サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とグループホームは、どちらも高齢者の住まいとして検討されますが、対象者と介護の仕組みは大きく異なります。
サ高住は、高齢者が安心して暮らせるよう安否確認・生活相談などを備えた「高齢者向け住宅」です。一方、グループホームは、認知症のある人が少人数で共同生活を送りながら介護を受ける「認知症対応型共同生活介護」です。
まず結論|サ高住は高齢者向け住宅、グループホームは認知症の人の共同生活の場
サ高住は高齢者向けの住宅で、制度上必須なのは安否確認と生活相談です。介護サービスの提供方法は住宅ごとに異なります。グループホームは認知症と診断された要支援2または要介護1〜5の人を対象に、少人数の家庭的な環境で介護を受けながら共同生活する地域密着型サービスです。認知症の有無、介護の受け方、住民票要件を確認すると違いが分かりやすくなります。
サ高住とグループホームの違いを最初に整理
2つの住まいを比べるときは、「誰を対象にしているか」と「介護サービスがどう提供されるか」を確認することが重要です。
01
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
高齢者住まい法に基づく登録住宅です。バリアフリー構造などの基準があり、すべての入居者に安否確認と生活相談サービスを提供します。
02
グループホーム
正式には「認知症対応型共同生活介護」といい、認知症のある人が少人数で共同生活しながら、食事・入浴などの日常生活上の介護や機能訓練を受けるサービスです。
最大の違いは入居対象者
サ高住は認知症の有無だけで対象が決まる住宅ではありません。一方、グループホームは認知症のある人を対象とした介護サービスです。
サ高住は認知症がなくても入居できる
サ高住は、高齢者が安心して暮らせる住まいとして整備されています。原則として60歳以上の人、または要支援・要介護認定を受けている60歳未満の人などが入居対象になります。
実際の年齢条件、介護度、認知症、医療的ケアなどの受け入れ条件は住宅ごとに異なります。比較的自立した人を中心に受け入れる住宅もあれば、要介護者を積極的に受け入れる住宅もあります。
グループホームは認知症の診断が前提
グループホームは、認知症のある人を対象とするサービスです。要支援2、または要介護1〜5の人が対象で、要支援1の人は利用できません。
また、共同生活を送るサービスであるため、本人の状態と施設での生活が合うかどうかも確認されます。施設ごとの入居判定では、医療ニーズなども確認されます。
グループホームは「軽い認知症の人だけ」の施設ではありません
要支援2または要介護1〜5が対象となるため、認知症が軽度の人だけに限定された施設ではありません。ただし、必要な医療処置や症状への対応範囲は施設ごとに異なります。
グループホームには住民票の要件がある
グループホームは地域密着型サービスです。そのため、原則として、その事業所がある市区町村の住民が利用します。
一方、サ高住は地域密着型介護サービスではないため、グループホームと同じ住民票要件で利用先が限定されるわけではありません。
遠方のグループホームを探すときは特に注意する
たとえば、子どもの自宅近くへ親を呼び寄せてグループホームに入居させたい場合、希望する市区町村の住民票要件を満たすか確認する必要があります。
地域によって扱いや手続きが異なる場合があるため、候補施設だけでなく市区町村にも確認すると確実です。
介護サービスの受け方はどう違うのか
サ高住とグループホームでは、介護サービスの提供方法も異なります。
サ高住の必須サービスは安否確認と生活相談
サ高住で制度上必ず提供されるのは、安否確認と生活相談です。介護、食事、家事、医療との連携などは住宅ごとに提供内容が異なります。
一般的には、介護が必要になった場合に訪問介護や訪問看護、通所介護などの外部サービスを利用する住宅があります。また、特定施設入居者生活介護の指定を受けているサ高住では、施設の仕組みの中で介護を提供する場合もあります。
グループホームは共同生活の中で介護を受ける
グループホームでは、介護スタッフとともに少人数で共同生活を送り、食事、入浴、排せつなどの日常生活上の介護や支援を受けます。
本人が持つ力を活かしながら、食事の準備や掃除など生活の一部に関わることもあります。単に身の回りのことをすべて代行するのではなく、家庭的な環境の中で生活を支えることが特徴です。
POINT
サ高住は「住宅に必要なサービスを組み合わせる」、グループホームは「認知症の人が少人数で共同生活し、その生活の中で介護を受ける」と考えると違いが分かりやすくなります。
生活環境はどう違うのか
住まい方にも違いがあります。本人がどの程度自分のペースで暮らしたいか、共同生活が合うかを考えることが重要です。
サ高住は個室を中心とした住宅生活
サ高住は住宅なので、専用の居室を生活の拠点として暮らします。外出、食事、生活時間などの自由度は住宅ごとの規則によりますが、一般的には住まいとしての性格が強い施設です。
ただし、食堂などの共用部分を設けたり、行事や交流の機会を設けたりする住宅もあります。実際の生活の自由度は見学時に確認してください。
グループホームは5〜9人の少人数で共同生活する
