介護医療院では、長期的な医療が必要な要介護者に対して、医療だけでなく、入浴・排せつ・食事・着替え・整容など日常生活に必要な介護サービスも提供します。
特徴は、介護だけを切り離して提供するのではなく、医師・看護職員などによる医学的管理の下で、介護・看護・リハビリテーション・栄養管理などを一体的に行う点です。
まず結論|介護医療院では日常生活の介護を医学的管理の下で受けられる
介護医療院では、入浴、排せつ、離床、着替え、整容などの介護に加え、食事、栄養管理、口腔衛生管理、機能訓練、相談援助などを受けられます。本人の病状や心身の状態に合わせて支援することが制度上求められており、単に「身の回りの世話をする施設」ではありません。
介護医療院で受けられる介護サービスの基本
介護医療院は、長期にわたり療養が必要な要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理、看護、医学的管理の下での介護、機能訓練、必要な医療、日常生活上の世話を行う施設です。
つまり、医療ニーズの高い人が「治療だけを受ける場所」ではなく、生活を続けるための介護も含めて支援することが制度上の役割です。
本人の病状と心身の状態に合わせて介護する
厚生労働省の運営基準では、看護および医学的管理の下で行う介護について、入所者の自立支援と日常生活の充実につながるよう、病状や心身の状況に応じて適切な技術で行うこととされています。
全員に同じ介助を行うわけではない
たとえば、立ち上がりができる人と寝たきりの人では、必要な介助方法が異なります。食事、排せつ、着替えなども、本人ができる部分は残しながら必要なところを支援することが基本です。
医療上の注意点も介護方法へ反映する
介護医療院では医療と介護を一体的に提供するため、病状や療養上の注意点を踏まえて日常生活の介助を行います。
ただし、実際の介助方法や対応できる医療処置は本人の状態と施設体制によって異なるため、入所前に具体的な確認が必要です。
入浴・清拭はどのように受けられる?
介護医療院では、身体を清潔に保つための入浴や清拭も介護サービスに含まれます。
週2回以上の入浴または清拭が基準
厚生労働省の運営基準では、介護医療院は1週間に2回以上、適切な方法で入所者を入浴させる、または清拭しなければならないとされています。
「週2回必ず浴槽に入る」という意味ではない
この基準は、本人の状態にかかわらず全員が週2回浴槽へ入るという意味ではありません。
病状や身体状態によって入浴が難しい場合には清拭で対応することがあります。重要なのは、本人の状態に合わせて清潔を保つ支援が行われることです。
介助が必要な人向けの浴槽設備もある
介護医療院の設備基準では、一般浴槽だけでなく、入浴に介助が必要な人に適した特別浴槽を設けることとされています。
実際にどのような入浴方法になるかは、寝たきりの程度、移乗能力、医療処置の有無などによって異なります。入所前には、現在の入浴方法を伝えたうえで確認してください。
数字の意味
「週2回以上」は清潔保持についての最低限の運営基準です。本人が浴槽へ入れる回数、機械浴の方法、入浴曜日などは施設ごとに確認する必要があります。
排せつ介助では自立への支援も行う
排せつ介助では、単におむつを交換するだけではなく、本人の状態に応じて排せつの自立を支援することが求められています。
できるだけ本人の力を生かす
厚生労働省の基準では、本人の心身の状況、病状、生活環境などに応じ、適切な方法で排せつの自立に必要な援助を行うこととされています。
トイレへ移動できる人は移動方法も含めて支援する
立位や移乗が可能な人であれば、本人の状態に応じてトイレやポータブルトイレの利用を検討することがあります。
一方、無理に自立を求めるのではなく、安全性や病状を踏まえて介助方法を決めることが重要です。
おむつが必要な人には適切な交換を行う
おむつを使用せざるを得ない人については、適切に交換することも運営基準に明記されています。
家族が確認するときは、おむつ使用の有無だけでなく、本人の排せつパターンやトイレ誘導の可否、夜間の介助方法まで聞くと実際の支援内容が分かりやすくなります。
離床・着替え・整容など日常生活の介護も受けられる
介護医療院では、ベッド上の療養だけで生活が完結するのではなく、本人の状態に応じて離床、着替え、整容などの日常生活上の支援を行います。
離床を支援する
厚生労働省の運営基準では、入所者に対して離床その他の日常生活上の世話を適切に行うこととされています。
長期療養でも一日中ベッド上が前提ではない
介護医療院は長期療養のための施設ですが、「長期療養=常にベッド上で過ごす」という意味ではありません。
病状や体力に応じて、食事のために起きる、車いすで過ごす、活動に参加するなど、その人が可能な範囲で生活を組み立てます。
着替え・整容も生活支援の一部
着替えや洗面、髪を整えるといった整容も、日常生活を送るうえで重要な介護です。
本人ができる動作は維持しながら、難しい部分だけ介助することが自立支援につながります。
褥瘡を予防するための介護も行う
寝ている時間が長い人では、褥瘡(床ずれ)の予防も重要です。
褥瘡予防の体制整備が求められている
厚生労働省の運営基準では、介護医療院は褥瘡が発生しないよう適切な介護を行い、発生を予防するための体制を整備しなければならないとされています。
体位変換だけでなく本人の状態を総合的に見る
褥瘡予防では、身体の向きを変えることだけでなく、皮膚の状態、栄養状態、離床できる時間なども関係します。
褥瘡のリスクが高い人や、すでに褥瘡がある人は、現在の状態を入所前に伝え、どのようなケアを行えるか確認してください。
食事・栄養・口腔ケアも生活を支えるサービス
介護医療院では、食事を提供するだけでなく、本人の病状や栄養状態、食べる力を踏まえた支援も行います。
