「デイケア」と呼ばれるサービスは二通りあります。お年寄りの介護予防のリハビリを目的としたサービスと、どちらかといえば若い世代に向けた、主に精神科に関する疾患をケアするためのサービスとがあります。
前者関連施設を「デイケアサービス」と呼ぶのに対し、後者関連施設を「デイケアセンター」と呼びます。ここでは、「デイケアセンター」に関して簡単にお話していきたいと思います。
お年寄りが利用する施設では基本的にはないため、デイケアセンターの利用に関しては、介護保険のことはほぼ関係ありません。
デイケアセンターの目的は、うつ、統合失調症、引きこもりなどの病気のケアと、患者さんのリハビリになります。2006年の厚生労働省の調査によると、患者数自体は、統合失調症が全体の7割を占めるといわれています。
デイケアセンターは、通所で利用する利用者がほとんどですが、収容してリハビリを行うことができる施設も多いです。特に、統合失調症の患者さんの場合、通所ではなく、収容してリハビリを受けるケースも多くなります。
通所の場合、月ごとの来所回数を「単位」で表現し、単位ごとに料金が決まってくるといった料金設定になっているケースが圧倒的に多いようです。
近年の日本は、加速する少子高齢化の問題ももちろん大きいです。それが、デイサービスやデイケアサービスといったお年寄りの方に向けた福祉サービスの充実を後押ししていることは言うまでもありません。
しかし、こればかりは自然現象のファクターが大きいですから、長生きを喜ぶべき側面も実はあるのです。
しかし、デイケアセンターに通う、あるいは施設で寝泊まりする利用者さんの多くは、決して喜べるファクターはありません。
もちろん、少子高齢化だって深刻な問題ではありますが、しかし、近年急増する傾向にある「精神疾患」の問題も実は非常に大きいということが、デイケアセンターの内容からもご理解いただけることと思います。
デイケアとデイサービスの違い
介護施設関連、リハビリ施設関連の専門用語には似たものが多いですが、似ている表現で同じ内容を指すものと、似ているけれどもまったく違うものと、ふたとおりが考えられます。
特に間違い、誤解、混同が多いのが、「デイケア」と「デイサービス」です。デイケアは「リハビリ施設」であり、デイサービスは「介護施設」ということになります。
主に「うつ」や「引きこもり」などといった精神科・神経科の病気に悩む患者さんが、社会復帰を目指してリハビリを行うのが、「デイケアセンター」ということになります。
デイケアサービスは、デイサービスとはちがって、介護が必要なお年寄りを対象とするのではなく、「介護が必要にならないための予防(リハビリ)をするための施設」ということになります。
まず、「デイケア」ですが、これは正しくは、「通所リハビリ」と呼ばれるリハビリ施設になります。これに対し、「デイサービス」は、正しくは「通所介護」と呼ばれる介護施設になります。
デイケアとデイサービスの違いはいろいろあります。介護保険の適用範囲も異なれば、厚生労働省が定めるところも違いますし、当然料金設定や目的そのものも異なります。
今は直接関係ないことであっても、いずれ自分、あるいは自分のご家族がそうした施設でお世話になる必要が生じる可能性が高いわけすから、そういった知識は早いうちに仕入れておいて悪いことはないと思います。
デイケアとデイサービスは併用できる?
デイケアやデイサービスを日常的にご利用になっているお年寄りの方々には、ぜひ注意していただきたいことがあります。それは、「デイケアとデイサービスの併用」に関する注意事項です。
おそらくほとんどのお年寄りの方が、こういったことに関してはそれほど深く考えずに、デイケアやデイサービスをご利用になっているのではないかという気がしますが、場合によっては、デイケアやデイサービスの併用が認められないケースもありますので、今回はそのことについてお話したいと思います。
基本的に、デイケアやデイサービスを併用することは可能です。しかし、「要支援」の方がこれらの施設を併用することは許されていません。
このことについて、ご利用になっている当事者やそのご家族が意外と認識していないという部分もありますので、このことについてはしっかりと頭にとどめておいていただきたいと思います。
では、なぜそのような制約が生じることになるのかということについてもちょっと触れておきたいと思います。
これは、実は「介護報酬」との絡みで、利用者であるお年寄りの方々に制約が発生するという形になってしまっているのです。
どういうことかというと、介護報酬というのは、要介護者に対するサービスに対しても、要支援者に対するサービスに対しても、一括で発生するようなシステムが採用されているため、要支援者は要支援者向けのサービス以外のサービスを利用してしまうと、その分のサービスに対する介護報酬が計算されないことになってしまうのです。
つまり、介護報酬というのは、事業者ひとつに対して一括で発生することになるのです。
ですから、要支援者は、関連サービスを受けることができるのが、ひとつの事業所に限られるというルールになっているのです。
そのため、要支援者によるデイケアサービスとデイサービスを併用することができないということになるのです。このあたりのことは、今後間違わないようにしてください。
デイケアセンターの精神科
デイケアセンターではどんなサービスが提供されているかというと、これは主に「精神科」に関する病気に罹ってしまった患者さんに対するサービスということになっています。
たとえば、現代人にとっては多くの人の脅威になってきている「うつ」に悩む患者さんが、この「デイケアセンター」を利用しているケースは少なくありません。
また、いわゆる「引きこもり」という状況に甘んじてしまっている人が社会復帰を目指すために利用する施設でもあります。
たとえば、「精神科のデイケア」というコンセプトの施設も、かなりの数存在しています。精神科のデイケアの場合、お年寄りに限らず、かなり若い方の通所も可能になります。
精神科のデイケアの場合、たとえば「うつ」に悩む患者さんや「引きこもり」に悩む患者さんなどが通所する例が多くなっていますが、基本的には、集団生活のためのリワーク訓練のような形で、メンタルトレーニングを行います。その場合、施設のプログラムにしたがってリハビリメニューをこなしていくことが多いです。
そうした目的の施設ですから、その役割としてはどうしても「社会復帰を支援する」といった方向性が強いため、お年寄りに対するデイケアサービスとはかなり大きく異なるというのが実際のところです。
近年は、もちろん少子高齢化というのが我が国の背負う大きな問題のひとつではありますが、「ストレス社会」などとも呼ばれるこの社会を生きる上で、精神的なケアをしてくれる施設もまた重視される時代になってきているのです。
デイケア学会
「デイケア」の知識や現状の把握など、様々な研究対象を盛り込んで研究に励んでいる組織があります。その組織を、「日本デイケア学会」と呼びます。
上記研究以外にも、デイケアに関する知識頒布と、啓発活動が、「日本デイケア学会」のメインの役割になっています。
その「知識」の中には、厚生労働省が発表した事項を逐一公表するといった、非常に役に立つ活動も含まれており、そうした公的な情報の開示機関としての役割も担っているといえます。
そのほかにも、「デイケア実践研究」と題した学会誌と、デイケアに関連した広報誌を刊行するなどの出版活動も行っており、かなり幅広い活動を精力的に行っている機関であるといえます。
日本デイケア学会に入会希望の方は、「日本デイケア学会」のホームページを訪問していただくと、入会案内のページに行くことができます。
入会金と年会費が発生しますが、入会のメリットはそれなりにあるといえるでしょう。また、単独だけではなく、団体単位で入会することも可能になっていますので、興味ある方はご検討ください。