生活保護を受けるなど、経済的に余裕の無い人も入れる公共老人施設のうちの一つに養護老人ホームがあります。
ここ数年、ニュースなどで生活保護受給に対し取り沙汰される例を見ると少々誤解を招き易く不正に受給しているケースが多いかという先入観を植え付けかねません。
それはほんの一部であり、楽に生活費が貰えるシステムでもありませんし審査も厳しいものとなっています。
特に施設に入居となればケースワーカーだけでなく施設職員もいるので不正は不可能ですし、生活保護受給に対する誤解も薄れることでしょう。
生活保護受給者が養護老人ホームへ入居した際には支払いなどはどうなるかというと、先ずは介護扶助や医療扶助というシステムがあります。
これは生活保護費の介護扶助費、医療扶助費という予算でまかなわれてます。養護老人ホームで利用した医療サービスや介護サービスの費用を、利用者の負担なしに直接介護サービス事業者や医療機関へ支払われます。
生活保護受給中に介護サービスを受けるにあたり介護保険料はというと、生活扶助がら給付されるようになっています。この生活扶助費から日用品費も賄われています。
何かと話題の生活保護は受給者に対しこのような手厚い措置を取るため、万が一にも不正や不適切に生活保護の受給をしているケースに敏感なのです。
しかし、ホームに入居している受給者には不適切な保護の実施はまずないでしょう。
生活保護を決定し、実施や事務を行う『実施機関』が生活保護受給者への住居地保護や現在地保護だけでなく施設収容保護という実施責任も担っているため、不正や不適切が通用しないのが現実です。
養護老人ホームでの生活保護法
生活保護という生活が困難な状況の人に最低限の扶助や補助をする制度は、生活保護法で規定されています。
生活費はもちろん、住居や医療費など自活に向けて生活全般にわたり足りない部分を補い保護してくれるという目的です。養護老人ホームは生活保護を受給している人も利用することができる老人施設のうちの一つです。
その生活保護法と養護老人ホームの関係ですが、老人ホームといっても養護老人ホームは老人福祉法下におかれた老人福祉用の住居施設であり、その施設利用にあたって介護保険法と生活保護法で(医療サービスも必要時に使うことができます)補助と扶助が受けられるという仕組みになっています。
昔のように必ずしも一家の主に介護が必要になった際には、その配偶者または子が介護する…ではなく、入居する利用者にとって一番適切な法の下でサービスを受けられるように介護保険法と生活保護法と老人福祉法が改正を重ねるうちにできた施設及び、現在に見合った一つの形といったところです。
現在は生活模様や家族構成も人によりけりであり、実に様々なパターンが存在します。
その中で、経済的に困窮しながらもなんとか身の回りの事は自力でできるものの一人暮らしが困難になった場合、市町村の福祉事務所にかかり実施機関と相談し、生活保護法と老人福祉法の下に成り立つ養護老人ホームへの入居を勧められるという段取りになります。
経済的に困窮していて、老人ホームの入居金はとても捻出できないという人にとっては不安がよぎることでしょう。
しかし生活保護法とは、手立ては無いとせず歳と共に身体も弱りかけた経済的弱者を保護するための無くてはならない法律なのです。
生活保護を受給している人の養護老人ホームの費用
養護老人ホームは生活に困窮している人が対象なので、もちろん生活保護の受給している人も入所できます。
その場合、費用はかかりません。とはいえ生活保護を受給しながら養護老人ホームで無料で住んで生活できるというものでもなく、生活保護も養護老人ホームも税金で賄われていますから養護老人ホームに入所した時点で措置を受けているという事で、生活保護は打ち切り(廃止)となります。
養護老人ホームは入所を希望して申請し、入所が決定すると収入により毎月支払う額が決まります。
これは生活保護の支給額の決定と同じようなもので、生活保護は生活するにあたり必要最低限の扶助として相応な額が受給してもらえます。
養護老人ホームは生活の場となりますから入所が決定した時点で生活保護そのものが打ち切られても養護老人ホームにかかる費用が受給される形になるので、生活保護がなくても養護老人ホームにかかる費用が支給されれば同じことですね。
また、養護老人ホームの費用を扶養義務者が支払う場合、その扶養義務者も生活に困窮して生活保護を受けていたとしても、負担額はゼロになります。
この場合、扶養している人も生活保護という措置を受けているので、そこから養護老人ホームの費用を捻出できないと見なすからです。
養護老人ホームの費用がかからないとはいえ、入所中に通院した、または外部サービスで介護を受けた際には年金から支払うこととなりますが、無年金となると最低限の介護扶助、医療扶助を受けられ、そこからの支払いになります。
これは生活保護と養護老人ホームの並行した関係性を表していて、あくまで負担額はゼロにしても、最低限支給。しかも最低限ですから支払う分を支給されるというものです。