グループホームでは、1つの共同生活住居で5〜9人の利用者が生活します。少人数の家庭的な環境で、顔なじみの入居者や職員と日常生活を送ることが特徴です。
共同生活が本人に合うかどうかは重要です。見学時には、居室だけでなく、食堂やリビングで入居者がどのように過ごしているかも確認します。
費用はどちらが安いのか
サ高住とグループホームのどちらが安いかは、一律には決められません。立地、家賃、サービス内容、介護度などによって変わります。
サ高住は家賃・共益費・サービス費などが基本
サ高住では、家賃、共益費、安否確認・生活相談に関するサービス費、食費などを支払います。外部の介護保険サービスを利用する場合は、その自己負担も加わります。
表示されている家賃だけでなく、食費、サービス費、介護費、医療費、日用品などを含めた月額総額で比較する必要があります。
グループホームは介護費に家賃・食費などが加わる
グループホームでは、介護保険サービス費の自己負担に加え、家賃、食材料費、光熱水費、日常生活費などを支払います。
介護保険の自己負担は要介護度や所得によって変わり、各種加算も施設ごとに異なります。そのため、本人の要介護度と負担割合を伝えて見積もってもらうことが大切です。
費用比較で確認したい項目
- 家賃
- 食費・食材料費
- 共益費・管理費・サービス費
- 介護保険の自己負担
- 医療費
- 日用品などの実費
認知症ケアはグループホームのほうが専門的
グループホームは認知症対応型共同生活介護という名称のとおり、認知症の人に専門的なケアを提供する介護サービスです。
一方、サ高住にも認知症の人が入居できる住宅はありますが、認知症ケアの体制は住宅ごとに大きく異なります。
サ高住は「認知症受け入れ可」の中身を確認する
サ高住で認知症の人が暮らす場合、どの程度まで対応できるかを具体的に確認します。訪問介護の利用、夜間の見守り、徘徊への対応、服薬管理などは住宅によって異なります。
「認知症可」と書かれているだけで判断せず、本人の症状を具体的に伝えて対応可能か確認してください。
グループホームでも医療対応には施設差がある
グループホームは認知症ケアを専門としますが、医療施設ではありません。看護職員の配置や医療機関との連携、対応できる医療処置は施設ごとに異なります。
認知症に加えて医療ニーズがある場合は、夜間の急変時対応や訪問診療・訪問看護との連携も確認する必要があります。
どちらが向いているかは認知症と生活スタイルで考える
サ高住とグループホームの選択では、本人の認知症の有無だけでなく、介護量、生活の自由度、共同生活への適応も考えます。
サ高住が候補になりやすい人
- 高齢者向けの住まいを探している
- 比較的自分のペースで生活したい
- 必要な介護サービスを個別に利用したい
- 認知症の有無だけに限定されない住まいを探している
グループホームが候補になりやすい人
- 認知症の診断を受けている
- 要支援2または要介護1〜5である
- 少人数の家庭的な環境が合っている
- 共同生活の中で認知症ケアを受けたい
- 地域密着型サービスの住民要件を満たしている
見学時に確認したい5つのポイント
制度上の違いを理解したら、実際の候補施設・住宅を見学して本人との相性を確認します。
01
認知症の状態に対応できるか
本人の認知症の症状、生活上困っていること、夜間の状態などを具体的に伝えます。受け入れ可能という返答だけでなく、実際にどのように支援するかを確認します。
02
介護サービスを誰が提供するのか
サ高住では外部サービスなのか特定施設としての介護なのかを確認します。グループホームでは、日常生活の中でどのような介護・支援を受けるのか確認します。
03
本人がその場で落ち着いて過ごせそうか
設備の新しさだけでなく、入居者の表情、職員との距離感、共有スペースの過ごし方、施設全体の雰囲気を見ます。
可能であれば本人も一緒に見学し、その場での反応を確認することが施設選びの判断材料になります。
04
毎月の総費用はいくらになるか
家賃、食費、サービス費、介護保険自己負担、医療費などを含め、本人の条件で月額の見込み額を確認します。
サ高住では外部介護サービスの利用量、グループホームでは要介護度や施設ごとの家賃・食材料費などを反映して比較してください。
05
重度化した場合の退去条件を確認する
介護度の上昇、認知症の進行、医療処置の増加、長期入院などの場合に住み続けられるかを確認します。重要事項説明書や契約書で退去条件も確認してください。
まとめ|認知症ケアを重視するならグループホーム、住まいの選択肢を重視するならサ高住
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とグループホームは、制度上の役割が異なります。
サ高住は高齢者向け住宅で、制度上必須なのは安否確認と生活相談です。介護サービスの提供方法は住宅によって異なります。
グループホームは認知症対応型共同生活介護で、認知症のある要支援2または要介護1〜5の人が、少人数の家庭的な環境で介護を受けながら共同生活します。地域密着型サービスのため、原則として事業所がある市区町村の住民が対象です。
「認知症ケアを中心に少人数で共同生活したいのか」「高齢者向け住宅で必要なサービスを組み合わせながら暮らしたいのか」を基準に、本人の状態・費用・医療体制・退去条件まで比較してください。