グループホームの人員・設備・運営基準とは?

グループホームは、認知症のある高齢者が少人数で共同生活を送りながら、日常生活上の支援や介護を受ける地域密着型サービスです。家庭に近い環境を重視するサービスですが、自由に運営してよいわけではなく、人員・設備・運営について基準が定められています。

基準を見るときに大切なのは、「介護職員が何人いるか」「居室が何㎡あるか」という数字だけではありません。その基準が、実際の見守り、夜間対応、認知症ケア、災害時の安全、本人に合った介護計画などにどうつながっているかを見る必要があります。

このページでは、2026年10月時点の認知症対応型共同生活介護の基準を、人員・設備・運営の3つに分け、利用者や家族が施設選びで確認したい点まで整理します。

グループホームの基準で最初に知っておきたいこと

グループホームの正式な介護保険サービス名は「認知症対応型共同生活介護」です。指定を受ける事業所には、介護保険法に基づく人員・設備・運営基準が適用されます。

まず結論|基準は「最低限の人数や設備」だけを見るものではない

グループホームでは、日中は利用者3人に対して介護従業者1人以上を常勤換算で配置し、夜間も原則としてユニットごとの配置が必要です。1ユニットは5〜9人、居室は原則個室で7.43㎡以上が基本です。ただし、施設選びでは基準を満たしているかだけでなく、実際の夜間体制、職員の認知症ケア、介護計画、事故・災害対応まで確認することが重要です。

グループホームは地域密着型サービス

認知症対応型共同生活介護は地域密着型サービスに位置付けられています。認知症のある人が、家庭的な環境と地域住民との交流のもとで、入浴・排泄・食事などの介護や日常生活上の支援、機能訓練を受けながら生活するサービスです。

入居対象は、認知症があり、少人数による共同生活を営むことに支障がない人です。要支援2も介護予防認知症対応型共同生活介護の対象になりますが、要支援1は対象外です。

基準は人員・設備・運営に分かれている

介護保険上の指定基準では、人員に関する基準、設備に関する基準、運営に関する基準が定められています。

元記事では「立地基準」を独立した4分類としていましたが、現行の指定基準では、認知症対応型共同生活介護について「人員」「設備」「運営」の各基準として整理されています。立地については、設備基準の中で住宅地等に立地することなどが求められています。

POINT

施設選びでは、基準の数字を覚えることより、その基準が実際の暮らしにどう反映されているかを見ることが重要です。

グループホームの人員基準

グループホームでは、介護従業者のほか、計画作成担当者、管理者などの配置が必要です。認知症ケアを少人数で行うため、特に日中と夜間の介護体制は確認したいポイントです。

日中は利用者3人に対して介護従業者1人以上が基本

日中の介護従業者は、利用者3人に対して1人以上を常勤換算で配置することが基本です。

ここでいう「3対1」は、常に利用者3人ごとに職員1人がそばにいるという意味ではありません。常勤換算で必要人数を満たす基準なので、時間帯や勤務シフトによって実際に勤務している人数は変わります。

見学時には、基準上の人数だけでなく、食事・入浴・排泄が重なる時間帯に何人の職員が対応しているかまで確認すると、実際の介護体制を把握しやすくなります。

夜間は原則としてユニットごとに職員を配置する

夜間についても職員配置の基準があります。基本的には共同生活住居、つまりユニットごとに夜間対応の職員を配置します。

ただし、3ユニットの事業所で、各ユニットが同一階に隣接し、利用者の状況を円滑に把握できる構造であることや、安全対策を講じていることなど一定の要件を満たす場合には、例外的な配置が認められる場合があります。

夜間は転倒、排泄介助、徘徊、体調急変などが起こる可能性があります。「夜勤は何人か」「各ユニットをどう見守るか」「緊急時に応援を呼べるか」は、家族が具体的に確認したい部分です。

計画作成担当者が介護計画を作成する

グループホームでは、利用者一人ひとりに合わせた認知症対応型共同生活介護計画を作成するため、計画作成担当者を配置します。

2026年時点の基準では、事業所ごとに1人以上の計画作成担当者を置き、そのうち少なくとも1人を介護支援専門員とするのが原則です。ただし、一定の併設事業所との連携がある場合やサテライト型事業所などには例外規定があります。

家族としては、介護計画が作られているかだけでなく、本人の生活歴、できること、苦手なこと、認知症症状、家族の希望などが計画に反映されているかを確認します。

管理者にも認知症介護の経験と研修が求められる

管理者についても、認知症のある人の介護に従事した経験や、厚生労働大臣が定める研修の修了などの要件があります。

グループホームは少人数で生活するサービスだからこそ、管理者の方針が日常のケアに反映されやすい面があります。見学時には、管理者や職員が本人の状態をどのように捉え、どのようなケアを大切にしているかを見ることも重要です。

人員体制で確認したいこと

  • 日中の実際の勤務人数
  • 夜勤職員の人数と配置方法
  • 緊急時の応援体制
  • 計画作成担当者との相談方法
  • 認知症ケアに関する職員研修
  • 職員の勤続年数や入れ替わりの状況

