特養のユニット型個室・従来型個室・多床室の費用差を比較

特別養護老人ホーム(特養)の費用を比べるとき、同じ施設でも「ユニット型個室」「従来型個室」「多床室」で居住費が大きく違うことがあります。

ただし、パンフレットの月額総額だけを見ても、何に差が出ているのか分かりにくい場合があります。居室タイプによる費用差を見るときは、介護保険自己負担とは別に、居住費・食費・日用品費などを分けて確認することが重要です。

まず結論|費用差が最も出やすいのは居住費。制度上の基準額も居室タイプで異なる

特養では、ユニット型個室、従来型個室、多床室で居住費の基準費用額が異なります。2026年時点の厚生労働省告示では、特養等の基準費用額はユニット型個室2,066円/日、従来型個室1,231円/日、多床室915円/日です。ただし、これは全員が必ず支払う固定料金ではありません。実際の負担は施設の契約額、所得区分、負担限度額認定の有無などで変わります。比較するときは「1日いくら」だけでなく、30日・1年でいくら差が出るかまで確認してください。

特養の費用は居室タイプによって変わる

特養の月額費用は、介護保険自己負担、食費、居住費、日用品・理美容等の実費などで構成されます。

居室タイプで差が出やすいのは居住費

要介護度が同じであれば、介護保険サービス費そのものは居室タイプだけで単純に決まるわけではありませんが、居住費には大きな差があります。

そのため、ユニット型個室と多床室を比較すると、月額総額の差の中心が居住費になるケースがあります。

食費は居室タイプだけで決まるわけではない

食費は、個室だから高い、多床室だから安いという仕組みではありません。

施設の料金設定や負担軽減制度の対象かどうかを確認してください。

POINT

「個室は高い」という理解だけでなく、具体的に居住費が月いくら、年いくら増えるのかを計算すると判断しやすくなります。

2026年時点の特養の基準費用額を比較する

厚生労働省の現行告示では、特養等の居住費について居室タイプ別の基準費用額が定められています。

ユニット型個室は1日2,066円

ユニット型個室の基準費用額は、1日2,066円です。

30日で単純計算すると61,980円となります。

従来型個室は1日1,231円

特養等の従来型個室の基準費用額は、1日1,231円です。

30日で単純計算すると36,930円となります。

多床室は1日915円

特養等の多床室の基準費用額は、1日915円です。

30日で単純計算すると27,450円となります。

月額にするとどのくらい差が出る?

居住費だけを30日で単純計算すると、居室タイプによる差をイメージしやすくなります。

ユニット型個室と多床室の差

2,066円と915円の差は1日1,151円です。

30日では34,530円、1年を365日で単純計算すると約42万円の差になります。

従来型個室と多床室の差

1,231円と915円の差は1日316円です。

30日では9,480円、1年では約11万5千円の差になります。

ユニット型個室と従来型個室の差

2,066円と1,231円の差は1日835円です。

30日では25,050円、1年では約30万5千円の差になります。

基準費用額は「全国一律の請求額」ではない

基準費用額を見ると、実際の請求額も同じだと思いやすいですが、必ず一致するわけではありません。

施設との契約額を確認する

実際の居住費は、施設が示す料金表・重要事項説明書で確認する必要があります。

基準費用額は制度上の基準であり、請求額を確認する際の目安として考えてください。

所得によって負担軽減を受けられる場合がある

一定の所得・資産要件に該当する人は、特定入所者介護サービス費による食費・居住費の負担軽減を受けられる場合があります。

その場合、通常の料金表だけを見て「個室は無理」と判断すると、実際より高く見積もってしまうことがあります。

負担限度額認定を使うと居住費はどう変わる?