病状や身体状態を考慮した食事を提供する
食事は、栄養だけでなく、本人の身体の状態、病状、嗜好を考慮して提供することが求められています。
できるだけ離床して食事できるよう配慮する
運営基準では、自立支援に配慮し、できるだけ離床して食堂で食事を行えるよう努めることも定められています。
ただし、病状などによりベッド上での食事が必要な人もいます。本人に合う食事場所や介助方法を確認することが大切です。
栄養管理は入所者ごとに行う
介護医療院には、入所者の栄養状態の維持・改善を図れるよう、一人ひとりの状態に応じた栄養管理を計画的に行うことが求められています。
食事量が落ちたときの対応まで確認する
食事量や体重が変化したときに、誰が状態を確認し、食形態や栄養管理をどのように見直すかを施設へ確認するとよいでしょう。
口腔衛生の管理も行う
口腔の健康を保つための管理体制を整え、本人の状態に応じた口腔衛生管理を計画的に行うことも制度上求められています。
歯磨きや義歯管理などの日常的な口腔ケアについて、どの程度介助が必要かも入所前に伝えてください。
機能訓練・リハビリも介護医療院サービスに含まれる
介護医療院では、心身の機能を維持・回復し、日常生活の自立を助けるため、理学療法、作業療法などのリハビリテーションを計画的に行うことが求められています。
長期療養中の生活機能を支える
リハビリは、歩行能力の向上だけを目的とするものではありません。
寝返り、起き上がり、移乗、食事、着替えなど、日常生活で必要な動作を維持しやすくすることも重要です。
リハビリの内容・頻度には施設差がある
具体的な訓練内容、担当職種、実施頻度などは本人の状態や施設体制によって異なります。
「リハビリがあります」という説明だけでなく、本人の場合に何を目標に、どの程度行う予定かを確認してください。
注意:介護医療院はリハビリ専門施設ではありません。長期療養と生活を支える中で機能訓練を行う施設です。集中的なリハビリを最優先にしたい場合は、本人の状態と施設の役割が合うかを確認する必要があります。
相談援助・レクリエーション・家族との交流も支援する
介護医療院での生活は、介助と医療だけではありません。生活上の相談や家族との交流、レクリエーションなども療養生活を支える要素です。
本人・家族からの相談に対応する
運営基準では、本人の心身の状況や病状、生活環境を把握し、本人や家族の相談に適切に応じ、必要な助言や援助を行うことが求められています。
長期療養だからこそ生活上の相談が重要
入所中には、体調変化、生活上の希望、家族との関わり、今後の療養方針など、さまざまな相談が生じます。
誰が相談窓口になるのか、家族への説明はどのように行うのかを確認してください。
レクリエーションや家族交流の機会もある
介護医療院には、適宜レクリエーション行事を行うよう努めること、家族との連携を図り、交流の機会を確保するよう努めることが定められています。
ただし、行事内容や頻度、面会方法などは施設によって異なります。
介護サービスは外部の訪問介護を自由に追加する仕組みではない
介護医療院は、住宅型有料老人ホームやサ高住のように、入居者が必要な訪問介護を外部事業所と個別契約して日常の介護を組み立てる施設とは仕組みが異なります。
施設サービスとして介護を一体的に提供する
介護医療院では、施設サービス計画に基づき、施設の職員が医療・看護・介護などを一体的に提供します。
施設外の介護を自己負担で追加する前提ではない
運営基準では、入所者の負担によって、介護医療院の従業者以外の人から看護・介護を受けさせてはならないとされています。
そのため、本人に必要な介護へ施設が対応できるかは入所前に確認することが重要です。「足りない介護は後から外部サービスを追加すればよい」と考えず、現在必要な介助内容を具体的に施設へ伝えてください。
施設によって違いが出やすい介護サービスを確認する
介護医療院には共通の運営基準がありますが、毎日の具体的な支援方法まで全国一律ではありません。
入所を検討するときは、制度上「サービスがあるか」だけでなく、本人の場合にどう提供されるかまで確認します。
| 確認項目 | 施設へ聞く内容 |
|---|---|
| 入浴 | 本人の状態では浴槽・機械浴・清拭のどれになるか |
| 排せつ | トイレ誘導・おむつ・夜間介助をどう行うか |
| 食事 | 食形態・介助・食事場所を調整できるか |
| 離床 | 日中どの程度ベッドを離れて過ごせるか |
| リハビリ | 本人の目標・担当職種・実施内容は何か |
| 口腔ケア | 本人ができない部分をどこまで介助するか |
| 活動 | レクリエーションや日中活動の内容・頻度 |
| 相談 | 家族への説明・相談窓口は誰か |
入所前に伝えておきたい本人の状態
- 入浴時に必要な介助
- トイレ移動・排せつ介助の状況
- 食事形態と食事介助の有無
- 寝返り・起き上がり・移乗の状態
- 褥瘡の有無や皮膚トラブル
- 義歯・口腔ケアの状況
- 日中の過ごし方や本人の希望
まとめ|介護医療院は医療と日常生活の介護を一体的に受ける施設
介護医療院では、入浴、排せつ、離床、着替え、整容、褥瘡予防といった日常生活の介護に加え、食事、栄養管理、口腔衛生管理、機能訓練、相談援助などを受けられます。
これらは単独の介護サービスとしてではなく、本人の病状や心身の状態を踏まえ、医学的管理の下で一体的に提供されることが介護医療院の特徴です。
特に確認したい3点
- 現在必要な入浴・排せつ・食事などの介助に対応できるか
- 病状の変化に合わせて介護方法を見直せるか
- 日中の離床・リハビリ・活動まで含めてどのような生活になるか
「介護医療院だから介護はすべて同じ」と考えず、本人が現在受けている介助を具体的に伝え、施設でどのように対応するのかを入所前に確認しましょう。