを希望できるか、将来的な部屋移動が可能か確認してください。
夫婦で入居すると費用はいくらかかる?
夫婦入居では「1人分の月額料金を2倍すればよい」とは限りません。
同室でも2人分かかる費用がある
食費、介護保険サービスの自己負担、医療費、日用品費などは、夫婦それぞれに発生するのが基本です。
居室費は料金プランを確認する
夫婦向け居室には専用の家賃・管理費が設定されている場合があります。1人入居用居室の単純な2倍とは限らないため、2人入居時の料金表を確認します。
別室なら居室費が2室分になる
それぞれ個室を契約する場合は、家賃や管理費等が2室分必要になる可能性があります。
30日分の総額で比較する
家賃、管理費、食費、水道光熱費、介護保険自己負担、医療費、日用品費などを夫婦別に書き出し、2人の合計月額を試算してください。
POINT
夫婦部屋が安いとは限りません。「同室プラン」と「個室2室」の両方について、初期費用と毎月の総額を同じ条件で見積もってもらうと比較しやすくなります。
夫婦の介護度・認知症の状態が違う場合は?
住宅型有料老人ホームでは、必要な介護サービスを訪問介護などの外部サービスとして利用することがあります。
介護サービスは夫婦別に考える
夫婦同室でも、介護保険サービスは本人ごとの要介護度やケアプランに応じて利用します。
同じ部屋だから同じ介護内容になるわけではない
一方は訪問介護を多く利用し、もう一方はほとんど利用しないこともあります。それぞれの介護保険自己負担とホーム利用料を分けて確認してください。
重度化したときの対応を確認する
入居時は夫婦とも生活できても、一方の介護度や医療依存度が上がることで状況が変わる場合があります。
同室を継続できる条件を聞く
介護ベッドへの変更、夜間介護の増加、車いす利用、医療処置などが必要になったときも夫婦部屋を継続できるか確認します。
認知症があることだけで一律に夫婦入居できないとは限りません。
症状と必要な支援を具体的に伝える
認知症の診断名だけでなく、見守り、夜間の行動、服薬管理、食事・排泄介助など、実際に必要な支援を伝えます。
同室が本人たちに合うかも考える
配偶者がそばにいることで安心する場合もあれば、介護を担ってきた配偶者の負担が施設入居後も続いてしまう場合があります。
配偶者に介護を任せる前提になっていないか確認する
夫婦で同室だからといって、配偶者が夜間の見守りや排泄介助を担うことを当然とするのは適切ではありません。
誰が何を支援するか明確にする
ホーム職員、訪問介護等の外部サービス、家族がそれぞれ何を担うのか、入居前に整理してください。
一方の入院・死亡・住み替えで何が変わる?
夫婦入居では、一方だけが長期入院するケースも想定しておく必要があります。
残った配偶者が同じ部屋に住み続けられるか確認する
夫婦向け居室では、1人になった後も同じ部屋を利用できるか、一定期間後に個室へ移る必要があるかなどの条件が施設によって異なります。
入院中の料金も確認する
入院している側について、家賃・管理費・食費等のどこまで支払いが続くのかを契約書・料金表で確認してください。
退院後に戻れる条件も確認する
長期入院後に介護度や医療ニーズが上がった場合、元の住宅型有料老人ホームで生活を再開できるか確認します。
入院期間だけでなく受入可能な状態を見る
「○日入院したら退去」という期間だけで判断せず、退院後に必要な介護・医療をホームと外部サービスで支えられるかを確認することが重要です。
夫婦部屋を利用する場合は、一方が亡くなった後の条件も契約前に確認しておきます。
残った人が夫婦部屋を継続利用できるか
そのまま同じ居室に住める場合もあれば、1人用居室への移動を求められる場合もあります。
料金変更の有無を見る
1人利用になった後の家賃・管理費・食費等がどう変わるか、書面で確認します。
前払金がある場合は返還・契約変更も確認する
夫婦それぞれが前払金を支払う契約や、夫婦向けプラン独自の前払方式では、一方の死亡時にどの契約が終了し、いくら返還されるか確認します。
具体例で試算してもらう
「入居1年後に一方が亡くなった場合」など、具体的な時点を示して返還額やその後の料金を説明してもらうと理解しやすくなります。
夫婦で入居した時点では同じホームで暮らせても、介護度や病状の変化により一方だけ別の住まいが必要になることがあります。
住宅型で対応できる範囲を確認する
必要な訪問介護・訪問看護等を組み合わせても安全な生活を維持できなくなった場合、介護付き有料老人ホームや医療対応の強い施設への住み替えを検討することがあります。
「要介護○になったら退去」と単純化しない
要介護度だけでなく、必要な介護量、医療処置、夜間対応、認知症の状態などで判断が変わります。契約書の退去条件と実際の受入体制を確認してください。
夫婦が離れて暮らす可能性も考える
どちらかだけ住み替える場合、面会しやすい距離か、残った配偶者の生活が維持できるかも重要です。
入居前に「もしもの場合」を話しておく
夫婦同室を最優先するのか、それぞれに必要な介護・医療を優先するのかを、本人たちと家族で話し合っておくと判断しやすくなります。
見学時に確認したい夫婦入居のチェックポイント
年齢、介護度、認知症、医療ニーズを夫婦別に伝えて確認します。
夫婦向け居室の有無、定員、2室同時確保の可否を確認します。
2人分の家具・ベッドを置いた状態で安全に介助できるか確認します。
家賃・管理費・食費・介護・医療・実費まで夫婦別に試算します。
車いす、介護ベッド、夜間介護、医療処置が増えた場合を確認します。
居室継続、料金、退院後の再受入条件を確認します。
残った人の居室、料金、前払金、契約変更を確認します。
退去条件と、残った配偶者の生活継続を確認します。
重要事項説明書・契約書・料金表を2人分確認する
夫婦入居では、1人用の標準料金表だけでは分からない条件があります。
夫婦向けプランの条件を書面でもらう
二人入居時の料金、一人になった後の料金、居室変更、前払金、退去条件などを口頭説明だけで終わらせず、契約書・重要事項説明書・料金表で確認してください。
まとめ|夫婦入居は「今一緒に住めるか」だけで決めない
住宅型有料老人ホームへ夫婦で入居できる場合はありますが、確認すべきなのは「夫婦入居可」という表示だけではありません。
夫婦入居で特に確認したい5点
- 夫婦それぞれが入居条件を満たしているか
- 同室・別室のどちらで入居するのか
- 2人分の総費用はいくらになるか
- 介護度・医療ニーズが変わっても同じホームで暮らせるか
- 一方の入院・死亡・住み替えで居室と料金がどう変わるか
長く一緒に暮らすことを希望するなら、入居時の空室や料金だけでなく、数年後に夫婦の状態が変わった場面まで想定して確認することが大切です。見学時には2人の現在の状態を伝え、同室・別室の両方を含めてどの生活方法が現実的か相談しましょう。