負担限度額認定の対象者には、所得区分に応じて居住費の1日あたり上限が設定されます。

居室タイプごとに上限が違う

厚生労働省の現行告示では、ユニット型個室、従来型個室、多床室で負担限度額が別に定められています。

同じ所得区分でも、選ぶ居室タイプによって自己負担が変わります。

多床室が0円になる区分もある

所得区分によっては、特養等の多床室について居住費の負担限度額が0円となる区分があります。

一方、個室には一定の自己負担額が設定されるため、負担軽減後でも差が残ることがあります。

所得区分によって「個室との差」は変わる

通常料金だけを見ると個室と多床室の差は大きく見えますが、負担軽減の対象者では差の出方が変わります。

低所得者ほど制度適用後の金額を確認する

老齢福祉年金受給者や一定所得以下の人など、負担限度額認定の対象になる可能性がある場合は、市区町村へ確認してください。

申請しなければ制度が自動的に適用されない場合があるため、入所前に確認することが重要です。

預貯金等の資産要件も確認する

負担軽減制度は収入だけではなく、預貯金等の資産要件も関係します。

年金額だけで自己判断せず、自治体の介護保険窓口で現在の要件を確認してください。

ユニット型個室の費用が高くなりやすい理由

ユニット型個室は、一人ひとりの居室を確保しながら、少人数単位で生活する仕組みです。

個室の居住空間を確保する

一人で使う居室があり、プライバシーを確保しやすい環境になっています。

多床室と比べて一人当たりの居住空間が広くなりやすく、制度上の基準費用額も高く設定されています。

少人数のユニット単位で生活する

共同生活室などを中心に、少人数で家庭的な生活を目指す仕組みです。

単なる「高い一人部屋」ではなく、生活単位そのものが従来型特養と異なる点も理解して比較してください。

従来型個室は「個室だがユニット型ではない」

従来型個室は、一人部屋で生活しながら、施設運営は従来型の仕組みを基本とします。

プライバシーを確保しやすい

他の入所者と同室にならないため、更衣・排泄・面会などでプライバシーを保ちやすくなります。

一人で静かに休みたい人にはメリットがあります。

ユニット型個室より基準費用額は低い

2026年時点の特養等の基準費用額では、従来型個室は1,231円/日で、ユニット型個室の2,066円/日より低く設定されています。

個室を希望しながら費用も抑えたい場合は、従来型個室が候補になることがあります。

多床室は居住費を抑えやすい

多床室は、複数人で一つの居室を利用するタイプです。

基準費用額は3タイプの中で最も低い

2026年時点の特養等の基準費用額は915円/日で、従来型個室・ユニット型個室より低くなっています。

長期入所では、毎日の差が年間では大きな金額になるため、費用重視なら有力な選択肢です。

費用以外の生活条件も確認する

同室者の生活音、照明、面会、プライバシーなど、個室とは異なる負担があります。

安さだけでなく、本人が長く落ち着いて暮らせるかも確認してください。

1年単位で考えると差が大きくなる

特養は長期入所になることが多いため、1か月の差だけでなく年間費用も確認したいところです。

月3万円の差でも年間では大きい

月に約3万円違えば、1年間で約36万円、3年間なら100万円を超える差になる可能性があります。

長期的な年金・預貯金の残高を見ながら選ぶことが重要です。

本人の資産だけで何年支払えるか試算する

入所時点の預貯金から、毎月の不足額を引いて何年生活できるか計算します。

家族援助を前提にする場合は、誰がどの程度負担するかも事前に話し合ってください。

月額費用は居住費だけで比較しない

居室タイプによる差は大きいものの、実際に毎月支払うのは居住費だけではありません。

介護保険の自己負担

要介護度や負担割合、加算などによって介護保険サービスの自己負担が変わります。

施設から個別の概算を出してもらってください。

食費

食費も毎月かかりますが、負担限度額認定の対象者は軽減される場合があります。

欠食時の扱いなども施設へ確認してください。

日用品・理美容・医療費

おむつ代は特養の介護サービス費に含まれる扱いですが、理美容、日用品、医療費、薬代などは別途必要になることがあります。

「月額○万円」という表示にどこまで含まれているか確認してください。