グループホームの設備基準

グループホームは大規模施設ではなく、少人数の生活単位で家庭的に暮らすことを前提としています。そのため、ユニットの定員や居室の広さ、共用設備などに基準があります。

1ユニットは5人以上9人以下

共同生活住居1ユニットの定員は、5人以上9人以下です。2026年時点では、1事業所あたり原則として最大3ユニットまで設けることができます。

元記事では「1事業所につきユニットは2以下」となっていましたが、現在の基準では一以上三以下です。

少人数単位で生活することで、顔なじみの関係をつくりやすくし、家庭に近い生活環境を目指しています。

居室は原則個室で7.43㎡以上

居室の定員は原則1人です。利用者の処遇上必要と認められる場合には2人とすることができます。

居室の床面積は、収納設備等を除き7.43㎡以上が基本です。これは約4.5畳に相当する広さです。

ただし、数字だけで住みやすさは判断できません。ベッドや収納を置いた後に歩行器や車いすで移動できるか、トイレまでの動線は安全か、本人が落ち着ける環境かまで確認します。

居間・食堂・台所・浴室などが必要

グループホームには、居室のほか、居間、食堂、台所、浴室など、共同生活に必要な設備を設けます。

共同で食事をしたり、職員と一緒に家事をしたりすることもグループホームの生活の一部です。そのため、共用スペースが単に存在するだけでなく、入居者が実際に使っているかを見ることが大切です。

消火設備など非常災害に備える設備が必要

消火設備その他の非常災害時に必要な設備も求められます。認知症のある高齢者は、緊急時に自分だけで安全に避難することが難しい場合があります。

施設見学では、避難経路、非常口、消防設備だけでなく、夜間に火災や地震が起きたときの避難方法も質問します。

設備基準を満たしていても「本人に使いやすいか」は別です

居室面積や設備が基準内でも、本人の身体状況に合わない場合があります。段差、手すり、トイレ、浴室、廊下、居室から共用空間までの動線を実際に確認しましょう。

グループホームの運営基準

運営基準では、入居時の確認、介護計画、職員体制、非常災害対策、地域との連携など、日々のサービス提供に関わる事項が定められています。

認知症であることを確認して入居する

グループホームは認知症対応型のサービスです。入居時には、主治医の診断書などによって認知症であることを確認します。

また、入院治療が必要など、グループホームでは必要なサービスを提供することが難しい場合には、病院や他の介護施設などを紹介する等の対応が求められます。

利用者ごとの介護計画に沿ってサービスを提供する

グループホームでは、利用者の心身の状況、生活歴、希望などを踏まえた介護計画を作成し、その計画に沿って支援します。

認知症ケアでは、「できないことを代わりにする」だけでなく、本人ができることを続けられるよう支援する視点が重要です。料理、洗濯、掃除など、本人が参加できる生活行為をどのように支えているかも施設選びの判断材料になります。

運営規程には重要事項を定める

事業所では、運営方針、従業者の職種・人数・職務内容、利用定員、サービス内容、利用料、入居時の留意事項、非常災害対策、虐待防止などについて運営規程を定めます。

利用者や家族は、重要事項説明書などを通じて、施設のサービス内容や費用、職員体制、緊急時対応などを確認できます。

運営推進会議を設置し地域と連携する

グループホームでは、利用者、家族、地域住民、市町村職員や地域包括支援センター関係者などが関わる運営推進会議を設置します。

これは事業所だけで閉じた運営をするのではなく、外部の視点を取り入れながらサービスの状況を確認する仕組みです。外部評価についても、外部評価機関や運営推進会議を活用する仕組みがあります。

非常災害対策と避難訓練も重要

非常災害に関する具体的な計画を定め、定期的に避難・救出などの訓練を行う必要があります。訓練では地域住民の協力が得られるよう努めることも求められています。

認知症のある利用者が災害時に落ち着いて避難できるとは限りません。夜間の職員数も含め、どのような避難体制を取っているかを確認しておきます。

施設選びでは基準をどう確認すればよい?

人員・設備・運営基準は、事業所が指定を受けるための重要な条件です。ただし、基準を満たしていることと、本人に合った施設であることは同じではありません。

01

夜間の職員配置を具体的に聞く

「基準を満たしています」という説明だけでなく、夜間は実際に何人勤務し、どのユニットを担当するのかを確認します。転倒や徘徊、体調急変が起きたときの応援体制も質問します。

02

職員の認知症ケアを見る

認知症のある人への声かけ、急かさない対応、本人ができることを支える姿勢などを見ます。資格や人数だけでは、ケアの質を判断できません。

03

居室と共用空間の使われ方を見る

居室面積だけでなく、入居者が居間や食堂でどのように過ごしているかを確認します。家庭的な共同生活というグループホーム本来の特徴が実際に見られるかがポイントです。

04

介護計画の説明方法を確認する

入居後、誰が介護計画を作り、家族にどのように説明し、状態が変わったときにどう見直すのかを聞きます。

05

運営推進会議や外部評価の内容を見る

運営推進会議の開催状況や外部評価の結果を確認すると、施設が地域や外部の意見をどのように受け止めているかを見る材料になります。

CHECK

人員・設備・運営基準は「合格しているか」だけでなく、実際の生活でどう機能しているかを見ることが重要です。

特に、夜間体制、認知症ケア、居室と共用空間、介護計画、災害対応は、見学や重要事項説明書で具体的に確認しましょう。

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