有料老人ホーム協会とは厚生労働省が許可した社団法人で、多くが民間事業である有料老人ホームの纏め役といったところです。
人員基準や運営基準、設備基準をある程度満たしていれば開設できるだけに、入居者にとっては不安要素もあるのに対し万一の備えの後ろ盾ともなる団体です。
万が一というのは、例えホームが倒産した場合。ホーム側(事業者)はともかく入居者はホームが無くなれば、大抵その後の住む所に困ります。
その際に、この有料老人ホーム協会に加入している事業所は入居者基金という制度を設けています。
終身型のホーム事業者が協会に支払う基金で、入居者一人当たりに対し20万円の拠出して協会に預けることで、その入居者にはホームの倒産時500万円の保証金が入居者基金から支払われます。
入居者生活保証制度といい、元々は入居者基金だったものから改称されました。
また、このような保全措置だけでなくサービス向上のため第三者評価事業も実施しています。協会側がホームのサービスの受けて評価するという事業で、審査結果は一般消費者へ公表して宣伝にも繋がります。
一度目の審査は無料で二度目以降の審査が有料となりますが、見学やちょっとした評判では分からない情報も得ることができ、入居を検討している人にとっても良いシステムなのです。
このようにして事業者と教会の連携により信用を得た上で入居を決めていただいてから、ホーム側も利用者にも様々な書類を作成しなければなりません。
契約書、重要事項説明書などがありますが、協会側が書類の作成支援をして手続きを円滑に進めるサポートも実施しています。
公益社法人有料老人ホーム協会
有料老人ホームの多くが民間会社であり、大きく分けてこの3種類とはいえ施設により受け入れ体制が違うなど実に多種多様です。
入居者の保護と健全な発展に努めるために作られた団体で、民間事業の中で多種多様化する有料老人ホームを纏める組織といったところです。
有料老人ホーム運営は、自治体からの許可が必要でが、その自治体が事業者へ『有料老人ホーム協会への加入』を勧めているところであり、入居者からして見れば有料老人ホーム協会に加入しているかどうかが重要な施設選びのポイントにもなっています。
大抵の有料老人ホームの事業者はこの公益社有料老人ホーム協会に加入していて、施設側(事業者)には業務支援や苦情処理など仲介に入ってもらえる他、もしもの場合に備えた措置もとることができます。
施設利用者へも大きなメリットがあり、施設内では対処することのできない苦情やサービスへの相談も協会側で受け付けていて、ホームへ直接交渉できないケースであれば事業者と利用者の面談を提案するなどしてサービス向上へ繋ぎます。
有料老人ホームを設立、運営する計画があれば土地や建物と設備の確保、入居者の人数の見込みだけでなく様々な情報収集が必要となります。
この有料老人ホーム協会では、全国各地でセミナーや講習会などを開催してより健全な運営ができるようにと努めているほか、すでに設立して運営している事業者を対象とした研修を実施するなどしています。
情報収集には、実際に運営している事業者の話も参考になりますが、なかなかじっくり話を聞く機会というのが無いのが現状です。
ホームページでセミナーや研修の情報を公開して場を設け、開催するのもこの協会の大きな役割となっています。
有料老人ホーム協会と入居契約書の関係
有料老人ホーム協会に加入しているホームも、そうでないホームも入居の時には入居契約書は同じです。というのも、有料老人ホームは入居するにあたりホームと消費者が私的に契約を交わす施設だからです。
しかし、私的とはいえ入居するにも迎えるにも契約やサービスに法律はもちろん莫大な費用が付いて回るので細かく説明のある契約書は必要となります。
ここで有料老人ホーム協会が支援するのは入居契約書作成の支援です。協会に加入しているからといって入居が決まった人から頂いた入居契約書をホーム側が協会に提出する訳ではありません。
(ちなみに、入居生活保証制度に加入する場合には入居者と事業者が『入居契約追加特約書』を作成して協会へ20万円支払ってから登録ということになりますので、この時も入居契約書が必要とはなりません)
有料老人ホーム協会と契約書など書類の関係というのがここで、ホーム側は有料老人ホーム協会が出版する資料を参考に制作することができます。
記載項目の不備などが無いよう細かく関連事項や制度改正後にも対応して記録されています。
利用者一人一人が健康状態、介護度数が違うのですから受けられるサービス項目の記載も注意して制作することができます。入居契約、管理規程も採録されています。
利用者側は入居を検討した際に協会の主催するセミナーなどで記入の際の準備や注意事項を知ることができます。
実際に協会に加入しているホームの入居者から話が聞ける機会も設けられていて、契約時のチェックポイントなど参考になる情報が得られます。
もちろん、契約書を記入して提出したとしても何らかの事情があればクーリングオフや契約解除も可能ですが、誰しも手間をかけたくはないものです。そこをスムーズに通るよう支援するのが有料老人ホーム協会の役割の一つです。
有料老人ホーム協会の保全措置
有料老人ホームのほとんどが民間事業なので倒産も有り得ることです。しかしそれは入居した人にとって大変な問題になります。
特に介護付有料老人ホームでは、そこで看取ってもらう事を目的として入居し、そのために入居一時金やその他にかかる費用を貯金から捻出したり、中には持ち家を売って有料老人ホームへの入居資金にして、ホームを出たら住む場所が無いという事態になり兼ねません。そのような事態にならないようとっている対策が保全措置です。
これは入居者がとる対策ではなく公益社法人有料老人ホーム協会や銀行、または損保保険会社がとる措置で、上限500万円までの未償却の金額を支払うというものです。
これは倒産したら入居者に500万円までならすぐ支払う…といった形ではなく、入居一時金の未償却分が賠償されない場合に限ります。
そして、この保全措置をとっているのが公益社法人有料老人ホーム協会だった場合は『入居者生活保証制度』といい、事業者が入居者一人につき20万円を支払って登録し、その入居者には協会から保証状が発行されます。この措置が一番多いようです。
有料老人ホームの保全措置とは平成18年3月以降に努力目標として努めているもので、有料老人ホームの設立が18年3月以前であれば入居の際に保全措置がとられているか確認しなければなりません。
努力目標とは強制ではなく健全な発展に努めるために作られたものであり、もちろん保全措置をとっているから全てが安心という訳ではありません。
入居者が満足していて退去する人が多く出てはいないかが、大きく今後の経営に響きます。保全措置と良好な現状維持の両立ができていなければ、良い有料老人ホームではありません。