特養の費用を比較するときは「総額」で見る

同じ居室タイプでも、施設ごとに実際の月額負担は異なります。

料金表の項目を分ける

介護保険自己負担、食費、居住費、加算、その他実費を分けて確認します。

施設Aと施設Bで項目名が違っていても、同じ種類の費用を並べれば比較しやすくなります。

「最低料金」だけで比べない

パンフレットに表示された最低料金が、本人の要介護度や所得区分に当てはまるとは限りません。

本人の条件を伝えたうえで、実際の月額見込みを作ってもらってください。

負担限度額認定の更新も忘れない

負担軽減を受けている場合、認定には有効期間があり、継続利用には更新手続が必要になります。

有効期限を確認する

認定証等に記載された期間を確認し、更新時期を把握します。

更新を忘れると、一時的に通常の食費・居住費を請求される可能性があるため注意してください。

所得・資産状況が変わった場合

制度の適用区分は本人の所得や資産状況によって変わる場合があります。

毎年同じ金額になるとは限らないため、更新後の自己負担を再確認してください。

入所待ちの長さと居室タイプも確認する

費用だけでなく、希望する居室にいつ入れるかも重要です。

多床室のほうが必ず早いとは限らない

施設の空床状況によって、ユニット型個室のほうが先に空く場合もあります。

費用条件と入所時期を合わせて確認してください。

希望順位を伝える

「多床室第一希望だが従来型個室も可」など、許容できる範囲を施設へ伝えます。

費用上限を決めておくと、空床が出たときに判断しやすくなります。

入所後に居室変更した場合の費用を確認する

本人の状態や施設運営上の事情で、入所後に居室を変更する場合があります。

多床室から個室へ変更する場合

居住費が増える可能性があるため、変更前に新しい料金を確認します。

家族の同意が必要か、どのような理由で変更するのかも聞いてください。

個室から多床室へ変更する場合

費用負担を抑えるため、家族側から変更を希望する場合もあります。

空床状況によってすぐ移れるとは限らないため、早めに相談してください。

料金表で必ず確認したい項目

費用比較のチェック項目

  • 居室タイプは何ですか
  • 居住費は1日いくらですか
  • 30日利用した場合の居住費はいくらですか
  • 食費はいくらですか
  • 介護保険自己負担はいくら見込まれますか
  • どの加算が算定されますか
  • 負担限度額認定は利用できますか
  • 認定後の居住費・食費はいくらですか
  • 日用品費・理美容費はいくらですか
  • 医療費・薬代は別ですか
  • 入院・外泊時の居住費はどうなりますか
  • 居室変更時に料金はどう変わりますか

家族で費用を比較するときの考え方

01

本人の年金内で毎月いくら不足するか計算する

施設の月額総額から本人の年金収入を引き、毎月の不足額を確認します。

居室タイプごとに不足額を比較すると、長期的な負担差が分かりやすくなります。

02

負担軽減制度を適用した後の金額で比べる

負担限度額認定の対象になりそうなら、通常料金ではなく制度適用後の見込み額を確認します。

対象可否は自治体へ確認してください。

基準費用額は制度改定で変わることがある

この記事で示した2,066円・1,231円・915円は2026年時点の厚生労働省告示による特養等の基準費用額です。今後の制度改定で変更される可能性があります。実際の入所時には、最新の料金表・重要事項説明書と自治体の負担限度額認定の内容を確認してください。

まとめ|特養の居室費は「1日」ではなく「月・年」で比較する

特養では、ユニット型個室、従来型個室、多床室で居住費に差があります。

2026年時点の厚生労働省告示による特養等の基準費用額は、ユニット型個室2,066円/日、従来型個室1,231円/日、多床室915円/日です。

ただし、実際の自己負担は施設との契約、所得区分、負担限度額認定などで変わります。特に低所得者は制度適用後の金額を確認してから比較することが重要です。

「個室は高い」「多床室は安い」で終わらせず、本人の条件で30日・1年にいくらかかり、年金と資産で無理なく継続できるかまで計算することが、特養の居室費を比較するときのポイントです。

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